07/09/05 社会保障審議会年金部会
第5回議事
日 時:平成19年9月5日(水)13:00~15:00
場 所:厚生労働省9階「省議室」
出席委員:稲上部会長、渡辺部会長代理、
稲垣委員、今井委員、江口委員、小島委員、権丈委員、杉山委員、都村委員、
中名生委員、西沢委員、林委員、
宮武委員、山口委員、山崎委員、米澤委員
○岡田総務課長
これより「社会保障審議会年金部会」を開催させていただきたいと思います。
本日は、岡本委員が御欠席の予定でございます。樋口委員、それから権丈委員と小島委員が若干遅れておられるという状況でございます。
委員の皆様方には、本日、御多忙のところ、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
最初に、前回の部会以降、厚生労働省及び社会保険庁の人事の異動がございましたので、議事に入ります前に新任の幹部の御紹介をさせていただきます。
社会保険庁運営部長の石井でございます。
年金局年金課長の塚本でございます。
首席年金数理官の村山でございます。
大臣官房参事官、資金運用担当参事官の板谷でございます。
社会保険庁運営部企画課長の鈴木でございます。
社会保険庁運営部年金保険課長の福本でございます。
社会保険庁運営部年金保険課国民年金事業室長の西田でございます。
続きまして、資料を簡単に御確認させていただければと思います。
本日の議事次第、それから座席表、委員名簿がござい ます。その後に配布資料として一覧表を1つ乗せさせていただいております。
資料1として、予算の概算要求の主要事項。
税制改正要望が資料2でございます。
資料3として、年金積立金の運用結果。
4として、厚生年金・国民年金の収支決算。
資料5は横書きですが、国民年金の収納率の資料でございます。
6も横の資料でございますが、基礎年金国庫負担の引上げとその道筋という資料。
資料7-1でございますが、被用者年金一元化法案の概要。
7-2は横ですが、被用者年金一元化による財政試算について。
資料8としまして、資金運用専門委員会の設置について。
資料9といたしまして、年金記録問題への対応。
資料10といたしまして、厚生年金基金における年金記録の問題。
資料11として、企業年金研究会の報告書でございます。
もし御不足があれば事務局にお申し出ていただければと思います。
それでは、よろしくお願いいたします。
○稲上部会長
それでは、議事に入りたいと思います。
まず最初に、先日、平成20年度予算概算要求や平成18年度の厚生年金・国民年金の収支決算などが発表されましたので、その概要につきまして事務局から御説明をいただきたいと思います。
○岡田総務課長
それでは、私の方から、概算要求と税制改正、それから積立金の運用結果について、資料1~3までを簡単に御説明させていただきたいと思います。
まず、20年度の概算要求の内容でございますが、省全体で総括1という表をごらんいただきたいと思うんですが、厚生労働省の平成20年度の予算の全体の要求でございますが、一般会計の予算としまして、20年度22兆1,604億円というような要求になっております。
このうち、年金の関係の予算につきましては、33ページをお開きいただきたいと思います。
33ページの一番上でございますが「3 持続可能で安心できる年金制度の構築」ということで、年金給付費の国庫負担、7兆2,974億円ということで要求させていただいております。
これは、19年度に基礎年金個々負担を3分の1プラス1,000分の32という率で国庫負担を決めましたけれども、それのベースで計算して、20年度の予算を現段階で要求しているところでございます。
その下の最初の※印にございますが、平成20年度における基礎年金国庫負担の割合については、今後、予算の編成過程、年末の予算編成過程において検討するということで、決められているところでございます。
以上が予算の主要な内容でございます。
資料2でございますが、厚生労働省の税制改正の要望項目でございます。10ページをごらんいただきたいと思います。
10ページの第6の項目の中の(5)でございますが、平成21年度までに基礎年金国庫負担を2分の1に引き上げるということにされている関係で、そのために必要な税制上の整備について要求をさせていただいております。
(6)、企業年金関係でございますが、積立金に対する特別法人税、現在、19年度まで凍結されているわけですが、それにつきまして、20年度は撤廃をお願いするというような要望を出させていただいております。
11ページでございます。(7)、(8)、(9)と企業年金関係の要望でございますが、(7)は、いわゆるマッチング拠出というふうに呼ばれていますが、企業の負担に合わせて個人が拠出する場合も、そのかけ金を所得控除を適用するというような税制改正の要望とさせていただいております。
(8)、(9)は、個人型の確定拠出年金についての所得控除の要望をさせていただいているところでございます。
(10)として、適格退職年金から厚生年金基金、確定給付企業年金に移る際に、過去勤務債務償還が現在、3年~20年という形で償還できますが、これについて一括して償還を認めていただくというような要望を出しているところでございます。
以上が、主に税制改正は企業年金の項目が多いわけですが、以上が年金関係の税制改正の項目でございます。
資料3でございますが、平成18年の年金積立金の運用結果でございます。これは、時価ベースでの運用結果でございますが、まず、1としまして、年金積立金管理運用独法における収益状況を整理させていただいています。
(1)にありますように、市場で運用させていただいていますものにつきまして、3兆6,404億円の収益というふうになっています。収益率といたしまして、4.75%でございます。
それから、引き受けております財投債での収益は3,042億ということでございまして、運用手数料、それから年金福祉事業団時代に借入金をしまして、それで運用に回しているわけですが、そのときの借入金に対する借入れ利息として1,747億を支払ったということを全体で差し引きまして、トータルでは3兆7,608億というのが年金積立金管理運用独法での運用収益の状況出ございます。
参考までに、13年度から18年度までの累計の運用の状況をお示しさせていただいています。
大変細かくて恐縮でございますが、注2に書いてございますが、累積収入のうち、一部を特別会計の納付金として納めております。これにつきまして、18年度には約2兆円弱、1兆9,611億円を独法から特別会計の方に納付金として納めているということでございます。
2.でございますが、独法で運用している以外に財投融資資金として預託をしている部分がございます。それが2.の2つ目の○でございますが、そこの預託金からの収益が8,061億でございまして、それも含めまして、全体として年金積立金の全体の運用収益は、4兆5,669億円となっているところでございます。
以上でございます。
○福本庁・年金保険課長
社会保険庁の年金保険課長でございます。資料4について御説明をいたしたいと思います。
厚生年金・国民年金の平成18年度の決算状況でございます。1ページ目にエッセンスを書いてあります。
まず、1つ目の○でありますけれども、収支決算であります。単年度の収支決算状況ですが、厚生年金は、1兆1,021億円の収支じりでございまして、歳入が超過でございます。黒字ということでございます。
それに対して国民年金の方ですけれども、1,194億円、歳出が参入を超過しておるという収支じりになっておりまして、赤字ということになります。
3つ目の○で積立金の状況について書いてございます。
厚生年金の積立金は、130兆980億円、国民年金は8兆7,660億円、これが簿価ベースでの数字でございます。
時価ベースの積立金につきましては、その下でありますけれども、厚生年金で139兆7,509億円、国民年金で9兆3,828億円という数字になっております。
資料をめくっていただきまして、4ページに、厚生年金の18年度の収支決算の各科目の状況が出ております。
ポイントとなる収支科目について御説明したいと思いますが、まず、歳入でありますけれども、厚生年金の保険料収入が20兆9,835億、それに対して、その下、一般会計への繰入れ、これは基礎年金拠出金への国庫負担分でございます。4兆8,000億。
ずっと行きまして、下の方に積立金より受入れと言う部分がございます3兆4,167億円、これが積立金の取り崩しという分でございます。財政再計算の中で、財政計画上、積立金を取り崩して支出に当てるという計画をしておりまして、決算上、こういう数字になっております。
その下にあります年金積立金管理運用独立行政法人納付金、これはいわゆる市場運用の運用益からその一部を国庫に納付する部分として計上したものでございまして、歳入決算額として1兆8,000億円ということになります。
それに対して歳出ですけれども、保険給付費、これは厚生年金の2階部分の給付に要する費用として22兆円。国民年金特別会計への繰入れ、これは基礎年金の拠出金として支出するものでございますその結果、下の方に歳入・歳出差引残、1兆1,021億円、先ほど御説明した収支じりの黒字の数字が出ておりまして、その下に年度末の積立金の額及び右の方、前年度に対して積立金の変動の数字が書いておりますけれども、2兆3,000億円積立金を取り崩したという数字でございます。 これが、厚生年金の運用に関しての簿価ベースの数字です。
5ページは、厚生年金の運用に関する時価ベースの数字が書いてございます。運用収入及び積立金について、括弧書きで書いた数字が時価ベースの数字ということでございます。
6ページは、国民年金の収支決算の状況でございます。国民年金の収支決算の中で、まず、歳入ですけれども、保険料収入が18年度決算額1兆9,000億円ということになっております。
その下にありますのは、先ほどと同じく、基礎年金拠出金に対する国庫負担をここから歳入として受け入れる部分が1兆7,000億円。積立金の取り崩しが国民年金についてもございます。積立金より受入れが2,800億円、市場運用の運用益からの納付金が1,358億円、これらが歳入でございます。
下側の歳出ですが、国民年金の給付金、これは旧法の国民年金の給付を国民年金勘定からする部分ですけれども、その部分と、基礎年金勘定に繰入れて、基礎年金として給付に当てる部分がございまして、下の方、歳入・歳出差引残で1,194億円の赤字というのが単年度の収支じりでございます。
その下に、年度末積立金の数字があり、積立金17年度決算額に対して、18年度決算額、右の方に差引で3,853億円積立金が簿価ベースで減しているという数字でございます。
7ページは、同じく国民年金の時価ベースでの運用の状況及び年度末の積立金を括弧書きで示したものでございます。
続きまして、資料5の御説明をしたいと思います。
国民年金のいわゆる納付率に関する数字の状況及び事業運営状況についての御説明ございます。
まず、1ページですが、平成18年度の国民年金の納付率等に関する数字データでありますが、1ページは、公的年金全体の加入者の状況、その中での国民年金の状況を表わしております。
図の左の方、第1号被保険者、国民年金の被保険者の数字でありまして、そのうち、ブルーの部分、未納者が322万人という数字であり、左の方の端に第1号の未加入者、国民年金に加入していない部分の数字として18万人、トータルで340万人、未加入者及 び未納者の数字が340万人というのが18年度の状況でございます。
この全体、公的年金加入者1号、2号、それから3号を合わせた数字に対して見たものが上の四角の下の方、※印で出ておりますけれども、公的年金全体の中から見ますと、未納者及び未加入者の340万人は4.8%の数字に当たるというものでございます。
2ページにまいりまして、公的年金制度、これは国民年金の話でありますが、その国民年金の中での未加入者、未納者の数の年次推移を表わしたものでございます。
黄色の部分、これは未納者の数、それから、赤の部分は、未加入者の数でございます。平成9年度以降、18年度に至るまで、まず、未加入者の数については、見ていただいてわかりますように、減少ということで推移いたしています。
それに対して、未納者の数でありますけれども、平成15年度まで未納者の数が増え、15年度以降、18年度に向けて未納者の数は減少しておるというのが年次推移でございます。
続きまして、3ページでございますけれども、国民年金保険料の納付率について見た数字、その年次推移でございます。
左の方にグラフがございます。このグラフの高い方の帯でありますけれども、これが納付対象月数であります。国民年金の保険料のグラフで高い方、これが納付対象月で納めるべき月数が出ております。
それに対して、低い方のグラフは、実際に納付された月数でございます。その納付された月数を納付すべき月数で割りましたものが納付率でありまして、折れ線グラフ、これが納付率ということで出ております。
直近18年度の納付率は、66.3%という数字でございます。右の方に四角で書きました、66.3%。
過去を振り返ってみますと、平成17年度は67.1%でございましたから、平成18年度は0.8ポイント下がっているという状況でございます。それら更にさかのぼりまして、16年、15年と折れ線グラフが上がっている状況でございます。
右の方の端ですけれども、更に見たものとして、18年度分の保険料66.3というのは、先ほどの説明でございまして、17年度分の保険料、グラフに出ております保険料の納付率は67.1%でありますけ、その右、18年度に70.7%というふうに出ておりますのは、これは過年度分も含めてどれぐらい納まったかという数字でございます。
国民年金の保険料は、2年間納めることができる、あるいは徴収することができるということになっておりますので、17年度分の保険料について、18年度までの状況で見ますと、70.7%、同じく16年度分の保険料は、18年度の実績としては68.2%というのが納付率でございます。2年間続けて、最終的な姿として見たときには、大体7割ぐらいの納付率というところまで至っているということでございます。
これに対して、一番下にありますのは、納付の目標であります。19年度の目標として80%を納付率の目標とするということを平成15年に掲げてやってまいりました。
その間、16年、17年、18年ということで目標値を定めておりまして、平成18年度の目標値としては、74.5%であったところが、実績としては66.3%という数字であったということを示しておるものでございます。
19年度の目標としての80%という数字ですけれども、これは3ページの左の方に、平成9年度のところに○を付けた数字がございます。
79.6%折れ線グラフの中に入ってございます。これが平成9年度の実績としての数字でございまして、これを平成15年に立てました目標で、将来的な目標として80%、これを目安にしようと、ここまでは戻していこうということで立てたものでございまして、平成9年度の79.6%という数字は、下の方にグラフの中に、国民年金に関わる事象を書いておりますけれども、その真ん中辺りに「手帳送付による職権適用開始」という数字がございます。
これは、国民年金が未加入である人に対して、20歳に到達した段階で勧誘をしていく。
従来届け出だったものを職権的に適用することによって、未加入者を加入者に転じていくという政策を打ちまして、この平成9年度には、ほぼ強制適用というのが完成した、その時点での実績数字が79.6は%であった。これを80%の目標にしようというふうに考えたわけでございます。
続きまして、4ページでありますけれども、今、申し上げました過去の数字あるいは80%という目標値についての評価あるいは考え方を書いてございます。
上の方に折れ線グラフがございます。一番上の折れ線のラインは、先ほど見ていただいた数字と同じでありまして、右の方66.3、これが18年度の実績としての納付率でありますけれども、その下に2つグラフが書いてあります。これは、実際の納付率を修正した納付率ということで書いている数字ですけれども、この意味合いですが、右の方に2つございます。
まず、平成9年度以降の、先ほど申し上げました、平成9年度に完成した適用という状況を見たときに、すべての市町村において、未加入者を加入者に転じたのが平成9年でございます。実際には、その数字は下の方に棒グラフで出ております。これがそれぞれの時点未加入者の数字でございます。
ところが、過去の未加入者に関しては、強制的に適用していくということをしておりませんでしたので、これを見ておわかりいただけますように、未加入者の数が非常に多いものを、その後、未加入を加入の状態にして納付すべきという状況において、納付に努めていくということにしたわけでございます。
未加入者のままでありますと、行政上は納付すべき対象者として認識をいたしませんし、納付率を計算いたしますときの分母の数字に入ってこないということになります。
この部分を減少させていったということと、それからもう一つ、右の(2)の数字は免除の話であります。保険料を納めなくていい、免除ということをいたしますと、これも全額を納めなければならないという分母の納付率を計算いたしますと、分母の数字から落ちることになります。
平成13年度以前は、市町村が国民年金の納付事務を行っておりました。平成14年度からは、社会保険事務所が国民年金の納付事務を行うということになりましたけれども、その際、平成13年度以前、市町村が事務を行っていた際には、免除の基準について、特例の免除と書いておりますけれども、裁量の幅が自治体でございます。自治体において裁量の幅がありまして、国に業務移管をいたしましたときに、一律に免除基準を整理して、そのことによって、結果として免除基準が厳しくなりました。免除対象者というものが減少いたしました。こういう2つの事象がございます。
それを3つ目の右の方の○ですけれども、未加入者が本来加入していたとすれば、現在のと同じように、納付対象者として認識を過去もしていたとすれば、それから特例免除について、現在と同じような基準であったとすれば、未加入者数あるいは特例免除者数というものが真ん中の注で書いておりますように、分母に入ってまいります。過去の分がそういうふうになります。
それを分母に加えまして、過去の納付率について修正してみたものが左の折れ線グラフの上から2つ目の線及び3つ目の線ということになります。折れ線グラフの上から2つ目の線及び3つ目の線ということになります。折れ線グラフの上から2つ目の線は、未加入者を考慮した修正納付率、3つ目の線は、特例免除の分も考慮して修正をした免除率ということでございまして、現在と過去を比較するためには、こういう政策上の変更というものがございましたので、それを統一をして見れば、過去もこういう数字であったということになります。
それに基づきまして、平成9年度の数字としては、折れ線グラフの下の方の3つ目のラインでは69.9というのが納付率ということでありましたし、その前の過去を見た段階でも80%ということには実際は至っていなかったということが、これを見て取れるわけでございます。
こういうような状況ではありますけれども、先ほど申し上げましたように、我々行政の中では目標数字として80%納付率というものを目標にし、やってきておりましたし、今後も80%を目標に納付率の向上をいたしたいと思っております。
5ページ以降、収納についての実際の事業の状況及び実績数字であります。5ページは平成18年度の取組み状況について示した全体の収納対策の図でございます。
左の方には、国民年金の保険料を納めやすくする環境づくりに努めるということで、口座振替の推進でありますとか、コンビニエンスストアでの納付というような制度を導入いたしまして、こういう数字の実績を上げております。
それでも、なお未納になる場合、真ん中の方にございますけれども、未納者である場合には、右の方に事務フローが流れていきますけれども、市町村からの所得状況について、これは未納者のうち、次のステップに進みますときに、市町村の税当局から所得の情報がどういうものであったかというものを社会保険事務所の方でいただくというフレームを構築いたしました。平成16年からのことでございますけれども、それに基づいて、まずは強制徴収対象か免除の対象か納付督励対象かというものを振り分けをいたします。
強制徴収対象、これは所得の高い方については、強制徴収という形でステップを進めている。それに対して、所得が低い方については、下の方ですけれども、免除等の勧奨をすることによって整理をしていく。
残りましたところが真ん中の納付督励ということになります。実際の事務としては納付督励につきましては、右の方に流れていきますけれども、電話での催告あるいは文書による催告状あるいは個別訪問いたしましてのお願い、あるいは集合での呼び出し、こういうステップを経て、それでもなお納付をいただけないという場合には、右上でありますけれども、強制徴収という手続に進みます。
その実績数値を書いてございますけれども、平成18年度は、最終催告状、この次に強制徴収の法的な話に具体的に進んでいくということになりますけれども、最終催告状の発送件数として31万件、その後、納付等に結び付いた、全部あるいは一部の納付に結び付いたというのが、実は10万件ございます。
財産の差し押さえというところまでやりましたのが、1万1,000件ということでございます。
下の方には、今度は免除についての事柄を書いておりますけれども、免除については、幾つか制度的な変更をいたしまして、免除についてのこういうきめ細かな対応をすることによって免除監視をしていくことにしております。
免除と納付督励対象の真ん中には、社会保険事務所単位での行動計画を作成するということを書いておりまして、こういうフレームに基づきまして、個々の社会保険事務局あるいは社会保険事務所において計画を立てて、実施を行っておるということでございます。
6ページ以降は実績の数字であります。18年度の実施状況として、行動計画に基づく取組み状況ですけれども、これを見ていただきますと、右の方の数字、18年度納付率が17年度と比べて下がっているということですけれども、電話督励でありますとか、個別訪問でありますとか、そういう具体的な行動が前年に比べて実績が低かったということが見て取れます。
その理由といたしまして、6ページの真ん中に取組み状況と書いてございますけれども、平成18年度には、免除等の不適正事例ということがございました。これを適正に処理をし直すという作業が発生しまして、その結果、通常の保険料の徴収事務というものがなかなかできなかったということがございます。こういうことが実績、数字として表れて、納付率の低下ということになっているのではないかと我々としては考えておるところでございます。
最後に8ページでございますけれども、19年度、収納対策としては、5つの柱に分けまして、先ほど申し上げましたような、所得情報というものを市町村からいただくということでありますけれども、できるだけ早く、これは毎年毎年いただくことになりますが、市町村の方からできるだけ早くその情報を入手して、具体的なアクションに結び付けられるようにするということでありますとか、それから2番目で、未納者の属性に応じて対策を展開するということ、あるいは強制徴収について更に実行を上げていくこと等々の柱を立てまして、19年度の対策を講じておるというところでございます。
以上でございます。
○稲上部会長
引き続きまして、基礎年金の国庫負担引上げ問題のことにつきまして、
併せて事務局から御説明いただけますでしょうか。
○岡田総務課長
お手元の資料6で,基礎年金国庫負担引上げの問題につきまして、現状を御説明させていただきたいと思います。
御承知のとおり、この表にありますが、平成16年度以前は基礎年金の国庫負担は3分の1でございました。16年度の改正におきまして、21年までには2分の1に引き上げる。
その間に段階的に国庫負担を引き上げていくというような形にされたわけですが、16年と17年につきまして、年金課税、公的年金控除の見直しなど、年金課税の適正化による増収分を基礎年金国庫負担の引き上げに充当させていただいております。
それから、17、18、19につきまして、定率減税の縮減廃止に伴います増収部分の一部を基礎年金国庫負担に充当させていただいておりまして、結果としまして、19年度以降でございますが、3分の1プラス1,000分の32という数字で、19年度のところに少し青い字で書いてありますが、現在の国庫負担の割合は36.5%になっているところでございます。
先ほどの20年度の予算要求につきまして36.5をベースにして要求させていただいているところでございます。
20年度についてどういう扱いにするかにつきまして、年末の予算編成に向けて、今後議論されていくということでございます。
次のページをごらんいただきたいと思います。先ほど21年度までに2分の1に引き上げるということで申し上げましたけれども、平成16年の改正におきまして、基礎年金の国庫負担関係の規定がどういうふうになっているのかを整理したものが、この2ページの表でございます。
一番上は、国民年金法の本則でございますが、本則では第85条でございますが、赤字で書いてありますように、本則では国庫負担を2分の1という形で規定をさせていただいております。
それを16年改正附則、真ん中の段でございますが、附則の13条で19年度から別に法律で定める年度、これを特定年度と呼んでおりますが、その年度の前年度までにつきましては、2分の1に相当する額というのが、先ほどの3分の1に1,000分の32を加えた率を乗じて得た額ということで規定されておりまして、19年度の国庫負担は、この法律に基づいてこの規定で国庫負担が行われているということでございます。
更に、16年改正法の16条でございますが、特定年度につきましては、下の方でございますが、所要の安定した財源を確保する税制の抜本的な改革を行った上で、平成21年度までの間のいずれかの年度を定めるものとされておりまして、21年度までに、いつから2分の1を引き上げるのかというのを法律で定める必要があるというような条文になっているという状況でございます。
3ページ目は、16年以降の与党、自民党と公明党におけます税制改正の大綱の関係部分を抜粋したものでございますが、19年度の税制改正大綱におきまして、一番下でございますが、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現すべき取り組んでいくということが大綱の中に盛り込まれておりまして、今後、年末の予算編成、税制改正に向けて議論が行われるものだというふうに考えております。
4ページでございますが、基礎年金国庫負担を現状の水準から2分の1に引き上げるまでにどれぐらいの所要額が必要かという見通しを整理したものでございますが、21年度の数字の一番下でございますが、この数字が現在の3分の1プラス1,000分の32から2分の1への引き上げに要する費用が21年度で約2.5兆円必要だというような試算をしているところでございます。
以上でございます。
○稲上部会長
どうもありがとうございました。お聞きのように、素材が3つほどにまたがっておりますが、平成20年度の概算要求に関わりますこと。平成18年度の厚生年金国民年金の収支決算等に関わりますこと。それと、今、御説明がございました基礎年金の国庫負担引上げ問題についての御説明をいただきました。
それで、ただいまの御説明につきまして、いろいろ御質問あるいは御意見がおありかと思いますので、お願いをしたいと思います。
○小島委員
私の方からとりあえず口火を切るということで、2点ほどあります。1つは質問、1つは意見ということになります。
1つ、概算要求の関連ですけれども、資料1の後ろから3枚目になりますが、参考というところに書いています「重点施策推進要望事項」。その中の5番目に「社会保障の情報化」、社会保障カードの導入検討で2兆4,000億円という予算が計上されていますけれども、これもたしか7月にまとめられた政府与党の年金記録への対応方針の中で示された社会保障カードの導入検討ということで、今年度中に結論を得るという、たしかそういう表現だったと思いますけれども、言わば「骨太方針」にも書かれていましたけれども、これは今後どこの側で検討をされるのかということです。たしか昨年は社会保障番号に関する関係省庁連絡会議というのがありますけれども、今回の厚労省予算に計上しているということは、厚労省内で検討されるということなのか。そのための特別の検討会というか、そういうものを立ち上げているのか。これはわかればの話で、それが1つ質問です。
もう一つは、国民年金の保険料の納付率の点です。先ほど御説明がありまして、18年度は納付率66.3%で、前年度から0.8ほどダウンしているということで、19年度の80%目標は極めて厳しい状況だと思いますけれども、今、御説明があったように、その理由としては幾つかあった、免除の不適切処理といったような問題もあったという事情もあったと思いますけれども、残された1年の中で、最大限ここは目標について到達するまで当面のところは努力をしてもらうしかないんだろうと思います。そこは社会保険庁の皆さんには、ぜひ当初想定した目標まで最大限努力してもらうということで、ここは要望ということで、とりあえず2つほど意見と質問ということです。
○岡田総務課長
最初の社会保障カードでございますが、私も十分承知しておりませんが、省内の担当は社会保障担当の政策統括官の下に担当の組織が設けられて検討が進められるというふうに承知しております。
○福本庁・年金保険課長
納付率の関係ですけれども、先ほど御説明いたしましたような状況ではございますけれども、平成19年度、御説明しましたように、今までの対策の中で具体的にどういうふうにきめ細かく効率的にしていけばいいかというのがある程度見えてきているところもございます。19年度はそれに沿って、できるだけ努力をしてまいりたいと思ってございます。
○稲上部会長
ほかにございますか。どうぞ。
○江口委員
基礎年金国庫負担の引上げについてでありますけれども、先ほど御説明がありましたように、21年度ベースで2.5兆円の2分の1引上げという問題であります。
これについては、率直に申し上げまして、先の参議院選の結果、参議院において与野党が逆転をしたというようなことで、報道によりますと、税制の抜本改正等が非常に困難になったというようなことが言われておりますが、やはり前回改正で3分の1を2分の1に引き上げると決めたのは、国全体としてある意味では約束をしていることであります。これは厚生労働省だけにお願いをするわけにはいかない問題ですが、前回改正は当然、年金審議会でも議論しておりますので、私としては、まず2分の1の目標を確実に達成するということについて、政府全体として固い決意で取り組むべきではないかと思います。それについては、実は年金審議会も人ごとというわけにはいかないのではないだろうかと思っておりまして、ぜひそういった姿勢で来年の税制改正等を含めて、今後の対応を御検討いただきたいと思います。
○稲上部会長
どうもありがとうございました。
○山崎委員
厚生年金・国民年金の資料4の収支決算の概要のところでございますが、ここの概要で出ている厚生年金の関係は、2ページを見ますと細かくいろいろと書いてあるのですが、2ページ目の(6)のところに、時価ベースの積立金が139兆7,509億円だったと。前年度から5,956億円減少。この数字というのは厚生年金基金の数字を含んでいないと思うのですけれども、含んだ場合はどんなことになっているかというのはわかりますかというのが1つ。
それから、参考のところを読んでいきますと、予想よりは減り方が少なかったというふうに書いてあるのですが、結構大きく振れているので、これはどういうような理由によっているのかといことがわかれば教えていただきたいと思います。
○稲上部会長
お願いいたします。
○山崎数理課長
年金局の数理課長でございます。最初の御質問でございます厚生年金基金の代行分を含めた数字ということでございますが、厚生年金基金の数字は、まとまるのにもう少し時間がかかりまして、例年、年金数理部会の席でそこも合わせたものと財政再計算の結果等を照合するというような形で発表させていただいておりまして、まだ数字の方はまとまっていないということでございます。
もう一点、積立金の方、2ページでございますが、時価ベースの積立金が5,956億円の減少ということに対しまして、参考のところにございます予定の数字に比べると、減少が少なかった、その要因ということでございますか。
○山崎委員
そうですね。
○山崎数理課長
こちらの方は、運用の見通しに比べまして、実際の運用の成果というものが大きかったということが主な要因で、思ったほど積立金は減少していないということになっているというふうに分析してございます。
○稲上部会長
ほかにございますでしょうか。
○西沢委員
意見と申しますか、江口委員の言われた後段については、私も賛成しています。国庫負担2分の1への引上げというのは、もう既に政府が何度も何度も約束してきたことですから、税制の抜本改革を行った上で2分の1に引き上げるというのを保護にするということはできないわけで、ただ、年金部会として何をするのかというのは私はよくわかりませんけれども、私も委員の一人として、江口委員の後段の御意見には賛意を表して、皆さんはどう思っているかよくわかりませんけれども、私はそういう意見です。
○稲上部会長
ありがとうございます。
ただいまの点でも結構ですが、御意見ございますか。あるいは御質問ございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、次の事案に進みたいと思いますが、被用者年金一元化法案に伴う財政影響につきまして、事務局から御説明をいただきたいと思います。どうぞお座りになってお話しください。
○山崎数理課長
年金局の数理課長でございます。恐縮ですが、座ったままで御説明させていただきます。
お手元の資料7―2でございますが、クリップで別紙が止まっておりますので、クリップを外していただきまして、資料7―2の1ページからでございますが、このたび被用者年金制度の一元化によります年金財政の影響につきまして、共済所管各省の御協力を得まして試算を行いましたので、御報告申し上げるところでございます。
まず、国会に提出されております一元化法案におきましては、将来の保険料につきまして、共済年金の1・2階部分の保険料率を今後引き上げて、将来的に厚生年金の保険料率に統一するということとなっております。
また、一元化時点におきまして、共済年金の1・2階部分の積立金が厚生年金と同じ積立て比率となるように仕分けを行うということになっているわけでございます。
一元化の後は、この保険料と積立金に基きまして、公務員、私学を含む新たな厚生年金につきまして、財政検証が行われまして、将来の人口経済についての前提の下で、年金財政が長期的に均衡するように将来の給付水準が決まってくるという仕組みになるわけでございます。
今般の試算に当たりましては、人口・経済の前提といたしましては、今年の2月に発表いたしました暫定試算、これをベースといたしまして、新人口推計、それで経済前提の基本ケースというものに準拠して試算を行ったところでございます。
2ページは参考といたしまして、保険料水準の統一スケジュール、これは従来から出ているものでございますが、こちらを掲げてございますので、こちらは今回御説明は省略させていただきます。
3ページでございますが、試算の結果ということでございますが、まず、共済年金を含まない一元化前の厚生年金、これをここでは便宜上、旧厚生年金と呼ぶことにいたしてございますが、暫定試算のベースでは、仮に旧厚生年金が将来にわたって単独で財政運営を行っていく、言わば一元化しないというふうに仮定いたしますと、2026年度までマクロスライドを継続していって、所得代替率が51.6%、これが暫定試算ベースの数字ということになるわけでございますが、矢印の下にございますように、公務員共済・私学共済を含む一元化後の新たな厚生年金におきましては、同様の前提で算出した場合の所得代替率は、51.8%になる。0.2%上昇するという見込みとなるところでございます。
下の※印にございますように、現在、基礎年金勘定に置かれております60年改正前の、いわゆる任意加入の妻分の積立金、これが一元化後は年金財政に組み込まれるということも、この試算には織り込まれているところでございます。
4ページでございますが、こちらは一元化前の各制度が将来にわたって、単独で財政運営を行うというふうに仮想した場合を考えることによりまして、一元化の財政影響を分析するということで、今の結果をもう少し分析してみるという資料でございます。
まず、一番左の欄の旧厚生年金でございますが、こちらが単独で財政運営を行いました場合には、所得代替率は51.6%で2100年度までの財政が均衡する。そういう意味では、2100年度における積立度合、支出の1年分の積立金を持つということで、それが170兆円という見込みになるわけでございます。
旧厚生年金につきまして、財政が均衡いたします給付水準、この51.6%という給付水準に、給付水準を合わせまして、一元化に伴いまして、将来に向かって18.3%まで引き上げられる共済の保険料率、それから1・2階共通財源に仕分けられた積立金、これに基いてそれぞれ共済年金が単独で財政運営を行うと仮想した場合に、2100年度でどういう積立て水準になるかというものを示したのが、上の欄でございまして、公務員共済で申しますと、平成21年度末で、28兆円と仕分けられた積立金をベースといたしまして、18.3まで引き上げられた保険料率に基いて、単独で財政運営を行って、51.6%の給付水準といたしますと、2100年度には支出の5.7年分の積立金、146兆円の積立金が見込まれるということになるわけでございます。
同様に、私立学校共済につきまして、仕分けられた積立金1.7兆円と将来18.3%まで引き上げられる保険料率、これに基きまして、51.6%という所得代替率ということで、単独で財政運営を行うものと仮想いたしますと、2100年度における積立金は、支出の22.3年分に当たる、50兆円というふうに見込まれることになるわけでございます。
この三者を合計いたしました一元化後の新たな厚生年金の全体、これが一番右の欄の計でございますが、これについて見ますと、給付水準を51.6%ということにいたしました場合には、2100年度の初めにおきまして、支出の1.8年分に当たる、366兆円の積立金を保有する、こういう見込みになるわけでございます。
このように、旧厚生年金が単独で運営される場合と比べまして、一元化後の新たな厚生年金は、51.6%という同じ給付水準の下では、財政に一定の余裕が生じるということになるわけでございますが、その余裕分を原資といたしまして、逆に2100年度初の積立金が支出の1年分となるようにということで逆算しますと、給付水準を少し高くすることができるということになるわけでございまして、そうして逆算いたしますと、給付水準は0.2%高い51.8と見込まれる、こういう関係になるということでございます。
この分析と関連いたしまして、前回の部会で御要請のありました、各制度が単独で運営されると仮定した場合における将来の支出の現価、将来の支出の毎年の額を利回りで割り引いて一時金に換算したもの、それと保険料の現価、この両者の差というものとの比較で見たらどうかということで、御要請のあった資料、別紙ということで、クリップで止まっていた1枚の紙があるわけでございますが、こちらの方にまとめさせていただきましたが、この支出の現価と保険料の現価の差ということでございますが、これはこの差を積立金で埋められれば財政が均衡するというわけでございますので、その現価の差というものと、共通財源に仕分けられた積立金を比較するという観点での資料ということになるわけでございますが、ここでは支出といたしましては、国庫負担等を控除した保険料財源分の支出ということを用いまして、2100年度においては支出の1年分の積立金を持つ、その分の現価も支出現価に含めるということで比較するということにいたしますと、最終的な所得代替率51.6%ということで、そろえることによりまして、旧厚生年金の場合は、仕分け後の積立金、これは厚生年金基金分を含む積立金の推計額でございますが、これが166兆円、現価の差も166兆円ということでちょうど一致するということになります。
これは、そもそも旧厚生年金単独で見まして、財政が均衡する給付水準が51.6%ということでございますので、そもそもこれが一致するように、51.6%という水準で比べているということで、当然なわけでございますが、給付水準を51.6%にそろえまして、公務員共済につきまして、同様の計算を行うということをいたしますと、公務員共済について見ますと、現価の差というものが25兆円、これはすなわち将来18.3%まで引き上げられる保険料率と、旧厚生年金と同じ51.6%の給付水準というものを前提といたしますと、平成21年度末において、25兆円の積立金があれば、公務員共済単独で財政が均衡するという見通しだということになるわけでございます。
実際の仕分けた額の積立金の見込みは28兆円ということでございますので、その差額、(1)-(2)となってございますが、3.2兆円、これだけ51.6%という給付水準の下では、公務員共済単独では財政に余裕が生じるような形になるということになるわけでございます。
私学共済につきまして見ますと、この支出現価と保険料現価の差は0.4兆円ということでございまして、仕分け後の積立金、1.7兆円との差は、1.3兆円、こういう状況になっているということでございます。
このように、給付水準をそろえて、それぞれ単独で財政運営をすると仮定した場合におきまして、共済年金の方が旧厚生年金よりも財政に余裕を生じるという結果となるということの要因でございますが、これはさまざまな勤務形態の労働者の方が加入されている厚生年金と比較いたしまして、共済年金は長期間勤務される正規労働の方の比率が高いということによりまして、平均賃金が高いという要素、この影響が大きいものというふうに考えているところでございます。
それでは、別紙を離れまして、先ほどの資料の4ページに戻らせていただきまして、下の欄のところには、今、別紙で御説明いたしました数字を改めて掲げさせていただいているところでございます。
これは、各制度単独で運営すると仮定した場合におきまして、旧厚生年金について、長期的な年金財政が均衡する、51.6%という給付水準にそろえて比較をすると、共済年金は単独で見れば財政に余裕が生じることになるという結果を、上の欄は2100年度初における積立金の水準の比較という形で表示したもの。下の欄の方は、平成21年度末における仕分け後の積立金と支出現価と保険料現価の差を比較するという形で表示した、それぞれ表示の形は違いますが、そういうことを示した表という形に整理してございます。
なお、欄外の注1にございますが、今回の1・2階共通財源に積立金を仕分けした後に、共済年金に残ります共通財源以外の積立金の見込み額、これは公務員共済が20兆円、私学共済2.0兆円となっているところでございますが、これらの資金は、3階部分の過去期間分給付や保険料率を法定水準から軽減するための費用等に活用するということになっているところでございます。
続きまして、5ページでございますが、今までは一元化に伴う財政影響の分析という観点から、あたかも一元化前の各制度が給付水準をそろえつつ、独立して財政運営を行っているかのように仮想して財政状況を御説明してまいったわけでございますが、実際の法案に基く一元化制度におきましては、5ページのイメージ図にございますように、拠出金と交付金の仕組みによりまして、各運営主体間で毎年度資金のやりとりが行われるということになっているところでございます。
この拠出金・交付金の仕組みに基きます資金のやりとりを分析するに当たりましては、便宜状、旧厚生年金につきましても、イメージ図でございますと、一番上の点々線で書いてございますが、その給付総額を交付金というふうにみなしまして、あと、拠出金は案分して全体の給付費を負担するわけでございますが、これを共通のルールに基きまして、第1号厚生年金被保険者とございます、いわゆる旧厚生年金の分も拠出金に相当する額、点々線の部分でございますが、こちらを算定いたしまして、旧厚生年金も含めました各運営主体の間でやりとりされることとなる交付金と拠出金の差額というものに着目することが適当と考えられるところでございます。かつ、国共済と地共済はまとめて公務員グループということで、財政単位は一本化されておりますので、両者はまとめて見る。こういう考え方で、交付金と拠出金の差額というものがどうなるのかというものを弾いてみましたのが6ページのグラフでございます。
この試算におきましては、下の注のところに簡単に書いてございますが、拠出金の算定ルールにおきまして、激変緩和のために導入しております支出割というものを50%導入するという経過措置が、保険料率がそろうまでの17年間にわたって適用されるという前提を置いて試算を行っているところでございます。
このグラフの見方でございますが、交付金マイナス拠出金ということで、資金のやりとりの受け手になる場合がプラスで、グラフでいうと、真ん中の線より上、資金のやりとりの出し手になる場合がマイナスで、グラフでいうと、真ん中の線より下という見方をしていただくことになります。
この結果を見ますと、まず、一元化直後の2010年から最初の5年間ぐらいは、旧厚生年金、これがプラス側で資金の受け手側、公務員共済と私学共済がマイナス側で資金の出し手側という関係になるところでございますが、5年ほど経った後の2015年ぐらいから、およそ20年間ぐらいは旧厚生年金と公務員共済の関係が逆転いたしまして、旧厚生年金が資金の出し手側、公務員共済が資金の受け手側という関係になります。
このような現象が生じます要因といたしましては、公務員共済の加入者の年齢構成が、50台前半ぐらいにピークがあるという年齢構成でありまして、2020年ごろにかけまして、この集団が受給者となって給付を押し上げるということが見込まれるのに対しまして、旧厚生年金の年齢構成は、30歳台前半の団塊ジュニアのところにかなり大きいピークがあるということでございまして、この集団が受給者となって給付を押し上げるのが2040年以降ということでございますので、そのころまでは単年度の財政状況で見ますと、旧厚生年金の方が公務員共済よりも余裕のある時期が一時的に続くというふうに見込まれることが要因と考えております。
このような年齢構成の偏りの影響が消えてまいります2040年代以降につきまして見ますと、旧厚生年金はプラス側にあって資金の受け手、公務員共済はマイナス側にあって資金の出し手という関係にあるところでございます。
私学救済、点線でございますが、これにつきましては、おおむね2050年ごろまでは資金の出し手、その後、20年程度資金の受け手となり、その後は、ほぼ中立というような形になっております。
2100年までの全期間を押しなべてみますと、拠出・交付の仕組みで資金のやりとりをすることによりまして、特定の運営主体に積立金保有が偏らないような調整がなされるということでございます。
その状況を見ますために、7ページ、各主体別に見た積立比率の推移のグラフが此方でございますが、これによりますと、2040年ぐらいまで私学共済がやや積立て比率が高くなる状況でございますが、その後は、各運営主体の積立て比率はほぼそろった形で推移するということで、この拠出金・交付金の仕組みによりまして、積立金保有が偏らない形にされる見込みであるということが見てとれるところでございます。
御説明、以上でございます。
○稲上部会長
どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問あるいは御意見ございますか。
どうぞ。
○山口委員
前回の審議会で共済年金の仕分けについての議論がありまして、1・2階に相当する積立金の大きさきが小さいのではないかといったような意見も出ていたと思うのですが、今日お示しいただいた資料だと、財政的には、将来の予測としては、むしろ厚生年金よりも共済年金の方が財政的にゆとりがあるといいますか、そういう予測になっています。
その説明として、先ほど御説明があったのは、平均賃金が高いといったことが要因ではないかというお話だったわけですけれども、厚生年金の方はさまざまな働き方の人がおられるから、賃金のばらつきも大きい。したがって、平均賃金も低いということが考えられるわけでして、それに比べて、公務員共済などは相対的に賃金が高いと言われると、そうかなという気もするのですが、賃金が高いと、その分、基礎年金に対応する負担の部分が財政的にゆとりが出てくるということになると思います。前回の積立金の仕分けの議論でもそうだったのですが、もともと各制度の受給者と加入者の比率とか、あるいは保険料と給付の比率とか、そういった成熟度合いの違いといったようなものもあるのではないかといったような指摘もあったと思うのですが、今日の資料を拝見する限り、最後にお話しになった7ページの積立比率の推移などを拝見していますと、成熟度合いについても余り差がないといったようにも見える訳です。そうなると、先ほど御説明のあった共済側の方が財政状況に余裕があるという理由として、平均賃金の問題以外にどういったことが考えられるのでしょうか。
○山崎数理課長
6ページのところをもう一度見ていただきますと、成熟度ということで申しますと、やはり年齢構成の違いというようなものがそもそもございますので、成熟度はその年々のある意味で賦課方式的な財政状況ということでございますので、そういう意味では、共済組合も、今、年齢構成的にピークになっている部分の方々が受給者になられる時期に、そういう意味での成熟度が高くなる時期はあるわけでございますが、今後100年間見通していきますと、やはり平均賃金が高いというような要素の方が勝りまして、共済組合の方が財政状況がいいということで、なかなかきれいにどの分が幾らというふうな分解は難しいのでございますが、総合的に考えますと、やはり共済組合が財政状況がいい要因といたしましては、賃金が高いことによる基礎年金の部分のコストが率として見ると低くて済むというものが最大の要因であろうということは間違いないというふうに考えているところでございます。
○江口委員
2点ほどあるのですけれども、1つは、一元化法案を拝見しまして、また、
今日のお話を聞きましても、基本的には、今回の一元化というのは厚生年金の水準に合わせた制度間の財政調整的な要素が強いと思います。
その際、1点まずお聞きしたいのは、法案では各共済について実施機関をそれぞれ国共、地共、私学というふうに定めています。基礎年金の場合には、過去分は拠出金・交付金のやりとりとなっていますが、61年4月以降分は一本化して基礎年金として社会保険庁が支給するのに対し、なぜ今回の一元化法案では、厚生年金の新しい2号から4号被保険者について実施機関を恒久的に別に定めるのかというのが1点です。
それから2点目は、それと関連するのですが、6ページの資料にありますように、実は共済グループというのは2040年から2100年まで厚生年金を、言わば助ける側に回るわけですね。
他方、今回の一元化法案では、前回も御質問しましたけれども、厚生年金については企業年金があるのに、共済年金については、3階部分は検討課題になったままであり、言わば公務員グループというのは将来的には自分たちのお金を出して厚年を助け、かつ3階部分はないというのが現在の姿です。
そこで、お聞きしたいのは、資料の4ページの(注1)にありますように、要は、共済グループについては積立金が余るというのが(注1)でありますね。
その際に、その使途について、過去期間の支出現価と、保険料を法定水準から軽減するための費用等に活用とありますが、将来的に、例えば共済グループの3階相当部分ができた場合に、(注1)に書いています余り部分について、これをそこに充当しても差し支えないのかどうかという2点をお聞きしたいと思います。
○塚本年金課長
1点目について、私の方から御説明させていただきたいと思います。
今回の一元化法については、与党を中心として御議論いただいたということが背景にございますけれども、共済組合というのは公務員の医療保険を引き続き実施をする。そういう年金制度の一元化の議論の中では、医療保険については引き続き共済組合が実施をするということが前提になっているわけでございまして、そうした業務を含めて考えたときに、過去の記録を移して厚生年金で給付を行うというような形よりも、厚生年金保険の実施機関として、長期給付、年金給付について、共済組合をそういった形で位置づけて、適用から給付までの事務を一貫して行うということが効率的ではないかということで、先ほどおっしゃられたようなスキームになっているということでございます。
○山崎数理課長
2点目でございますが、4ページの(注1)のところにございます1・2階共通財源以外の積立金、これは公務員共済20兆円となっておりまして、3階の過去分支出現価、まずは優先的にこちらに充てるということで、これが17兆円ということで、差額が3兆円ほどあるわけでございますが、それを何に使えるかということにつきましては、保険料率を法定水準から軽減するための費用。こちらは、2ページをちょっと開いていただきますと、公務員共済でございますと、もともと青色の線のところが1・2階部分として想定されていた保険料でございますが、それに対しまして、3階含みと考えておりました緑色の線のところまで一気に1・2階部分の保険料として引き上げるということを行っておりまして、1.408%引き上げているわけでございますが、これの相当分を平成30年までの間は、最大ここまでの分を積立金を充当して引き下げることができるという法律の規定になっておりまして、そちらに使うことができるというのは今回の一元化法案の中に入っているわけでございます。
4ページに戻っていただきますと、そちらの費用、今の1.408%、平成30年まで最大限軽減したとした場合に、最大3兆円と書いてございますように、3兆円費用がかかるということで、これによりまして、17兆+3兆でほぼ20兆に見合うぐらいになるということでございます。
閣議決定の段階では、新3階ができたときに、1・2階共通財源以外の積立金にさらに剰余があれば新3階に用いることもできるという閣議決定になっているところでございますが、今回の一元化法案では、新3階の具体的な姿は別の法律でということで、具体的な姿は規定されてございませんので、そちらに充当するという規定も法律上はまだ置かれていないという状況といふうに承知しております。
○稲上部会長
ほかにございますでしょうか。
○権丈委員
私の解釈が合っているかどうか確認させていただきたいと思います。先ほどの山口先生の方からの質問とも関わるのですけれども、積立金の話を抜きにして、なぜ公務員とか私学共済の方が財政上ゆとりがあるのかということは、まず、共済側に所得の高いグループがあり、所得の低いグループの厚生年金があって、その人たちがグループで基礎年金勘定に頭割りで拠出していたわけですよね。そうすると、所得の高いグループは保険料率が下がりますよね。頭割りでやっていたので。それを今までは不公平だというふうに言われていたわけですよね、老人保健制度というのも基本的に同じようなことをやっているわけですけれども、今までは基礎年金の部分に関しては頭割りで、共済という所得の高いグループから拠出していた。こちら側からは、厚生年金という所得の低いグループが拠出していた。だから、拠出額を所得全体で割ると共済の方が保険料率が下がりますよね。
基本的にはそういうことだったんじゃないかと思うのですが、それを不公正だということでそろえるということになると、基本的には、基礎年金勘定に対して比例拠出するような形に受けとめられると思うのですけれども、そこで余ったお金が出てきますよね。
今まで共済は低い保険料率でよかったけれども、18.3まで上げるということになりますと、今までと比べると今度は余裕が生まれてくる。その余裕分というのを被保険者全員で分けると、51.6%から51.8%になるということでよろしいでしょうか。
そうおっしゃっているように聞こえるのですけれども、何か世の中の話を聞いていると、私の考えの方が間違えているんじゃないかと思えるのですけれども。均一給付に対して均一拠出で何が悪いんだという感覚が、どこの国でもイギリスでもどこでも、まず最初にそう考えたと思うのですけれども、今までそれをやっていたわけですよね。
それが今度は、均一給付に対して均一拠出だったら、保険料率が高額所得者グループは下がってしまうので、これを合わせなさいという形にして、では、そこで余ったお金はとどうしようかということになって、報酬比例の方をみんなで分けましょうということになったわけですね。そう考えてよろしいでしょうか。
○山崎数理課長
大きい見方としては、おっしゃるようなことだというふうに理解しております。
○小島委員
今の権丈先生と関連があるのですけれども、資料2ページにあります保険利率の国共済・地共済の引揚げスケジュールが出ています。2ページの左の方です。単独で行った場合には、共済グループの1・2階に必要な保険料としては下の青だけれども、一元化によって、真ん中の緑の保険料、現行でいう3階相当分というか、そこまでの保険料を引き続き取っていくということで、最終的に18.3%ということなので、そうすると、2010年以降は、言わば共済としては高めの保険料を徴収しているんだということだと思うのです。ここの図で言うと、下の階段になっている青と緑のところの保険料率による保険料収入分、これは全部共通財源というふうになってくるのですか。あるいは、初めの仕分けをした積立て度合いで、余った分というか、多少そこは3階の方へ回ってくるということではなくて、2ページでいう保険料の高めに共済が取った分は、ここでの差額分というか、1・2階分と3階相当分と言われるところ、そこの差というのは、ここは全部共通財源というふうにカウントされるというふうに理解をしていいのですか。それが結果的に積立て度合い、3制度を共有化すると、最終的に代替率0.2%プラスになってくるということにもここは寄与するということなんでしょうか。
○山崎数理課長
2ページで、このブルーの線でございますが、こちらは年金数理部会で基本的に給付の大きさで1・2階と3階を分けるような形で、便宜上、1・2階部分の保険料率がこうだということで引いた線ということでございます。
一方で、今回の一元化法での積立金の仕分けは、その積立比率をそろえるということで仕分けしておりまして、その関係は必ずしもお互いがお互いを前提としているというわけではございませんので、このブルーの線からグリーンの線に持ち上げた、その分がちょうど定量的に原資的にプラスになっているとか、そういう関係ということでは必ずしもないのですが、現実に申し上げられますのは、このグリーンの線に沿った、これが一元化後の保険料率になるわけでございますので、この分の収入というのはすべて共通財源に入ってくる。これは間違いないところでございまして、積立比率で仕分けされた積立金、これも完全に共通財源に入るということで、仮に保険料を軽減いたします場合には、その軽減した分とちょうど見合うものを積立金の方から、別途の積立金、共通財源以外の積立金から投入するということでございますので、財政的にはこのグリーンの線のものが完全に共通財源の方に入ってくるということで間違いないというところでございます。
○小島委員
そうしますと、4ページの表に出ています2100年度の積立て度合いが、公務員共済の方が5.7、私学が22.3という仕分けよりも度合いが高くなるということは、今、言った1・2階に相当する分というか、保険料を当初高めに取っていたというか、そういう影響もここにカウントされるのですか。
○山崎数理課長
4ページのところで公務員共済を独立で見た場合に、財政状況がよくなると申しますのは、先ほどの2ページのところに戻っていただきますと、このグリーンの線に沿った保険料の階段、この保険料を収入いたしまして、かつ、スタートのときに積立比率で仕分けされた28兆の積立金、それで、支出の方は、公務員共済として実施機関として出す支出、こちらの方を支出と考えて、全く閉じた形で財政を行ったとした場合に、最後、財政に余裕が生ずるということで、それはブルーの線とグリーンの線との差の分が丸々ということではないのですが、プラスになっていると申しますのは、そういう意味では、公務員共済単独でございますと、このグリーンの線まで取らなくても、少し低い保険料で最後1年分の積立金にはできるわけでございますが、そもそも厚生年金と保険料率をそろえるということで、保険料の方は先に決められておりますので。積立金の方も、積立て比率をそろえるということで先に決まっておりますので、給付水準を51.6というふうに厚生年金とそろえますと、最終的には両者のいわゆる財政体質の違いの分だけどちらに余裕が出てくるかということになるわけでございまして、公務員共済の方が平均賃金が高いという財政体質のよさが、こういう形で分析をいたしますと、最後の積立金が1年分よりも多くなるという形で試算上出てまいる、こういう関係になるところでございます。
○権丈委員
先ほどの質問の続きになるのですけれども、旧厚生年金における暫定試算ベースでの所得代替率は51.6%と3ページに書いてありますね。ここに、今まで共済の保険料率が基本的には頭割りで払っていたものを、比例にする形で18.3まで上げるということで少しお金が余りますよね。そのお金を被用者年金の中で分け合っていくと51.8%になるというふうになっていますが、この0.2%分というか、0.2ポイント分を、基礎年金を含めた全員で分けるという考えはあり得ない話でしょうか。技術的にも難しい話でしょうか。それは、考え方としてずいぶん変えていかなければいけないことか。
○塚本年金課長
国民年金制度を含めてというお話かと思いますけれども、先ほどの御発言にもありましたように、国民年金制度というのは、定額の保険料をいただいて、定額の給付を行うという制度でございますので、被用者年金と国民年金との間で公平に負担を分け合うルールとして、なかなか頭割り以外のルールというのがつくれないために、基礎年金拠出金という形で基本的には被保険者の数で拠出金の算定を行うという考え方でございます。
○権丈委員
だから、言わばここでポンと何か金が入ってきたわけですよね。それをみんなで頭割りで割るということは考えられなかったのかなと。私は、昔からそういうのもあるんじゃないかというようなことを書いていたのですけれども、論理のどこに間違いがあるのかというのをちょっと確かめたかったので伺いたかったのです。
ですから、今後、基礎年金が下がっていくという状況になっている。ここをどうにかしてディフェンスしていくというときに、この被用者年金一元化で入ってくるあぶく銭といいますか、お金を使って下がっていくのを阻止するというふうに使えないだろうかというふうに以前書いたことがあったので、そこが技術的にどう難しいのかというのがあって伺わせていただきました。
○稲上部会長
ほかにございますでしょうか。
○西沢委員
被用者年金制度一元化の拠出金・交付金の仕組みで、江口委員が最初にされた質問とも重なるのですけれども、最もシンプルな最終形は、私は、前回の年金数理部会セミナーまでは1・2階部分の共通財源は年金特別会計、厚生年金勘定に、厚生年金基金の代行返上がごとく一貫して、実施機関は保険料の徴収と給付だけを行う、そういった事務組織になるのかなというふうに思っておりましたが、年金数理部会セミナーで5ページと同じような図を拝見すると、そうではなくて、一旦、厚生保険特別会計に拠出金という形で出して、また交付金とすると。積立金は、仕分けるといいつつ、実施機関が持ち続けるということですけれども、どうして私が考える最もシンプルな選択肢がとられなかったのかなということと、確かに、代行返上のように一旦現金化してなったりしますと運用損が出たりするかもしれませんけれども、時間をかけて満期がきたものから移すとか、優良資産について移すとかという方法もあったかと思います。
ですので、厚生年金1号、2号、3号、4号と非常に複雑な形になってしまいましたし、私は厚生年金ですから、国民年金第2号、厚生年金第1号ということになると思いますけれども、制度はできればシンプルであった方がいいと思いますが、その合理的な根拠ということ。
あと、今回の案を所与としますと、共通財源というのはあいまいな言葉のような気がしますけれども、例えば東京都職員共済組合のようなところが持っている有価証券というのは何らかの名義があると思いますけれども、それは例えば名義変更をして、どこかの共済で一元的に管理・運用するとはいえ、例えば持っている有価証券で損失が発生したとすると、それはみんなでどういうふうに共同で担っていくのかとか、そういったところはどうなっているのかといったところもお伺いしたいと思います。
○塚本年金課長
前段部分につきましては、先ほど江口委員にお答え申し上げたことの繰り返しになるわけでございますけれども、制度の絵として、確かにおっしゃられたような仕組みというのは1つ考えられると思いますし、絵として美しいと思います。しかし、実際の実務をどうやって処理をしていくかということを考えたときに、医療保険に関しての適用、徴収というのは、公務員に関しては引き続き共済組合が行うことになっております。今後も適用などを行うことを前提に、適用を踏まえて、記録管理をし、それを給付に結び付けていくという事務を、途中でデータ移管などをするというような形でやるよりも、まず事務処理として、共済を活用した形でやった方が効率的なのではないかという考え方でこういうスキームになったわけでございます。積立金については、実施機関は分かれておりますけれども、その運用の全体の姿についてはきちんと押さえていくというようなこともやることになっているということでございます。
○西沢委員
実施機関として、事務の継続性、これまでデータも蓄積していますし、実施機関を残すというのはあると思うのですけれども、それだとしても、拠出金・交付金という計算をせずに、受け入れた保険料をすべてそのまま特別会計に入れて、その年度に必要な給付費はそのまま特別会計からもらえばいい話で、今日は計算式が出ていませんでしたけれども、年金数理部会セミナーでは標準報酬割、積立金割といったような計算式があって、標準報酬案分、積立金案分といったケースなどもありましたけれども、あれをせずとも、今持っている共通財源の積立金さえ年金特別会計に移管しさえすれば、ああいった計算式は必要なく、年金課長がおっしゃったとおり、従来との事務の継続性を考えて、実施機関は残すということで、それをもって厚生年金1号、2号、3号、4号はやめて、みんな厚生年金ですということでいいのではないかと思うのですけれども。
済みません、私が間違っているかもしれませんのでね。
○塚本年金課長
積立金を厚生年金へ移すかどうかということでございますけれども、多分先ほどの御質問の中にもあったかと思いますが、積立金を現実に、今、共済組合が持っているものを会計として移すということに伴うロスというか、そういったものもあるでしょうし、どちらが効率的なのかという観点からみた結果だろうというふうに思っております。
いずれにしても、先ほど申し上げましたように、仮に共済組合にあっても、1・2階共通給付の積立金という管理はきちんとやるという形で公平な同一給付・同一保険料という一元的な制度体系を守っていきたいということでございます。
○小島委員
運用実施機関の関係ですけれども、今、西沢委員が指摘されていたように、きれいさとしてはその方がスッキリするんだと思いますけれども、保険料徴収と年金給付の実施機関、これを一本にしたらどうかという考え方もあります。
それともう1つは、共通財源といわれる積立金、厚生年金、各国共、地共、私学共済の積立金、これを1つの運用機関がやるか。あるいは、今回のように各制度ごとに積立金を自分でもって運用するかという、この辺についての考え方もあると思います。それも、1か所でやった方が効率的だという考え方もしるかと思いますけれども、その場合には、相当市場リスクというのも伴いますし、今でさえ厚生年金、国民年金の積立金は世界最大の機関投資家という位置づけなので、更に国共済、地共済も含めて、それを1か所で運用する、まさに膨大な資金運用、これの市場運用のリスクということも考えれば、ある程度分散的な運用方法と、共通の運用、基本的な考え方とそろえる必要があると思いますけれども、そういう考え方もあるのではないか。私は、運用についてはそういう考え方を持っているんです。
○稲上部会長
既に、次に話題にさせていただきたいと思っておりますことが少し振れられておりますので、特にございませんでしたら次の議題に進ませていただきたいと思います。
当部会の下に資金運用専門委員会を設置したいという事務局からの御提案でございますので、その内容の御説明を伺いたいと思います。
○岡田総務課長
お手元の資料8で用意させていただいておりますので、御覧いただければと思います。
「資金運用専門委員会(仮称)の設置について(案)」ということでございますが、まず1.の設置の趣旨でございますが、財政検証を既に始めていただいておりますが、それを踏まえまして、年金積立金管理運用独法におけます次の中期目標、これは22年度からおおむね5年間で始まるわけですが、それに対して厚生労働大臣が示します次期の中期目標をどういうようなものにするのかというのが、財政検証の結果を踏まえて御検討をいただく必要があるだろうというようなことでございまして、1点目は、財政検証を踏まえた次の中期目標の設定の問題でございます。
それから、年金の積立金の運用ということで、幾つか状況が変わっておりまして、第1点目は、現在は、財政融資資金預託金というのが、毎年少しずつ返ってきているというような状況でございますが、平成20年度には預託金が全部償還されて、この時点で預託金がなくなるということでございます。
その段階になりますと、年金積立金のほぼ全額が管理運用独法が管理するということでございます。
先ほど決算のときに積立金からの受入れというのがございましたが、これは実際上は財政資金預託金から返ってきているものをそこで活用しているということでございますが、この預託金がなくなると、管理独法が管理されている、積立金が全部管理されているということで、そこから資金需要が必要な場合には、独法の方にお願いして、一部回してもらうというようなことになるということで、大分21年度以降は、かなり積立金の運用の在り方は変わってくるだろうというのが第1点でございます。
第2点は、今、御議論にありました被用者年金一元化法案が国会に出されているということで、これによっても大きく管理運用の状況が変わってくるだろうということでございます。
一方、資金運用につきましては、社会保障審議会の下に、年金部会とは別でございますが、年金資金運用分科会というのが設けられておりまして、ここで、例えばポートフォリオをどうするかというようなことを決めていたわけですが、年金資金運用基金を廃止して、新しく独立行政法人が設立されて、それを機にしまして、独立行政法人が具体的なポートフォリオを決めるというような体制に移ったこともありまして、この分科会は廃止されております。
その結果、現在、審議会の中では積立金の管理運用について専門に御議論いただく機関がないという状況でございます。
こうした点を踏まえまして、新たに年金部会の中に専門家の方に入っていただいて、年金の資金運用の在り方について、専門的に御議論いただく委員会を設置する必要があるんではないかというのが基本的な考え方でございます。
主な検討課題は、積立金の運用の在り方をめぐる諸問題、それから財政検証を踏まえた中期目標の見直しについて、それから積立金の運用に関する情報提供など。
それから、設置の方法でございますが、年金部会に、経済前提専門委員会と同様な委員会として設置して、金融、資金運用などの専門家を中心とした学識経験者によって構成させていただいたらどうかと考えております。
名称は仮称でございますが、資金運用専門委員会とさせていただいたらどうかと思っております。
スケジュールでございますが、10月を目途に第1回の会議を開催させていただければというふうに思っています。
以上でございます。
○稲上部会長
ありがとうございました。何か御質問、御意見はございますか。
どうぞ。
○山口委員
被用者年金の一元化に伴って、共済年金の方に基本ポートフォリオとか、そういったものを示していかなければいけない。それで、統一的な運用をしていくといったようなことが必要だということで、新しい役割が出てきたので、この種の委員会が必要であるということはよく理解できるところではありますが、既に積立金管理運用独法の方でそういう仕事をやっているわけですね。それは厚生年金、国民年金についてだけだったわけですけれども、そういう意味では、やや屋上屋を重ねるような要素もあるように思いますので、独法の方の委員会の役割を見直すとか、そういったことも併せてやる必要があるんじゃないかというふうに感じましたけれども、その点いかがでしょうか。
○板谷参事官
運用担当の参事官でございますけれども、確かに今の運用は独法でやっております。独法になりますと、独法のルールの中にのっとってやっておりまして、まず国として中期目標というものを与えて、その中で工夫して運用をやっていただけるということになったわけでございます。
国として、やはり新しい状況の変化に対応して、中期目標をどういうふうに与えるか。
こういう課題に対応するためには、厚労省の下にそういう専門の審議会を置いて、そこで議論していただくということが必要ではないかと思った次第でございます。
○米澤委員
私も実は独法の方の委員会に参加させていただいているのですけれども、今の山口委員からの御発言は、私も最初はそのように全く同じように感じていました。
特にこの1枚ペラの2の検討課題の次に3・があるわけですが、確かに、真ん中の財政検証を踏まえた中期目標の見直しについて、これはもともと独法の方の守備範囲ではございませんでしたので、これはどこにあるのかということで、私もこれは残っているんだなと思ったのですが、逆に、1番目と3番目は独法の方のミッションとして理解していたわけですので、これがはけしからんということではなくて、私は基本的には必要だと思いますが、要は、独法の方と役割分担を再確認する必要があるし、場合によっては、独法の方が、これはおれがやるつもりでいたよというのはあるかとも思いますので、その辺は意見の調整を是非お願いしたいと思います。
○小島委員
今の関連ですけれども、これからの考え方は、新しい御検討の場をつくって、そこで中期目標について議論するということで、それは必要だと思いますし、それを受けて、例えば今ある独法、それから現行の国共・地共が運用に当たるという場合に、今は独法の方に運用委員会があって、そこが基本ポートフォリオをつくっていますね。
そうすると、基本ポートフォリオは各運用実施ごとに改めてまたつくるという話ですか。
中期目標をベースに、それを踏まえて、それに基づいて、そこは資金規模とかありますので、そこは全く同じというわけにはいかないかと思いますけれども、そこは厚年の方は独法、それから共済は共済で基本ポートフォリオをつくる。そういう関係になるということですか。ここで一元化法が通ればということですがね。
○板谷参事官
そこのところは、現在まだ法案という段階でございまして、今後さまざまな議論を経て法案が可決いたしまして、その後はいろいろ調査を経て決めていくことではないかと存じております。
○小島委員
もし通るとすれば、さっき言ったようなことで考えるという考え方なんですか。
○板谷参事官
関係者の下でさまざまな議論を重ねていくと承知しております。
○稲上部会長
ほかにございますでしょうか。
それでは、ただいま何人かの委員の方から御意見をちょうだいいたしましたので、それも踏まえまして、当部会の下に資金運用専門委員会の設置をさせていただきたいというふうに思います。
なお、具体的な人選につきましては、私は、この部会からも何人か加わっていただいた方がよろしいのではないかと思いますが、私に御一任をいただきたいと思います。次回の部会で御報告をさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○稲上部会長
どうもありがとうございました。
それでは、その他参考資料につきまして、事務局から御説明をいただきたいと思います。
○鈴木庁・企画課長
社会保険庁の企画課長でございます。資料9について御説明を申し上げます。
年金記録問題への対応につきましては、国民の皆様方に大変な御心配をかけておりまして、この場をお借りしまして、改めておわびを申し上げたいと思っております。
記録問題につきましては、政府与党といたしまして対策を決定いたしておりますので、これをスケジュールどおりきちんと実施をいたして、この問題の解明と解消について国民の皆様にきちんとお示しをしていく、これに全力を挙げてまいりたいと思っております。
そういうことで、1ページ、年金記録適正化実施工程表というものでございますけれども、これは7月5日に政府与党で年金記録に対する体制の確立についてということで、対策の全容がとりまとめられております。
それにつきまして、厚生労働省といたしまして、具体的にどのようなスケジュールで実施をしていくのか、これをまずきちんとお示しをするということで策定をしたものでございます。
その概要をかいつまんで申し上げますけれども、第1点が、いわゆる5,000万件の未統合記録についての処理でございます。これをきちんと名寄せをして、正しい受給に結び付けていくということでございますけれども、それにつきましては、ここにございますように、8月から実施をいたしておりますが、11月を目途にシステム開発をいたしまして、これを名寄せをしていく。それを12月から3月を目途に完了いたしまして、名寄せをいたしたものにつきまして、それぞれ該当の方にお知らせをし、注意喚起を図っていくという段取りを考えております。
これにつきましては、5,000万件の中身についてどういった中身なんだろうかということが、必ずしも適格に御説明できていなかったということが、また、国民の皆様に御心配をおかけしたゆえんであるとも考えておりまして、こういった名寄せ作業と並行いたしまして、5,000万件の中身が実際にどういうものだったのかという解明作業につきましても、民間の専門家チームのお力も借りまして、同時並行で進めてまいりたいと思っております。
ちなみに、5,000万件のほかに、いわゆる国会審議等で出てまいりました、1,430万件の旧台帳といわれるもののマイクロフィルム記録、これにつきましても、同じような名寄せの処理をしてまいりたいと考えてございます。
この5,000万件の解明につきましては、2ページに具体的に、どういう段取りで解明作業をしていくのか、これを書かせていただいておりますけれども、お時間の都合もございますので、ごらんいただきまして、また、御質問等があれば、お答え申し上げたいと思っております。
1ページ目にお戻りをいただきまして、そうした形で名寄せをいたしまして、これを実際に国民の皆様方にお知らせをして、正しい受給に結び付けていくということが大事でございます。
そういうことで、すべての方へのお知らせということで、1つ目といたしましては、年金特別便というものを12月から来年の10月にかけて実施をいたしたいと思っております。
これは、具体的には名寄せをいたしました結果につきまして、これはこの方の記録ではないかなということがわかってまいりましたものにつきまして、この表の一番上にございますように、12月から来年の3月を目途にその旨をお知らせして注意喚起を図り、御本人から反応を経て、正しい記録に結び付けていきたいということが一点でございます。
それから、その他名寄せをした結果、特に記録が見つからないという方に対しましても、これをそのままにしておくのではなくて、それぞれ加入履歴をお送りいたしまして、御自分が知っていらっしゃる加入履歴と、私どもが把握しているものが本当に合致しているかどうか、これを全員の方にお送りをして確認をしていただく、これを通じて、また記録の整備を図ってまいりたいと思っております。
具体的には、これにつきましては、年金を既に受けている方を優先にいたしまして、来年の4月から5月を目途にお送りし、その反応を得てまいりたい。
現役の方につきましては、引き続き、6月から10月に実施をしてまいりたいと思っております。
具体的には、記録が結び付くと思われる方につきまして、確認のはがきあるいは紹介票を併せて御送付申し上げて、それぞれ該当する反応を送っていただくということだと思っております。
それから、現在、年金定期便というものを実施しようということで計画いたしておりましたけれども、ただいま御説明を申し上げました年金特別便というものをこの記録の解明作業で特別に実施をいたしますので、これは内容的に相当ダブってまいりますので、まず、平成20年10月までは年金特別便というものを優先して実施させていただき、従来考えてございましたか年金定期便、予定どおりですとか、20年4月実施を予定いたしておりましたけれども、これにつきましては、特別便の処理が終わった後、21年の4月から実施したい。これにつきましても、段階的に考えておりまして、まず、一定期間はすべての方に、これまでの加入履歴、それからサラリーマンの時代に払っておられた報酬月額、現役のサラリーマンの方もいらっしゃるわけでございますけれども、それから国民年金の被保険者としてお払いになっていた納付状況、こういったものをお送りする。
名寄せの状況、年金記録の整備状況等をいろいろ踏まえまして、一定期間国民の間に定着をしてきたなということが判断されました暁には、この表の右側のように節目の年齢では加入履歴等をお送りし、それ以外の方については、直近1年分、どういうような保険料を納付していただいたかということを御提供するということを考えてございます。
一方で、いわゆる無年金の方がいらっしゃいますので、この方々にどうやって注意喚起を図っていくかということでございますが、(3)に書かせていただいてございますように、現在、介護保険で、第1号被保険者からお年寄りの方から保険料をいただいておりますけれども、年金をもらっていらっしゃる方については、年金から天引きをする特別徴収をいたしておりまして、逆に年金が一定程度低い方なり無年金の方には、普通徴収ということで、直接市町村がお年寄りから保険料をいただいております。
このルートを活用させていただき、市町村に御協力を得まして、介護保険の普通徴収の納入告知書に注意喚起のお知らせを活用してチラシを同封してまいりたいということを考えてございます。以上が名寄せ等に関わります取組みでございますけれども、一方で、この間のいろいろな議論を通じまして、私どもがコンピュータで把握をしております年金の原簿につきまして、これが従来からいろんなところで記録管理をしてまいりました紙台帳なりあるいはマイクロフィルム、あるいは市町村が持っておられます国民年金の被保険者名簿の記録が本当に正確に写されているのかといった御疑念を生じたことも事実でございますので、これにつきましては、計画的にそういった紙台帳等とコンピュータの記録を突き合わせして、コンピュータの記録を正確なものにしていく。これは相当時間がかかわるわけでございますけれども、その作業をさせていただきたいと思っております。
これにつきましても、優先的に特に必要の高いものから順番に計画的に突合下げを実施し、その状況につきましては、定期的に国民の皆様方に進捗状況をわかりやすい形でお示しをしたいと思っております。
それから、こういった本体の公的年金と併せまして、厚生年金基金の記録と、社会保険庁の記録というものが本当に合致をしているかといった論点もございますので、4番に書かせていただいておりますように、社会保険庁から被保険者の記録を提供いたしまして、企業年金連合会なり、各厚生年金基金において、突き合わせの作業をしていただき、記録の整備をしていただく。こういったことも予定をさせていただいてございます。
ただいま御説明いたしました内容につきまして、それぞれ2ページから4ページまでにつきまして、若干の図示をさせていただいておりますので、ごらんおきいただければと思っております。
それから、記録の関係は、あと2点ございますけれども、この間の取組みといたしまして、5ページでございますが、年金時効特例法というものが既に実施されております。
これは、先般の通常国会におきまして、与党の議員提案で提出されて成立したものでございますけれども、こういった記録整備を図ってまいりまして、記録が訂正された方につきましては、基本的に年金が増額するわけでございますけれども、従来の法体系の下では、5年間の時効というものにかかってしまう。
(1)の図をごらんいただきますと、60歳で年金をもらって、最初にもらっていた額が実は正しい記録ではなくて、後で被保険者期間が明らかになった、これは右の方に書かせていただいていますけれども、そのときにさかのぼれる増額分というのは、従来の法体系では5年分でございましたけれども、これは必ずしも御本人の失われた利益を回復するに至っていないのではないか、こういう御議論もございまして、こういった問題につきまして、時効を撤廃して、本来の受給開始年齢の段階から満額の年金をお払いする。こういった措置を講じたところでございます。
併せまして(2)にございますように、今後とも記録訂正を行いますと、こういった増額の生じることもございますので、年金法本体の時効の適用につきまして、会計法の適用を取り払いまして、弾力的に年金記録の訂正に伴う部分につきましては、御本人の利益に即した形で時効の適用ができるようにする。端的に申しますと、撤廃ができるようにする、そういった措置も併せて講じさせていただいたということでございます。
これは、既に施行されておりまして、相当数の方につきまして、申請があり、支給決定がなされておると承知しておるところでございます。
年金記録の最後の点でございますけれども、6ページでございます。
年金記録確認第三者委員会というものでございますが、これは報道等で御案内のように、さまざまな年金記録の不備の申し訳ない問題がございまして、実際に国民の方から私の記録は間違っているという申し出をいただきましたときに、私ども行政が把握しております記録、これは私どもだけではなくて、市町村の記録も含めまして、全部調べたときに、どうしても記録が見つからない。ただし、御本人は絶対に払ったとおっしゃっている、しかし、御本人の方にも確たる物的証拠がないといった問題をどういうふうに解決していくか。こうした難しい問題があるわけでございます。
この点につきまして、政府与党の検討の結果、総務省に年金記録確認第三者委員会というものを設置するということで、言わば中立的な立場で御専門の先生方がお集まりになって、そこで国民の立場に立って総合的な判断をくだし、年金記録の訂正の是非を決定していただく、こういう場ができているわけでございます。
これを総務省に置かれましたゆえんは、総務省の権限といたしまして、各行政機関に対しまして、行政の必要な斡旋ができるという規定がございます。この仕組みを活用いたしまして、第三者委員会が専門的なお立場で判断をされたものにつきまして、総務大臣が社会保険庁長官に対しまして、記録訂正の斡旋をする。社会保険庁長官がこれを最大限尊重するという形で御判断を記録訂正に結び付けていく、こういうスキームが既に実施に移されているところでございます。
この中では、どういう基本方針に基いて記録を訂正していくのかというのが大事になってまいるわけでございますけれども、2番にございますように、既に7月10日基本方針がとりまとめられておりまして、具体的にこれを実施に移されているわけでございます。
その中で、国民年金に関する事案、厚生年金に関する事案、それぞれに対応いたしておりますけれども、昨今の報道等でも出ております、厚生年金の方が事業主に保険料を納付しておりますけれども、事業主が社会保険庁に手続をしていない事案をどうするのかということがございましたけれども、この点につきましては、基本方針には中身はございませんで、政府の一定の対応を待って検討したいということも書かれておりまして、この辺りが次の課題になってまいるということであると承知をいたしております。
簡単でございますが、以上でございます。
○濱谷企業年金国民年金基金課長
企業年金国民年金基 金課長でございます。私からは、資料10と資料11について御説明させていただきたいと存じます。
まず、資料10「厚生年金基金における年金記録の適正な整備等について」ということでございます。
1枚めくっていただきまして「1.趣旨」でございますけれども、厚生年金基金は御案内のとおり、厚生年金の代行部分を持つ、言わば半公的な年金でございます。
この厚生年金基金につきまして、年金記録の適正な整備あるいは確実な年金の支給のための対策を講じたいということでございます。
具体的には2番でございますけれども、各厚生年金基金に対しまして、次のような指導をしてまいりたいということでございます。
まず1点目、事業主の届出の徹底でございますけれども、現在でも基金の加入員の資格、あるいは報酬の変更には事業主から届出をすることになっておるわけでございますけれども、必ずしも十分な届出がされていないという実態もございますので、改めて届出の徹底を図るということでございます。
2点目でございますが、厚生年金本体につきましても、記録訂正は現在でも随時行われておるわけでございますけれども、厚生年金の記録訂正が基金の加入員に係るものでありますときには、社会保険庁から基金に対して情報提供していただきますとともに、加入員からも基金に対し、申し出ることによりまして、基金における適正な記録管理を行ってまいるということでございます。
3点目でございますけれども、これは先ほど御説明がございましたけれども、社会保険庁から被保険者記録を提供いただきまして、20年度を目途に全基金において記録の突き合わせを実施するということでございます。
また、基金の記録、社会保険庁の記録、それぞれ動いてまいりますので、基金の実情を考慮しつつ、定期的、例えば5年に一度程度でございますけれども、突き合わせを定期的に行ってまいりたいということでございます。
4点目でございますが、定期的な年金記録の提供ということでございます。これは、先ほどの公的年金の定期便と同様の趣旨でございますけれども、各基金の実情に応じまして、定期的に加入員に対する年金記録の情報提供を行い、周知徹底を図ってまいりたいということでございます。
また、住所不明者、この方々につきましても、住民票の写しの交付を求めるなどの方法によりまして、住所の把握に努めた上で提供していただくということでございます。
最後に5点目でございますけれども、裁定請求の勧奨ということでございます。基本的には60歳になりますと、年金の受給権が発生するわけですけれども、必ずしも主体的に加入員から請求が上がってこないという事態も考えられますので、基金サイドから裁定請求書を定期的に送付するなど、裁定請求の勧奨に努めていただきたいということでございます。
それから、注1でございますけれども、そのほかの対策といたしましては、特に住所につきましては、住所不明者があるということが各基金からも聞いておりますので、この際、基金加入員の住所の届出の制度化、基金における住所管理の徹底を図ってまいりたいということでございます。
現在では、各基金の主体的な運用でこういった住所の把握がされておりますけれども、これを制度的にきっちりしたものにいたしたいということでございます。
注2でございますけれども、特に住所の把握ということになりますと、社会保険庁で持っております住所情報の提供を受けるのが非常に効果的というふうに考えておりますが、こういった社会保険庁から基金に対する新規裁定者の住所情報あるいは厚生年金被保険者の現役の方々の基金の加入員に係る住所情報の提供について、個人情報の保護あるいはシステムの在り方等々の具体的な在り方も踏まえて、現在検討中ということでございます。
また、注3でございますが、基金の中途脱退者等については、企業年金連合会におきまして、年金の記録管理、支給を行っておりますので、基金に対しますのと同様の指導を行ってまいりたいということでございます。
資料10は以上でございます。
資料11でございます。これまでもこの部会でも御報告をしてまいりましたけれども、企業年金、特に確定給付企業年金法5年後見直し規定に基づきまして、年金局長の下に研究会を設置して、施行状況の検証を行ってまいったわけでございますが、去る7月10日に検証結果がまとまりましたので、その御報告でございます。
企業年金は、基本的には税制と密接に絡むものでございますので、税制に関する検討がかなりの時間費やされたということでございます。
「2.企業年金に対する税制」というところでございますが、企業年金については、拠出時の損金算入、運用時の積立金に対する特別法人税、給付時の公的年金等控除という税がございますけれども、一方の与党の税制改正大綱におきましては、こういった拠出から運用・給付を通ずる負担の適正化に向けた抜本的検討ということが決められておりまして、特に特別法人税の在り方が課題ということになってございます。
2ページ、特別法人税につきましては、企業年金関係者から給付時課税を徹底することにより撤廃すべきという強い要望がございますけれども、この場合、控除の見直し等が必要となりまして、かなり大きな影響があるということが1点でございます。また、特別法人税を存置しながら、厚生年金基金のように非課税にするという方法もあるわけでございますけれども、この場合には、企業年金の非課税となるものが少数となるというおそれもあるということで、なかなか特別法人税の扱いについては難しい課題があるという検証でございます。
ただし、特別法人税につきましては、19年度まで凍結中でございますけれども、課税については種々の問題がございますので、抜本的改革が行われるまでの間は凍結措置を継続すべきだという検証結果をいただいております。
それから、確定拠出年金でございますけれども、3ページの(3)でございますが、特に企業型における個人拠出の在り方について御議論をいただいたわけでございますが、結論といたしましては、老後の所得確保の観点から個人拠出を認めるべし、かつ所得控除を認めるべきという結論をいただいております。
その他、投資教育に関するガイドラインの策定等々についても御指摘をいただいております。
また、4ページでございますけれども、確定給付企業年金等につきましては、特に資産運用等におけるリスク管理が課題でございますので、その在り方について具体的に検討すべきという御指摘をいただいております。
厚生労働省におきましては、この検証結果を踏まえまして、冒頭御説明がございましたけれども、確定拠出年金に係る個人拠出の容認等の税制改正を本年度要望しているというところでございます。
以上でございます。
○稲上部会長
既にお約束の時間を過ぎておりますが、何かございますか。
どうぞ。
○江口委員
これだけは是非言っておきたいのですが、年金記録問題についてであります。これについては、社会保険庁の年金記録の管理が不十分だったという点は私も問題だと思っておりますが、ただ、すべて社会保険庁が悪いという言われ方もいき過ぎだったんじゃないかと思っております。
それとの関連で、先ほど御説明がありました資料9の6ページでありますが、2の基本方針の2番目の○で、厚生年金の問題ですね。これは実は裁判例も出ているのですが、事業主が従業員から保険料を天引きしておいてそれを納めない事例とか、それから、例えば報酬が30万円なのに10万円ということで保険料を納めるという事例があるわけです。
それが結局、記録に結び付かない、年金に結び付かない、こういう問題なわけです。
これについては、端的に言えば、これは社会保険庁が悪いんじゃなくて、事業主が悪いわけです。したがって、そのときの加入者について、これを救済するかどうかというのは政治的な判断だとは思いますが、これを仮に厚生年金の保険料で払うということになりますと、結局、真面目に払った人が不真面目に払った人の部分の年金給付も保険料で賄うということになるわけです。
ですから、私は今回の年金記録問題で必要な救済をするという政治的な御判断は御判断としても、先ほど申しましたような公平の趣旨からしますと、言わば事業主がピンハネしていて、不真面目な事業主の分を真面目な労働者ないしは事業主が負担をするということは筋違いではないかということは是非申し上げておきたいと思います。
○稲上部会長
ほかにございますでしょうか。
○山口委員
最後の資料の企業年金研究会の報告の中で、特に4ページの確定給付企業年金のところの(2)にあります審査の効率化・標準化というところでありますけれども、企業年金の現場の声としては、審査の効率化・標準化というのは非常に強いニーズがあるというふうに聞いておりまして、後ろの資料にも出ていますような審査体制の具体的な拡充といったようなことに向けて、できるだけ早期に御対応いただければありがたいというふに思っておりますので、よろしくお願いします。
○小島委員
1つだけ、江口委員が指摘されたところで、まさにこれは事業主の責任だと思いますので、そこを保険料で賄うということは筋違いだと。一部の新聞には税金で賄ったらどうかという考え方もありますけれども、これもまた理屈が必要になると思いますので、実際、特別立法を第三委員会は政府の対応を待ってといいますけれども、今、政府あるいは厚労省というか、この特別立法、つまり救済措置についてどんな検討をされているのかという質問です。
○塚本年金課長
今、おっしゃられたようないろいろな問題がございますので、今、まさに検討しているところでございます。
○権丈委員
ほかの件でよろしいでしょうか。以前に戻るのですけれども、よろしいでしょうか。
○稲上部会長
はい。
○権丈委員
資料5のところで、18年度国民年金保険料納付率及び今後の対策というところで質問し忘れたことがありましてお伺いしたいのですけれども、3ページのところで、9年を基準として、79.6を目標値としてずっとやると言っているのですが、この間に納付対象月数が一気に増えていく。それは、今までの裁量の幅が大きかったところを、国で徴収するような形になって、厳密にやっていくという形で納付対象月数がボーンと増えていく。そこで、納付率が下がっていって、免除基準の改正というところで、免除を今までの全額免除から2分1とか、4分の1とかが入ってくるわけですよね。そこで、高山先生がおっしゃるには、基本的に基礎年金というのは比例保険料に大分近づいてきたというような形で、そこの状況と同時に、2004年の改革の中で、社会保険庁が市町村の所得データを把握することができるようになったというところで、免除対象ではあるんだけれども免除の手続をしていない人たちに対してちょっとやったわけですよね。
それは、言わば申請主義というルールをちょっと破ってしまったわけなんですけれども、今回のところでは申請主義にあぐらをかいてという形で新聞でもずいぶん叩かれていましたが、この前は、申請主義にあぐらをかいていなさいと言っていたと思うのですが、そこで何かルールが変わって、そういう手続をしてもいいですよというふうになったのかどうかというのを私は把握していないので、今までのように、やはり申請主義であって、免除対象の人たちに対しては、社会保険庁は能動的には動かない、積極的には動かないというようなままなのか。それとも、その後、ある程度こちら側から連絡をして、いろいろ書類にサインをこちらで書いてあげて判こを押してもらえばいいようにしてもらうという、申請主義に反するようなこともある程度認めましょうというふうに変わっていったのかどうかというのを私把握していないので教えていただければと思います。
○稲上部会長
お願いいたします。
○福本庁・年金保険課長
免除の手続に関しましては、従来から法律で申請に基づいて免除するということになっておりまして、これについては今日も変わっておりません。
したがって、申請に基づいて免除するということではありますけれども、先ほどの説明資料で、今、御質問がございましたけれども、資料5の5ぺージに体系図を書いておりますけれども、そういう中で、文字としては免除の「勧奨」という言葉を使っておりますけれども、当事者の方々からの申請を座して待つということだけではなくて、積極的に勧奨という手続はするということですけれども、強制的にそれで免除するということにはなっていなくて、あくまで御本人の意思を確認し、申請の意思を確認した上で手続をするということは変わっておりませんし、それに基づいて事務をやっております。
○権丈委員
対象の方が未納のままでいるよりは、免除対象になった方が望ましいことだと思いますので、私は、なるべくそこら辺のところは勧奨をどんどん進めていかれるようにお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○稲上部会長
ほかに。よろしゅうございますでしょうか。
申しわけございません。時間を10分ほど超過してしまいまして、本日予定しておりました議題は以上でございますが、最後に一言申し上げたいことがございまして、もう既に今日もいろいろな形で話題になっていたというふうに私理解をいたしますが、今回の参院選におきましても、年金制度の根幹に触れますことについていろいろな議論がございました。
本年金部会としても、もう少し自由な形でいろいろ議論できた方がいいというふうに私個人は思っておりまして、時間が許せば、そういう機会といいますか、時間を今日も取りたいと思っておりましたけれども、議題がたくさんございまして、活発な御議論もいただきまして、今日は果たせないと思いますが、次回以降、そういう機会を設けさせていただけたらと思っております。
○渡辺部会長代理
私も今の部会長と同じ考えで、これだけ参議院選といいましょうか、
夏に政治的テーマとして記録の問題あるいは制度論につ いても大変な議論が政治の場であったということです。そうすると、年金部会として、これは私に言わせると、放ってはおけないといいましょうか、ぜひ我々は活発な議論をしたいと思っておりました。
今、部会長がおっしゃったように、今日時間があればと思いましたけれども、残念ながら時間がなくなったので、私の方からも是非近い機会にそういったことを活発に私たちが議論する機会をつくっていただきたい、あるいはつくりたいと思っております。
○稲上部会長
長時間になりましたけれども、どうもありがとうございました。
これで閉じさせていただきます。
(照会先)
厚生労働省年金局総務課企画係
03-5253-1111(内線3316)