07/02/06 社会保障審議会年金部会

第2回議事録

 

日  時:平成19年2月6日(火)16:30~18:00

場  所:全国都市会館第1会議室(3F)

出席委員:

稲上部会長、渡辺部会長代理、

     稲垣委員、今井委員、江口委員、

岡本委員、小島委員、権丈委員、

杉山委員、中名生委員、西沢委員、

林委員、山口委員、山崎委員、

米澤委員

 

○総務課長

 それでは「社会保障審議会年金部会」を開催させていただきたいと思います。

    委員の皆さん方には、本日御多用のところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

     議事に入ります前に、お手元に配付させていただいております資料の確認をさせていただきたいと思います。

    最初に、議事次第がございます。それから、座席図、「社会保障審議会年金部会委員名簿」「経済前提専門委員会委員名簿」。

     その後、資料番号を振ってありますが、資料1「企業年金研究会における検討状況について」。

     資料2「人口の変化等を踏まえた年金財政への影響(暫定試算)」。

    資料3-1「パート労働者の厚生年金適用に関するワーキンググループの開催状況等」。

     資料3-2「ヒアリングにおける事業主団体の主な意見」。

     資料3-3「『パート労働者の厚生年金適用に関するワーキンググループ』議論の概要」でございます。

    その次に、資料番号は振っておりませんが、西沢委員から御提出のありました資料を配付しております。

    その後、2つですが、参考資料ということで「企業年金制度について」、それから「参考資料」ということでお手元に配付させていただいております。

    委員の出席状況でございますが、本日は、都村委員、樋口委員、宮武委員から御都合により御欠席との御連絡をいただいております。それから、今井委員は出席の御予定でございますが、遅れるというような御連絡をいただいております。また、山崎委員は途中で退席される御予定だとお伺いしております。

     御出席いただいています委員の皆様が3分の1を超えておりますので、会議は成立いたしていますことを御報告させていただきます。

    以降の進行につきましては、稲上部会長にお願いをいたします。

○稲上部会長

    それでは、議事に入りたいと思いますが、本日はお手元の議事次第にありますように「(1)企業年金研究会における検討状況について」「(2)財政検証について」「(3)パート労働者の厚生年金適用に関するワーキンググループにおける検討状況について」を、それぞれ御報告いただきまして、委員の先生方に御議論をしていただきたいと考えております。

     まず「(1)企業年金研究会における検討状況について」、事務局から御説明をいただきたいと思います。

○企業年金国民年金基金課長

     企業年金国民年金基金課長でございます。私から企業年金研究会の検討状況について御報告をさせていただきます。

    資料1でございます。1枚めくっていただきまして「1.企業年金研究会の概要」がございます。昨年10月に年金局長の下に企業年金研究会を設置いたしまして、企業年金について検討を進めておるところでございます。まず「1.趣旨」でございますけれども、いわゆる401k、確定拠出年金法。それから、厚生年金の代行部分がない純粋な確定給付企業年金であります確定給付企業年金法。このいわゆる企業年金二法につきましては、平成13年あるいは14年に制定されておりまして、昨年10月あるいは今年4月に施行からそれぞれ5年を経過することになるわけでございます。

    これら二法の法律の附則におきましては、施行後5年を経過した場合において、施行状況を勘案して、必要と認めるときは、検討を加えて、必要な措置を講ずるという附則の検討規定が設けられてございます。

    こういったことから、企業年金に関する研究会を設置いたしまして、主として企業年金二法の施行状況の検証等を行うという目的で設置したものでございます。

     1つ飛んでいただきまして「3.構成員」で、1ページの下でございますが、座長は成蹊大学の森戸先生にお願いをいたしておりまして、メンバーといたしましては有識者と関係団体ということで、連合、日本経団連等に入っていただいております。また、オブザーバーといたしまして日本商工会議所、企業年金連合会、国民年金基金連合会に入っていただいてございます。

    これまでの開催状況でございますが、2ページでございます。これまで計4回開催をいたしておりますが、主に関係団体のヒアリング、有識者からのヒアリング等を行ってございます。施行後5年を迎えるということで、関係団体等からさまざまな要望をいただいておりまして、その要望事項について、まずはお聞きをするというのがこれまでの状況でございます。

     第1回目におきましては、メンバーでもございます日本経団連、オブザーバーの日本商工会議所、メンバーの連合、企業年金連合会、国民年基金連合会等からの意見陳述。

      第2回におきましては、関係業界ということで、信託協会、生命保険協会、企業年金の関係団体であります企業年金連絡協議会、国基連からヒアリング。

    第3回におきましては、確定拠出年金におきましては記録の裁定業務を民間機関で行っておりまして、これを記録関連運営管理機関と申しておりますけれども、こういったところからのヒアリング。確定拠出年金に関してさまざまな調査を行っておりますNPO法人からのヒアリング。それから、在日米国商工会議所からのヒアリングということでございました。

    直近では、1月24日に開催いたしましたけれども、この回にはアメリカ、あるいはオランダの企業年金についての有識者からのプレゼンテーション。それから、日本年金数理人会、あるいは企業年金連合会からヒアリングを行ったところでございます。

     これまでの開催状況は以上でございますけれども、これからの議論の進め方でございますが、3ページでございます。

    関係団体のヒアリング等を踏まえまして、企業年金関連の課題を大きく分けまして3つに整理いたしまして、順次、これから議論を進めてまいろうという状況でございます。

    まず「1.企業年金共通の課題」ということで、企業年金制度といたしましては、代行部分を持つ伝統的な厚生年金基金、401k、確定給付企業年金、大きく分けて3つございますけれども、こういった企業年金の性格をどのように考えるかというような基本的な整理がございます。退職金から移行するといった退職金、あるいは公的年金との関連。こういったことを中心に企業年金の性格を整理していこうということでございます。

 また、その整理に応じまして、企業年金に対する規制の在り方、あるいは税制を中心といたしました公的支援の在り方についてどのように考えるかといった点でございます。

   「2.個別制度の課題」ということで、いわゆる401kにつきましては拠出限度額ということで、企業型については月4万円強の拠出限度額が設定されておりますけれども、そういった在り方について、どう考えるかとか、制度創設時以来の課題でございますが、企業が行います401kにおきましては事業主拠出しか認められておりませんけれども、企業型における個人拠出の在り方について、どう考えるか。401kにつきましては加入者御自身が運用されるわけですが、そういった投資教育の在り方、あるいは商品の選択の在り方について、どう考えるかといった課題が挙げられております。

    また、確定給付企業年金につきましては、適格退職年金という従来の制度からの移行等もかなり進んでおりますが、これから大量に移行が見込まれることもございまして、審査の効率化・標準化といった課題、あるいは退職時の支給といったことを中心にいたしまして、もう少し使い勝手のいいものにならないかといった課題が挙げられております。

    また、その他の課題といたしましては、そもそも論でございますけれども、企業年金に関しまして事業主と加入者の責任・役割分担について、どのように考えるかといった課題や、特に確定給付型でございますけれども、積立基準、受託者責任、あるいは資産運用の在り方についてどう考えるかといった課題がございます。

 あくまで、現時点での論点を事務方で整理したものでございまして、このほか、研究会の委員の方々から挙げられた論点を追加しまして議論をしていこうという状況でございます。

     最後にスケジュールでございますが、最後の10ページをお開きいただきたいと存じます。

   「4.今後の進め方(案)」でございますけれども、大きく3つに分けまして、2月中に2回、3月以降に1回ということで、当面はこの3つの論点につきまして3回に分けて議論を進めていこうという段階でございます。

   以上でございます。

○稲上部会長

    どうもありがとうございました。それでは、御意見等がございましたら御発言をお願いしたいと思います。

   どうぞ。

○山口委員

     今、企業年金研究会の報告をいただいたわけでありますが、公的年金の所得代替率が今後低下していくという中で、企業年金の役割の重要性というのは従来以上に増すんだというふうに考えております。

    今、お話がありましたような、企業年金に対する規制の緩和でありますとか、あるいは法的支援、とりわけ税制支援といったようなことについては、そういう状況の中で引き続き強化していく必要があるのではないかと感じましたので、是非よろしくお願いしたいと思います。

○企業年金国民年金基金課長

     研究会の中でも、そういった御要望・御意見をいただいておりまして、そういった御意見も踏まえまして整理をさせていただきたいと存じます。

○稲上部会長

     ほかにございますでしょうか。よろしゅうございますか。

(「はい」と声あり)

○稲上部会長

     それでは、2番目の議題に進みたいと思います。「(2)財政検証について」ですけれども、昨年末に出されました新人口推計等を踏まえた年金財政への影響に関する暫定試算につきまして、事務局から御説明をお願いしたいと思います。

○数理課長

    数理課長でございます。お手元の「人口の変化等を踏まえた年金財政への影響(暫定試算)」という資料に沿いまして御説明申し上げます。

     表紙をおめくりいただきまして1ページでございますが、まず「暫定試算の趣旨」ということでございまして、厚生年金・国民年金におきましては、少なくとも5年に1度、法律の規定に基づきまして財政検証を行うということでございまして、初回の財政検証が平成21年までということでございますが、今回、その議論の際の参考とするためということで、昨年12月に出されました新しい将来人口推計、更には近年の経済動向などを踏まえた年金財政への影響というものを暫定的に試算したという趣旨のものでございます。

     2ページ「試算方法等の概要」ということでございますが、今回の試算に当たりましては平成16年の財政再計算における基礎データ・試算方法等をベースとしつつ、以下に示しますような足下補正を行いました上で、暫定的な試算を行ったということでございまして、収支決算の結果や被保険者数の動向など、実績等を可能な限り反映するということで、平成17年度の実績までを反映させていただいているということでございます。

     あと、基礎年金の国庫負担割合につきましては、19年度予算案ベースということで3分の1プラス1,000分の32というものが平成20年度までということでございまして、21年度以降は法律の本則に沿って2分の1という前提でやらせていただいております。

     足下、向こう5年間の経済前提につきましては、内閣府が先ごろ発表いたしました「日本経済の進路と戦略」の参考試算を踏まえて設定したということで、後ほど付録のところで詳細につきまして簡単に触れさせていただきます。

     所得代替率の見通しは、足下、平成18年度の所得代替率。これは平成17年度の被用者年金男子加入者の実績の標準報酬、ボーナス込みのものでございますが、これを足下として算出したということでございまして、具体的な数字は下の括弧書きでございますが、18年度の所得代替率は59.7%。これがスタートとなるということでございます。

     それで、財政均衡期間ということで、法律上おおむね100年ということになってございますが、平成16年財政再計算と同じく、2100年度におきまして支出の1年分の積立金を持つという考え方で行っております。

     3ページで「経済前提について」ということで、足下につきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、長期の経済前提につきましては、平成16年財政再計算当時は平成13年ないし14年ごろの経済動向を踏まえまして設定されていたところでございますが、近年の経済情勢は当時よりも好転しているということを踏まえまして、1つ、基本ケースといたしまして「最近の経済動向を踏まえた前提」。後ほど、後ろの付録の方で詳細を簡単に触れさせていただきますが、基本的には平成16年の財政再計算のときに行いました、将来の日本経済の動向をマクロ経済の基本的な関係式を用いて向こう30年程度を見込むというやり方は踏襲いたしまして、そこに直近の実績で基礎数値を見直す、入れ替えるというようなことを行って設定いたしましたものを基本ケース。

     一方で、平成16年財政再計算における基準ケースの数字。この右下のところにございますが、物価上昇率が1.0%、賃金上昇率が2.1%、運用利回りが3.2%。これをそのまま用いるケースを参考ケースということで、この2ケースについて計算をいたしております。

    次の4ページで「労働力率の見通しについて」でございますが、こちらも基本ケースの方は「最近の経済動向を踏まえた前提」ということで、現在、一番新しい推計といたしまして、平成17年7月の職業安定局の推計がございますが、その中の「労働市場への参加が進むケース」という方を、この基本ケースでは用いております。

     参考ケースは、平成16年財政再計算のときに用いました平成14年7月の、やはり職業安定局の推計ということでございまして、下の欄に男性の60~64歳、女性の30~34歳のところでの労働力率、右に参考として実績がございますが、それぞれ2030年のところ、あるいは14年7月推計ですと2025年でどのぐらいまで進むように見ているかという数字が掲げてございます。計算上は勿論、すべての年齢階層についての数字を使っているということでございます。

     続いて5ページでございますが、これらの前提の下で最終的な所得代替率がマクロ経済スライドの結果、どこまで下がって均衡するかということを推計した結果をとりまとめたのが、この表でございまして、人口が出生中位、合計特殊出生率が1.26になるというケースで51.6%というのが最終の所得代替率で、基本ケースの方でございます。これが人口が出生低位になりますと49.4%、高位でございますと54.2%という数字になります。

     一方、参考ケースの方につきましては、人口が出生中位の場合で46.9%。これが低位になりますと43.9%、高位ですと50.3%という数字になったということでございます。

     次のページに、少し詳細な数値が載ってございますが、それぞれのケースにつきまして、何年以降一定になっているかという年次。あと、先ほど出生低位でございますとか、50%を割るものにつきまして40%台の数字を申し上げましたが、正確に申し上げますと、下の注にございますが、平成16年改正法附則第2条の規定によりまして、次の財政検証までの間に所得代替率が50%を下回ると見込まれる場合には、50%の給付水準を将来にわたり確保するという趣旨にのっとりまして、マクロ経済スライドによる調整は50%で終了するということでございますが、一応こちらの計算では、それ以後もマクロ経済スライドの適用を続けて財政を均衡させるという機械的な計算を行った場合に、2100年において1年分の積立金を持つということのためには給付水準は何%になるかという計算を行ったものが、この40%台の数字ということで、そういう趣旨ということでございます。

     続きまして、7ページで「平成16年財政再計算からの変化の要因について」ということでございまして、16年財政再計算では2023年度以降、所得代替率は50.2%というものが基準ケースの数値だったわけでございますが、今回の基本ケース、出生中位で死亡中位の場合の最終的な所得代替率は51.6%という数字で、どのような要因がどのぐらい影響してこういう数字になっているかということの要因分解でございます。

    まず「出生率の変化による影響」。16年の再計算では出生率1.39という見込みでございましたのが、今回、1.26という中位推計になっているということで、これによる影響が所得代替率にいたしまして、おおむね2ポイント程度のマイナス要因ということでございます。

    一方「寿命の延びによる影響」。これは16年の再計算でも将来、寿命が延びていくというのは見込んでいたわけでございますが、今回、足下のところでかなり寿命の延びが大きいということを反映いたしまして、新しい人口推計では女性で1歳強、男性で3歳程度、将来の寿命の延びの見込みが更に上方修正されている。これによる影響が、所得代替率にいたしまして2ポイント半程度ということでございます。

    一方で「長期の経済前提等の変化による影響」。「等」と申しますのは、労働力率の見込みが今回新しい17年7月推計となった影響も込みということで、長期の経済前提の変化による影響が4ポイント半程度。これは基本的に、参考ケースと基本ケースの差というふうにお考えいただければよろしいかと思います。

    「その他(足下の変化等)の影響」ということで、これは16年改正以降、3年間で足下のところで非常に積立金の運用利回りがよかったということで、足下の積立金が現実に増えているというようなこと。あるいは厚生年金の被保険者数も、当時、非常に底を打っていて、その後、反転、上昇いたしまして、財政再計算における見込みよりも17年度におきまして約80万人多くなっている。このようなことが将来に反映するというようなことでの影響等々がございまして、1ポイント半程度プラスの所得代替率への影響となっている。このような要因分解をしているところでございます。

    続いて8ページでございますが、昨年発表されました新しい人口推計では、将来の死亡率の低下、寿命の伸びに対しまして、従来の人口推計よりも更に伸びる見込みを出しますとともに、従来は寿命に関しては一通りの推計だったものが、死亡高位、死亡低位ということで3通り推計があるわけでございます。

    先ほど申し上げました、51.6%等々の数字はすべて死亡中位の場合の数字を申し上げたところでございまして、この死亡率の見込みが振れた場合にどのぐらい所得代替率に影響を与えるかというのが、この8ページの試算結果でございまして、新死亡高位、つまり寿命が余り伸びないというケースでございますと、最終の所得代替率は1ポイント半程度上に上がる。逆に、更に寿命が伸びるという新死亡低位でございますと、およそ1ポイント半ほど所得代替率が低下するという見込みになっているというところでございます。

     続きまして、9ページは参考といたしまして昨年の人口推計の結果を付けてございます。

    10ページでございますが、こちらが1月下旬に発表されました「『希望を反映した仮定人口試算』(平成19年1月、厚生労働省)」でございますけれども、これに沿いまして、将来の出生率が希望を反映して、どの程度希望との乖離が解消したときに、どのぐらいの出生率になるかというのが上の枠囲いにございますが、そのときに所得代替率がどの程度になるか。これは私ども、きちんと計算したわけではございませんが、高位推計のときに、54.2%というような数字からにらみ合わせますと、大体この程度になるであろうということで、粗々見積もった数字を掲げてございます。

    次の11ページでございますが、これは先ほど概略を申し上げました足元の経済前提の設定に関しまして詳細を記したところでございます。

     足元の経済前提につきましては、内閣府の「日本経済の進路と戦略」の参考試算の中の「新成長経済移行シナリオ」というものに準拠して設定したところでございまして、これはこちらにございますように「我が国の潜在成長率を高めるための政策が実行される場合に、視野に入ることが期待される経済の姿」ということでございます。

    もう一つ「成長制約シナリオ」というシナリオもございまして、足元5年間をこれに準拠したものに取り替えると、年金財政にどれぐらい影響を与えるかということも追加的に試算してございまして、下にございますように、もし、この成長制約シナリオを用いた場合には、所得代替率を0.2ポイント低下させる程度の影響があるというふうに見込んだところでございます。

    次の付録2でございますが、こちらが今回の基本ケースの長期の経済前提の設定の詳しい数値ということでございまして、こちらは16年再計算のときの数値と対比するような形で表に整理してございます。

     基本的なやり方は同じということで、そこに新しいデータを当てはめているということでございまして、個別の詳しい説明は省略させていただきますが、この12ページの一番下に「全要素生産性上昇率」というものがございますが、「備考」を見ていただきますと16年の再計算のときには内閣府の「平成13年度年次経済財政報告」におきまして、構造改革の実行を前提として長期的には0.5ないし1%に高まることは十分可能と書かれていたことを根拠といたしまして、その真ん中ぐらいということで、0.7%で置いたところでございます。

    今回の基本ケースでは、内閣府の「日本経済の進路と戦略」の参考試算におきまして、直近2005年度の実績が0.9%。これを2011年度まで徐々に高まって、1.5%程度まで高まるとなっていることを勘案いたしまして、やや固目ということで、1%というふうに置いたというところでございます。

     最後、13ページでございますが、このように置いて推計いたしましたところ、16年再計算と同様に、2032年度までの日本経済の状況はこのような要因を入れて置いてみますと、実質のGDP成長率が16年再計算では0.6ないし0.7%程度となっておりましたのが、今回1%程度ということになる。この間、労働力人口はおおむね年率0.5%ぐらい減っておりますので、一人頭ということで、労働力人口一人当たりの実質GDP成長率ということでございますと、基本ケースですと1.5%程度、16年再計算は1.1~1.2%程度だったということでございます。

     これは、実質ということでございますので、物価はどちらも1%というふうに置いておりますので、16年再計算は、この物価1%に一人当たりの実質GDP成長率を実質の賃金上昇率というふうに読み替えて、1+1.1で2.1%という賃金上昇率を置いた。1.1~1.2%の低目の方を取ったということでございますが、今回の基本ケースでは物価1%に、この1.5%を足し合わせました2.5%というものを長期の名目の一人当たりの賃金上昇率ということで設定したというところでございます。

    「(3)運用利回り」につきましても、16年再計算のときのやり方に新たな数値を入れましてはじいていくというやり方でやっておりまして、結果といたしましては、下の欄にございますが、日本経済の将来の利潤率。これが16年の再計算では6.5%と、過去に比べてかなり低い数値で見込まれていたところでございますが、最近の企業の収益率の向上が日本経済全体の利潤率というものに反映してまいりまして、将来の見込みで9.3%程度ということで、過去20年前後の平均に比べて余り遜色のない利潤率が見込まれるということで、この利潤率の比率によりまして実績の長期金利を割り掛けするというようなことで将来をはじいておりますので、実質の長期金利の見込みが16年再計算のときに比べて上昇している。2.4ないし3.0%という見込み。これの真ん中を取りまして、実質長期金利2.7%ということを基本ケースでは置かせていただきまして、物価の1%を加え、更に「設定」の一番上の欄にございます「分散投資による追加的な収益率」ということで、これは債券だけではなくて、およそ基本ポートフォリオで2割程度、株式に投資しておりますので、それによりまして株式のリスクプレミアムが付いてくるようなことがございますので、追加的な収益率が得られる。

    これが0.4%というふうに見込みまして、2.7+1+0.4ということで、4.1%というような見込みをしたということでございます。

     御説明が長くなりまして恐縮ですが、以上でございます。

○稲上部会長

    どうもありがとうございました。それでは、御意見等がございましたら御発言をお願いいたします。

  どうぞ。

○西沢委員

    御説明ありがとうございました。財政検証の在り方について考えるところがありまして、お手元に事務局の手配でペーパーも準備していただきましたので、これをごらんいただきながら説明させていただければと思います。

    賦課方式の年金制度を維持していく上で、また国民から信頼されていく上で、私は今回、これから財政検証の作業を2年間始めていくことになるわけですけれども、まず直近の財政影響試算では、新人口推計のみを反映させて淡々と所得代替率なりの計算を出すスタンスに徹するべきだと私は思いますし、年金局の皆さんもそう思っているのではないのかとは思う気もしないでもありませんが、50%、あれだけの数字を出すインパクトというのも確かに大きいので複数ケース出されているのかなというふうに推察しております。

    その上で、将来の50%割れが2030年代に予見されるのであれば、それまで待つのではなくて、今すぐにこれまで財政再計算でやってきたような、どうすれば給付と負担の見直しの中で50%が維持できるのかといったことに取り組むべきだと思います。せっかくマクロ経済スライド・保険料水準固定方式という土台なり骨格をつくったわけですから、ここに財政再計算というものを付加する形で給付と負担に正面から向き合うのが本筋だと思いますし、ただ、政治や、厚生労働省の官僚の方というのはなかなか言い出しにくいのかもしれません。そうしますと、そこからやや距離のある年金部会でそれを主導していくのが役割かなという気もいたします。

     具体的には、スライド調整率0.9%ポイントのうち、特に0.3%ポイントは平均余命の伸びによるものという説明がなされていましたので、今回、平均余命の伸びによって所得代替率が2.1ポイント下がるというのであれば、平均余命の伸び自体は歓迎すべきことでどうしようもありませんから、まずは例えば0.3ポイントにこれを反映させてはどうかといったことが挙げられますし、名目年金下限型をやめるとか、保険料引上げペースの早期化ですとか、支給開始年齢の引上げ、これも2013年から3年ごとというのは、やはりいかにも遅い感じがいたします。こういったあらゆるものを組み合わせながら、給付と負担の見直しに向き合うというのが本筋のような気がいたします。

     今のように申し上げた理由は、下に理由が書いてありますけれども、経済前提好転への期待は不確実であるということが1つあると思います。それはマクロ経済スライドという仕組みを通じて、これはずるずると将来にわたってスライド調整を続けていく仕組みですから、後世代にツケを回しかねません。仮に経済前提が好転したり、出生率が回復したりするのであれば、そのメリットというのは、そうでなくても所得代替率が下がっている後世代に付け替えるべきだと思います。

     2番目に、今、ここで2つの選択肢が当局にはありまして、1つは今回の発表にあったように、経済前提を見直しながら所得代替率50%以上のシナリオを描くということ。

    もう一つは、先ほど申し上げたように、同時に給付と負担の見直しに正面から取り組むということ。私は、このうち2番目の給付と負担の見直しに真正面から取り組むということなくしてはなかなか国民の信頼は得にくいと思いますし、賦課方式の年金財政というのは維持しにくいと思います。また5年経って、新しい人口推計が出て、出生率が回復しなかった場合、また経済前提を見直して、50%以上のシナリオを描いていくのかといったのは非常に考えたくない状況です。

  (3)は付け足しですけれども、世界最大の年金ファンドですけれども、GPIFをリスクアセットで運用していくというのは必ずしも国民のコンセンサスを得ていないと思います。これが今回の運用利回りの期待が高まることでなし崩し的にGPIFの運用が是認されていくといったことは避けなければいけないと思います。

    最後に、加えて申しますと、今回、運用利回りを高目に設定するということは、実は公的年金というのは縮小して運用資産の収益率が年金の収益率より高いということは、個人で勝手に運用してくださいというメッセージにもつながると思います。ですから、先ほどの企業年金ともつながるのかもしれませんけれども、運用利回りを変えるということはそういったメッセージも含んでいるのかなというふうに思います。

     以上です。

○稲上部会長

    何か御発言ございますか。

 どうぞ。

○米澤委員

    今の議論に反対するわけではないんですけれども、多少、前回の16年の再計算のときに一部いろいろ関わった者の印象から発言させていただきたいんですけれども、確かに、そのときから今を振り返ってみますと、経済はまさに好転したというのは随分確信の感はあるかと思いますし、16年の再計算を出した前提になっています倍当たりのデータのときを皆さん方は御存じかと思いますけれども、日本経済が一番深刻な、ピンチなときだったわけで、そのときのデータに基づいているのが実際ですので、むしろ好転したという表現がいいのか。

    むしろ、そのときは、非常に振り返ってみると、私自身としてはそうあってはならないような悪い時期だったと思います。ですから、その時期のデータでやらざるを得ないという意味で、そういう数字が出てきたので、実際にこれから調べてみないとわかりませんけれども、本当によくなったかどうか、調べる必要がありますけれども、ただ、今、言ったようなことがありますので、ここに固定するのではなくて、本当に経済はよくなっているのか。見た目だけで余り変わらないのか。そこはやはりチェックする必要は重々にあると思いますので、ちゃんとチェックしたら余り変わっていないということもあり得るかもしれませんけれども、一応、そこのところは幅広に検討する必要はあるかと思います。

     繰り返しますけれども、個人的にはやはりあそこのものは随分、振り返ってみると非常に悪い時期だったという感じがしておりますし、ああいうのはそう長く続いてほしくはないということで、そういう意味では、今、非常にまともになったというふうには感じております。

     以上、それだけです。

○稲上部会長

    ありがとうございました。ほかに御意見はございますか。

    どうぞ。

○渡辺部会長代理

    今の西沢委員の御意見を承ったので、疑問と意見というようなことで、確かに経済前提を変えるということは、今、具体的におっしゃりませんでしたけれども、ちょっと不安定な部分があって、かつ、やや甘い見通しになるという御趣旨かなと承ったんですが、ただ、前回の年金のいわゆる給付と負担の改善のときに、保険料18.3。そのときは年金部会では18.3という数字は出ていなかったんですが、保険料を固定して、今は給付は自動調整といった考え方で、ある程度、それがベストかどうかは別としまして、そのときの出生率、それから、当然、経済。その経済動向の中には、運用利回りも、いわゆる労働力も入る。むしろ、そちらを、甘い意味ではなくて、期待して、なるべく、仮に18.3という結果で固定したとしても給付水準が上がるような努力をするという、言わばそういった思いを込めた意見書だったと私は記憶しているわけです。

    そういった意味では、今の話を伺っていると、私の誤解かもしれませんが、言わば出生率だけを淡々とといいましょうか、それだけを前提にしてやるべきだということは、私はやや疑問に感じるし、私の解釈が違っていたら訂正というか、御意見をいただきたいんですが、やはり経済動向、先ほど言った労働力も含むし、特に高齢者の雇用拡大、あるいは女性の社会進出ということも当然含んでいいんだろうと私は思っています。

 とりあえず、以上です。

○稲上部会長

 どうぞ。

○西沢委員

    先ほど米澤先生や渡辺さんが言われたように、経済前提や出生率をその都度見直していくのは重要なことだと思います。

    ただ、それだけで50%維持の数字をつくるのではなくて、同時に、これまで5年に一度、財政再計算をやってきたように、給付と負担の見直しに取り組まないと、賦課方式の年金制度を維持できないのではないかということです。

    マクロ経済スライドについては、何度かバージョンが変わってきたと思いますけれども、確かに最初出てきたものはそうだったかもしれませんが、後半に出てきたものはほとんど段階的な給付水準カット方式と呼べるような、スライド調整率もほぼ固定されたものだったと思います。0.9のうち0.3というのは決め打ちの数字ですし、0.6というのは直近の労働力の伸び率だったと思います。ですから、足元の出生率にはほぼ影響されないマクロスライド調整率だったと記憶しております。

○稲上部会長

    ほかにはいかがでしょうか。

 どうぞ。

○権丈委員

    今のことで、1つのお願いと、あと、西沢委員に対する質問もあるんです。

     1つのお願いというのはマトリクスで、例えば現在二十歳の人、30歳の人、40歳の人、50歳の人たちは、自分の年金を受給するときに果たして、この仮定どおりに進んでいったらば、例えば出生率が中位推計の形で進んでいったらば幾らぐらいの給付になる。出生率が低位だったらば幾らぐらい所得代替率になるというような、そういう読んだ人たちが自分の、例えば二十歳の人が、この仮定どおりに進んでいくとこうなるんだ、この仮定だったらこうなるんだというようなシナリオの中で、自分の年金受給額というものが見えるような形でまとめていただければと思います。

    田村さんとか高倉さんたち年金局の皆さんが報告されるのを、私は2004年のときからずっとその形に置き直しているのですけれども、あれが一番、学生とかに説明しやすい。

    20代の人たちは、この推計の下だったらば、あるいは出生率がこう動いていけば、この程度の所得代替率になるんだ。それでは、彼らがそれを読んだときに、経済成長率がこうだったらこうなるんだというようなマトリックスを描いていただきたい。そして、この中のどれになるかというのは、実は我々がこれから先、社会をつくっていく中でいろいろと検討していかなければいけないわけで、中位推計だからといってそうした未来が来るとかというのは大間違い。これから先、我々が社会というものを築いていくんだ。

    そのために、年金のこの指標というものをしっかり見ましょう。

    そして、私は高校生に対する年金講座みたいなところをやってくれと言われたときには、将来のことを考えていく上で、仮定というものがどのように置かれているのかということの方を覚えてもらわなければいけないんだ。仮定がずれたときには、その仮定と同じような現実をどうつくっていけばいいかということをみんなで検討していく。そういうふうにして将来をつくっていく。将来をセットにして、我々は年金というものをつくっていく。

     そういう意味では、この年金を拠出立て賦課方式という形に変えていったのは、自分たちがそういう社会の将来の見通しをつくっていく上での「てこの支点」みたいな形の役割をするんです。出生率がどうなりましたといっても、彼らはぴんと来ないけれども、20代の人たちが、この出生率で今のまま行くと、将来は所得代替率がこの水準になるんだというような形で彼らは見ることができる。そして、経済成長率がこのデータだったら、こういうふうになるんだということを見ることができる。それでは、世の中というのをどう考えていけばいいのかというような指針になると思いますので、できればそういう形でまとめ直していただければと思います。

     あと、西沢委員に対する質問なんです。先ほどの見通しのところで6ページの人口変化等を踏まえた年金財政の影響というのがあるんですが、この中で注のところで「平成16年改正法附則第2条の規定により、その次の財政検証までの間に所得代替率が50%を下回ると見込まれる場合には、50%の給付水準を将来にわたり確保するという趣旨にのっとり」という形で「次の財政検証までの間に」と書いてあるんです。だから、これは今回、足元の前提というものを機械的に、これは厚労省が設定したわけではなくて、内閣府の方で「日本経済の進路と戦略」というのをやっているので、だから、別に厚労省が設定したわけではない。これを使って、政府全体が議論している前提なわけです。

     その政府が議論の前提としているものを厚労省がここで足元という形で仮定を置く。

    そして、予測が当たらないことは本当はだれもがわかっているところで、既に2004年のときに設定された前提さえも当たっていないわけです。人口も当たらないし、経済も当たらない。だから、ここで「その次の財政検証までの間に所得代替率が50%を下回ると見込まれる場合には」と書いてあるんですけれども、今回、足元の前提を置くと、50%を下回ると見込まれないんです。だから、我々はこの平成16年改正法附則第2条という法律と違うことをやらなければいけないのかなというのが1つ。

     あと、何年ぐらい経てば過去の前提は捨てることができるのかということを2つ目に伺いたい。

     そして、給付と負担の見直しを行うことが本筋ではないか。国民の信頼を得るためには給付と負担に正面から取り組むことが本筋ではないかというのがご意見なのでしょうけれども、制度をいろいろ、毎回5年に1回変えていく、給付と負担を見直していくというようなことは確かに国民の信頼を得るということに対して、私は逆方向のことも考えられるのではないかという気がするんです。

     この上、2004年に拠出を固定しました。そうすると、いろんな経済状況・社会状況の中で給与が変わりますということは自明の理であって、50%以上を保証しますということをどこかの政治家さんが約束したみたいですけれども、普通の想像力を持っておけば、これはいろんな前提が変わって悪い方向に向いていくと、50%切るということはわかっています。そのときにどういうふうにして50%を守っていけばいいのかというようなことを考えなければならなくなる。私が文章に書いているのは、50%と約束するということはそこに仮定されている仮定値というものをマニフェストに書いたようなものなんです。50%を約束する仮定値が実現する社会をこれは正面切って目指してもらうしかない。

    そういうような形で取り組んでいって、そして、法律に書いてあるように、次の財政検証までに、その足元の仮定を置いていったらば50%切りますという状況が生まれる。そのときに給付と負担という、要するにやることは全部やったというような形で見直していく。

     できることならば、給付と負担の今の形を変えないで経済・社会状況、そして、そのために、例えば出生率とかが影響したりとか、いろんなものがあると思うんですけれども、その一環として、例えばパート労働に厚生年金を適用していこうとかという、私の頭の中ではあれは出生率に大きく関わってきたりするわけなんですけれども、そういう対策の方向にエネルギーが社会全体に向いていくというようなことも、私は年金の給付と負担の正面から取り組むという課題、そして、それが国民の信頼を得るというような考え方もあっていいのではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○稲上部会長

    どうぞ。

○西沢委員

    1つ目の質問にお答えする前に、事務局の方に事実確認をお願いしたいんですが、長期の設定というのは内閣府が決めたものなんでしょうか。

○稲上部会長

    お願いいたします。

○数理課長

    内閣府の試算は、短期、足下5年でございますが、長期の設定に当たりましては全要素生産性の上昇率を置きますときに、ある程度、内閣府において足元0.9%が将来1.5%に上がっていくというものをにらみつつ、やや固目ということで1%と置くということでございまして、長期の前提を内閣府が決めたということではございません。

○西沢委員

    ですので、2番目については、私は波風を立てた方がいいと思うんです。

    給付と負担について、支給開始年齢の引上げですとか、保険料率の引上げの早期化ですとか、確かに政治的には物すごいエネルギーを使いますし、どたばたして、権丈先生がそういう趣旨でおっしゃったのかはわからないですけれども、それがかえって国民の信用を損なうという懸念もあるかもしれませんが、この場で前提が変わりました、50%維持できます、それで改正法附則2条がクリアーされましたといって、今後2年間をこのまま過ごしていくのかというのは、今日が第2回目ですので、私はもう少し考えた方がいいような気もいたします。

○権丈委員

    参考ケースでは50%を切りますというのは、みんなわかっているわけです。

    だから、このままだったらば、この前のときは非常に最悪の状態だったけれども、今は調子に乗ったことでいろいろみんな経済が行っていますけれども、あんなものは外資に依存してから神風が吹いて経済成長が高まっているというのはみんな知っているわけだから、これはいずれまた落ちてくるだろうし、経済成長戦略を一生懸命やったからといって、全要素生産性がどんどん高くなっていくということなど、シュムペーターはそんなことを言っていないという文章を私は最近書いていましたけれども、そういう形で、我々の想像力の範囲内でいろいろ考えていけばいいのであって、そして、それを年金局のこの部会の方から政府の方に発信していくという状況を、大体こういうふうになりますというのを言えばいいのであって、我々がここで足元のところの経済前提を置きました、そうすると50%以上ありましたといったときに、わざわざここで負担と給付というものをこの場で、言わなくてもいいのではないのか、議論しなくてもいいのではないのかという気がするんです。

    だから、波風立てるのがいいというのは、私は年金に関しては、今は傷つき過ぎているので、波風は余り立てないで、この前提というのは非常に重要なもので、前提を下回っていたら給付は下回っていく。そういう社会状況・経済状況に依存した制度なんだというようなことを、まずみんなにわかってもらい、そして、経済が、今、調子に乗っているから、こういう形になっているけれども、いずれ、いろいろな形でどんなことが起こるかもしれない。

    だから、さっきも言ったように、20代の人たちが年金をもらう40数年後みたいなときに所得代替率がどうなるのかというようなことを仮定とセットにして議論してもらえれば、そして、その仮定をどういうふうにして実現できるような社会をやっていけばいいのかという、年金でできることというのは、実は微々たることで、年金の外の方でいろいろと議論してもらえるような情報を提供していくことができればいいのかなという気がしておりまして、長期的な経済前提というのは、何を選んでいくかというのは、これから先、恐らく年金部会の経済前提専門委員会でいろいろ考えていくことになるんですね。ですから、難しいところなんですけれども、年金論議の本筋とか、国民の信頼を得るためにという目的は同じだと思うのですけど、恐らく手段が私と違うのかなというのが感じであります。

○稲上部会長

    どうぞ。

○岡本委員

    抽象的になりますけれども、財政検証と、その前提条件というのは、決して年金だけの世界の話ではなくして、あくまでも、やはり国の政策なり、国の社会保障の在り方等々をどうするかという議論と結び付いていって初めて財政検証の意味があり、前提条件の意味があるわけでありますから、私は前提条件について、やはりそれが政治の世界にも納得ができるというか、理解がされていくというようなものであるべきだろうし、また、政策と遊離した形で前提条件が議論されて、財政検証の中だけで空回りをするというようなことがあってはいけない。

    こんなふうに思いますので、そういう意味で、ころころと前提条件が変わるということも問題でありますけれども、やはりある程度、そういう意味では国の政策、国民の納得性に結び付くような前提条件であるかどうかという条件をつくり上げるという努力が私は一つ大事であろうかなと思っておるわけであります。

    2つ目に、非常に細かなことでありますが、もし国民が納得ができる、あるいは政治家が理解できる、行政が理解できる、そういう中の前提条件で、もし先ほどの50%が割れるというような議論が出てくるかどうかはわかりませんが、そういうときにはまた将来の20年、30年あるいは100年を踏まえた制度の在り方を議論するというふうな形につながっていくべき問題であろうかなと、2つ目は思っているわけであります。

    3つ目は、西沢委員のペーパーについてコメントしたいと思うんですが、1の中の「(3)保険料率引き上げペースの早期化」であるとか「(4)支給開始年齢の引き上げとそのペースの早期化」ということで、給付と負担の視点からこういう御提案がありますけれども、この保険料率引上げについては、前回の年金の2年前のときにも、やはり企業の状況、経済の状況、あるいは年金の加入者の負担の問題というものを踏まえて一つの結論を出しておるというふうに私は理解しております。

     それから、支払い開始年齢の引上げにつきましても、やはり年金生活者の長期的な、あるいは将来の生活の設計ということをいろいろ考えながら議論した経緯がありますので、今すぐ給付と負担ということの、このペーパーの中からこのような具体的なものを議論するということについては、若干、時期的には問題があるのではないか。こんなふうに私は思っております。

○稲上部会長

    どうぞ。

○小島委員

    小島です。せっかく西沢委員から問題提起をしていただきましたので、少し意見を述べたいと思います。

    前回の2004年のときも年金部会のメンバーでもあったので、最後までマクロ経済スライドの導入については反対したという立場でした。そのときの最終的なところで、とりあえず給付水準は50%にするという政治的な表明が出されたということで、多少、安心感はあるということと、それから、マクロ経済スライドは、まさに先ほど渡辺部会長代理が言われたように、将来的な出生率の問題等を勘案した制度だということです。そうは言っても、足元のところで多少、出生率が上がったからということで、給付水準の50%や、20~25年のところでは財政上、ほとんど影響は出ない。それも全くおっしゃるとおりだと思います。

  その中で、今回、西沢委員が指摘されているように、あえて波風を立てるということで、更に給付の在り方、支給開始年度の延長というようなことまで踏み込んで議論をすべきではないかという問題提起です。しかし、前回のマクロ経済スライドによる水準を15%ぐらい引き下げるという話になっておりますので、それを更に今度は支給開始年齢の延長というようなところが議論になると、更に年金に対する国民の信頼感が揺らぐ可能性があるのではないかと思います。では全く負担と給付の関係で何も議論しないかということではなくて、言わば支え手をどうやって増やすかということであれば、これは直接の出生率の問題もありますけれども、パートの皆さんの厚生年金の適用問題、あるいはもう少し突っ込んでしまいますと、3号問題をどうするかということも大きな問題だと思っております。

  この3号問題の在り方を考えるということも、年金財政上では極めて重要なポイントだと思いますので、そういうところを少し本格的に議論する必要があるのではないか。

 前回改正では、必ずしも3号問題について十分な議論が詰まったとは思っておりません。

そういうところについての議論というのは必要ではないかと思っています。

○稲上部会長

 ほかにございますでしょうか。

  将来の人口や経済の見通しをどう見るかということは、まさに財政検証の作業そのものといっていいかと思います。私どもの年金部会の役割と申しますのは、平成21年までにそれを行うということであろうかと思います。

  先ほど数理課長から御説明いただきましたけれども、今回の暫定試算と申しますのは、平成21年までに行う財政検証の参考という位置づけと私は理解しております。経済前提につきまして、今、いろいろ御議論いただきましたけれども、お手元にございますメンバーの方々で経済前提専門委員会をつくらせていただいております。そこで十分、御議論をいただくようにしたいと思います。それで、今回の暫定試算というものも参考にしながら、まだ2年ほどございますので、財政検証に関する議論を今後も継続してまいりたいと考えております。よろしゅうございますでしょうか。

  もう一つ議題がございまして「(3)パート労働者の厚生年金適用に関するワーキンググループにおける検討状況について」ですけれども、前回の部会で設置させていただきました、パート労働者の厚生年金適用に関するワーキンググループにおける検討状況につきまして、ワーキンググループのメンバーでいらっしゃいます江口委員から御説明をお願いしたいと思います。

○江口委員

ワーキンググループ委員の江口でございます。本日は宮武座長と樋口座長代理がともに所用により御欠席ということでございますので、宮武座長からの御依頼を受けましたので、私の方から御報告させていただきます。なお、他のワーキンググループの委員の方々も御参加されておりますので、必要に応じて補足をお願いしたいと思います。

  まずは、お手元の資料3-1をごらんいただきたいと思います。これまでのワーキンググループの開催状況等について御報告をいたします。

  まず、第1回、12月27日に今後の進め方を議論しております。そこで適用拡大につ

いての認識、パート労働者の就業実態等、パート労働者の意識・意見、雇用への影響、企業への影響といったことについて項目立てをしまして、ヒアリングを行うということにしております。

  その上で、ここに書いてございますように、第2回、第3回、第4回、第5回と、既にヒアリングを実施しております。これは労働側、事業主側からのヒアリングを実施しております。

  第2回は、主に事業主団体でございます。

  第3回は、労働組合です。

  第4回は、また事業主団体。

  第5回は、両者という形になっております。

  事業主団体については、ごらんいただけますように、流通業やサービス業など、パート労働者を多く雇用する業界の団体を始め、製造業や派遣業の団体なども含め、幅広くヒアリングを行っております。

  また、労働組合としましては、パート労働者の多い業界の産別組合を中心にヒアリングを行っております。

  また、第6回と第7回でございますが、パート労働問題全般や諸外国の年金制度の状況に詳しい学識経験者の方々からヒアリングを行っております。

  今後、これまでのヒアリングの内容を受けまして、更に理解を深めるために必要な事項につきまして追加的なヒアリング、この資料3-1では、第8回、第9回という形で予定しております。

  これを踏まえまして、ワーキンググループとしてパート労働者の実態等の整理や基本的な見解についてとりまとめ、本部会に御報告をさせていただきたいと考えております。

  続きまして、ワーキンググループでの主な意見についてでございます。これは資料3-2をごらんいただきたいと思います。

  資料3-3に、より詳細な議論の概要というものを付けてございます。時間の関係もございますので、資料3-3については後でごらんいただくということで、代表的な意見に絞って御紹介するとともに、最後に私なりに気づいた点もお話ししたいと思います。

  まず、事業主団体の主な意見でございます。

  パート労働者自身の意向につきましては、多くの事業主団体から、パート労働者の大半は将来の年金より現在の収入を確保したいと考えており、適用拡大には反対であるとの意見がございました。団体が行ったアンケートの中には7割程度が反対というものもございました。

  また、適用拡大に伴う就業調整の問題についてですが、労働者が労働時間を20時間未満に抑えて適用されないようにする、それから、企業側も保険料負担が生じないよう雇用調整を行い、雇用が失われるといった意見が多く見られております。

  企業経営の悪影響を懸念する意見、それから、健康保険や介護保険の保険料も当面の負担増になるという点で視野に入れて議論すべきだとの御意見もございました。

  このほか、まずは制度本体の負担と給付の問題や国民年金の未納問題などの解決が先決との意見も見られ、全般的に適用拡大反対との主張が強かったというふうに理解をしております。

  これに対しまして、労働組合側の意見でございます。

  本来、すべての労働者に適用すべきであるが、当面は労働時間要件・収入要件を設けることも必要といった、適用拡大に肯定的な意見というのが多かったわけでございます。

  パート労働者自身の意向としましては、常用労働者になれないためパート労働者として働いている人が多く、適用拡大は好意的に受け止められているといった意見が出されました。

  また、現場で長くパート労働者の相談活動に携わっておられるという労働組合の方の御意見としては、パート労働者といっても、仕事に対するプライドは正社員と変わらない。事業主は人件費コストという点だけでパート労働者をとらえるのではなく、パート労働者の能力・意欲を活用するため、一人の労働者として扱うことを基本に据えるべきといった御意見や、賃金についての切迫感から、適用拡大に伴う手取り減にこだわらざるを得ない現実もあるが、掛け捨てにならないということも含めて、適用拡大の意義について、もっと納得できる説明が必要との御意見もありました。

  適用拡大に伴う就業調整の問題につきましては、何らかの就業調整行為は起こり得るだろうが、だから適用拡大をしないということではなく、それをなくす仕組みをつくって乗り越えていくべきだとの意見もございました。

  それから、学識経験者の意見でございます。

  パート適用の企業への影響につきまして、短期的な人件費は上昇するが、時間管理や従業員間の軋轢など、現在生じている見えない負担がかえって減少する。中長期的には、労働力人口が減少する中で、パート適用によってパート労働者の処遇が改善し、人材育成が円滑化することは、社会全体にとっても各企業にとっても利益となるとの意見がございました。

  また、パート労働者自身の意向につきましては、短時間労働などニーズに合った働き方の選択肢がないこと自体が女性の就業意識に影響を与えているといった意見もいただいております。

  このほか、アメリカ、フランスなど、外国の話も伺ったわけですが、アメリカ、フランスではすべての労働者が適用され、イギリス、ドイツでも我が国よりも適用範囲が広いとの報告がありました。

  また、ヨーロッパではパート労働者をコスト削減のためではなく、平等待遇を法定化し、労働者の質を高める手段として用いているというような報告もございました。

  更には、最後に私なりに気づいた点でございますが、先ほど事業主が反対ということを御説明しましたが、事業主団体の中にも反対の程度にはかなり強弱がありまして、厚生年金のパート適用に理解を示す団体もあったというふうに感じております。

  次に、同じ論点でありましても、事業主団体と労働組合とは正反対の見方をされている場合も多い、したがいまして、このギャップを分析していくということが今後の追加的なヒアリングのポイントの一つではないかと思っております。

  既に学識経験者からヒアリングをした際に、こういった点について幾つかヒントも得られておりますので、幾つか御紹介をしたいと思います。

  事業主団体の多くが、パート労働者自身が反対ということを主張されたわけですが、ただ、アンケートの中身を詳しく見ますと、賛成・反対というよりも中身を見てから考えるとか、わからないというものが半数を占めていたり、それから、反対の理由の中に年金制度への無理解や将来の不安、社会保険庁の不祥事などを背景とした不信といった、パート適用問題以外の問題も挙げられているわけです。こうした年金制度に対する無理解、不安、不信というものに対しては、今後、年金制度の意義や内容について積極的に広報・啓発を進める必要があり、そういう中で理解が進んでいけば、また違った結果が見えてくる可能性があるのではないかというふうにも感じました。

  また、パート労働といいましても、実は主婦だけではなく、正社員を希望しながら働き口が見つからない若者とか高齢者など、多種多様な人たちがいるということも明らかになっております。

  事業主団体が実施したアンケートでは、回答者の多くが主婦パートだったということですので、この場合には夫の扶養を外れ、当面の負担増への懸念が強目に反映されているのではないかという感じもしております。

  また、適用拡大についてですが、短期的に企業の人件費コストが上昇しますけれども、他方、労務管理、異動等の労務管理の隠れたコストを減少させるという面もあるというようなお話でありますとか、中長期的に考えると、今後、労働力人口が減少する中で、パート労働者の待遇を向上させ、人材の育成を進めることが社会全体にとっても、個別企業にとっても利益になるといったような納得できる指摘もあったわけです。

  そういった意味では、この問題について時間軸の切り口も含めた多方面からの分析が必要になるのではないかと考えております。

  最後に、ヒアリングの中で、私自身が質問をして非常に考えさせられた点がございます。それは、実はパート労働という概念が必ずしもはっきりしていないということです。

といいますのは、いわゆるパート労働者の中でも既に厚生年金を適用されているという方がかなり存在する。これは事業主の方が出されたデータの中でもそうなっているわけです。

  それから、我が国だけではなくて、外国でも、制度ごとに適用対象とする労働者の範囲というのは異なっているということです。そうしますと、そもそも、いわゆる正社員とパート労働者の違いは何かという基本的な問題にぶつかるわけです。

  このことから明らかになるのは、パート労働者に対する厚生年金の適用問題と、それから、正規労働者とパート労働者等の非正規労働者の均等処遇の問題というのは実は別な問題であるということです。これは分けて考えなければならないというふうに感じております。

  他方、労働実態としては厚生年金が適用されているパート労働者に正社員と同様の役割を期待している事例があれば、パートが担当しているような業務を正社員が担当している事例もあるわけでございます。そういった意味では、パート労働者であれば基幹労働者でないということではなく、パート労働者の多様な実態とか、職場での位置付けを踏まえながら社会保険制度にふさわしい適用の在り方というものを考えると同時に、やはりパート労働者と正規労働者の均等処遇というものを図っていくことも重要だということを強く感じた次第でございます。

  私からの報告は、以上でございます。

○稲上部会長

 どうもありがとうございました。ワーキンググループに御参加いただいております委員の方から、補足がございましたら、まずお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

  どうぞ、お願いいたします。

○林委員

 補足というわけではないんですけれども、感想というか、意見ですけれども、

組合の方とか有識者の方はみんなパートさんのためになるので、是非、行うべきだという御意見なんですけれども、パートさん本人たちから望む声というのが聞こえてこないというような気が非常にしておりまして、むしろ嫌がっているみたいな声が聞こえてくるというような感じで、本人たちがそういう状況だと何かむなしいというような感じを持っているんです。

  それで、ヒアリングの中でも思ったんですけれども、そのように本人たちが考えるというのは、3号という問題があるためで、3号があるから損得ということができてしま

って、加入するのは損だというようなふうに考えるというような状況が見えてくるわけですけれども、今回、パートの問題と一緒に3号問題というのは難しいことでしょうけれども、3号にずっと手を着けないというような立場でもってこの話をするのはなかなか難しいのではないかというふうに思っておりまして、この場で、先ほど小島さんからもお話がありましたけれども、3号問題というのは取り上げていっていただきたいと思っております。

○稲上部会長

 ほかにございますでしょうか。

  どうぞ。

○稲垣委員

 ワーキンググループのメンバーではないんですけれども、発言させて頂き

ます。

 私どもの組織の中でもパートタイマーで働いている方が多くいらっしゃいますが、反

対という意見もあることは理解できます。それはやはり3号という立場の問題だと思います。

  私が、産別の役員をやらせていただいて、働く女性からずっと聞いていた声というのは、どうして私たちと専業主婦の立場の方々と保険料負担の制度が違うのかということです。

  今回、離婚時の年金分割という制度もできましたが、女性が年金権を確立するという意味では第3号ということは私は一定の意味はあったかとは思うんですけれども、そろそろ女性自身も保護されるという立場から一歩踏み出して、自分たちで税金も、社会保険料も払って、社会を支えるという立場に変わっていく時代ではないかと思っております。

  先ほど、パートで働く人も、いろいろあるという話もありましたけれども、やはり正社員と同じように働きたい人、正社員と同じような役割を果たしている方もたくさんいらっしゃいますので、そういう方はとっくにラインは超えているわけです。これからは人口減少社会にもなりますし、女性が働くということがますます重要な役割になるかと思いますので、働く女性を支援するような社会保障の制度ということを是非考えていくべきだと思っております。

○稲上部会長

 ありがとうございますか。ほかにございますか。

  どうぞ。

○権丈委員

 みんな、小島さんのことを支援されているみたいなので、先ほど私は連合もなかなかいいことをたまには言うではないかと言ってしまったんですけれども、やはり3号という問題を、これから2年あると思いますので、これは徹底的に議論するとい

うことを前提にして、パート労働のところの議論もしやすくしていただければと思っております。

  あそこをどうにかみんなで考えていって、どうにかしていかないことには。被保険者適用免除のふたを閉めるというふうに私は言っているんですけれども、あそこのふたが開いているために制度の整合性をつくっていくのが非常に難しくなっている。3号は年金数理的には非常に合理的かもしれないんだけれども、ほかの労働市場とかいろんなところでの整合性という意味では、今、年金というものが非常に文句を言われているんですけど、年金そのものは私は非常に強い制度で、これはこの前も言っているのですが、生き延びる。

  だけれども、余りにも強い制度なんだけれども、それが境界領域としての労働市場などに与えていく影響は物すごく大きいので、年金存続して国滅ぶみたいな状況になる可

能性が多分にあるところが3号のところにあるということを、私、随時ワーキンググループの方でも言っておりますので、小島さんを中心に議論されていくのを支援していきたいと思いますので、私も一応言っておきます。

○稲上部会長

 ほかにございますでしょうか。

  どうぞ。

○杉山委員

 それに補足してという感じなんですけれども、前回の議論でも3号の問題

を何とかしたいということで、かなり委員たちも見えないところで一生懸命勉強したりとか、議論したりということはやってきたんですけれども、それでもやはり、いまひとつだったという、何か深い後悔というか、反省も感じておりまして、女性というふうに一くくりにしても、世代によって全然働き方も、暮らし方も、意識も違うんだということを痛感しております。

  特に、やはりこれから見たいのは若い世代の妊娠であったり、出産であったり、育児であるというところとか、そういうポイントで、いまだに7割ぐらいの女性が仕事を辞めて家庭に入ろうとしているという、この実態の中で第3号問題をどう考えるのかというようなことも、やはり丁寧に見ていかないといけないのかな。

  それで、若い世代の女性たちはどういう働き方・生き方をしたいと思っているのかというところから見ていって、年齢が上がれば上がるほど、専業主婦であって、そのメリットをすごく感じている方が多いし、そういう方たちの数が多いので、どうしてもそちらの声に負けてしまうという部分があるというのを、前回、すごく痛感をしました。それは気持ちはわかるんだけれども、それは後の世代にツケを回すことになりかねないというところで、やはり若い人の声をどのように拾っていくかというところを意識しながら議論をしていきたいと思っています。

  以上です。

○稲上部会長

 ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。

  どうぞ。

○米澤委員

 やや、今までの議論と視点が違うんですけれども、この資料3-2の1枚目「(2)パート労働者の就業実態等について」の最初のところで「多くは将来の年金

よりも現在の収入を確保したいと考えている」というのは、多分これから、そもそもやはり、人間はこういう人が多いというのがいろいろわかってきて、これからやはりこういう人が多くなってきて、要するに、それではこれでいいかというと、彼らが高齢化したときに、これはとても問題も多いわけですので、こういう視点からもやはり公的年金の在り方というのを再度考えていく必要があって、具体的にどうしたらいいかということはさておいて、やはりこういうところをやはりカバレッジしていくということは、やはり公的の大きな一つだと思います。

  要するに、非常に収入が少なくなくても、やはり将来よりも今の方を好んでしまうというようなことがやはりいろいろ人間にはあるということがよくわかって、単に年金をすればそれだけ貯蓄が減るというわけではなくて、やはり大きなお世話をする必要があるということがいろいろわかってきていますので、そういう視点から、やはり公的年金を考えて、それで必要があるとすれば、それをより広くカバレッジしていくことが必要であろうというふうに思います。

○稲上部会長

 どうぞ。

○岡本委員

 先ほど江口委員の方から各団体のお考えについて御説明があって、それぞ

れがもっともなことをおっしゃっている部分がたくさんあるということだと思うんです。

  いずれにいたしましても、やはり将来の社会保障制度として、将来、もし年金者がたくさんできるような社会になるというような心配があれば、これはやはり、それを意識して直していくというような議論は当然していくというのがあるべき姿の一つであろうかなというふうに一つ思うわけであります。

  ただ、江口先生もおっしゃいましたように、パート労働の概念そのものがまだはっきりしないということも事実でありまして、100年に1度あるかないかの、いわゆるバブル崩壊の経済の大混乱の中で、やはり日本全体の企業が過剰雇用を抱える中で、どのようにしてそれを克服するかという中の一つとして、こういうパートの労働市場ができ上がってきたという事情もあるわけでありまして、これから私は、もし日本が安定的に経済成長軌道を歩むということになるならば、当然、ここの学識経験者の先生方がおっしゃっておられますように、パート労働者の処遇の在り方についても議論されていくであろうと思いますし、それから、パートの労働市場の在り方も議論され、それがつくり直されていくということもありますから、やはりそういうような方向性も見ながら今回の短時間労働者の年金をどうするかということについては、併せて議論していく必要があるだろう。

  今の状況をすべて前提において、こういう条件であれば何十万人、何百万人、パート労働に入るから、給付と負担の視点からこれだけ財政がプラスになりますというような議論というのを余りし過ぎてしまうと、私は間違った結論になるかもしれないと思いますので、だから、そういう将来のパート労働市場の処遇の改善なり、パート労働市場のつくり直しがどういう方向で進んでいくのかというようなことと一体になりながら、私はこの議論を進めていくという、その視点を忘れてはいけないのではないかと感じております。

○稲上部会長

    ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。

  どうぞ。

○渡辺部会長代理

   これは厚労省、特に濱谷課長に御質問なんですが、最近、パートで企業年金、それが確定給付なのか、基金なのか、あるいは確定拠出かわかりませんが、パートで企業年金に加入するケースが増えているというふうに聞いたことがあるんですが、それは事実かどうか。もし、数字は今ないかもしれませんが、もしあればお示しいただけますか。

○企業年金国民年金基金課長

    今、手元には数字はございませんので、御指摘の点は調べてみたいと思います。

○稲上部会長

    ほかにございますでしょうか。よろしゅうございますか。

  先ほど、江口委員が御説明いただきました資料3-1をごらんいただきましても、引き続き関係者から意見聴取等を行っていく予定になっております。本日出されました御意見も踏まえながら検討してまいりたいと思いますが、次回の部会でもう一度御報告をお願いしたいと思っております。

  だんだん予定しておりました時間が迫ってきておりますが、今日、議題とさせていただきました事柄以外で何か御発言がございましたら、お願いをしたいと思います。

  よろしゅうございますでしょうか。

(「はい」と声あり)

○稲上部会長

    どうもありがとうございました。

  予定の時間が近づいておりますので、本日の審議はこれで終わらせていただきたいと思いますが、次回の日程につきましては、追って事務局から御連絡をさせていただきたいと思います。

  本日は、どうもありがとうございました。これで閉じさせていただきます。

 

(照会先)

 厚生労働省年金局総務課企画係

 03-5253-1111(内線3316)