2016年3月14日 第38回社会保障審議会

年金部会

年金局

 

○日時  平成28年3月14日(月)16:00~18:00

 

○場所  東京都千代田区西神田3-2-1

住友不動産千代田ファーストビル南館 3階

 

○出席者

神 野 直 彦 (部会長)

菊 池 馨 実 (委員)

駒 村 康 平 (委員)

武 田 洋 子 (委員)

出 口 治 明 (委員)

原 佳 奈 子 (委員)

平 川 則 男 (委員)

藤 沢 久 美 (委員)

牧 原    晋 (委員(代理出席))

宮 本 礼 一 (委員)

森 戸 英 幸 (委員)

山 口    修 (委員)

○議事

○神野部会長

    それでは、定刻でございますので、ただいまより第38回の「年金部会」を開催したいと存じます。

    委員の皆様方には、年度末のお忙しい中、しかも冬将軍が舞い戻ってきたようなお寒い中、かつ、氷雨が降りしきる折にもかかわらず御参集いただきまして、本当にありがとうございます。心より御礼申し上げる次第でございます。

    本日の委員の出欠状況でございますが、植田委員、小塩委員、小室委員、佐藤委員、牧原委員、諸星委員、山本委員、米澤委員から御欠席との御連絡を頂戴いたしております。また、駒村委員は、おくれて御出席いただけるという御連絡を頂戴いたしております。

    本日、御欠席の牧原委員の代理として、日本経済団体連合会の阿部参考人が御出席いただけるということでございますので、部会の御承認を頂戴できればと思います。いかがございますか。よろしいですか。

   (「異議なし」と声あり)

○神野部会長

    そのようにさせていただきます。どうもありがとうございました。

    御出席をいただきました委員の皆様方が3分の1を超えておりますので、この会議は成立していることをまず御報告申し上げておきます。

    それでは、議事に入ります前に、事務局から出席者の御紹介と資料の確認をさせていただきます。

    事務局のほう、よろしくお願いいたします。

○総務課長

    まず、事務局からの出席者ですが、お手元の座席図のとおりとなっておりますので、御紹介にかえさせていただきます。

    お手元の資料について確認させていただきます。

    本日配付をしておりますのは、資料番号が資料1とついた「公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案の概要」という資料。

    資料番号、資料2と振っておりますのが法律案そのものでございます。

    それに「参考資料」と題した参考資料を配付させていただいておりますので、御確認をよろしくお願いいたします。

○神野部会長

    お手元の資料を御確認いただければと思います。よろしいでしょうか。

    それでは、カメラの方はいらっしゃらないようでございますけれども、ここで御退室をいただければと思います。

(報道関係者退室)

○神野部会長

    議事のほうに入らせていただきますが、お手元の議事次第にございますように、本日は「公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案について」を議題とさせていただきます。

 年金制度とGPIFの改革につきましては、本部会において委員の皆様方から精力的に御議論を頂戴してきたところでございます。昨年1月に制度改革についての議論の整理、本年2月にGPIF改革についての議論の整理を行いました。これらを踏まえて、厚生労働省におかれては、国民年金法等の一部改正案を作成し、3月11日金曜日に国会に提出されたというように伺っております。

    本日は、まず、この法案について事務局から御報告を頂戴し、その後、委員の皆様方から御質問等々をいただければと考えております。

    初めに、事務局のほうから御報告をいただきますが、御報告に先立って、鈴木年金局長からお言葉を頂戴できるということでございますので、まず鈴木年金局長からお言葉を頂戴した後、事務局のほうから御報告を頂戴できればと思っております。

    それでは、局長、よろしくお願いいたします。

○年金局長

    年金局長の鈴木でございます。

    本日は、委員の先生方、御多忙の中、またお足元の悪い中、御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。

    法案の御説明を申し上げるに先立ちまして、一言御礼の御挨拶を申し上げたいと思います。

    おかげさまで、ただいま部会長から御紹介がありましたように、先週の金曜日、11日に年金改正法案を国会に提出することができました。この法案でございますけれども、3つの部分、いわゆる公的年金制度の改正、そして、GPIFの組織体制等の見直し、日本年金機構の不要財産処分関係規定の整備、この3つから成り立っております。

    このうち、公的年金制度の改正につきましては、本部会におきまして平成25年10月に議論を開始していただきまして、そして、一昨年6月の財政検証、オプション試算なども踏まえまして制度改正の議論を進めていただき、ただいま御紹介がありましたように、昨年1月に議論の整理を行っていただいたということでございます。中身は後ほど御紹介いたしますが、被用者年金の適用拡大、国民年金の産前産後期間の保険料免除、そして従来から課題でございましたマクロ経済スライドの見直し、いずれも公的年金制度の持続可能性の向上を図っていく上で欠かせない内容だと思っております。

    また、GPIFの改革でございますけれども、一昨年の検討作業班での御議論をいただいて、昨年12月からガバナンスの見直しと適用の見直し、両面にわたりまして精力的に御議論を賜りました。

    ガバナンスの強化につきましては、事務局として案を提示させていただくまで長い期間をいただきまして、まことに恐縮でございました。また、運用の見直しにつきましても、年明けから大変精力的に濃密に御議論いただきまして、まことにありがとうございました。

    運用の見直しにつきましては、御意見の分かれる論点もいろいろございましたけれども、ガバナンス、運用、両面にわたりまして、国民の皆様に御理解いただけるような内容として取りまとめられたのではないかと考えております。

    この間、神野部会長を初め委員の先生方には、大変に熱心に御議論、御指導をいただきまして、まことにありがとうございました。

    厚生労働省といたしましては、この法案の成立に向けまして、最大限の努力を行ってまいりたいと思っております。改めて先生方の御尽力に御礼を申し上げまして、私の挨拶にかえさせていただきます。まことにありがとうございました。

○神野部会長

    どうもありがとうございました。

    それでは、御報告のほうをよろしくお願いします。

○総務課長

    それでは、続きまして、お手元の資料に基づきまして、私のほうから法案の内容について御説明をさせていただきたいと思います。

    資料1、1ページをおめくりいただければと存じます。

    先ほどお話がありましたように、公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案という形で、先週の金曜日、3月11日に閣議決定をして、既に国会に提出をされているという状況にございます。

    振り返ってみれば、先ほど局長からの挨拶にもございましたけれども、一昨年の6月の財政検証を経て、その年の8月から年金部会で御議論をいただきまして、昨年1月21日に制度改革に関する議論の整理という形でまとめていただいたものと、GPIFの改革につきましては本年2月8日に、やはり同じように議論の整理ということでおまとめいただいていたものをベースにして、政府部内あるいは与党との調整を経て、3月11日の閣議決定を迎えたということでございます。先生方への御報告が事後報告となってしまっていることについては、この場をお借りましておわび申し上げたいと思います。

    法律の主な改正内容は5点ございます。資料1の1ページにございますような中身が主な改正点でございます。このうち1、2、3がいわゆる制度改正にかかわるもの、4がGPIFの見直しに係るもの、一番最後が会計検査院のほうから後ほど御説明させていただきますが、昨年指摘を受けていたものについての対応ということでございます。

    以下、順次御説明をさせていただきますが、1、2、3の制度改革に関する中身に関しましては、昨年12月8日に議論を再開したときに御報告をさせていただいた内容に沿っているものとお考えいただければと思います。

    資料の2ページ、短時間労働者への被用者保険の適用拡大の促進ということでございますが、社会保障・税一体改革に伴う、年金機能強化法の改正によりまして、今年の10月から従業員501人以上の企業においては、短時間労働者の適用拡大ということが決まっておりまして、推計ですけれども、25万人が新たに被用者保険の適用を受けるということになると考えてございます。

    ただ、この際の措置として、従業員500人以下のいわゆる中小企業については、この適用拡大の対象から除外をするという法律上の整理をいたしました結果、例えば経営者の方、あるいは従業員の方が保険料を払ってもいいよと言っても、制度的には加入できないという仕組みになってございました。昨今、人手不足の中で、処遇改善によって人材確保を図ろうという企業経営者の努力を阻害しないようにとか、あるいは適用拡大になりますと2階の給付が保障されるということから、できるだけ多くの方々に上乗せの給付を保障するという観点もございまして、今回議論いただきましたとおり、労使が保険料を払ってもよいという合意をするということで、企業単位で適用拡大をできるという選択肢を準備するという内容の改正を提案したところでございます。潜在的に対象になり得る方は、全体で50万人ほどいらっしゃると考えてございます。

    この際、被用者年金の一元化が昨年10月からスタートしておりますので、共済年金も厚生年金となってございます。その結果、国の組織や地方公共団体の組織についても職員数が500人未満の方については同じ扱いを受けるということになります。国の組織では現在500人未満の組織はございませんけれども、地方公共団体、特に町村ですと職員が500人未満という町村もあるわけですが、この点につきましては、職員の人数にかかわらず強制適用するということで自治体側との調整しておりまして、規模にかかわらず適用ということで適用除外の対象から除外をするという内容になっております。

    法律的には機能強化法附則の改正、500人以下企業を適用除外としている規定を修正するということになりますので、法律的には法律が成立すればその規定が適用されるということで、実施時期は基本的には適用拡大の同じ時期、本年10月の予定になってございます。

    その下のところに箱囲みで書いてございますけれども、一方で、新たに保険料負担が生じるということもございますので、この適用拡大を円滑に進めるという観点から、雇用保険のキャリアアップ助成金というものを活用しまして、例えば短時間労働者の賃金単価を引き上げるとか、あるいは労働時間を延長するなどの措置をとっていただいた事業主に対して、助成金で支援をするという方策も予算的には準備をいたしまして、こういうこととあわせて適用拡大の実が上がるように取り組んでいきたいと考えているところでございます。

    次に、2点目、国民年金の第1号被保険者の産前産後期間の保険料免除という課題でございます。資料1の3ページ目にございます。これも社会保障・税一体改革の際に厚生年金について産前産後期間の保険料免除という措置を講じ、これは既に平成26年から施行されておりますが、その際に三党協議で国民年金の被保険者についてどう考えるかということについて、課題として取り上げられ、検討規定が設けられていた事項でございます。

    御議論いただいたように、特に自営業の方については労働基準法上の産前産後休業という直接の仕組みはないのでございますけれども、ほぼそれに当たる時期については、もともと産前産後の休業が母体保護のために設けられた規定であるということを考えますと、就労に従事できないという意味では共通するものがあるのではないかということ、将来、年金制度を支える次世代の育成支援という観点に立って、同様に保険料免除するという扱いを設けることについては、合理性があるのではないかという御議論をいただいたところでございます。

    産前産後の期間、産前6週、産後8週を月に当てはめますとほぼ4カ月分になりますので、この4カ月分の国民年金保険料を免除し、厚生年金と同様、その期間の給付を保障するという形で、法律上の手当てをしたいということでございます。その費用に関しましては、これも御議論のあったところでございますけれども、保険料でファイナンスされる分については、これは被保険者が共同して負担をするということで、国民年金の保険料を月額100円程度引き上げるという形で手当てをしたいと考えてございます。

    施行については、これは年金機構のほうでのシステムの準備と、実際に1号被保険者にかかります様々な事務を担当していただいている市町村の準備というものを勘案いたしまして、平成31年4月、平成31年度から手当てをしたいということでございます。

    それにあわせまして、法律上の規定上、平成29年度で平成16年度価格1万6,900円で固定するということにしていた国民年金の保険料について、この施行とあわせた平成31年以降、平成16年度価格で100円プラスをいたしまして1万7,000円という形で固定をするという内容になってございます。

    次に、資料1の4ページ目、年金額改定ルールの見直しということでございます。これについては、一体改革の際にマクロ経済スライドの調整が予定どおり進んでいないということをどのように考えるかという議論以来、財政検証のオプション試算も踏まえて検討をいただいてきた内容でございます。

    基本的な考え方としては、現在受給してらっしゃる高齢者の方にも配慮をしつつ、将来の年金水準を確保し、年金の持続可能性を高めるというために改正を行いたいということでございます。皆さん御存じのとおり、資料にございますように、基本的には年金は賃金や物価の動向に合わせて改定するということになりますけれども、この賃金や物価の改定をするときに、将来被保険者が減っていくということをあわせて調整をして、少しずつ年金の水準を調整していくというのがマクロ経済スライドの仕組みでございまして、この調整がようやく昨年、平成27年度から発動をしたというところでございます。

    このマクロ経済スライドについて、特に賃金や物価の伸びが余り大きくない場合、あるいはマイナスの場合について、どのように考えるかということを御議論いただき、現在の前年度から年金額を下げるというところまでは踏み込まない範囲の中でスライド調整を行うというルールを維持しながらも、その調整の積み残し分について、ある程度景気が回復をして、十分に賃金や物価が上昇するという局面において、調整をするという形で、できるだけ早期に調整が進むような仕組みとするという内容になってございます。

    この点につきましては、施行時期は平成30年4月ということになっておりますので、仮に30年度に未調整部分が発生した場合には、その30年度に生じた未調整の部分から、翌31年以降プラスが出た範囲の中で調整をしていく。このような形で法律上の措置をしたいと考えてございます。

    もう一つの課題として、物価の伸びに対して賃金の伸びが追いつかずに、いわゆる現役の保険料負担能力が賃金の水準が下がることによって低下するという場合には、その低いほうの賃金に合わせて年金の水準を考えるという内容でございます。

    3つ図が書いてございますけれども、真ん中のケースあるいは右側のケースで赤点線の矢印を新たに年金額に反映をするという内容になってございます。この部分に関しましては、施行時期は平成33年4月という形にしております。施行時期を平成33年にしているのは、現在、厚生年金の保険料が平成29年度に向けて、段階的に引き上げられていて。平成6年の改正のときに設けられました可処分所得の調整ということで、保険料が上がる分の手取りの減少分を年金を改定するときの賃金の指標から差し引くという調整が制度的に言うと平成32年まで行うことになっており、その影響がなくなる平成33年度以降に、この賃金準拠を徹底することを施行したいと考えたということでございます。

    この点につきましては、特に賃金の低下ということが起こった場合に、年金の水準がそれに合わせて低下をするという内容になるということでございますけれども、年金は資料にもありますとおり、若い世代から高齢世代に社会全体で仕送りをしているという位置づけであるということを考えますと、仕送りをしている若い世代の今の生活が苦しいというときには、仕送りの額もそれに合わせて調整をしていただきたい。これに合わせまして、将来のこういう措置を行わないということになりますと、その分また年金の財源を使い将来の年金水準も下がってしまうということになりますので、若い世代にとって言うとダブルで負担が生じることとなるので、そうならないようにするための調整をある程度世代間で図りたいということの内容でございますので、御理解をお願いしたいと考えているところでございます。

    年金部会の議論の整理の中で幾つか今回の直接法律改正にかかわらず、引き続き検討が必要だというようにされた項目がございます。例えば高齢期の就労と年金受給のあり方の問題や、あるいは被用者年金の範囲の一層の適用拡大など、社会保障制度改革プログラム法に規定されている課題がございます。これらについては、引き続き検討していくことが必要であるということで、資料1のほうにはございませんけれども、この法案の施行状況等も踏まえ、引き続き検討していくという内容の検討規定を置いてございます。資料2の60ページに、今回の改正法の附則の第2条の第1項という形で検討規定を置かせていただいておりますので、御確認いただければと存じます。

    次に、昨年末から本年2月までかけて御議論をいただきました年金積立金の管理運用を行うGPIFの組織の見直しのほうに入ってまいります。資料の5ページ目になります。

    GPIFに関しましては、一昨年の10月から議論をいただきまして、少し中断を挟みましたが、12月に2回、1月に3回、2月に2回ということで、ほぼ毎週のように短期間に精力的に御議論をいただき、それに沿った内容ということになってございます。この場をお借りしまして、改めて感謝を申し上げたいと思います。

    法案の趣旨といたしましては、140兆円の年金積立金を運用する世界最大規模の運用機関であるGPIFに関しまして、国民から一層信頼される組織体制を確立するためのガバナンス改革を実施するとともに、積立金の安全・効率的な運用を図るためのリスク管理方法の多様化などを行うというものでございます。

    ガバナンス改革については独任制から合議制への転換、意思決定・監督と執行の分離の2点がポイントということになってございます。これまで独任制の法制度の中で諮問機関である運用委員会を活用して、法人の様々な意思決定に関与いたただきまして、事実上の合議制とも言える体制を導入する形でガバナンスの強化を図ってきたところでございますが、これを法律上、合議制の経営委員会を設けて、基本ポートフォリオの決定などの重要な方針については、この合議制の経営委員会が決定し、その決定に従って、理事長以下の執行部が執行するという仕組みを法律上、明確に位置づけるということにしております。

    また、執行部の責任と権限を明確化するという観点から、意思決定機関である経営委員会は執行部から独立した組織とし、経営委員会が執行部を有効に監督するとともに、監査委員会を置いて監査・監督機能を強化するということになってございます。

    なお、このGPIFのガバナンス改革に合わせて、資料の5ページ目の右上のほうになりますけれども、社会保障審議会に会議体を新設するということになってございます。ここでは、財政検証を踏まえて、GPIFの中期目標を定める際、あるいは経営委員会が策定し、法人が提出をした中期計画や業務方法書を厚生労働大臣が認可をする際に、その内容について審議をするほか、法人の評価、経営委員や理事長等の役員の任命基準などを審議することとしたいと考えてございます。

    また、本部会においてGPIFの情報開示をできるだけ進めていくべきという御指摘がございました。その後の与党における議論も踏まえて、法案については、資料1には書いてございませんけれども、経営委員会の議事録を一定期間経過後に公表する旨の規定、あるいは市場への影響に配慮をしつつ、例えば個別の銘柄の保有状況について一定年数経過後に公表するということを念頭に置いて、積立金の運用の実績、その他厚生省令で定める事項の公表を義務づける規定をそれぞれ盛り込んでおります。この点についてはいろいろな報道がございましたが、具体的な内容や開示の時期、開示方法などは今後専門的な見地からの議論を経た上で、法案成立後に法案が施行されるまでの間に厚生労働省令で具体的に決めていくということにしております。

    次に、運用方法の見直しにつきましては、より安全で効率的な運用が可能になるように、リスク管理の方法としてデリバティブ取引の方法を追加いたします。その際、法律上、リスク管理を目的とする場合に限定するということを明記してございます。この審議会でも御説明をしてまいりました、利用額、利用機会の制限あるいは経営委員会の関与などの措置を講じて、これを厚生労働大臣が認可をするという仕組みにしたいと思っておりますが、これは独法通則法に規定された業務方法書の記載事項として、厚生労働省令で定めるという形で担保をとりたいと考えてございます。

    また、短期資金についてもより効率的な運用を目指すために、預貯金等に加えて安全性の高いコール資金の貸し付けなどを利用可能にするということでございます。これらの見直しにつきましては、準備期間等を考慮して、原則29年10月の施行ということにしております。

    なお、株式のインハウス運用など、GPIFの運用のあり方については、この部会においても、また与党との議論においても、さまざまな御意見があったところでございます。この点につきましては、今後、法施行の状況あるいは国民の意識、スチュワードシップ責任をめぐる動向等を勘案し、GPIFの運用が市場その他民間活動に与える影響を踏まえつつ、運用のあり方について検討を加え、必要があると認めるときは施行後3年を目途に必要な措置を講ずるという旨の検討規定を置いてございます。資料2の60ページ、附則の先ほど見ていただいた2条の第2項目の規定が、今、御説明をした検討規定に当たります。

    最後に、この部会で御報告あるいは議論をしていない事項ではございますけれども、日本年金機構の国庫納付規定の整備を、あわせて措置を講じておりますので、御説明をさせていただきます。

    6ページの左側にございますように、昨年10月に会計検査院から年金機構に対して保有財産を見直し、保有する合理的な理由が認められない財産について、国庫納付する。あるいは厚生労働省に対しては、不要財産を国庫納付できるような適切な整備をするよう指摘が行われたところでございます。

    一般の独立行政法人については、不要財産の国庫納付規定というものが独立行政法人の通則法に設けられてございますけれども、特殊法人であります年金機構については、同様の法律の規定の整備が行われておりませんでした。これについて、この会計検査院の指摘を踏まえて、独法通則法の規定と同様に、不要財産の処分の義務づけ、国庫納付の手続、国庫納付をした場合のいわゆる出資金を減ずる減資規定を整備するということが改正の内容でございます。

    会計検査院からは具体的に日本年金機構が現在保有しております8つの宿舎、4つの事務所、これはいずれも使われていないものでございますけれども、指摘を受けております。これらについては、国庫納付を行うとともに、昔の社会保険庁の資産を日本年金機構が出資という形で引き継いでございますので、徐々に老朽化して使わないものが出てくることも考えられるため、これらについてもきちんと見直しを行っていくという方針で、再度このような指摘を受けることがないように取り組みたいと考えてございます。施行は、公布日から3カ月以内の政令で定める日としております。

    長くなりましたけれども、先週の金曜日に国会に提出をいたしました法律案の内容について、御報告をさせていただきました。

    以上でございます。

○神野部会長

    どうもありがとうございました。

    3月11日、国会に提出されました改正法案の内容について、5点にわたってかいつまんで御説明を頂戴いたしました。

    それでは、ただいまの御報告を受けて、委員の皆様方から御質問があれば頂戴したいと思いますが、いかがでございましょうか。

    菊池委員、どうぞ。

○菊池委員

    私、前回欠席いたしましたので、このような形でうまくまとまってよかったと思っております。

    1点、感想ですけれども、資料1の2ページ、適用拡大の促進についてです。以前にも述べましたが、今回500人以下の企業にも適用拡大ということで、これは一歩前進だと思っております。ただし、本来これは強制適用という形が望ましいのであって、先ほど検討規定が設けられたということでもございますので、是非これは1つのステップとして、さらなる適用拡大を進めていただきたいということを述べさせていただきます。

    また、同時に、これは法律改正の問題ではありませんが、昨今200万人、未適用問題ということも指摘されておりますので、これは事業運営の問題であると思いますが、併せてそちらの適用をきちんとしていくことも進めていただきたいということをお願いしておきます。

    もう一点、我が国の年金は社会保険の仕組みでございますが、税の仕組みと社会保険の仕組みの違いとよく言われるものの1つに、保険者自治があります。つまり年金ですと労使の拠出で財源が賄われているということでございます。これは私の感想でございますが、今回の議論の中でとりわけ労使の代表の方からの発言が一定の影響を持ったのではないかと認識しております。

    これは拠出金の運用のあり方について、拠出者の意向が一定程度尊重されたという面で見ますと、これは年金における、年金というのはサービスではなく金銭の給付ですけれども、公的年金における保険者自治が発揮された1つの例として、私は積極的に評価したいと思っております。こうした拠出者の意向の尊重という面がサービス給付である医療保険、介護保険でももう少し注目されてもいいのではないか。ここは年金部会ですけれども、個人的にはそのように思っております。

    以上です。

○神野部会長

    どうもありがとうございました。コメントを頂戴したということで承っておけばよろしいですか。

○菊池委員

    はい。

○神野部会長

    ほかはいかがでございましょうか。

○平川委員

    ありがとうございます。

    今、菊池先生からもございましたけれども、労使合意に基づく年金の適用拡大の対象の関係であります。私も基本的には適用拡大という意味では理解しつつも、本来は、500人以下の企業であるため適用除外となる50万人に強制適用することが基本だと考えております。その上で、労使合意については、12月8日の年金部会で事務局から、一定の納得感ある形で労使間で話し合ってもらうという趣旨の御説明があり、その趣旨から労使合意については、個別的な合意ではなく、集団的合意であるというように理解をしているところであります。

    集団的合意とすると、現在の労働関係法の過半数代表の規定を念頭に、過半数労働組合の意見を聴くことを前提に、労使合意の手続きについて規則等を定めるべきと考えております。過半数労働組合との合意に当たっては、パートタイム労働者も含めてしっかり情報提供されるなど、従業員全体の意向を踏まえたものになるよう、指針などで示していくべきと考えます。

    次に、年金額の改定ルールの見直しの関係です。資料1の4ページに記載のとおり、マクロ経済スライドについては、キャリーオーバー方式で法案として整理されているところでありますが、このキャリーオーバー方式が良いか悪いか、まだ検討すべき課題があるように思います。ただ、国民年金制度については、老齢、障害、または死亡によって国民生活の安定が損なわれることを国民の共同連帯によって防止するというのがこの国民年金制度の目的であるとされているところであり、基本的にキャリーオーバー方式とはいえ、場合によっては実質的に大きく価値が下がっていくというようなことも考えられますので、まずは基礎年金がマクロ経済スライドの対象になるかどうかということを踏まえてしっかりと検討していくべきです。私としては、マクロ経済スライドの対象から基礎年金を外して、改めて年金財政のフレームの再検証を行うべきだというように考えておりますし、同時に年金制度やその他の社会保障制度も含めて、低年金者対策の、抜本的な改革議論を進めることも必要ではないかとも考えているところであります。

    次に、GPIFの組織の見直しの関係です。この間のGPIFの議論の中では、まだまだ議論が足りなかったところが多くあると思っております。

    もう1つは、GPIF改革の運用のあり方について、どのような運用をしていくかということです。これまで、やや技術的な議論に終始した感があったかと思います。GPIFの運用に関して、どういう視点で運用していくか。法律にも書いてありますけれども、長期的な視点というのが極めて重要でありますので、しっかりと再度そういうことを確認することも重要なのではないかと考えます。

    また、経営委員会の構成ですが、この間、労使拠出者の代表者を過半数、もしくは複数以上入れるべきという意見を申し上げてきたところであり、この点からは、今回の改正は不十分な点があると思っているところでありますが、最低でも労使拠出者の代表者は各1名入るということは明文化されております。これは、1名以上の人数も許容されるのかどうかということについて確認をさせていただきたいと思います。

    法律、法文では「関係団体の推薦に基づき任命する」となっておりますけれども、厚生年金の被保険者の利益を代表する者は極めて重い責任を負うこととなります。年金積立金の管理運用は、年金制度の一部であり、専ら被保険者のために運用するものでありますので、しっかりと拠出者の意向が確実に反映されるような制度の構築が重要であると思っております。

    また、情報公開の関係でありますけれども、この点、具体的にGPIFの運用委員会の議事録の公開について、10年後という新聞報道もありましたが、仮に10年であればかなり長いと思います。現在の運用委員会は7年後の公開となっておりますけれども、基本的には可能な限り経営委員会の議事録の公開を短くしていくということが必要ではないかと考えます。

○神野部会長

    それでは、GPIFの確認事項と頂戴した点について、事務局のほうからもしもあれば。

○大臣官房参事官(資産運用担当)

    失礼します。今、御質問の点、経営委員会の人数のところでございます。御案内のように、この部会でも大分時間をかけて御議論いただいたところでございますけれども、具体的な条文といたしましては、新旧で上下になっている部分の57ページでございます。第7条の2、役員の任命というところがございまして、そこの第2項で、委員長及び委員、これは経営委員会のメンバーでございますけれども、これにつきましては、前項に規定する者のうちから厚生労働大臣が任命するとございます。前項、第1項を見ていただきますと、経済、金融、資産運用、経営管理、その他の管理運用法人の業務に関連する分野に関する学識経験または実務経験を有する者のうちから厚生労働大臣が任命するという構成でございます。御質問のあった点は、この第7条の2の第4項でございます。第2項の規定により、委員長及び委員を任命するに当たっては、厚生年金保険及び国民年金の被保険者の利益を代表する者並びに事業主の利益を代表する者、各1名を関係団体の推薦に基づき任命するものとするということで規定してございます。

    ここはもうまさに書いてあるとおりでございまして、経営委員、理事長を含め9名でございますけれども、この9名につきましては第1項の学識経験または実務経験を有するということが要件としてあって、そのうちには労使の関係団体の推薦に基づく者1名を任命するということでございます。ですので、例えば団体からここの規定以上に推薦をいただくというようなことは想定しておりません。推薦いただく者が各1名この中に入るということを明記したという点に重点があるということでございます。

○神野部会長

    よろしいですか。

○平川委員

    はい。

○神野部会長

    ほかはいかがでございましょうか。

    宮本委員、阿部参考人と行きます。

○宮本委員

    ありがとうございます。

    私のほうからは、適用拡大について少しコメントをもらいたいところがあります。まず、平成28年10月施行の適用拡大については、5つの条件を満たさなければならないということで、対象になるのは25万人という極めて限定的だということは前々から指摘をしているとこでございます。

    また、適用拡大とは別に、先ほど菊池委員もおっしゃった、約200万人の方々がいらっしゃると公表されていますけれども、本来、厚生年金に入る資格があるにもかかわらず、実際には国民年金に加入されている方たちをどうするのか。これはたしか総理大臣も制度が適用されて保険料を納めるべき事業所がその責任を果たしていないのだと、それを放置しておくことが問題なのだというような趣旨の発言もたしかされておられた。

    こういった現行法の下における適用の課題については、直ちに適用を徹底すべきだと考えます。そこで、連合でも労働相談等々、いろいろ相談を受けていることも少し含めて御紹介すると、適用拡大の着実な実施に向けて、現場で我々も取り組みを進めておりますが、その中で10月施行の適用拡大の要件の詳細について、例えば1年の雇用見込みについて、いつの時点で判断するのか、といったような問い合わせが現場から寄せられております。10月施行の適用拡大においては、具体的な適用基準がどうなるかが鍵であり、極めて重要です。そのため、本件については適用拡大を審議した年金部会への報告ですとか、あるいは年金部会委員への説明があってもしかるべきではないかと考えております。

    具体的な適用基準のうち、特定適用事業所ですとか学生の範囲、あるいは月額8.8万円の計算方法については、3月2日までパブリック・コメントで募集が行われていたことを承知しています。パブリック・コメントにかかった省令案の概要には、1年の雇用見込みについては示されていなかったように思いますが、これが今後どこでどのように決まっていくのかということを改めてお聞きしたいということと、もう一点は、勤務期間1年以上見込みの要件について、勤務期間1年以上とは具体的にどのように判断すればいいのか。まず、これをお聞きした上で、またコメントをしたいと思います。お願いします。

○神野部会長

    ありがとうございます。

    事務局のほう、今の御質問について。

○事業管理課長

    年金局事業管理課長でございます。

    まず最初に厚生年金未加入のお話がございました。これにつきましては、従前から未加入の事業所を把握するために、関係機関からいろいろ情報提供をいただいて、日本年金機構あるいは旧社会保険庁時代から適用に努めてまいりました。具体的には、雇用保険の適用事業所の情報であったり、あるいは法務省から法人登記簿の情報をいただいて、それと厚生年金の適用事業所との突き合わせをしながら、未加入の事業所を把握して加入指導という取り組みを進めてきたところでございます。

    平成27年からは、さらに国税庁のほうからも源泉徴収をしている事業主の法人の事業者情報というのをいただけることになりまして、これは現に従業員の方がいらっしゃって、給与を支払っている事業所の情報ですので、厚生年金に入るべき可能性が高い事業所でございまして、この情報を今、活用することによって、従前と比べますと適用実績が改善してきてございます。今後とも新しく今度は国税庁からも法人番号を付した情報をいただけるようになることを踏まえて、さらに、計画的、確実に取り組んでいきたいと考えております。

    適用拡大のほうでございます。まず10月に向けて、今、日本年金機構とともに施行準備に努めてきているところでございます。今後、501人以上の特定適用事業所になりそうな事業所に対してお知らせをするということを現在作業してきているような状況でございます。

    勤務期間が1年以上を見込まれることとはどういうことかということですが、これは年金事業管理部会のほうでも以前に御報告させていただいているところでございますけれども、勤務期間の取り扱いは雇用保険における取り扱いと同様とするということで、今後詳細を通知、マニュアル等で規定する予定ということで御報告をさせていただいております。

    その際に御報告しましたのは、雇用見込み期間が1年以上とは次の場合を言うということで、期間の定めがなく雇用される場合。雇用期間が1年以上である場合。雇用期間が1年未満であるときは、次のいずれにも該当する場合を除き被保険者となる場合ということで、いずれの場合というのが雇用契約書、その他書面においてその契約が更新される旨、または更新される場合が旨、明示されていないこと。

    もう一つが、当該事業所において同様の雇用契約に基づき雇用されている者について、更新等により1年以上雇用された実績がないこと。こういうことを事業管理部会のほうで御報告させていただいている状況でございます。

    いずれにしましても、今後、さらに施行準備に向けてQ&Aなり事務処理のマニュアルをさらに整理して円滑な施行に向けて現在取り組んでいるところでございます。

    以上です。

○神野部会長

    よろしいですか。

○宮本委員

    わかりやすいコメントをいただきまして、ありがとうございました。現場の有期労働者の皆さん方からのいろいろな相談なりお問い合わせを総合して聞いてみると、だんだん有期の契約期間が短くなってきて細切れ契約になっています。なおかつ2年後の2018年の4月から無期転換権が発生することなども踏まえ、不更新条項、要するに、契約条項の中に予め契約を更新しない条項を入れた上で有期契約を結ばせ、適用対象とならないようにして、その契約を反復継続することが考えられます。このような契約は改正法の趣旨を潜脱するものであり、認めてはならないと思っております。こうした取り扱いが認められないことを、しっかりと解釈通知等で事業所に対して明らかにしていくべきだと考えます。

    また、本年10月施行の適用拡大では、週の労働時間が30時間から20時間に引き下げられる一方、新たな要件も加わりました。これにより、施行日前に被保険者として適用されていたものが、改正後の規定では適用対象とならないという場合も出てくる可能性もあると思います。この点については経過措置によって、当該労働者が引き続き事業所に雇用されている限りは、引き続き被保険者として取り扱うということになっています。この経過措置については、引き続き当該労働者の有期労働契約が反復更新される限りは、社会保険の適用対象になることをしっかり通知等によって、明らかにしておくべきであると思います。

    これまで適用対象であった労働者が新たな基準により適用範囲から外れるというようなことがあっては、この改正法の趣旨から逸脱してしまうと考えます。

    あわせて、現行では、昭和55年、当時の厚生省の内かんによって、当該労働者がその事業所と常用的使用関係にあれば、適用対象者とすべきこと。認定に当たっては、当該就労者の就労の形態等、個々具体的事例に即して判断すべきことなどが、基準として示されております。10月施行の適用拡大の新たな要件導入後も、要件を形式的に厳格に当てはめるということではなく、現行で通用している内かん同様、実態に即して適用を判断するということを、通知等でしっかり明らかにしてもらいたいと思います。 以上です。

○神野部会長

    ありがとうございます。

    それでは、お待たせいたしました。阿部参考人、どうぞ。

○阿部参考人(牧原委員代理)

    牧原のかわりでございます。

    短時間労働者の被用者保険の適用拡大でございますが、既に法律で決められていること、あるいは今回の法案で示されていること、異存はございません。その上でということでございますが、さらなる強化ということであります。ここについても経団連としては十分に理解できるわけでありますが、きょうは日本商工会議所の山本委員がおられないのですけれども、恐らくおられたらちょっと待ってくれと言ったと思います。

    2つほど理由があるかなと思います。1つは、今回民間企業については労使の合意でということがぎりぎりの妥協だったということであります。そういう意味では、この法案が成立した後、ことしの10月以降の実際の状況を見ていただかないと、その次の仕組みの判断ができないというのが1点目。

    実際には、むしろ短時間とか低賃金労働自体の問題のほうが深刻かなと思っております。実は、今、非常に雇用の状況は逼迫しておりまして、給料、パートも含めまして時給も上がっておりますし、あるいは人手不足ということから労働時間も延びている傾向にある。これをうまく生かしていって、制度をできるだけいじらなくてもきちんと適用拡大につながることができればと思っています。そういう意味では、今回、さまざまな支援措置をいただきまして、大変ありがたいと思っています。

    以上であります。

○神野部会長

    どうもありがとうございます。

    出口委員、どうぞ。

○出口委員

    今回、法案の形に事務局でまとめていただいて、本当にありがとうございましたというか、御苦労さまでしたけれども、まだ国会が通ったわけではありませんので、ちゃんと法案になるようにこれからも御尽力いただければ大変ありがたいと思います。

    観点が変わるのですけれども、この部会で一度確かにそうだなと思ったことがありまして、2回ぐらい前でしょうか、植田部会長代理が、いろいろ現実を考えれば落とし所はわかるけれども、こんなにゆっくりしたスピードで時間との競争に勝てるのだろうかという趣旨のことをおっしゃって、私自身、目からうろこが落ちた気がしました。例えば私自身は個人的には年金保険の一番の論点は適用拡大にあると思っていまして、やはり被用者保険であれば全ての被用者が厚生年金に入るべきことが理想の姿だと思い、この前の財政検証でも1,200万人ぐらい、シフトすれば、あれは月額5.8万円ぐらいでしたか、これだけ年金財政も安定するというすばらしい試算結果をいただいて大変勉強になったのですけれども、一歩一歩進んでいくしかないということはわかりつつも、このスピードでは私が生きているうちに1,200万人以上適用拡大となる日がくるのだろうかとか植田先生のお話を聞いていてふっと思って、もちろん、現実の与党との折衝とか法案作成の難しさとか、そんなものが何もわからない門外漢の単なる感想だと思うのですけれども、やはりこの国の将来を考えたら、ぜひ事務局の方にはスピードというものを意識して、これからもいろいろ御尽力いただければ大変ありがたいと思います。

    同じように思うのは、マクロ経済スライドが導入されたときに、友人のエコノミストと話をしていて、すごい制度ができて本当に良かったねと。日本の将来は明るいよねと話をしていた記憶があるのですけれども、そのときは無邪気にすぐにでもマクロ経済スライドがフル適用されると思っていたのですけれども、現実には御存じのとおり、遅々として進んでいない。一歩一歩よくなっているのだとは思うのですけれども、見当外れの話になるかもしれませんが、今回はこれで非常によくまとめていただいたと思うのですけれども、引き続き高齢化のスピードも増していきますし、人口も減っていく中で、これからの日本のことを考えたときには、やはりスピードが大切で時間との競争ということを意識していろいろ御尽力いただければ大変ありがたいなと思います。

    以上、感想です。

○神野部会長

    ありがとうございます。

    ほかはいかがでございましょうか。では、先にどうぞ。

○駒村委員

    おくれて来まして、大変申しわけございません。資料について確認させていただきたい。細かい点なのですけれども、多分これからまた重要なことになる可能性もあるので、資料1の5ページ目の新しいGPIFのガバナンスの話の社会保障審議会に会議体を新設するということで、これは説明があったのかもしれませんけれども、その役割が中期計画等を審議する。この中期計画等というのは何かというと、理解は厚生大臣の下から矢印が2つ出ている中期目標の策定・指示、中期計画・業務方法書の認可、法人評価、これを意味しているということなのでしょうかということ。

    資料2を見ると、審議ではなくて諮問と書いてあるのですけれども、ここでは審議も諮問も同じような意味で使われているという理解でよろしいかということが2つです。

    仮に3年後、見直しをやるということになった場合は、この新しい会議体が主役になるというか、そこで議論されるのかどうなのかというのが2つ目の確認事項。

    やや細かいところなのですけれども、これは絵の描き方なのかもしれないのですが、資料2のページ数は書いていないのですが、めくって3枚目、経営委員会の組織に関する事項というところで、経営委員会と監査委員会の関係については、どういう関係になっているかというところなのですけれども、この絵だと分離されているようにも見えてくるのですが、これは経営委員会と監査委員会というのは、この囲ってあるものは、メンバーとしては経営委員会の中に監査委員会のメンバーがほぼ重なっているというか、全員重なっているという理解でいいのか。この経営委員会のラベルの張り方のところと監査委員会の絵の資料1の5ページを見ているのですが、この概念図のラベルの張り方がかなり経営委員会の後、隣に大きく監査委員会をカバーしているということになっているので、これはどう理解していいのか、この本文の資料2の説明と同じように、要するに経営委員会の中に監査委員会のメンバーが全員入っているという理解でいいのか、その辺細かいところですけれども、確認させてください。お願いします。

○神野部会長

    3点ありますが、よろしいですか。

    お願いします。

○大臣官房参事官(資金運用担当)

    まず、社会保障審議会に新しい会議体を新設するという点でございますけれども、先生御指摘のように、これは厚生労働大臣が中期目標を策定する際、あるいはGPIFの経営委員会で議論をした結果として中期計画の案あるいは業務報告書の案が専門的な検討を経て出てきたときに厚生労働大臣が認可をするかしないかという、その場面で社会保障審議会に諮問をする、そして審議をいただくというような手続でございます。

    また、その取り組みに加えまして、例えば経営委員会の委員の任命基準。例えば経済、金融、資産運用という各分野の規定そのものは法文上ございますけれども、大体どのようなバランスになるかとか、あるいは経験者というときに理事長はこれぐらいの管理に関しての経験が必要だとか、そうした定性的なところを御議論いただいて基準として定める。御議論いただいた上で、それを厚生労働大臣が任命する際に生かしていくというような役割を考えてございます。

    それと経営委員会と監査委員会の役割についての御質問がございましたけれども、経営委員会と監査委員会、これはそれぞれ入る委員に関しましては、監査委員会の委員は経営委員を兼ねておりますので、そういう意味では経営委員の中に監査委員を兼務する経営委員と監査委員を兼務しない経営委員が2種類存在するという形になります。監査委員会の位置づけとしましては、経営委員会の中ではなくて、経営委員会がまずあって、そこが基本方針の決定と執行部に対する監督という大きな2つの役割を持っている。そして、監査委員会は従来の監査に加えて、その経営委員会が有する監督の業務を経営委員会から委嘱をされて行うということで、別途存在しております。

    先ほど申し上げましたように、経営委員会と監査委員会を兼ねておりますけれども、監査委員会の役割としては、経営委員会の監査という部分も一部入ってまいりますので、そこはいわゆる自己監査というようなことにならないように、監査委員たる経営委員というものと、それ以外の経営委員を分けて、厚生労働大臣が任命するときに分けて任命するという仕組みを入れる形でそこを担保しようという仕組みを入れております。

    あと3年後の見直し、現時点で法文上の書きぶりとしては諮問事項しか書いておりませんので、それ以上はまた実際に社会保障審議会での具体的な規定は政令段階になって今後の話ではございますけれども、具体的な3年後の見直しにつきまして、恐らくこの新しい合議体のほうで運用の内容などを御議論いただく形になるのではないかと現時点では思っております。

○神野部会長

    よろしいですか。

    お待たせいたしました。原委員、どうぞ。

○原委員

    原でございます。今回、このような形でまとめていただきまして、ありがとうございました。

    コメントという形でさせていただきたいと思います。まず、制度のところについてでございますけれども、皆様からもお話がありましたとおり、短時間労働者への被用者保険の適用拡大の促進ということにつきましては、やはりさらなる適用拡大というものを進めていくことは必要であると思います。これは平成26年の財政検証のオプション試算においても適用拡大を進めていくことにより年金水準の確保もプラスの効果が得られるということが明らかになっておりますので、被用者についてはオプション試算をもとに被用者保険の適用拡大といったものを今後も引き続き着実に進めていく必要があるのではないかと思っております。

    また、今後、この引き続きの適用拡大の検討を進めていく中で別途考えなければいけないなと思っていることがあるのですけれども、それはオプション試算には適用拡大のマル2の中に入っていたのですが、現在の適用事業所以外の事業所に勤務するような方でフルタイムの雇用労働者の方がかなりの規模でいらっしゃるということで、現代のようなさまざまな業種形態や働き方がある社会に見合った適用拡大というものの検討を、違った角度で見ながら行っていくということも必要ではないかと思っております。財政検証のオプション試算の結果も踏まえて、これから先、引き続きこの問題については議論・検討していく必要があると考えます。

    あと年金額の改定ルールの見直しにつきましては、いろいろな議論がございましたけれども、やはり現在の高齢者への生活の影響というものも配慮しながら、将来世代への影響についても極力先送りしない仕組みであるということで、現実的な一歩といえるのではないかと思っております。

    ただ、この改正の趣旨については丁寧な説明が必要かと思っております。国民の理解を得て、改革を少しでも先へ進めていくということが重要と思っております。それと同時に、この仕組みをとった場合においての影響などにつきまして、定期的に見ていくことが必要だと思いますし、それに関連する事象についてもいろいろと検証していく必要があるように思っております。これも引き続き注視していく必要があるかと思います。

    最後に、これまでの経緯を振り返ってみますと、平成25年12月のプログラム法が成立し、いろいろな課題が挙げられていまして、先ほども総務課長のほうからもお話がございましたけれども、そのほかにも高齢期の就労と年金受給のあり方ですとか、高所得者の年金給付のあり方等も挙げられております。また財政検証のオプション試算では保険料の拠出期間と受給開始年齢の選択制といったものもあったかと思います。

    そうした中で、やはり平成27年1月にこの年金部会で取りまとめられました議論の整理を見返しますと、今後の制度改革の基本に置くべき考え方として共有された方向性というのが挙げられていたかと思うのですが、その最後に「国民の合意の形成とスピード感を持った制度改革の実施」というのが挙げられておりました。これはもちろん丁寧な説明によって国民合意の形成を図りつつもスピード感を持って行っていくということかと思いますので、できることからしっかりと進めていくということが必要かと思っております。

    また、議論の整理の中には、そのほかの論点としても、働き方に中立的な社会保障制度ですとか、遺族年金制度のあり方とかといったものも入っていましたので、そういったことも忘れずに今後引き続き議論していく必要があると思っています。あとは当時の報告書の最後にもあったように、さまざまな課題について、適時適切に改革を進めていくよう検討を進めていくということが必要で、議論・検討を続けていく中で、そこから情報をきちんと発信していくということが年金制度への信頼にもつながる一歩でもあると考えております。何もしないということになりますと、そこにはより一層の臆測ですとか不安といったものも高まるものと思われますので、制度について継続的な議論、検討といったものはまだまだ必要かと思います。今回の法律案の附則第2条第1項にもございますけれども、やはりプログラム法に掲げる項目と、その他必要な事項について検討を加えて、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとするとありますので、引き続き課題の検討を継続的に進めていくということは必要と思います。

    最後に論点と少し離れるかもしれないのですが、これは1つお願い事項でございますけれども、平成27年1月の議論の整理の最後に触れられていたことでもあるのですが、企業年金部会からの報告等も受けながら、「今後は公的年金の課題への対応とともに、公私の年金をあわせて老後の生活保障をどのように確保していくか」という観点からの検討も、この年金部会においても今後行っていくことが必要かと思っておりますので、これはお願いできればと思います。

    以上でございます。

○神野部会長

    どうもありがとうございました。

    ほかはいかがでしょうか。

    では、山口委員、森戸委員と行きますので、山口委員、どうぞ。

○山口委員

    ありがとうございます。

    今、原さんがおっしゃった話と重なるのですけれども、私も年金額の改定ルールの見直しについては、未調整分をキャリーオーバーするという案は現実的な方法として、現在の高齢世代に配慮するということで、そういうことかなというように思うわけです。それともう一つ丁寧な説明が必要だというようなお話があって、私もそうだというように思うのですが、改めてマクロ経済スライドという言葉がどのぐらい実際の受給者に理解されているのかということを考えました場合に、これはなかなか実態として理解されていないように思います。

    駒村先生がご著書の中でわかりにくい表現を使うことを厚生労働省の不透明化戦略と書いておられましたが、意図的な戦略ということはないとは思いますけれども、受給者等にとってプラスにならない改正の場合に表現をわざとわかりにくくするようになっているといったような懸念もありまして、年金額改定の場合ではやはり賃金とか物価とか、確かにマクロ経済的要素ではあるのですが、大事なのはスライド調整率だと思います。実際のスライド調整率は被保険者の減少率であるとか、あるいは平均余命の伸びといったような人口構造の変化といいますか、そういったものが原因でこの調整をせざるを得ないのですよということなのです。ですから、そういう意味では、高齢の受給者の方にも、我が国の高齢化の進展がどんどん進んでいるという状況の中で、そういう実態をよく御理解いただいて、これはもう本当にやむを得ないのだと、将来世代のためにもこれはやっていかざるを得ないのだということを直視していただいて、それで年金額調整をやっていくということがあれば、今回のような現実的な対応の範囲の中でやっていくというよりもっと進んで、たとえデフレ下でもスライド調整を実施するといったようなこともできたのではないかと思います。

    そういう意味では、マクロ経済スライドといったような抽象的で中身がはっきりしないような表現はここらでやめてはどうか。人口構造変化対応スライドとか、そういったもので皆さんが負担していただかなければ日本国の将来は成り立たないのだということを御理解いただく名前に変えたほうがいいのではないかと私などは思っております。

    これは私の意見でございます。

○神野部会長

    では、森戸委員、どうぞ。

○森戸委員

    ありがとうございます。

    先ほど原委員が最初におっしゃった点は、私、企業年金部会のほうの委員でもありますので、言わずもがなですけれども、公私年金の連携の視点というのは、年金部会のほうでも持たなければいけないというのは私もそういうように思うということを一言申し上げておきます。

    私のコメントというか質問は大分細かい話になって恐縮なのですが、2つぐらいありまして、短時間労働者への被用者保険の適用拡大促進の資料の2ページのところに関係しますが、1つ目は事務局に質問ですが、今度の法案で500人より下のところも労使合意に基づき適用拡大の対象へということですが、適用になった後、適用を外してもらうための規制について、その中身を一応確認させてください。その趣旨です。それが質問の1点目です。

    2つ目は、質問とコメントがまざったような話ですが、まさに労使合意で500人以下でも拡大適用ができますよということですが、法案として、あるいは政策として労使合意は労使合意なので労使自治なので、それは労使で決めてくださいということだと思うのですが、その政策あるいは法案の考え方として、労使合意を促すようなことが考えられているのか、あるいは今後何か労使合意できればしていきましょうみたいなことが宣伝というか、そういう啓発みたいなものがあるのか。むしろそれは労使にとって余計なお世話だから、そういうものはしないという趣旨の法案なのかということがお聞きしたいことです。

    この28年10月からの既に決まっている話は、※印がついていて、3年以内に検討を加えて必要な措置とかというのは、多分私の理解では、既に決まっている分についているものなので、今後、恐らく500人以下の部分が労使合意が結構なされましたとか、全然なされませんとか、そういう調査というか追跡調査みたいなものは恐らく部会とかにも報告していただけるのかなと思うのですけれども、それ自体も重要なフォローアップだと思うのですが、それを超えてというのですか、2ページの資料の一番下にある※印も多分28年10月以降のことを見て就業調整を防ぎというような話だから、労使合意についてどういうスタンスでこれはできている法案なのかというのをお伺いしたいということが2点目です。

    以上です。

○神野部会長

    2点、事務局、どうぞ。

○年金課長

    まず1点目は、労使合意によって適用拡大した後、その適用をやめるという場合の手続の話でありますが、これは条文上明らかにしておりまして、適用していくときには、過半数を代表する労働組合との合意、あるいは過半数の方との従業員との合意ということで、半分で合意が適用になるわけでありますが、仮にそれをやめるといった場合には、やはり労働者の保護の観点からも、そこはハードルを1点高くすべきだろうということで、4分の3の同意が必要だということでハードルが高くなっているところでございます。

    労使合意を促すことはどうなのかということでありますが、これは法案が通ってからということになりますけれども、500人以下の企業のほうにも、これはきちんとお知らせをしていく。こういうような制度ができているということ。また、それに合わせて、以前12月のときにも御説明いたしましたけれども、キャリアアップ助成金という助成金も出しながら、そういったような人材獲得に意欲的な事業主の背中を押すような施策も用意しているところでございます。

    また、関係団体にもいろいろ御相談をしながら、これは広く周知をしていくべき話だろうと考えているところでございまして、その詳細につきましては、引き続き検討していきたいと思っています。

○神野部会長

    よろしいですか。

    ほかはいかがでございますか。

○武田委員

    どうもありがとうございます。

    まず、取りまとめ及び御説明いただきまして、どうもありがとうございました。

    私からはコメント2点でございます。

    1点目は、年金額の改定のルールに関してでございますが、確かに今回マクロ経済スライドについて将来世代の給付水準確保に向けて、一定の工夫が加えられたという点は評価できるとは思います。ただ、先ほど出口委員もおっしゃられたことですが、マクロ経済スライドが導入されても結局発動しない期間が長く続いてきたことで、今回もキャリーオーバーされた分が今後蓄積されてしまうということになれば結局調整がされずに時間が経過する可能性も否定できず、将来世代の給付水準への影響が出てくることが懸念されます。

    もちろん、日本経済がデフレから完全に脱却することが望ましい姿ではありますけれども、必ずしもそういう状況が実現するかはわからない中では、持続性の確保のために着実に機械的に発動するように、さらなる改革に向けて議論していくべきではないかと思います。その点では、先ほど山口委員がおっしゃられたように、名前を変えることによって、もう少し国民の理解が得られるということがあるならば、それは直ちに検討すべきではないかと思います。

    また、今回の改定には入っておりませんが、持続可能性という観点では、高所得者の年金給付のあり方及び年金課税のあり方についても、これまでの議論の中には入っていたと思いますので、その点についての議論は今後必要なのではないかと考えます。

    2点目として、短時間労働者への被用者保険の適用拡大についても、方向性としては、私は望ましいと思うのですが、共働き世帯が過半数以上になってからかなりの年数が経過していることなども踏まえますと、根本的に第3号被保険者制度自体を見直す時期に来ていると思います。

    出口委員のほか、何名かの委員がおっしゃられていましたけれども、他の項目に関してもスピード感を持って改革を進めていくことが重要なのではないかと感じましたので、コメントとして述べさせていただきました。

    以上です。

○神野部会長

    ありがとうございます。

    駒村委員、どうぞ。

○駒村委員

    少しおくれて来てしまったので確認したいことがあるのですが、いじわるなのかもしれませんが、1つ、キャリーオーバー分というのは、資料1の4ページに出てくるものなのですけれども、これはそういう状況になったら政府はやらなければいけないという理解で、当面政治状況でやりたくないからとめてしまいますというようなことはなくて、恣意性はない。つまり、自動的にその条件がそろえばやりますねということなのですというのが1個目です。質問です。

    2つ目が、山口先生も今もまさにコメントをいただいたところですが、名前です。私もそう思っておりまして、マクロ経済スライド分の未調整部分をキャリーオーバーするという説明は国民がわかるかなという話になりますので、これはやはりもっと直感的に説明する工夫をしておかないと、マクロ経済スライドがまずわかりにくいので、そこの未調整分をさらにキャリーオーバー分するというのは何なのだろうと。キャリーオーバーはもしかしたら年配の方はわからないかもしれませんので、わかりやすく説明されたほうがいいのではないか。それはマクロ経済スライドという言葉も考えなければいけないのかなと思います。

    キャリーオーバー分については平成30年4月からの施行ということになるのですけれども、次の財政検証が2018年になるのでしょうか。そうすると、キャリーオーバー分がどういう影響を与えているかというのは恐らく確認できないのですが、これは今までの議論にもありましたように、たまっていってしまうということによって、財政検証のときに問題になったときになる可能性もあるので、キャリーオーバーがあるからということで逃げ込まない。本来は完全調整があるべき姿であるのだというのは、キャリーオーバーがあるからあるからというようにたまっている分を財政検証のときのたびに放置していくのではなくて、やはりキャリーオーバーでもなかなか景気回復が来ないので、未来世代にどんどんツケを回されているということはちゃんと見える化して、場合によってはそこに逃げ込まない。それがあるからというので言いわけにならないようにしておかなければいけないのかなと思います。

    以上です。

○神野部会長

    ありがとうございました。

    質問は1つですね。どうぞ。

○年金課長

    キャリーオーバー分の調整の仕方についてでありますけれども、非常に難しい条文でございますけれども、これをごらんいただきますと、一定のルールのもとに当然発動するような、未調整分があった場合にはそこも含めて調整していく。ただし、もちろん名目下限は守りますけれども、そのような法律として今回提出しております。

○神野部会長

    ほかはよろしいですか。

    菊池委員、どうぞ。

○菊池委員

    今の駒村委員の続きで、1点確認させていただきたいのですけれども、2000年からの3年間にわたって自動物価スライドの据え置きがなされて、結局それを本来の水準に戻す改正を行ったのですが、今回のキャリーオーバー分の位置づけというか、本来やるべき法律上のたてつけというか、まだ条文は見ていないのですが、本来やるべきものをやっていないということなのか。その辺の原則はどうなっているのでしょうか。つまり、以前のように、また3年連続で据え置いた分を本来の分に戻すというような議論になり得るような性格のものなのかどうかということです。

○神野部会長

    よろしいですか。

    どうぞ。

○年金課長

    これは法律上は、キャリーオーバー分は特別調整率なる文言で規定されているのですけれども、これは例の特例水準のような、本来のものがあって特例水準があるというような性格のものではなくて、ニュートラルに例年の調整をしなければいけないもの、それと過去からの持ち越し分、特別調整率というものを順番に引いていきますよというような構造になっておりまして、そこには特別とか普通だとかということではなくて、そこはもう通常のルールとしてやるというような形で法律上、規定しております。

○神野部会長

    よろしいですか。

    それでは、どうもありがとうございました。御質問とともに、さまざまな観点から感想、コメントあるいは御意見などを頂戴いたしましたので、厚生労働省におかれては、今後の業務遂行上の参照等々にしていただければと考えております。

    それでは、今後の予定について、事務局から御報告いただけますか。

○総務課長

    きょうの法案の御説明をもって、財政検証の前の年からずっと継続的に御議論いただいてきた内容については、一区切りになるのではないかと思います。次回の開催日程につきましては、また開催の必要が生じたときにお願いしたいと思っておりますので、その点については、追って御連絡をさせていただきたいと思います。どうもありがとうございます。

○神野部会長

    どうもありがとうございました。

    それでは、本日の審議はこれにて終了いたします。最後まで御熱心に審議を重ねていただきました点に深く感謝を申し上げる次第でございます。どうもありがとうございました。

 

(了)