第31回 社会保障審議会企業年金・個人年金部会 議事録
日時
令和6年1月29日(月)15:59~17:51
場所
AP新橋 3階 Aルーム
出席者
森戸部会長
渡邊部会長代理(オンライン)
岩城委員 大江委員 金子委員
小林(由)委員 小林(洋)委員 島村委員 谷内委員 冨樫委員 原田委員
藤澤委員 松田委員
山口委員(オンライン)
(オブザーバー)
鮫島企業年金連合会理事長
松下国民年金基金連合会理事長
議題
(1)健全化法への対応について
(2)視点1~視点3の追加の議論について
(3)金融商品取引法等の一部を改正する法律及び資産運用立国について(報告)
議事
議事内容
○森戸部会長
皆さん、こんにちは。ちょっと定刻より早いのですけれども、皆さんおそろいなので、ただいまより第31回「社会保障審議会企業年金・個人年金部会」を開催いたしたいと思います。
お忙しいところ、お集まりいただきありがとうございます。
本日ですが、山口委員、渡邊部会長代理についてはオンラインにて御参加いただいております。
御出席いただきました委員の方が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。
それでは、議事に入らせていただきたいと思いますが、まずは事務局から資料の確認をお願いいたします。
○海老企業年金・個人年金課長
資料の確認をさせていただきます。
本日の資料といたしましては、資料1「健全化法への対応について」。
資料2「視点1~視点3の追加の議論について」。
資料3「金融商品取引法等の一部を改正する法律及び資産運用立国について」。
参考資料1、企業年金・個人年金部会の委員名簿を御用意しております。
御確認ください。
○森戸部会長
ありがとうございます。
それでは、議題に入りたいと思います。
カメラの方がもしいらっしゃいましたら、ここで退室をお願いいたします。
本日は、議題1「健全化法への対応について」、議題2「視点1~視点3の追加の議論について」、議題3「金融商品取引法等の一部を改正する法律及び資産運用立国について(報告)」、これらを議題といたします。
本日は、議題1について議論した後に議題2について議論、議題3について御意見があれば議題2と併せて御発言いただくというふうにしたいと思っております。
まずは、議題1について事務局から説明をお願いいたします。
○海老企業年金・個人年金課長
議題1に関する資料1について御説明をいたします。
資料1「健全化法への対応について」の資料を御参照ください。
まず3ページになります。
今回は厚生年金基金制度に関することということで、まず厚生年金基金制度の沿革について御説明をさせていただければと思います。
3ページが「退職給付・個人資産形成」全体の図ということになりますが、こちらにありますように退職給付・個人資産形成という視点で見れば様々な仕組みがあるところですけれども、今回議題といたします厚生年金基金に関してはこの中の赤線の部分、代行部分を持つ企業年金制度ということで位置づけられているものでございます。
4ページ目からは、「厚生年金基金制度の創設経緯」ということで御説明をさせていただきます。
右肩の上に書いてございますとおり、こちらの資料、この後続く資料についても同様ですが2013年に議論した際の資料から抜粋をしているものですので、様々な内容について当時の記載がされているものということで御理解いただければと思います。
まず4ページ、「厚生年金基金制度の創設経緯」というところです。
ここから「議論の契機」ということで、昭和40年の厚生年金の大幅な給付改善に際して、保険料引上げに反対する事業主側が国に収める保険料の一部を、退職金原資を加えて自主的に運用する仕組が提案され、社会保障審議会における審議を経て昭和39年に国会審議が行われ、代行方式による厚生年金基金制度を含む厚生年金保険法の法律が昭和40年6月に成立し、昭和41年10月に施行されました。
具体的な「厚生年金基金の仕組み」というのが、次の5ページです。
公的年金である厚生年金の一部を、国に代わって厚生年金基金が代行して給付を支給する。代行給付に加えて、基金ごとに独自の上乗せ給付を支給しているというものです。この図におけるピンクの部分と青色の部分です。
図における左側は基金に加入していない者、右側は基金に加入している者ということになりますけれども、この右側の基金に加入している者については代行給付プラス基金の上乗せ給付について基金から支給する。ここに必要な費用として、厚生年金基金が事業主から掛金を徴収する。こういった仕組みになっております。
6ページは「厚生年金制度の概要」ですが、設立形態として単独、連合、総合ということで、一つの企業が単独で設立するもの、連合で設立するもの、総合で設立するものがそれぞれあるということです。
7ページが「厚生年金基金加入者数と基金数」の推移です。
左側のグラフ、昭和41年から令和4年までのデータをお示ししています。基金数は平成8年度に1,883、加入員数は平成9年度に1225万人をピークとして、令和4年度では基金数5、加入員数12万人ということになっています。こちらのグラフを見ていただきますと、平成8年、9年にかけて伸びていって、そこから平成13年、14年とDC、DB制度が成立、施行いたしまして、平成16年度の辺りで基金数が大きく減ってきている。ここは企業会計基準の見直しなどがあった影響で、大企業を中心に基金がかなり減り、総合型基金の割合が多くなってきていた。こういったような経過が見て取れます。
8ページは「代行制度の意義・役割と変遷」です。
当時の「代行制度の意義」として、3つ掲げております。企業年金制度の普及に大きな役割を果たしたという点。
年金資産、代行部分の積立と、あとはプラスアルファ分の積立金を合わせて運用するというスケールメリットを生かした効率的な運用を可能にしたという点。
それから、労使参加による民主的な運営が行われていた。こういったところで、代行制度に意義が非常にあったというところがまとめられております。
また、次に「代行制度の普及を支えた枠組」としてここにも3つ挙げておりますが、免除保険料率が当時、一律に設定されていた。このため、従業員の年齢構成が若く、代行給付を免除保険料率以下で賄えるようなところに関しては代行メリットというのがあった。
また、実際にその運用環境をみても、制度当初、昭和41年から20年間くらいに関しては非常に高い運用益を得られるような状況にあった。この利差益を給付改善に充てることができるという代行メリットもあったというところです。
それから、税制上の優遇もありましたということで、こういったところが代行制度の普及を支えた枠組です。
その枠組の変化についてが、次の9ページになります。
「代行制度の普及を支えた枠組の変化」として、先ほどの免除保険料率に関しては一律ではなかなか逆に代行給付を賄えないような基金が現れる一方で、やはり公平性の観点から「代行メリット」への批判が強まって、免除保険料率は各基金の代行コストに応じてする「個別化」というものが平成8年から実施をされてきた。
また、その積立不足の発生に至る経緯として、いわゆる平成バブルの崩壊後、経済金融状況の悪化に伴って運用実績が予定利率を下回り、利差損が発生するような事態が起きてきた。
また、平均寿命が延びてきたといったようなことも含めて、利差益の縮小、利差損の発生により積立不足というものが発生をし始めた。
また、企業経営の影響というところで、先ほどのグラフでも見たとおり、企業会計基準の見直しにより、代行部分も含めた年金債務が母体企業の財務諸表で認識されるようになったといった影響があり、大企業を中心とする上場企業で代行返上というものが進んだ。
結果として、この「代行返上」が大きく進んだ後は、厚生年金基金の大半は中小企業が集まってつくる「総合型」になっていった。
総合型基金の母体企業の大半は不況業種とも言われるような業種でして、積立不足に伴う追加の事業主拠出が企業経営にも大きく影響を与えることになっていた。
次の10ページ目です。
さらに、リーマンショックによる運用環境の変化がある中で、厚生年金基金の「代行割れ」が深刻化し、厚生年金基金の一部基金が運用することのリスクが高まってきた。さらに、AIJ問題などを契機に社会問題化していったようなことがありました。
そのときに問題になったものの一つとして、制度創設時にはプラスに作用していた「連帯」の考え方が、解散ですとか脱退の局面ではマイナスに作用していった。こういったような状況もあったところです。
このような状況を背景とし、健全化法の議論が行われていったというところで、次の12ページになりますが、「当時の検討の背景・流れ」をまとめたものです。
AIJの投資顧問に対する業務停止命令が平成24年2月に出ておりますけれども、厚生労働省において平成24年4月から7月、同年3月から9月にかけて有識者会議や、特別対策本部というところで厚生年金基金に関する議論というものが行われていきました。
その後、平成24年11月に厚生労働省試案というものが取りまとめられ、それを踏まえて厚生年金基金制度に関する専門委員会というものが年金部会の下に置かれて議論が行われていきました。
この厚生労働省試案に対する意見書というものが、平成25年の2月に取りまとめをされております。
それも踏まえつつ、平成25年6月に公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金法等の一部を改正する法律、いわゆるこれを健全化法と呼んでおりますけれども、こちらの法律が成立をいたしました。施行は、平成26年の4月1日ということになってございます。
次のページからは、当時の議論の経過の御紹介ですが、厚生労働省試案、平成24年11月にまとめられたもののポイントで3つ柱を掲げております。
1つ目は「特例解散制度の見直しによる「代行割れ問題」への対応」というところで、当時の特例解散制度を見直して、より早期解散しやすい仕組みにしていこうといったような対応が取られることを提案されています。
2つ目、それから「代行制度の見直し」に関してです。この試案の中では、代行制度に関しては他の企業年金への移行を進めながら10年間で段階的に縮小し、廃止をする。併せて、解散認可要件の緩和等々の規定が提案されておりました。
それから、「企業年金の持続可能性を高めるための施策の推進」というところで、厚生年金基金から他の企業年金等に移りやすくするための支援策を提示されておりました。
この試案に基づいて、厚生年金基金制度に関する専門委員会において議論が行われて意見書が取りまとめられております。それが次の14ページにまとまっております。こちらの専門委員会でも「代行割れ」の常態化というのは非常に問題だというところで、代行制度の持続可能性は低い。「代行割れ」の問題は、厚生年金本体の財政や不足分を負担する母体企業にとってリスクなので、早急な対応が必要だといったようなことがまとめられていて、それを踏まえて先ほどの3つの柱に関しては、特例制度の見直しに関する対応というところで、連帯債務外しなどの対応についてはやむを得ないということ。納付額の特例の拡大は反対しつつも、納付期間の延長にとどめるべき。あとは、5年間で終了させて再び導入することがないように、こういったようなことが盛り込まれておりました。
また、「代行制度の見直し」といたしまして◯の1つ目のところですけれども、10年間の移行期間を置いて代行制度を段階的に縮小し、廃止するという試案の方向性については妥当であるという意見でおおむね一致した。
なお、少数意見として、一定の基準を満たす健全な基金は存続させてもいいのではないかといった意見もあった。
その際に、健全な基金を残すべきという議論については、やはり「健全性」の基準といったことは制度的に担保が必要で、それを満たさなくなったときの制度的な担保が必要といったことが盛り込まれていた、ということになります。
このときに書かれていた健全性の基準としては2つで、1つは解散した場合に上乗せ給付まで支払える資産をきちんと保有しているということ、もう一つは代行部分の資産を保全するために代行部分の少なくとも1.5倍以上の積立水準が必要、こういったようなことが盛り込まれていたところです。
それから一番下、「企業年金の持続可能性を高めるための施策の推進」というところで、より中小企業がつくりやすいような制度設計、手続の簡素化を留意していくべきだ。こういったようなことが盛り込まれていました。
次のページをめくっていただいて、15ページが法律の概要になります。
こういった議論を踏まえての法律がまとまっております。真ん中に「具体的な内容」がまとめられております。
企業年金制度の見直しというところでまず1つ目、施行日以後は厚生年金基金の新設は認めないということ。
5年間の時限措置として特例解散制度を見直して、より納付期限ですとか納付方法の特例を設けていくということ。
施行日から5年後以降は、代行資産保全の観点から設定した基準を満たさない基金に関しては厚生労働大臣が解散命令を発動できること。
上乗せに関しては、厚生年金基金からほかの企業年金等への積立金の移行について特例を設けること。こういったような内容になっていたところでございます。
ここで見て分かるように、健全な基金に強制的に解散させるという規定はなく、存続自体は許容されている法律の内容になっておりました。
法律の成立は平成25年6月26日、施行は26年4月1日ということです。
16ページ以降は、当時の健全化法の中の議論ですが、当時の安倍総理、田村大臣などが御発言されているところを御紹介させていただければと思います。
当時の国会の議論では、厚生年金基金は国の法律に基づき創設された制度なので、十分な積立金をもって適切に運用している基金まで強制的に廃止することは問題が大きいものだというようなこと。
あとは、国がつくった制度で今もちゃんとルールを守っているのに、それをやめろというのは、やはりこれはなかなか厳しいかなといったようなこと。
次の17ページは田村大臣の御発言ですが、ルールどおりにやってこられて財政的に健全だと思われる、そんな基金まで強制的に廃止をさせる、解散させるというところはやはり行政として無責任な行動になるのではないかといったようなこと。
あとは、17ページの一番下のところになりますけれども、やはりその方々、強制的に解散させるということになった場合の財産権の侵害というものが訴えられる、そういった訴訟リスクがあるのではないか。このようなことが、当時このような形に規定をした趣旨として御説明があったというところです。
18ページが「健全化法による厚生年金基金制度改革のプロセス」を整理したものです。
施行日から5年間は「代行割れ」問題に集中的に対応するということで、まず施行日以降は基金の新設を停止し、施行日から5年までの間には代行割れ基金に関しては特例制度による早期解散、代行割れでな基金に関しては代行返上による他制度への移行というのを進めていくといったようなことが盛り込まれておりました。
また、施行日から5年経過後に関しては「代行割れを未然に防ぐための制度的措置」を導入するというところで、代行割れ予備軍に関しては厚生労働大臣が解散命令を発動することができるといったこと。
また、健全な基金に関しても代行返上による他制度への移行又は存続といったようなことが記載されています。
こういった形で、代行割れ問題に対応していくといったようなことがプロセスとして整理をされていたところでございます。
次のページ以降は、その具体的な内容ということになります。
19ページは「特例解散制度の見直し」、またはその解散認可基準についてというところで、制度5年以降の見直しと解散基準の緩和を行い、より早期解散に向けた取組を進めてきたということです。
次の20ページですが、「代行割れを未然に防ぐための制度的措置の導入」として、施行日5年経過後、代行割れを起こさないためにはここに書いてある要件を満たさない基金に関しては厚生労働大臣が第三者委員会の意見を聞いて解散命令を発動することができるということで、指標としては2つあります。
このブルーのところと、あとは右側に簡単な図式化しているものがありますが、先ほども申し上げたとおり、「(1)の要件」というところで代行部分の1.5倍以上を持っている、あるいは上乗せ部分プラス代行部分以上の資産を持っている。こちらのいずれかの要件を満たしている基金のみ存続することができるというような形になっております。ですので、両方満たさなくなったら、もうここは解散命令が発動されるといったような仕組になっております。
次の21ページは「上乗せ部分の受給権を保全するための措置」というところで、代行割れしていないけれども上乗せ部分が積立不足である基金や、代行割れ基金が円滑にほかの制度にも移行できるようにというような制度的な手当ても含めて行われたというところです。
こうした対応を含めて、22ページは実際に健全化法施行後以降の厚生年金基金の解散・代行の状況についてまとめたものです。
平成25年度末には531あった基金のうち、解散した基金が410、代行返上を行った基金が118あった結果、令和4年度末の存続厚生年金基金数は5ということになっています。
なお、存続する5つの基金のうち、1つは代行返上を予定しております。
次のページは、「法施行後5年経過後の財政運営について」というところで、代行資産保全の観点から、先ほどの健全性の基準に加えてモニタリング、従来の報告などにさらに加えてモニタリングを強化しているといったところをまとめております。
具体的には、各月末における最低責任準備金と純資産の額ですとか、時価評価額とその構成割合、母体企業の経営状況などを四半期業務報告書の提出時に合わせて報告をするですとか、あとはその業務委託先に所属していない年金数理人による財政診断を実施する。こういったことを通じて、モニタリングを強化するといった取組を行ってきております。
次のページが、「モニタリングの状況」を取りまとめているものになります。
健全化法施行後、個別基金ごとに報告されるこうした業務報告書を確認する等によってモニタリングを行ってきているところでございます。後ほど資料も使って御説明いたしますけれども、現状残っている基金に関しては特段大きな懸念点はないというのが今の状況というところでございます。
次のページからは「健全化法附則第2条への対応について」ということで、今回御検討いただいている健全化法附則の検討規定についての御説明をさせていただければと思います。
26ページです。
「健全化法附則の検討規定」と書いてございますが、もともと先ほど御説明をしたとおり、健全化法に関しては施行日以降、基金の新設というのは認めない。その自主的な解散を促進するため、5年の時限措置として特例解散の見直しなどを実施してきておりました。
また、この附則の中で、同法の施行から10年を経過する日までに存続厚生年金基金の解散等について検討し、速やかに必要な法制上の措置を講ずるという形になってございました。
この規定自体については、法案提出時には厚生年金基金に係る検討規定というものはございませんでしたが、議員修正によって検討の規定が追加されたという経緯がございます。
その際の趣旨ということで、27ページの下の「上川陽子議員答弁」というところに書いてございますけれども、この規定を追加した趣旨として、厚生年金基金制度は歴史的な役割を終えており、時代の流れの中で制度としてフェードアウトしていくことの認識は一致したというものの、個々の基金については他制度への移行や解散を強制的に行うべきか、個々の基金の自主性を尊重するべきかについて意見が分かれたといったようなこと。こういったことから、この附則を設けたといったような御説明がされているところでございます。
今の残っている基金の状況というのが次のページにございます。
令和4年度末ですが、見ていただいて分かるとおり、存続する5つの基金全てにおいて存続要件を満たしています。また、その全ての基金において継続基準も満たしています。
4つの基金については、一番右側の最低積立基準額に基づく非継続基準は満たしておりませんが、必要に応じて追加拠出なども実施しているというところです。
このように、存続する各基金の財政は適正に運営されているというのが今の状況になってございます。
次の29ページ、「各厚生年金基金へのヒアリング結果」です。
存続する5つの基金のうち、1つは代行返上も予定をしておりますので、残りの4つの基金について年金局においてヒアリングを行ったところ、いずれも引き続き存続したいという意向が示されております。
また、「基金の解散、または他の制度への移行に当たっての懸念点について」というところで幾つか挙げられているお話として、代行部分があることにより運用による選択肢が広がっているといったこと、または健全な状況にもかかわらず制度が終了するといったところに理解が得られるか、あるいは世代間での制度の公平性が保てるかといったようなこと。
あとは、拠出の在り方のところで次の30ページにも書いてございますが、DBと厚生年金基金とで拠出の仕方が違うという点です。厚生年金基金は労使折半、確定給付に関しては、基本は事業主が拠出し、本人が出すときには同意が必要と、こういったような制度的な違いがあるといったところで、ここのところが移行に当たっての懸念点になる。拠出の在り方が変われば給付の仕組みも変わりますので、こうした点も大きな懸念点ということです。
あとは、税制が違といった事務的な違いがある。こういったようなところが懸念点になっているというところです。
次の30ページは、関連規定をまとめているものになります。
次の31ページ、こちらが本日御議論いただきたい論点ということになります。
論点の1つ目の○に書いてありますが、先ほど御説明をしたとおり、厚生年金基金においてかつて発生した「代行割れ問題」に関しては、健全化法施行後5年経過時点で解消に至っているという状況がございます。
また、健全化法施行から5年経過以降に関しては、この存続基準というものが適用されることによって十分にこの基準を満たすところしか残れないといったようなことになっておりますので、残った5基金において代行割れが懸念される状況にはないということです。
それを踏まえて一番下の◯のところになりますけれども、この健全化法の施行から10年が経過するところ、健全化法制定当時の議論、現存する基金の財政状況やヒアリングの結果、現存する基金を存続されている場合の懸念点、異なる制度を管理することによる行政コスト等です。また、現存する基金を廃止させる場合の懸念点、これは財産権等を侵害するリスク等です。これらを踏まえて今後の対応についてどのように考えるかといったところに関して、本日御議論をお願いいたします。
説明としては以上です。
○森戸部会長
ありがとうございます。
それでは、議題1について委員の皆様から御質問、御意見をいただきたいと思います。まず、議題1について御意見のある方。
では、谷内委員お願いします。
○谷内委員
谷内です。
厚生年金基金の件につきまして、資料1のスライドの31ページで論点が示されていますが、健全化法の施行から10年が経過している中、現存する5つの厚生年金基金は従前よりも高い積立基準が課されており、かつ、モニタリングの頻度も上がっている中で健全な財政状況を維持しています。従前よりも高いハードルを課しながら一応それをクリアしているという状況では、一義的に廃止を主張するのはなかなか難しい面があると考えます。
しかしながら、無条件で存続を認めるというのは懸念もあります。こちらも資料1のスライドの31ページに記載のとおり、現存する厚生年金基金を存続させる場合の懸念事項として行政コストという点が挙げられています。厚生年金基金は厚生年金本体の給付を代行する制度ですので、厚生年金本体の改正が生じたら厚生年金基金にも法令上のメンテナンスが当然必要ですし、また、引き続きモニタリングも継続する必要が生じます。
これが、例えば制度数が50とか100あるならまだしも、現状は5制度、今後も存続の意向を示しているのが4制度という中で、その4制度のためにどこまで厚生労働省がそのモニタリングですとか管理監督に人員を割けるかというところは、引き続き検討する必要があると考えます。
すみません。何とも煮え切らないコメントになってしまいますけれども、私の見解は以上です。
○森戸部会長
ありがとうございます。
では、大江委員お願いします。
○大江委員
ありがとうございます。
この確定給付型の制度というのは、その受給権を担保するということが何よりも肝要なのだと思います。ですので、その存続を認めるということだとすれば、代行の上乗せを含めた給付が将来も可能な資産保全ができるというような要件を満たす必要があると考えます。
その意味で、22ページでしたか、御説明をいただいた、今のモニタリングでされている内容は代行割れをしないというところがメインではないかと思うのですが、その観点だけではなくて、例えば確定給付企業年金で適用されているルールと、今、存続を許容しているルールと比べて、その資産保全においてルールが緩くなっている点がなければいいのですけれども、あるとすれば、やはり存続においては確定給付企業年金と同等の要件で健全であるということを担保できる仕組みにすることが、現在のこの4つの基金の加入者、そして今後もこの基金に新たに加入する基金の加入者の方の老後の安心ということに欠かせないというように考えます。
以上です。
○森戸部会長
ありがとうございます。
では、小林洋一委員お願いします。
○小林(洋)委員
御説明、ありがとうございます。
本件については、資料の31ページに論点がまとめられておりまして、今、お話しされておりましたけれども、これを要約しますと、健全化法制定の背景にあった代行割れ問題は解消されており、現在存続している5つの基金は代行割れのおそれがない。また、健全化法附則第2条に基づいて今後の対応を今年3月31日までに決定する必要があるので、31ページ記載の4つの観点等を踏まえて議論してほしいという趣旨と理解いたしました。
議論の前提となる基礎的な情報として、幾つか教えていただきたいことがございます。
まず、本件の問題の根っこは、法の趣旨と被保険者の権利保護についてだと思います。健全化法は、26ページの1つ目のポツによれば、基金の新設を認めないこととし、その自主的な解散を促進するということのために設けられた法律だとされていますが、附則第2条を読む限り、自主的に解散するという趣旨が含まれているようには読めません。また、政府にはあくまで解散が円滑に進められるような措置を講じることが求められていると読めるわけですが、この辺りのところでは、過去の国会での大臣答弁を拝見しますと、少し論点が異なっているという感じがいたしました。
既得権としての被保険者の受給権が守られることは重要な視点ですので、そのために基金を解散しても同等の権利が守られるような措置を講じる必要があると思います。
しかしながら、最終ゴールは解散であるということでしょうから、ゴールポストを動かすということにするならば、健全化法自体を見直すということが必要になるのではないかと思います。
ゴールを変えるのか、変えないのか、その問い自体を議論することが求められているということなのでしょうか。その辺りを教えていただければと思います。
なお、31ページに提示されている論点の中に、行政コストと財産権侵害リスクという2つの懸念点が書かれております。大変重要な視点と思いますので、専門家の見解も伺いつつ議論させていただければと思います。
以上、今後、本部会で我々に求められている議論のポイントを教えていただければという趣旨でお話をさせていただきました。
以上です。
○森戸部会長
ありがとうございます。
まさに非常に重要なポイントが全て出ていたと思いますが、最後のほうにおっしゃった何か財産権なり受給権の侵害みたいなことが起こり得るのか、どの程度のことがどういうふうに起こり得るのかということは、もうちょっと詳細に恐らく検討してもらって資料を出さないといけないかなと思いますが、今日の御質問としてはすごく要約すると、そのゴールポストを動かすのかどうかという質問だったと思うのですけれども、それに事務局がどう答えるかはちょっと分からないですが、取りあえずいかがでしょうか。
○海老企業年金・個人年金課長
御質問ありがとうございます。
まず、先ほど資料の15ページでも御説明をしたとおり、もともと政府として提出をした健全化法の規定自体は15ページの「具体的な内容」のところを見ていただきますと、新設は認めません。5年間は特例での解散は認めます。それで、施行日から5年以降は健全なところを満たさないところには解散命令を発動できるという規定の内容になっておりまして、ここまでが規定をされているところです。
逆に言うと、健全な基金に強制的に解散できるような規定というのは健全化法の規定の中にはなかったというところでございます。
そうした状態を背景に健全化法の附則というものが設けられていて、先ほどの資料でいきますと、26ページに条文、27ページに当時の経緯ということでまとめております。ここにありますとおり、厚生年金基金制度は時代の流れの中で制度としてフェードアウトしていくことについての認識は一致をしたものの、基金についてほかに移行するのか、解散をするのか、これを強制的に行うべきかどうか、自主性を尊重するかといったところについては意見が分かれたので、附則の規定が設けられましたというようなことが当時説明をされているというところでございます。
それで、やはりここの基金について上川議員の修正理由でも説明をされているとおり、意見が分かれたというところでございます。ここに向かって頑張っていきなさいということは附則に書かれておりますけれども、基金をゼロにするといったところまで含意されているものではないというふうに我々としては認識をしているというところでございます。それを前提に、今回どうあるべきかという御議論をいただきたいというところでございます。
以上です。
○森戸部会長
ありがとうございます。
ゴールポストを動かすと言うかどうかは別として、今の時点でどういうゴールを設定して、それをどう考えるかということを結局まとめて議論するということだと思いますので、まさに今、御指摘いただいた点を全部もう一回検討しなければいけないのだろうと思います。ありがとうございます。
では、島村委員お願いします。
○島村委員
御説明ありがとうございます。
厚生年金基金については代行割れしたところをうまく処理していただいて、現状まで持ってきていただいたことについては非常にありがたく思っております。その上で、健全な基金をどうするかという問題についてですが、厚生年金基金においては代行部分の給付が老齢厚生年金本体の給付に収まるというのは代行制度の根幹に関わる重要な視点かと思っています。
もっとも、これまで結構続いたマイナス改定のときには、厚生年金基金はその影響を受けてきていないかと思います。マイナス改定以外にも、代行部分が本体を上回るような事象があるのであるとすれば、それは見過ごせず、本体をはみ出さないようにするべきだと思います。本来であれば、厚生年金を支えるはずの財政で賄われる代行部分が本体を上回るのは説明できないと思うためです。この問題は、厚生年金の支給水準に関わる重要な問題だと理解をしております。
ただ、現状では5つなり4つなりの基金だけですし、なお効力を有するという形で規定されているところになりますので、その代行部分が本体を上回ることのないようにするというような改正をするというのはコストが莫大過ぎて現実的ではありません。そうすると、厚生年金基金については合同部会の際に小野委員からも御発言いただきましたとおり、粛々と廃止に向けた方向で進めていくのが筋ではないかと思っております。現状は健全であったとしても、今後何が起こるかは分からず、状況が一転して悪化することもあり得ます。そうならないようにモニタリングの負荷とかも非常にかかっているところですし、健全なうちに移行なり解散なりになっていないと、厚生年金本体への影響も生じかねませんので、それは憂慮すべき事態かと思います。
先ほど谷内委員がおっしゃってくださった行政のコストをどこに割くのがいいのかという点からも、私は廃止の道筋を立てるべきではないかと感じております。仮に存続としても、やはり未来永劫というわけにはいきませんので、解散や移行に向けての道筋を自主的につけてくださるように、基金が決めてくださるような後押し、バックアップができるような議論をしていきたいと思っております。
長くなりすみません。以上です。
◯森戸部会長
ありがとうございます。
今まで既に出た視点もありましたが、今、新たなところで出た問題としては、厚生年金基金というのは厚生年金本体と代行部分でリンクしているわけですよね。まさにそれがメリットとして先ほどの事務局の説明にもありましたけれども、それがデメリットとしてやってきた制度なのですが、これからもそういう制度でいいのかどうかということ自体も考えなければいけないという非常に重い御指摘だったと思います。ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
では、富樫委員お願いします。
◯富樫委員
健全化法への対応について、この間述べているとおり、厚生年金基金を含め、企業年金は賃金の後払いである退職給付を由来とし、労働条件の性格を強く持っています。したがって、当該労使の判断が最大限尊重されるべきであり、また、4つの基金とも代行割れが現在懸念される状況ではないこと、ヒアリングの結果では引き続き存続したい旨が示されていることから、存続要件を満たす限りは存続を認めてもよいと考えます。
ただ、健全化法施行前の2012年に厚生労働省が公表した厚生年金基金への2011年度監査結果を見ると、多くの基金が経理処理や内部監査について指摘を受けていました。健全化法の附帯決議を踏まえ、モニタリング等によって引き続き厚生労働省としてしっかりと基金の状況を把握し続け、適切な対応を今後も行うことが重要と考えます。
以上です。
◯森戸部会長
ありがとうございます。
厚生年金基金制度が労働条件であるという点もまさにそのとおりです。
ただ、先ほど申し上げたように労働条件なのですけれども、中に公的年金の部分を抱えている制度だということも同時に考えなければいけないかなとは思います。ありがとうございます。
では、金子委員お願いします。
◯金子委員
金子でございます。
厚生年金基金制度、代行制度については実は明確な意見を持っていないので、手を挙げる必要はないのではないかと言われればそうなのですけれども、一言だけ、後半でちょっとひねくれた見方になるのかもしれないですが、紹介したいと思います。
まず資料1の31ページに、谷内委員も御指摘されているように、存続される場合の懸念点としては行政コストというものがあるのだと理解しています。
一方で、基金へのヒアリングによれば、制度の健全性だとか持続性を高めているということですので、健全に運営されているのであればあまりとやかく言うことでもないのかなという気もしております。
また、ここからはちょっとひねくれた見方になるのかもしれないですけれども、代行部分があることによって資産規模が増加し、運用における選択肢が広がっているというような御指摘もヒアリングによるとあったということなのですけれども、この点、先日まで議論していた資産運用立国的な観点から見ますと、企業年金の資産規模を大きくできる代行制度というのは評価できるというような面もあるのではないか、今日的な意義というふうに見出すこともできるのではないかと感じました。
ただ、いずれにしても早急な対応というのはかなり難しい話なので、相当足の長い対応ということを、皆さんここら辺は合意するところだと思うのですけれども、考えていく必要があるのかなと思った次第です。
以上です。
◯森戸部会長
ありがとうございます。
では、岩城委員お願いします。
◯岩城委員
ありがとうございます。
附則の規定について、原則として厚生年金基金廃止の方向であると受け止めております。残り4基金の制度を残すために生じる行政コスト等や制度、税制に生じている不公平感を考えると、解散、制度移行していただくのが合理的なのかなと存じます。
4基金側には様々に御主張されたいこと、制度移行で生じる懸念点もおありになろうかと思うのですけれども、厚生年金制度全体のことを考えますと、基金を存続させることについて主張されていることは加入している会社や従業員にとってのメリットであり、限定的で、存続をする根拠として説得力に欠けると思います。
これまで制度移行してきた多くの基金は財政状況が健全だったところも含めてある意味、不条理と感じる部分もあったかもしれませんが、それを乗り越えてこられたわけですので、10年という節目でこれまでの歴史的な経緯を踏まえ、ぜひ労使で議論を尽くしていただいて制度を移行していただくのがよいのではないかと考えております。
以上です。
◯森戸部会長
ありがとうございます。
では、藤澤委員お願いします。
◯藤澤委員
藤澤です。
御説明をありがとうございます。29ページのように、現在残っている厚生年金基金の意向をヒアリングするのはすごく大事だと考えてございます。複数の委員がおっしゃいましたが、行政コスト等の懸念もございますので、基本的には代行返上を促すという方針、スタンスがいいのではないかと思っています。その際に、29ページや30ページで御説明いただいた加入者掛金の取扱いが課題になるという印象を受けてございます。これは既に代行返上を行ったDB制度にとっての課題でもあって、この部会で議論して何らかの改善点を見出せる論点だと感じています。
この加入者掛金の取扱いが残った厚生年金基金の一番の課題ということであれば、例えば5年後とか10年後の法改正に向けて、税制も含めて加入者掛金の取扱いを整理して、残った厚生年金基金と丁寧な対話を行って代行返上を促すというのがいいのではないかと考えてございます。
以上です。
◯森戸部会長
ありがとうございます。
では、原田委員お願いします。
◯原田委員
原田です。よろしくお願いします。
私も正直、結論的な意見は持ち合わせていないといいますか、自分の中でも出ていない状況なのですけれども、そもそも健全化法の一つの目的であった代行割れを防ぐ、公的年金の健全性、信頼性を回復するという目的については、今の状況では達成できているのではないかと思います。財政状況的にはですね。
一方で、先ほど島村委員もおっしゃっていましたけれども、代行部分の給付の代行の仕方の問題というところは、存続をするのであれば何らかの手を打つ必要はあると考えています。過去は本当に再評価、スライドというのはプラスだったのですが、マイナスということも起きているわけですから、そこのところの手当ては何か必要なのではないかと思います。
それで、権利とか、そういったところの関係は非常に悩ましいと思っていて、藤澤委員がおっしゃっていた加入者負担掛金の取扱いや、本人が負担したときに社会保険料控除が適用される厚生年金基金というのは非常にメリットとして大きいことだと思っていますし、そもそも国の年金をベースにつくられた企業年金ですので、事業主と加入者の原則折半負担というのが制度の趣旨になっているところから、掛金が動いても個人別の同意を取らなくてもいいなどもあります。
DBはどちらかといいますと事業主が負担する制度に加入者がかけてもいいという仕組みになっていますので、企業年金制度としてのそもそものポリシーといいますか、そこのところが違っていると思います。そこがずれているというところが一つの理由なのかなと思っているので、私もすぐに解散だとか代行返上だと決めるのはかなり厳しいと思っています。
ただ、将来的に行政コストとか、そういったことを考えて、そちらの方向にもし向かうのであれば、そういった年金制度の箱によって異なる部分というのはやはり補正していく必要があるのではないかと思います。
また、特別法人税についても厚生年金基金は一定の水準までかからないことになっていますので、そういった差異をどう埋めていくのかというのは一つの課題かなと思います。
結論ではないのですが、やはりかなり慎重に検討しないといけない問題と考えています。施行から10年経過したところではありますが、もう少しきちんと検討して存続できるようにするのか、解散、代行返上に向かって進めていくのかという結論を出すべきではないかと思いました。
以上です。
◯森戸部会長
ありがとうございます。
会場参加の方は取りあえずもうよろしいですか。御意見のある方はいらっしゃらないですか。
では、オンラインのお二人で議題1についてもし御意見があればお願いしたいのですが、いかがでしょうか。
では、山口委員お願いします。
◯山口委員
よろしくお願いします。
今のお話と重なるかもしれませんが、私も現状の枠組みでは適正な運営が確保されているので、年度末で強制的に解散とか、そういうことにはならないだろうとは思っています。
ただ、今モニタリングなどが行われている枠組みは代行割れの弊害に対する措置として行われてきたものなので、委員の先生方がおっしゃっているように、今の制度とか社会情勢に照らして今後もこの枠組みが有効かという部分ですね。これは別途の検討なり検証なりが必要かと思っています。10年で廃止の方向と一応は言われているので、恒久的な制度なのかは確かに分からない部分があるので、その辺りの検討はやはり続けていく必要があるかと思っております。
以上です。
◯森戸部会長
ありがとうございました。
渡邊代理は何かありますか。お願いします。
◯渡邊部会長代理
御説明いろいろありがとうございました。
また、各委員からいろいろ難しいといったような印象のあるテーマだなというようなところが伝わってまいりましたが、私としてはやはり厚生年金基金というのは今後将来的には廃止に向けて筋道を立てるのがいいのではないかと思っております。受け皿となる制度というものが存在しておりますし、既に多くの基金というものが移行をしております。その中でいろいろな経験といったようなものが積まれておりますし、懸念事項として挙げられております、加入者や受給権者にとって不利益とならないような移行を行うということも可能であろうと思っています。こういったようなところをもう少し詳細に検討して、そういった懸念事項について丁寧に対応、支援をしていくといったようなところで廃止への筋道を立てる必要があるのではないかと思っています。
また、先ほど島村委員からもありましたように、公的年金との関係性といったようなところも重要事項だと思っておりますので、そういった視点からもやはり基金というのは今後廃止の方向に向けて進めるべきだと考えております。
存続させ続けるということになりますと、ある意味、例外的な仕組みというものを持っているということになります。そうしますと、企業年金制度全体としての複雑性といったようなところを生じさせるということになり、国民にとっても非常に分かりにくいといったところにつながってまいりますので、やはりそういった複雑性を解消することが必要だと、この企業年金の議論ではたびたび出てくるかと思いますが、そういったような点からも今後は廃止に向けた筋道を立てたほうがいいのではないかと思いました。
以上です。
◯森戸部会長
ありがとうございました。
もう一度、会場参加の方で何か御意見がある方はいらっしゃいますか。よろしいですか。
ありがとうございます。皆さんから本当に貴重な御意見を様々な方向でいただいて、健全化法ですが、結局厚生年金基金はどうするかという話ですね。これはYouTubeに映ったら炎上しそうなのですけれども、手元でこの委員は廃止の方向かどうかということでマルとかバツとか二重丸とかつけていたら競馬新聞みたいになってしまって、大分意見が分かれているなということが非常に分かったのですけれども、これを踏まえて事務局にも検討いただきたいと思います。
それで、これは私の個人的な意見になるかもしれませんが、一言申し上げますと、本当に難しい問題ですが、ただ、資料1の附則の26ページに健全化法の附則の第2条の条文が出ていますが、やはり素直に読むと10年経過するまでに解散、移行させていくというのが原則というふうに読めると思うんです。
それで、修正の経緯も丁寧に資料でつくっていただいたのですけれども、この附則にこういう文章が入ったことでむしろそういう趣旨が明確になっているのかなと私は理解しました。
それで、上川議員の答弁にもありましたが、やはり厚生年金基金が歴史的役割を終えた制度だということは答弁されているわけですね。そうなのですけれども、そんなにすぐに廃止とかも言えないし、財政の悪いところもいっぱいあって大変だったから、取りあえず5年、10年という節目をつくって制度をこれからどうするか考えていきましょう。財政の悪いところはうまく抜けられるようにして、財政のいいところは残っていいですよ。ただし、基準は厳しくしますけれどもというので10年たったというのが今の時点です。
それで、私の理解では、皆さんの御意見にも割とありましたけれども、10年たって財政が健全でむしろちゃんとやっているのだから4つとか5つの基金は非常に厳しい基準をクリアしているわけですよね。ですから、それは残してもいいじゃないかという御意見はありましたが、私はこの10年を経て、ここで議論するのは財政的に問題ないからというだけで残すというふうに決めてはいけないのではないか。附則の規定からはそう読めるのではないかなと思います。
つまり、歴史的役割を終えた制度を10年、一応移行措置で残してきて、今後本当にそれでいいのかということをもう一回、財政がいいだけで残すという結論を出すのは、私は附則の趣旨に反するのではないかと思います。
それで、何より島村委員等からも御指摘がありましたけれども、やはり公的年金と代行部分でつながっているのですね。その仕組み自体の妥当性、公平性というのも考えなければいけないと思います。つまり、厚生年金本体と比較しての妥当性、公平性というのでしょうか。さっきマイナス改定のお話などもありましたけれども、今も含めて、将来も含めてそれでいいのかということは考えなければいけないのではないかと私は思います。
ですから、何もなく財政的に問題ないから存続という結論は言えないのではないかと私は思っています。何かもうちょっと議論をした上で、まさに小林洋一委員がおっしゃったようにどういうゴールを設定しなければいけない問題なのかというのは検討しなければいけないと私は思います。
あまり事務局と詰めた意見ではありませんで、あくまでも私の意見ですけれども、もちろん急に明日廃止ですというわけにはいかないのでしょうが、それをどういうふうにやっていくのかというのは悩ましいですが、このまま何もなくというわけにはいかないのではないかと思います。
そうすると、財産権とか受給権の保護の問題はどうなるんだ、そういうのを棄損することはないのか。これは先ほど申し上げたように、もし廃止となった場合、詳細にどういうことが起こり得るのか。それは基金ができなくなったとして代行返上する、しない、それから受給者か、加入者かとかいろいろ場面はあり得ると思っていて、結構複雑な話ですが、ただ、シミュレーションできない話ではないと思います。こうなったらこういう人が出ますね、こういう可能性がありますねというのは法的な検討ができるのではないかと思います。
それで、非常に複雑ですけれども、さっきも言いましたが、厚年本体に関わるので、公共の利益といいますか、その観点も入ってくると思うんです。つまり、厚生年金本体の人より何か不利益なことが起きたりするのであればそれはおかしいけれども、そうではないというのであれば少し別な観点も入れなければいけないのではないかとは思います。
ですから、私は附則の趣旨からしたら、むしろ廃止すべきではないという理由がもうちょっと強くないと、簡単に結論は出せないのではないかと個人的には思っておりますが、皆さんの中にもそういう御意見がありましたし、基本は存続でいいだろうとおっしゃった皆さんもいろいろ懸念事項はおっしゃっていたので、その点を含めて事務局と再度検討して、次回どういうふうに検討していくかということはまだもう1回か2回は議論できますので、そこで考えていきたいと思います。
あとは、また事務局に嫌われそうなことを言いますけれども、今回非常に丁寧に資料を準備していただいて、今、存続している基金の皆さんの御意見も聞いていただいて、それは非常にいいことなのですけれども、ただ、それでも制度変更することもあるわけです。例えば掛金の上限をDCとDBを合わせてセットでみますとかというのも、意見は聞いていると思いますが、多分現場には不満があったけれども、正しいと思う制度変更だからやってきたわけですよね。
意見は聞かなければいけないんですけれども、現場がどうかということと、やはり公的な制度としてどうかということは別と言えば別なので、ちゃんとヒアリングはするけれども、当事者が嫌だと言っているから駄目ですというだけではないとは思います。
それで、健全化法についての議題1については皆さんの、私の勝手な意見も含めて言わせていただきましたが、一応今日はこれで御意見をいただいて次回までにもう一回検討しましょうということになっていますが、今回あまり事務局に振っていないので、何かこの時点でありますか。部会長解任とか、そういう動議とかがもしあれば。
○海老企業年金・個人年金課長
御意見ありがとうございます。
今、部会長からお話をいただきましたとおり、今日、様々な御意見をいただいたと思っておりますので、そちらも踏まえつつ、また次回議論を深めていただければとは思います。
○森戸部会長
では、それは部会の前に多分また皆さんに御意見を伺うことになるかと思いますので、よろしくお願いいたします。
では、議題1についてはちょうどこのくらいの時間を予定しておりましたので、先にいきたいと思います。引き続き、まだ御意見をいただく機会はあるかと思います。
では、議題2及び議題3が今日はありますので、事務局からこちらの説明をお願いいたします。
○海老企業年金・個人年金課長
では、議題2について資料の2を使って御説明したいと思います。
「視点1~視点3の追加の議論について」という資料2を御覧ください。
ここでは、「iDeCoの加入年齢の引上げについて」の御議論をいただきたいと思っております。
めくっていただいて、「資産所得倍増プラン(抄)」です。
一昨年になりますが、令和4年11月に資産所得倍増プランの中でiDeCoの加入可能年齢の引上げについて、70歳まで引き上げるといったことが盛り込まれておりまして、こちらについて企業年金・個人年金部会でも御議論をいただき、一応引き上げの方向で進みつつも、具体的な要件というのは今後検討していくといったことがまとめられているところです。
この論点については、昨年の9月にも御議論をいただいているところですが、もう少し具体的な要件も論点として整理をしながら御議論をいただきたく、今回資料のほうを御用意しております。
5ページは現行の制度になります。
現行の制度においてiDeCoに加入して掛金を拠出できる対象者の範囲というのは、国民年金に加入している人と同様の年齢の範囲ということで設定をされております。
6ページがiDeCoの加入種別と、国民年金の被保険者種別の比較表になります。
60歳以上で入れるところは前のページとかも見ていただきますと、厚生年金の被保険者の部分と、あとは第4号加入者、国民年金に任意で加入した方になるというところです。
次のページですが、ここの60歳以降に関しては前回、令和2年の改正の際に盛り込まれて令和4年に施行されておりますが、現状、60歳以上でiDeCoに入られている方の割合というのが、60歳以上に関しては今8万人ということになります。先ほど申し上げた第4号の方、任意加入方と、あとは第2号の方で60歳以降も厚生年金に入られている方、こういった方々が全部で8万人いらっしゃるというところでございます。
8ページは「加入可能年齢の引上げに関する論点」というところになります。
こちらは上のところに書いてございますが、先ほど図で見ていただいたとおり、企業型DC、DBは原則70歳まで加入が可能ということで、国民年金の第2号被保険者に関しては原則65歳、国民年金の第1号被保険者に関しては60歳までというところで、働き方を含めたライフコースが多様化する中で私的年金を活用できる期間に格差が生じている。こういったところに関して、どう考えるのか。そのときに、年齢を引き上げた際に公的年金との関係をどういうふうに考えていくのかといったところが論点になるというところでまとめています。
8ページの「制度の目的」というところでDB、DCを挙げておりますけれども、DB、DCそれぞれの目的のところに「公的年金の給付と相まって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与する」といったことが書き込まれておりまして、「制度の現状」といたしましては、企業型のDB、DCに関しては70歳未満が加入可能、すなわち厚生年金被保険者の被保険者資格と一緒で、iDeCoに関しては65歳未満が加入可能、国民年金被保険者の被保険者資格と一緒というところで、こちらは国民年金基金に関しても同じ要件になっているというところでございます。
次のページですが「60歳以降における現状の公的年金と私的年金の関係」というのを図式化したものを9ページにまとめております。
矢印がいろいろ書いてございますが、上のところでまず60歳以降、第1号と第2号というところで比較したときに、働き方によって第1号、第2号で働いている方は60歳以降もiDeCoに加入することができ、例えばフリーランスなどで働かれている方に関しては一番下の任意加入というところで入れない限りにおいてはiDeCoに加入することができないという仕組みになっている。
また、65歳以降の世界を見ても、企業年金に入っている方に関しては引き続き入ることができるけれども、企業年金がない方に関してはiDeCoなどに入ることはできない。当然、フリーランスの方も入れないといったような形になっているということでございます。ここのところを踏まえて、今後どのように考えていくのかというところになります。
10ページが、今回御議論をいただきたい論点というところになります。
「iDeCoと公的年金との関係について」というところで、例えばということですけれども、以下のような場合にiDeCo加入を認めることについて公的年金との関係でどう考えるかということで、4つほど論点を挙げさせていただいております。
1つ目は、保険料納付済期間が480月を超えていて、60歳以降、国民年金被保険者になれない。全部納めている方は任意加入になれませんので、こうした方々についてどのように考えるかという点です。
2つ目が、保険料納付済期間等が120月を超えて、かつ国民年金に任意加入できる状況で任意加入していないような方ということですね。老齢基礎年金は受給することができる一方で、60歳以降の任意加入もできるけれどもしていない。けれども、こういった方々をiDeCoに入れられるようにするかどうかという点です。
3つ目が、既に老齢基礎年金の受給を開始しているような場合ということになりますが、こちらについては、今は老齢基礎年金を受給した場合にはiDeCoに加入することができなくなりますということですけれども、一方で老齢基礎年金を受給しながら厚生年金保険の被保険者となったり、企業型DC、DBに加入することは可能といったようなことになっておりますので、ここについてどのように考えるか。
最後ですが、保険料納付済期間等が120月を超えていない等により、60歳以降で老齢基礎年金の受給権を有していないというような方、納付をしていなかった方もいらっしゃいますし、例えば海外などに行かれていて年金制度の被保険者でなかったようなパターンというのもあるようなことかとは思います。このような方々について、どのように考えるのか。
それぞれ大きくこの4つということで整理をさせていただきましたけれども、こちらの論点についてどのように考えるのかという点について今回御議論いただければと思っております。
併せて資料3については、今回は御報告ということになりますけれども、「金融商品取引法等の一部を改正する法律及び資産運用立国について(報告)」ということで、昨年末、様々な資産運用立国関係は部会でも御議論いただきました。また、金融商品取引法等についても法案が出ている段階での御報告というのはさせていただいておりましたけれども、こちらについて現状の御報告をさせていただければと思います。
資料3をめくっていただきまして、まず3ページが「金融商品取引法等の一部を改正する法律の概要」になってございます。
こちらの法律に関しては、昨年の臨時国会で成立をしております。内容は春の部会でも紹介した内容から変更はなく、私的年金制度関係者に対しても左側の赤枠で囲ってありますとおり、顧客本位の業務運営に係る義務化が規定をされている。こちらに関しては以前、部会でも御説明をしたとおり、新たな内容を義務づけるのではなく、これまで企業年金制度で整備をしてきた対応を定着・底上げするために主体横断的に法律で明記をされているものということになります。
次の4ページのところにもございますとおり、顧客の最善の利益を考えた業務運営の確保というところで、ここの中に企業年金も入ってきているというところです。
5ページ目が、具体的に私的年金関係でというところでまとめているものになります。
こちらについても以前、御説明したところと変更はございませんけれども、もともと法律で義務の範囲として私的年金全般が含まれています。
ただ、一方で、この法律に関しては指導監督の規定はなく罰則権限もありませんので、このため指導監督に関しては従来の枠組みに基づいて厚生労働省が行うといったような仕組みになっているというところでございます。
したがって、先ほど申し上げたとおり、今回規定された義務というのは新しい内容ではなく、現行の忠実義務等の規定による対応を定着・底上げするためのものになっているというところです。
この法律改正を受けまして、ちょうど先週末の1月26日、金融審議会において、この法律に基づいて国民の資産形成の基本方針を定めるということで、この基本方針の案と、金融経済推進教育機構の事業であったり、認定アドバイザーに関して事務局から御説明がされておりましたので、6ページ以降に関してはそちらに関する資料の御紹介というところになります。
この基本指針の概要に関してはまた見ておいていただければと思うのですけれども、iDeCoに関しても盛り込まれていたり、アセットオーナーの関係の話も盛り込まれておりますし、3の右側のところになりますけれども、実際にその教育、広報をやっていく観点で私的年金に関する広報なども行っていくといったことが記載をされているというところでございます。
7ページは、関連条文です。
8ページ目が、「金融経済教育推進機構の概要」になります。
こちらは2024年4月設立、8月に本格稼働していくという内容になっているというところです。こちらもまた見ておいていただければというところですけれども、事業概要というものが御紹介をされていて、講師の派遣であったり、個別相談、イベント・セミナー、部会でも話題に出ておりましたけれども、こういった認定アドバイザーといったものを支援していくといったことが盛り込まれているというところです。
10ページ目からは「個別相談事業の概要」ですとか、11ページ以降「認定アドバイザー制度」の概要です。
この認定アドバイザーというのは中立的な立場で相談におけるものだというところで、機構が認定をし、公表するようなものということです。
12ページは認定アドバイザーの要件ですとか、実際にその認定アドバイザーとして要求される資格等の例というところで13ページ辺りに整理をされているというところでございます。
14ページ、この辺りも実際にこの方々がいろいろ普及推進するに当たって、標準的な講義の資料をつくってばらつきがなく普及推進していけるような仕組みを整えていきましょうといったような取組が提案されているというところです。先週の金融審議会での議論の際には委員から、機構と民間の金融機関等の役割分担であったり、あるいは地方の中小企業における職域での投資教育の重要性、こういったようなお話というものなどなど、様々に指摘がされていたというふうに承知をしております。
金融庁では先週の議論も踏まえつつ、基本方針の策定や機構の設立に向けた準備を進めていく予定というふうに我々は聞いておりまして、企業年金・個人年金課としても今後も金融庁と連携して対応していきたいと考えております。
次に、15ページ以降が資産運用立国に関する資料になります。
こちらに関しては昨年末、10月、11月と御議論いただいた結果というところになりますけれども、取りまとめ自体は19ページから書かれております。
こちらも御案内かと思うのですけれども、「資産運用立国実現プラン」ということで「アセットオーナーシップの改革」というものの中に「アセットオーナー・プリンシプルの策定」、これは今年の夏までに策定をするといったこと、また「企業年金の改革について」ということで20ページにまとめられているところでございます。
この際、当部会の中でも企業年金は様々に取組がなされてきたといったような点もが議論の際に出ておりましたけれども、ここの中にも企業年金の改革として記載をする。また、そのことをもって企業年金がほかのアセットオーナーと比して課題が多いということを示すものではないという前提の下、またその企業年金は退職給付制度の一つなので、その内容が労使ごとに決定されているということで最適解は企業ごとに異なる。こういったような前提の下での改革ということが議論をされて整理をされているというところでございます。
21ページは、「資産運用力の向上」というところです。
こちらにまとめられているものとしては、資産運用に関する研修・情報提供を通じた人材育成ですとか、そういったものの取組を推進する。あるいは、運用委託先の評価、必要に応じて運用力次第で委託先を変えるなどの取組を促進する。こういったような内容が盛り込まれております。
22ページは、DBの改革というところで、共同運用の選択肢の拡大であったり、加入者のための運用の見える化というところで、こちらの見える化に関しては11月に皆様にも御議論いただいたところですけれども、見える化は行うとしつつも、具体的な方策に関しては今後厚生労働省が情報を集約し、公表することも含めて、次期年金制度改正に関する結論と併せて結論を得ていく。こういったようなことが盛り込まれているというところです。
23ページ以降はDCに関するところですが、DCに関しては適切な商品選択に向けた制度改善であったり、加入者のための運用の見える化の充実、あとは私的年金のさらなる普及促進、こういったようなお話が盛り込まれております。以上が資産運用立国実現プランの内容の御紹介です。
説明としては以上でございます。
○森戸部会長
ありがとうございます。
それでは、議題2について委員の皆様から御質問、御意見をいただきたいと思います。議題3は報告事項ですが、今、聞いていただいて分かるように、こちらの企業年金、私的年金に関わるようなテーマも結構盛り込まれた話ではありますので、その点についても御質問、御意見がある場合は議題2、議題3を併せて御発言いただければと思います。
それでは、どなたからでも御意見等、御発言あれば。
松田委員、お願いします。
○松田委員
ありがとうございます。
私的年金制度については、国民が安心できる公的年金制度を確立した上でその在り方を検討すべきと考えます。
10ページの(3)に関連して、老齢年金を受給しながら働き、厚生年金被保険者として企業年金に加入する人がいることのみをもって、老齢年金の受給開始後、つまり被保険者でなくなった後もiDeCoに加入可能とすることについては違和感があります。また、現在iDeCoに加入できない人を加入できるようにするためには、公的年金の被保険者であるとの現行の要件を撤廃することになります。
現時点では、拠出期間の延長や第3号被保険者制度の在り方を含め、次期改正で公的年金制度がどうなるかが不明であることや、DB法、DC法に定められた制度の目的との整合性を踏まえると、当該要件の撤廃ありきで拙速に議論すべきではなく、企業型DCとiDeCoの一元管理の解消なども含め、総合的な検討が必要だと考えます。
以上です。
○森戸部会長
ありがとうございます。
御指摘がありましたように、まさにこの話は公的年金と私的年金の関係を実は非常に根本に関わることなので非常に重要な御意見だったと思います。ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
では、金子委員、お願いします。
○金子委員
iDeCoの加入可能年齢の延長についてということだと思うのですけれども、iDeCoを含む私的年金は公的年金の上乗せの制度と位置づけられてきており、この立てつけはこの先も堅持されるべきと考えられる委員の方というのは、私を含め多いのではないかと思います。
それと、公的年金の上乗せの制度という表現について、踏み込んでどういうふうに解釈するかなのですけれども、公的年金の受け取り方、受取額が増やせるのであれば、つまり公的年金の保険料が納付可能であればまず納付していただいて、その後、私的年金の掛金を拠出するというように解釈すべきではないかなと思っています。
資料2の10ページに4つのケースが挙げられていますが、これらについては公的年金の保険料の納付が可能であればまず納付するということを基準に考えるべきで、そうすると例えば今まで十分納付してきてこれ以上納付が受け付けられないという人が出てくるのですけれども、この点についてはiDeCo加入を認めてあげてもいいのではないか。ここら辺までは拡大解釈して救ってあげる余地があるのではないかと思っております。
一方で、毎度指摘されていることなのですけれども、簡潔さや分かりやすさの観点も重要だと思っております。そう言われながら私的年金は公平性が優先されて、結果として複雑になって使い勝手にも影響を及ぼしているように思います。国民から大してやる気がない政策と受け止めかねられないので、公平性の追求はほどほどにするという感覚も必要なのではないかと思っています。
今まで公的年金の保険料の納付を十分に行ってきて、これ以上納付が受け付けられない人なのかどうかの判断、確認をするための手続が複雑になり過ぎるということであれば、どこかで妥協せざるを得ないのだろうとは思っております。
以上でございます。
○森戸部会長
ありがとうございます。
非常に原則的にクリアな基準を立てた上で、しかし、実際のところは少しこういうふうに運用できるのではないかという具体的なアイデアも提示いただいたのではないかなと思います。ありがとうございました。
では、大江委員、お願いします。
○大江委員
私も今の金子委員の考え方に賛成で、やはり老後の暮らしを支えていく資金を準備するという意味ではまずは公的年金、その上乗せを公的年金に乗せる形で企業年金やiDeCoという制度を使って準備していくという、ある意味、優先順位というか、順番も含めて、これがあるべき姿だと思います。
また、現状でいきますと、フリーランスとか自営業といった公的年金でカバーできる部分が少なくて、その上乗せを準備しなければいけないという方々が原則60までしか加入できない。
一方で、65歳以降、第2号被保険者の方のみ加入をさらに延ばすと、65歳以降も例えば正社員として雇用されて厚生年金の給付も増やし続けられる、ある意味恵まれた方々にだけさらにiDeCoの加入を認めるというのは、その制度の趣旨からすれば違うのではないかと思います。
土台となる国民年金を、是非とも加入45年という形で頑張っていただいて、働き方とか保険料の納付済み期間という瑣末なことによらずに、65歳までみんなiDeCoに加入できるというのが最もシンプルで分かりやすく、利用してもらいやすい制度の形なのではないかと思います。
以上です。
○森戸部会長
ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
では、小林洋一委員お願いします。
○小林(洋)委員
これまでも申し上げてきましたが、私的年金制度を働き方や勤め先の違いによって有利、不利が生じないシンプルな制度とすることが重要と考えます。
資料の9ページにも記載されていますが、現状は働き方、企業年金の導入状況などにより、私的年金の活用に差が生じております。多様なライフスタイルを包摂し、個人の選択を阻害しないためにも、就労や年金加入状況に左右されないような、個人が自由に選択できる制度とすべきではないかと考えます。
分かりやすさの例で言えば、素人の考えで恐縮ではございますが、例えば65歳までは誰でも加入を認めるというのも考え方の一つではないでしょうか。
以上です。
○森戸部会長
ありがとうございます。
では、小林由紀子委員お願いします。
○小林(由)委員
これまでの部会でも何度か申し上げてきましたが、iDeCoの加入可能年齢の引上げに関しては資料2の8ページにも記載があるように、公的年金との関係、より具体的には社会保険料負担との関係で加入資格をどう考えるのか、が議論の要諦であると認識しています。
公的年金の上乗せというiDeCoの位置づけを踏まえれば、国民年金被保険者であることを加入要件としてきたこれまでの考え方を大きく変えることは避けるべきですし、仮に加入可能年齢を引上げるのであれば、現行の加入要件に照らして妥当なケースに限定すべきと考えます。
したがって、資料2の10ページに記載の事例について言えば、(1)のケース以外について加入を容認することには違和感があります。
こうした個々のケースについて是非を論じるだけではなく、改めて基本的な考え方を整理、明確化して議論する必要があると考えますので御検討、御対応をよろしくお願いします。
以上です。
○森戸部会長
ありがとうございます。
では、岩城委員お願いします。
○岩城委員
ありがとうございます。2点あります。
まず、iDeCoの加入年齢の引上げについてですが、私も目的条文どおり、公的年金との関係を原則にするべきだと思います。10ページの論点1、2については、つまりは国民年金の保険料を納めていれば同時にiDeCoにも加入できることとして、次期年金制度改正で仮に国民年金の加入期間を45年に延長することになりましたら、第1号については加入期間も合わせて延長するとことになろうかと存じます。
論点3、4については、これ以上仕組みを複雑にしないためにも現行を維持して、特例などは認めない方向がよいのではないかと思います。
加入可能年齢の引上げは資料にも書いていましたように、私的年金を活用して老後生活に備えることができる期間が延びるという利点もありますけれども、iDeCoは自己責任で運用する仕組みです。高齢になって新たにiDeCoに加入すると、必然的に運用期間が短くなって元本割れをする可能性も生じます。これを回避しようとすると、年金受け取りを選択して運用しながら取り崩すという方法が考えられます。やはり税制の見直しも含めて、キャッシュアウトについての議論をさらにする必要があると思います。
もう一点は金サ法資産運用立国プランについてなのですが、プリンシプルから義務化されたことによって今後、国民の安定的な資産形成の支援のために、より実質的なものになっていくということを期待しています。
資産運用立国実現プランにつきましては御説明いただきましたとおり、アセットオーナーシップ改革についてこの24年夏をめどとされるアセットオーナー・プリンシプルの策定と企業年金の改革の二本柱だと思います。
具体的には部会でもこれまで論点になってまいりましたけれども、DCにおいて労使合意に基づき、指定運用方法のリスク性商品への変更や運用商品構成の改善、継続投資教育の促進、そのほかDBについても加入者の最善の利益を達成するために、DCで努力義務化されているように、運用委託先の定期的な評価や必要に応じて運用力次第で委託先を変えるなどの見直しを促進すべきだと考えます。
そして、DC、DB、ともに厚生労働省が情報を集約、公表する案も含めて、運用方法の適切な選択がなされるために他者との比較が可能になるように、運用状況等を含む情報の見える化については進めていただければと存じます。
あとは、小規模DBが企業年金連合会の共同運用事業を活用できるように、選択肢拡大を含めて事業の発展などに向けた取組の促進なども引き続き改革を期待したいところです。
併せて、アセットオーナーから運用委託を受ける運用管理機関等にも、自らの動きよりも顧客ファーストで最善の利益を確保するための運用管理を行っていただきたいと存じます。
また、資料3の8ページから「金融経済教育推進機構の概要」が示されています。機構の目的は、より効果的な金融経済教育を推進して、個人が自らのライフプランに沿った資産形成を行えるよう、個人に寄り添ったアドバイスが得られる環境を整備することです。国民一人一人が長い人生をより幸せに安心して暮らすためには、1階、2階の公的年金、3階部分の企業年金、私的年金、NISAを含めた制度を効率的に使ってなるべく早い時期からマネープランを実行していくことが大切です。
そのためには、厚生労働省の皆様にも機構の運営に積極的に関わっていただきまして、ガイダンスやアドバイスに関わる認定アドバイザーへ、公的年金、私的年金の知識教育、コンテンツ作成などの指導や、現在豊富にある資料コンテンツの御共有などをしていただくことが重要かと存じます。
個人的には認定アドバイザーの質を上げることが必須だと思っていますので、ぜひ厚生労働省の皆様には積極的な関与ご協力をお願いしたいと存じます。
以上です。すみません、長くなりました。
○森戸部会長
ありがとうございました。
議題3に関しても具体的な提案等もいただきました。いずれ、そういう点もまた議論をしていくことになるかと思います。ありがとうございました。
では、藤澤委員。
○藤澤委員
藤澤です。
資料2の「iDeCoの加入可能年齢の引上げについて」ですけれども、法の解釈については専門外の部分もございますのでコメントを差し控えますが、公平な税としてよく参照されるカナダのRRSPで言うと、71歳に到達する年の12月31日まで掛金を拠出できるという仕組みになってございます。将来的に穴埋め型の議論を行うということを考えますと、公的年金の上乗せという原則の考慮はもちろん必要だと思いますけれども、できるだけシンプルな基準で加入可能年齢を引き上げていくのが大事なのかと考えてございます。
以上です。
○森戸部会長
ありがとうございます。
では、島村委員。
○島村委員
ありがとうございます。
私は、金子委員たちをはじめ皆さんが述べたとおり、公的年金があってこそのプラスとしての私的年金ということを大事にしたいと思っています。
この優先順位について改めて確認できる機会としてとても有益ではないかと思っておりまして、少なくとも10ページの(1)の満額基礎年金をもらえる方というのは、まさに公的年金給付があって、それプラスアルファという相まって給付を受けられるということになりますので、それについては少なくとも認めてよいのではないかと思っております。
以上です。ありがとうございます。
○森戸部会長
ありがとうございます。
では、原田委員。
○原田委員
ありがとうございます。
私は、以前、国民年金の被保険者でなくてもいいじゃないかと、はっきりこの場で言ってしまったような気がするのですが、今回改めて整理してもらった資料を見ている中で、なかなか難しいなという感想を持ちました。
働き方による機会の違いというのは解消すべきだという大きな方針についての意見は変わっていないのですが、国民年金の480月の上限というのはどう捉えたらいいのか、というのが今の感想です。
基礎年金としては480月で十分だという判断に、給付側から見れば捉えられてしまうのかなと思いまして、そうだとするとそれ以上の期間に対して上乗せの拠出ができるようにするというのは、何か言っていることとやっていることが違うような印象があって、65歳まで480月を超えても5年間、国民年金に入れるようにしてからiDeCoも出せるようにするというのが給付面から見た場合の上乗せ、自助努力の機会を公平にするということとも平仄が合うのではないかと思います。
ただ、一方で、それがなければ駄目だとも思っていなくて、満額、全期間加入している人であればプラスでの拠出を認めてもいいとも思いますので、どちらを先に整理すべきなのか、国のほうは負担の問題もあるので一律65歳までの加入期間というのはなかなか難しいかもしれませんけれども、例えば任意の加入期間として、給付も増えるような国年の仕組みをつくって、480月を超えていてもそれができるような形にして、国年に入っている人は65歳まで拠出できるようにする。そうすると、10ページで整理していただいた(2)の満額まで達していない人も同じ取扱いになるので整理しやすいのではないかと思います。
個別論になりますが、受給している人についてはやはり非常に違和感がありまして、国の年金をもらって、極端な話、国の年金をiDeCoにかけてiDeCoで運用してということになると、公的年金等控除を受けた所得を運用に回して、またもらうときに公的年金等控除を受けるのか。どういう仕組みになってしまうのか、税金がどう整理されるのかがよく分からなくなってきてしまって、そういう面からもかなりゆがみが出てきてしまうと思います。
また、年金をもらいつつもそちらに回せるということは、生活にある程度余裕がある人なのかなと思いますので、そこまで広げるべきなのかどうかというのはちょっと疑問に思っているところです。
感想みたいになってしまいますけれども、公的年金の給付と相まってという考え方も踏まえてということになりますが、あとは第3号被保険者をどう考えるのかはかなり大きな問題なのではないかと思いました。
すみません。感想ですが、以上でございます。
○森戸部会長
ありがとうございます。
では、オンラインのほうに取りあえずいきますが、山口委員から何かありますか。
○山口委員
ありがとうございます。
今までのお話と重なりますが、私も保険料の期間が充足できている場合、(1)の場合は加えてもいい、(2)もいいと思っています。公的年金は無年金、低年金の防止ということも言っており、公的年金の役割があるので、そこは損なわないように考えていけるとよいかと思います。
以上です。
○森戸部会長
ありがとうございます。
渡邊代理は何かありますか。
○渡邊部会長代理
御説明ありがとうございました。
まず1点、確認させていただきたいのですが、このiDeCoの加入年齢の引上げといったようなことを議論する場合に、国民年金の被保険者資格と切り離すということはもう前提となっているのでしょうか。
○森戸部会長
では、先に事務局から回答していただけますか。
○海老企業年金・個人年金課長
御質問ありがとうございます。
先ほど資産運用立国のプランですとかで見ていただいたとおり、iDeCoの加入可能年齢を70歳までに引き上げるというふうになると、国民年金の被保険者でない期間に関して加入をどう考えるのかという論点設定になってきます。現行制度では、国民年金の被保険者の方というのは皆さん入れる形になっているので、そこからさらに拡大していくところについてどのように考えていくのかという論点になっているところでございます。
○渡邊部会長代理
ありがとうございます。
先ほどの御意見の中には、国民年金の被保険者資格との連携を切り離さないといったような前提の御意見も幾つかあったかと思うのですが、結局、加入可能年齢を70歳まで引き上げるといったようなところでいくと、国民年金の被保険者資格と切り離さないといけないということになってきて、その後どうするかという今、御説明いただいたとおりなのですが、そうしますと今度、保険料納付済期間といったようなものを資格確認のすべとして用いるかどうかといったようなところが大きな論点になってこようかと思っております。
この保険料納付済期間といったようなものを資格確認として、どれほど必要なものとして捉えるのかどうか。公的年金と相まってといったようなところで、保険料納付済期間との関係性を重視する必要があるのかどうかといったようなところが問題になってこようかと思うのですが、「公的年金と相まって」の意味を、公的年金の上乗せの自助努力を促すといったような点から捉えるのであれば、保険料納付済期間というのはそこまで重視しなくてもいいのではないかと思っております。
先ほど、制度が複雑化しないようにシンプルなほうがいいといったような御意見もあったかと思うのですが、私もその意見に賛成のところがございまして、70歳まで加入を認めようというような方向性があるのであれば、そちらはもう70歳までというようなところで、保険料納付済期間がどうなっているかとか、そういったようなところと切り離してもいいのではないかという意見を持っております。
あと1点、こういったような議論をするときに注意が必要ではないかと思っている点として、実際の運用を担当する場合の事務的な負担というところです。事務コストといったようなところかと思うのですけれども、保険料納付済期間といったようなものを資格確認といったようなところで設けるということになりますと、事務負担というのはかなり過大になってきます。また、加入者自身もよく分からないといったようなところが出てきて、実際に活用しにくくなる方向にいくのではないかと思っておりますので、そういった点も踏まえてやはり検討したほうがいいのではないかと思いました。
私からは以上です。
○森戸部会長
ありがとうございます。
この議題2、3についてほかに御意見はありますでしょうか。
では、松下理事長お願いします。
○松下国民年金基金連合会理事長
国基連でございます。
ただいまお話がありましたiDeCoの加入年齢の引上げに関しましては、昨年5月のヒアリングのときにも申し上げましたとおり、基本的には異論はございません。
しかしながら、皆様から今、御意見等もありましたように、iDeCoにつきましては現状でも国民年金、あるいは厚生年金保険の被保険者区分や企業年金の有無によりまして、資格や拠出限度額の管理が非常に細分化されているという状況にあります。
これに加えて、今回のこの引上げに際してさらに要件が複雑化するということになりますと、加入者本人の手続負担や、その正確性を担保するためのシステム開発の負担が非常に大きくなるということを懸念いたしております。
すなわち、実務上の論点としては今、渡邊部会長代理のほうからもお話がございましたが、1つは具体的にどのような加入要件とするかということに加えて、2つ目はそれらの加入要件の確認をどういうふうに行うのか。この2点が非常に重要であるというふうに認識をしております。
今回の議論においては、事務局のほうから幾つかのパターンをお示しいただいていますように、加入年齢を70歳まで引き上げた場合の対象となる方の例でございますけれども、過去の年金加入歴などを要件とした場合には、加入者本人にとって加入要件を満たしているのか、必ずしも認識できないケースも想定されまして、手続が非常に煩雑になるということが考えられます。
それから、今お話がございましたように、連合会では現状、資格確認につきまして、日本年金機構や企業年金プラットフォーム等を通じて正確性を担保しつつ効率化する仕組みを構築しておりますけれども、例えば加入者の方の公的年金の保険料納付済期間につきましては現状では把握する仕組みがございません。
したがって、新たに日本年金機構から情報提供をいただくということや、70歳まで企業年金の有無を確認するための企業年金プラットフォームの整備、これは新たにということになりますが、これらが必要になるということが考えられます。
したがって、本件につきまして私どもiDeCoの実施機関としては、従来のiDeCoと公的年金の関係に必ずしもとらわれることなく、例えば一律の条件とするなどできるだけ簡素な要件にしていただいて、加入者にとって、あるいは私ども事業運営者にとっても好ましい運営になるような結論をぜひお願いしたいと考えております。
以上でございます。
○森戸部会長
ありがとうございます。
実際に実務をやるところからの御意見ですので、非常に貴重な御意見、御指摘だったと思います。結局、こちらは70歳まで上げるのでよろしく、でいいけれども、実際上はいろいろなことが必要になるのだから、今までとは違う事務的な仕組みも少し一緒に考えてもらわないと困りますよという声だったかと思いますので、その点もまたちゃんと御意見を伺って、どんな改正をするにしてもちゃんとできるように実務上動かせるようにしなければいけない。当然のことですが、改めてそれも確認したいと思います。ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
鮫島理事長、何かありますか。
○鮫島企業年金連合会理事長
ありがとうございます。
私からは金商法等の改正、それから資産運用立国に関連して一言申し上げようと思います。
私どももこの一連の動きはトレースをして、分科会でも中村理事が委員として出ていたわけですが、その趣旨は、家計の資産形成に向けて企業年金を含むインベストメントチェーンへの参加主体に十分な機能の発揮を求めるということだと理解をしております。ただ、一方で、この部会でもこれまで議論がありましたように、公的年金の所得代替率が低下する中で、企業年金の普及と持続可能性の向上ということが非常に重要な政策課題になっております。
特にDBにつきましては、労使合意で約束した年金を確実に支払うということが第一の使命でありまして、そのためには長期にわたる年金財政の健全化と効率的な事業運営が欠かせないところであります。運用リスクが増大する、あるいはコストが増大して、結果としてDB制度が衰退したのでは元も子もないということになってしまいます。
したがって、今後の検討におきましては、こうした企業年金制度の目的や使命を全うし、さらなる普及を図っていくということを基本に据えて、その上でインベストメントチェーンにおいて期待される役割を果たしていくという考え方が望ましいと思います。私どもとしては、今後とも企業年金の制度運営の実情を踏まえて議論に貢献し、併せて企業年金の皆様への支援事業の充実と普及に努めていく所存であります。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
○森戸部会長
ありがとうございました。
では、大江委員お願いします。
○大江委員
3つ目の金商法の関係のところですみません。今この機構が立ち上がって、講師なり個別相談ができるような仕組みが整う中で、職域というところで行う金融教育が大事だというような話題が、先週の金曜日の金融庁さんの審議会でも委員の皆様から出ていました。
課長からの御説明にもあった、地方の中小の職域が重要だという御意見なども出ていて非常に力強く感じるところではあるのですけれども、現状、例えば企業型DCでいけば既に継続教育を実施できている企業さんもそれなりにあって、国としてつくる機構というところなのであれば、ビジネスとして今、成り立っている、実施できているところではなく、実施できていないところ、やろうと思っているけれどもなかなかというところに税金も投入していただきたいです。今できていないところにうまく案内ができ機能するように制度を管轄している厚生労働省と機構が連携して、できていないところにきちんと届くような仕組み、一番難しいところだと思うのですけれども、本当にできていないところの底上げをするということに注力いただけるように、ぜひ密な連携をお願いしたいと思います。お願いです。
○森戸部会長
ありがとうございます。
今日は報告事項なのであれですけれども、大江委員もおっしゃったように金融経済教育機構でしたか、そこにやはり厚生労働省もといいますか、企業年金、私的年金、職域の話もやはりうまく関与していってもらわないと、何か全然違うものとして、実は余りお互いのことを分からずにやりましたみたいになると一番おかしな話なので、これは一緒にやっていく話だという大江委員の御指摘はそういうことだと思いますけれども、まさに厚生労働省事務局はその点も踏まえて、ぜひその問題も積極的に関与していっていただきたいなと思いますので、それは私からもよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
こういうときに、まだ時間がありますからどうぞ、どうぞと言って時間を過ぎてしまうというのがたまにあるというのは、長いいろいろな部会歴で私も経験がありまして、こういうときはさっさと終わらせるのがいいという経験がありますので、何も本当になければ終わりますけれども、よろしいですか。
ありがとうございます。議題2の点はなかなか悩ましいというか、皆さんやはり公的年金をちゃんと尊重すべきだ、優先すべきだ、そこは余り意見に隔たりはないと思うのですけれども、どの程度、どうやって優先するかとか、尊重するかというのは、それはいろんな考え方があるし、まさに資料の10ページで選択肢として示されていますけれども、それぞれ別に理屈が立たないわけではないというところもありますので、やはり理屈をちゃんと立てつつ、しかし、分かりやすい制度にしつつ、なかなかその全部を満たす制度は難しいと思いますけれども、そこは少し事務局にも知恵を絞っていただいて、まさにその公平性、かつ分かりやすい、かつちゃんと政策として目的に耐え得る制度にするように、またこれは考えていただきたいと思います。ありがとうございました。
それでは、予定の時間よりちょっと早いのですが、本日の議事は以上で終了といたしたいと思います。皆さん、本当に活発な御議論ありがとうございました。
今後の進め方についてなのですが、これまでの部会での議論を踏まえて、令和5年度末、ですから3月ということですね。令和5年度末に一旦、部会としての議論の中間的な整理を行いたいと思います。ついては、一度事務局においてこれまでの議論や今後議論したい点などを整理していただければと思いますけれども、そういう進め方でよろしいでしょうか。
ありがとうございます。では、事務局にいろいろ宿題ばかり押しつけるようですが、今後の予定について事務局からお願いしたいと思います。
○海老企業年金・個人年金課長
ありがとうございます。
部会長の御指摘も踏まえて、これまでの議論の整理等について次回以降でお示しをしていければと思います。
次回の議題や開催日程につきましては、追って御連絡をさせていただきます。
以上です。
○森戸部会長
ありがとうございました。
それでは、第31回「企業年金・個人年金部会」を終了いたしたいと思います。御多忙の折、皆様お集まりいただき、本当にありがとうございました。お疲れさまでした