07/11/21 社会保障審議会年金部会

第6回議事

 

日  時:平成19年11月21日(水)

18:00~20:00

場  所:厚生労働省17階「専用第18~20

会議室」

出席委員:稲上部会長、稲垣委員、今井委員、

岡本委員、小島委員、権丈委員、

杉山委員、西沢委員、林委員、

樋口委員、宮武委員、山口委員

○総務課長

 定刻より早いですが、御出席の先生方、一応おそろいになられましたので、

  始めさせていただければと思います。

   それでは、これより「社会保障審議会年金部会」を開催いたします。委員の皆様方には、本日御多忙のところ、それから大変遅い時間にお集まりいただきまして、誠にありがとうございました。

   まず、本日の出席者の御確認をさせていただきたいと思います。江口委員、都村委員、中名生委員、山崎委員、米澤委員、渡辺委員が欠席の予定でございます。それから、杉山委員は、若干遅れるというような連絡をいただいております。

   最初に、資料の確認をさせていただきたいと思います。

資料1といたしまして「年金制度をめぐる課題(舛添臨時議員提出資料)」でございます。

資料2といたしまして「第24回経済財政諮問会議(平成19年10月25日)有識者議員提出資料」でございます。

資料3といたしまして「基礎年金の国庫負担の引上げ等について」でございます。

資料4といたしまして「国民年金基金・国民年金基金連合会の年金支給について」でございます。

資料5といたしまして「個人型確定拠出年金の実態調査の結果」でございます。

  あと参考資料ということで、参考資料を1~5まで用意させていただいておりますので、御確認いただければと思います。

  それでは、よろしくお願いいたします。

○稲上部会長

   こんばんわ、と申し上げるべきかもしれませんが、それでは、議事に入

りたいと思います。前回の年金部会の最後で触れさせていただきましたけれども、政治の場でも、またメディアにおきましても、年金制度の在り方につきまして、いろいろ議論されているところでございます。そうした現状を踏まえまして、本部会におきましても、少し自由な形で意見交換をしてはどうかと申し上げましたところ、今日は御欠席でございますが、渡辺部会長代理からも御賛同いただきました。

   そこで、本日は、最近の税制改革の議論とも関連するかと思いますが、基礎年金の国庫負担引上げ、あるいは基礎年金の税方式化といった問題につきまして、自由な意見交換をさせていただきたいと考えております。

   今、資料の説明がございましたが、初めに事務局から資料の御説明をいただきたいと思います。お願いいたします。

○年金制度調整官

   年金制度調整官の黒田と申します。それでは、簡単に資料の御説明をさせていただきます。資料は、先ほど御紹介いたしました資料のうち、資料1から資料2、資料3に基づきまして、御説明を申し上げます。

   まず背景でございますが、先ほど部会長からもお話ございましたように、基礎年金の国庫負担割合の引上げについて、そのほかの議論につきまして、現在、政府部内あるいは与党において議論が重ねられておるところでございます。例えば政府部内におきましては「経済財政諮問会議」、与党におきましては、与謝野議員を会長といたします「財政改革研究会」、政府と与党をまたぐ枠組みといたしましては「安心できる社会保障・税制改革に関する政府・与党協議会」というものがございまして、こういった場でさまざまな議論が行われているという状況でございます。

   これから、お手元の資料に沿って御説明申し上げます。

   お手元の資料2をごらんいただけますでしょうか。表紙をおめくりいただきまして、1ページ目以降でございます。この資料は、去る10月25日に開かれました「経済財政諮問会議」において、民間議員から提出された資料でございまして、この中で「持続可能な基礎年金制度の構築に向けて」ということで、問題提起がされているところでございます。

   まず1ページ目の下半分のところでございますが、この資料の中では基礎年金制度の課題として、(1)にありますように、1つは国民皆年金は空洞化しているのではないかということで、未納問題の指摘がございます。

   2ページ目、課題の(2)といたしまして、給付と負担における世代間の差の問題。

  (3)として、職業や世帯形態における制度の違い。

  (4)として、運営体制についての指摘がなされております。

 2として、今後の基本的な方向に関する選択肢として、2つの選択肢が提示されております。

 1つは、選択肢(1)にございます、国庫負担を2分の1として、現行の保険料方式を維持する方式。

   選択肢(2)といたしまして、いわゆる全額税方式に切り換えるという方式が提示されておりまして、それぞれのメリット・デメリットが付記されてございます。

   もう一枚おめくりいただきまして、3ページにまいりますが「3.今後の取組」といたしまして、大きく4点の提言がなされております。

 (1)にございますように、与野党を通じた超党派の合意形成の重要性。

 (2)といたしまして、いずれの選択を行うにしても、国庫負担割合の2分の1引き上げを、早期に実現しなければならないという点。

 (3)といたしまして、制度の基本論に対する国民的論議の推進。

 (4)といたしまして、これまでに指摘をされております、現在の制度の問題につきまして、早期に解決していくべきではないかといった点が、民間議員の方々から指摘をされている事項でございます。

   それに対応する形で、舛添厚生労働大臣がこの場に提出した資料1がございます。

   1枚おめくりいただいて、1ページ目におきましては、平成16年改正フレームワークについての概括的な説明がございまして、例えば一番上のところにございますように。

 (1)といたしまして、上限を固定した上での保険料の引上げ。

 (2)といたしまして、マクロ経済スライドの導入。

 (3)といたしまして、基礎年金国庫負担の2分の1への引上げを21年度まで実施する。

   こういった内容が枠組みとなって、16年改正が成り立っているということ等々でございますが、中身につきましては、これから御説明申し上げます資料3と重なりますので、後ほどまた詳細について御説明を申し上げます。

   当日の議論でございますが、こうしたそれぞれの選択肢が抱える課題といたしまして例えば現行の保険料方式というものを前提にいたしますと、やはり未納問題が最大の問題ではないか。一方で、全額税方式を取った場合には、移行をめぐる取扱いが難しいことが最大の問題ではないかといった指摘がありましたけれども、おおむね合意に達した点は2点ございまして、1つは今後与野党を含めて、国民の創意が得られるように議論をしっかりと行っていく必要があるという点が、合意の第1点。

   第2点といたしましては、基礎年金の国庫負担割合の2分の1への引上げは、是非とも行うべきであるという点。

   この2点が、当日の経済財政諮問会議の場でおおむねの合意となったということでございます。

    続きまして、お手元の資料3に沿いまして、現在行われている議論の詳細について御説明を申し上げます。

   表紙をおめくりいただきまして、1ページ目でございます。これは、先ほど表紙だけごらんいただきました、諮問会議の提出資料の1ページ目と同様でございます。

   まず、この1ページ目のシートにつきましては、16年改正のフレームワークの説明といたしまして、一番の四角の中にありますが、

 (1)上限を固定した上での保険料の引上げ。

 (2)マクロ経済スライドの導入。

 (3)基礎年金国庫負担割合の2分の1への引上げ。

 等によりまして、長期的な給付と負担の均衡が図られているということでございます。

   なお、(2)の下のところに小さい字で書いてありますが、所得代替率50%を確保していくことが、この16年改正の法律上の要請でございまして、16年財政再計算の際には50.2%、新人口推計や足元の経済状況等を織り込んで、本年2月に公表いたしました暫定試算では51.6%と見通されているところでございます。

   その下にまいりまして、その後どう推移しているかということでございますが、財政フレームの推移といたしましては堅調に推移しておりまして、残された課題は、まさに国庫負担2分の1引上げということになっているということでございまして、1ページ目の一番下にございますように、制度の持続可能性というものを確保していくためには、所要の財源であります2.5兆円を確保した上で引上げの実現を図っていくことが急務であるということが記載されてございます。

   2ページ目は、基礎年金の国庫負担割合を定める法律上の規定の構造について記載してございます。

   まず一番上の四角にございますのが、国民年金法の本則の規定でございます。国民年金法85条におきまして、この赤い字で記載しているところですが、本則上は国庫負担2分の1であることが法律上明記されております。

   その次に、これの例外といいますか、経過措置といたしまして、このページの中段にあります、16年改正法附則の第13条に条文がございまして、この中で、いったん本則では2分の1と規定をした国庫負担割合を、経過期間に限って違う割合を定める、経過的な割合を定めるという構造になってございます。ここにございます、第7項という項では、19年度以降、別に法律で定める年度の前年度までの国庫負担割合を定めております。

   3分の1プラス1,000分の32となっておりまして、これが現在適用されている国庫負担割合でございます。

   なお、17年度、18年度につきましては、これの近くに別の項がございまして、その中で17年度については3分の1プラス1,000分の11、18年度につきましては、3分の1プラス1,000分の25ということが、それぞれ定められているところでございます。

   このページの一番下の四角にございますが、この経過的な国庫負担割合を原則に復帰させる。つまり2分の1に復帰させる年度のことを、条文上は特定年度という表現にしてございます。この特定年度の定め方を書いているのが、この附則の16条でございまして、この特定年度は紫色で反転しているところでございますが、所要の安定した財源を確保する税制の抜本的な改革を行った上で、平成21年度までの、いずれかの年度を定めるものとすると規定されてございます。

   具体的には、この特定年度を定めるための別の法律を制定することにより、この特定年度というものは確定をし、それによって2分1という本則上定められた割合が確定するというのが、法律上の構造でございます。

   3ページ目、先ほどは条文をごらんいただきましたが、これを構造解析したのが3ページ目でございます。本則で2分1とされている状態が、経過的な位置づけとして、特定年度の前年度まで3分の1プラス1,000分の32ということになっているわけですけれども、これを本則に定められている2分の1にするためには、A、Bという2つの法律が成立することが必要でございます。

   具体的には、まずAといたしまして「所要の安定財源を確保するための税制の抜本改革法」、Bといたしまして「2分の1を実施する特定年度を平成21年度とする法律」、この2つの法律が成立いたしまして、初めて21年度の2分の1というものが実現するということが、条文の構造でございます。

   このページの下に括弧で書いてあるところでございますが、仮にこうした条件が満たされない場合につきましては、1つ目のポツにございますように、例えば21年度以降、現行法の解釈・運用の中で対応できるのかどうか。これは、言葉を変えますと、本則に規定をされた2分の1という条項を適用する。あるいは経過措置として、その直前まで適用されている経過的な国庫負担割合を適用する。といったテクニックによって対応できるのかどうか。

   あるいは2つ目のポツにございますように、むしろ適用すべき規定が欠けている状態というものが生じて、そのために例えば概算要求ですとか、政府予算案の決定に際して、よりどころがなくなってしまうおそれがあるのかどうかといった、言わば法が許容するぎりぎりの範囲を模索せざるを得ない状況が生じるということも考えられるところでございます。

   また、3つ目のポツにございますように、本部会の設置目的にございますような、5年ごとの財政検証の前提が整わず、その内容や作業に支障が生じるのではないかといった課題もございます。

   以上が構造解析でございます。

   4ページ目、これはこれまでの基礎年金国庫負担割合の引上げの歩みを記した資料でございます。具体的に申しますと、平成16年度に16年度税制改正による年金課税の適正化による増収分を充当して、薄い緑色で書いてあるところですが、272億円の引上げが行われました。

   17年度には、この適正化による増収分と定率減税の縮減廃止分による増収分を充てまして3分の1プラス1,000分の18、それから18年度につきましては1,000分の7引上げまして3分の1プラス1,000分の25、19年度は3分の1プラス1,000分の32となっております。

   5ページ目、現在適用されている19年度の国庫負担割合を定めるに当たって制定されました予算編成大綱、それから税制改正大綱の関連部分の抜粋を載せております。

   上の部分の予算編成大綱につきましては、19年度の取扱いもそうですが、加えて来年

度、つまり平成20年度の取扱いについても記載がございます。

   下半分の税制改正大綱につきましては、平成19年に秋以降、早期に消費者を含む税体系の抜本的改革を実現させるべく取り組んでいくという旨が記載されているところでございます。

   6ページ目、基礎年金国庫負担割合の引上げに要する額の見通しを、平成21年度の名目額ベース、これは16年再計算当時の数字を使っておりますが、それでお示ししたものでございます。

   一番左に掲げているのが2.5兆円、これが所要額でございまして、その右側にある基礎年金給付費の見通しが19.4兆円、2分の1の場合の国庫負担額が9.9兆円ですが、現行割合に基づく国庫負担額は7.4兆円、9.9と7.4の差額であります2.5兆円が引上げに要する経費ということでございます。

   7ページ以降は、税方式というものが提唱されておりますけれども、これにまつわる論点等についてまとめた資料でございます。

 7ページ、このページには2つの点、1つは我が国の公的年金制度の特徴、2つ目に税方式の特長について記載してございます。

   まず上半分から申し上げますと、我が国の公的年金制度といいますのは、社会保険方式、国民皆年金というものが大きな特徴でございます。

   この四角の2つ目の○にございますように、自ら老後に備える、自らの老後に自ら備えるという自立自助の考え方をベースにした、社会保険方式を基本としてございます。

    3番目の○にございますように、この社会保険方式を取りつつ、無業者・低所得者など保険料負担が困難な方も含めて、すべての国民に年金保障を及ぼしていくという考え方に至っておりまして、社会保険方式を基に、すべての方々に年金保障を及ぼすという高い理想を掲げた制度であるということも言えようかと思います。

   一方で、下の半分にございます税方式の特長といたしましては、まず1つ目の○にございますように、一般論として未納・未加入が発生しえず、その結果として将来の無年金・低年金問題を回避できる可能性があるということ。

   2つ目にございますように、社会保険方式に比べまして、適用、記録管理等を別途行う必要がないために、運営コストが低くなる可能性があることといった長所が考えられるということでございます。

   しかし、一方でこのページの○の下に矢印で書いてございますが、1つ目の○につきましては、相当長期間にわたって未納・未加入に伴う低年金の問題が残り得ること。それから、既に年金を払い終えた年金受給者の方々の中に二重の負担が生じる可能性があることに留意が必要です。

   2つ目の○につきましては、税方式でも給付等に伴うコストは避けられませんので、相当の体制維持が必要になる可能性があることといった点に留意が必要です。

   8ページ目、社会保険方式の特長と税方式の課題について記載してございます。

   上半分の社会保険方式の特長といたしましては、まず1つ目の○にございますように、自立自助と社会連帯の考え方に沿った制度でありまして、2つ目の○にございますように、拠出と給付の関係が個人ベースで明確でありますので、必要な負担について国民的な合意が得やすいという点。

   3つ目の○にございますが、社会保険方式というのは権利性が強いということがございます。

   次の税方式の課題といたしまして、1つ目の○です。まず税方式では、拠出と給付が個人ベースで連動しませんので、これから高齢化の進展に伴って、巨額の追加財源が必要になる上に、その金額はこれから増額していくことが見込まれるところでございます。

   例えば19年度ベースでいいますと、基礎年金を全額税方式にするための追加財源といたしまして、ここに約15兆円の追加財源が必要だということを記載してございます。

   この額が年々増加していく可能性がある。この中で、財源面の制約から将来的には給付が抑制されていくおそれもあるのではないかということでございます。

   2つ目の○でございますが、諸外国の例を見ましても、この税方式による場合には資力に応じた給付制限というものが避けられないのではないかといった点でございます。

   3つ目の○でございますが、基礎年金分だけでも、既に国民は年金保険料として消費税収に匹敵するほどの金額を負担しておりまして、それを組み替えることが現実的かどうかといった論点もございます。

   9ページ目、税方式年金への移行措置についてでございます。移行措置につきましては、いろいろな考え方があろうかと思いますが、ここにございますように、主に3つのパターンを記載してございます。

   1つは、一番上の四角のaというところにございますが、一定の時期から一斉に税方式に切り替える方式。

   bといたしまして、一定の年齢層から税方式に切り替える方式。

   cといたしまして、一定の時期から段階的に国庫負担率を高めて、最終的に全面切り替えをするというやり方が考えられるところでございます。

   その下に点々で囲った2番目の四角がございます。これらについての課題といたしましては、点々の中の1つ目のポツでございますが、現行方式の下での拠出実績、つまり過去の未納・未加入期間については、給付を行わないという前提に立ちますと、最低でも65年以上という超長期間にわたって、未納・未加入による低年金や無年金の問題は解消しない可能性があるということ。

   2つ目ですが、先ほどの資料にも触れられておりましたが、受給後も税負担を行う。

   既に保険料を払って、年金をもらっている方が、受給後も税負担を行うという二重の負担の問題があるという点。

   3つ目といたしまして、過去の保険料拠出実績に基づく給付を税負担で賄うといたしますと、給付と負担のリンクが切れておりますので、制度としてわかりずらい関係になりはしないかという点でございます。

   その他、その下にございますように、移行措置bの場合には、特定の世代にのみ負担が集中するといった問題もあろうかと考えておりまして、このページの一番下にございますように、こうした問題を解消するための方策として、過去の未納・未加入期間についても、移行後は給付に反映して満額給付するということと、過去保険料を拠出した方々にとって不公平にならないように、拠出実績に応じて上乗せ給付を行うことによって、こういった問題が解消することが考えられますが、この場合には、二十数兆円から三十数兆円規模の追加財源が必要になると見込まれております。

   このように税方式の導入ということを考えます際には、まさに我が国の年金制度は、これから白地に絵を描く状況ではございませんので、合理的な移行措置の必要性が高いということでございます。

   10ページは参考資料でございまして、いわゆる民主党の御提案、それに対応する国会における政府等の考え方について資料としてまとめてございます。

   以上が、資料1~3までの御説明でございますが、いずれも年金制度の基本論に関する国民的な論議が求められる重要なテーマであるということを最後に触れさせていただきまして、御説明とさせていただきます。

   以上です。

○稲上部会長

   どうもありがとうございました。それでは、ただいまの資料1~3についての御説明につきまして、御質問、御意見をいただきたいと思います。

   岡本委員、どうぞ。

○岡本委員

   1つ質問で、お手元にあれば御説明いただいて、お手元になければ後でも結構ですが、6ページのところで、2分の1への引上げに要する額(A)-(B)が2.5兆円という数字が、平成21年度に限っての数字として御説明があったわけで、これはこれでよくわかったんですが、今後、受給者が増えていくという時代の流れの中で、例えば10年後、平成でいいますと31年とか35年ぐらいになれば、この2.5兆円がどれぐらいになるのかということは、もし事務局のお手元に資料があれがお教え願いたいと思います。

○稲上部会長

   数理課長、お願いいたします。

○数理課長

   2025年、平成37年ということで見ますと、この国庫負担3分の1プラス1,000分の32から2分の1に上げるときの差額というものが、3.5兆円という見込みになっているところでございます。

○稲上部会長

   ありがとうございました。

   どうぞ。

○宮武委員

   質問ですけれども、この全額基礎年金税方式の方の多く、特に財界、経済界の方は、厚生年金の方も公的な年金としては廃止すべきというセット論で述べておられたことが多かったんですが、最近はそのことはセットして主張してなさってないんですか。

○稲上部会長

   どうぞ。

○総務課長

   これはいろんな考え方があると思いますが、参考資料で出させていただいている民主党の案では、これは報酬比例部分とか取得比例部分ということで、これは保険料を取ってやるという形で、イメージとしては公的にやれるんではないかということを想像しています。そこはいろんな形での議論があるんではないかと思っています。

○宮武委員

   お聞きしたのは、要するに経済同友会も明確に厚生年金は公的年金から外すということを前提にしての年金税方式ですね。

○総務課長

   たしか経済同友会は、そういう御議論だったと思います。

○宮武委員

   だから、そういう意味ではこの基礎年金の税方式、保険方式ということだけで論議をするのではなくて、年金制度全体の体系をどうするかという議論にならないと、非常に不公平だと思っているものですから、念のためにお聞きしました。

○稲上部会長

   岡本委員、どうぞ。

○岡本委員

   冒頭、部会長の方から自由な意見交換ということをおっしゃられましたので、あくまでも一委員としての意見として開陳させていただきたいと思います。

   1つは、2004年の年金改革の議論のときにも、たまたま私、委員におりましたので申し上げたんですが、やはり2分の1への引上げというのは、もう既に法律で決まっているということであって、早く安定した財源を確保する必要があるという、その必要性は皆さん方承知しておられたんですけれども、なかなか具体的な案がないという状況の中で、私は消費税の議論については封をするんではなくて、消費税の議論もやるべき時期ではないかと申し上げた経緯があるんですが、当時はまだまだ時期が早かったのか、あるいはそういうことを議論するような状況ではなかったのか。論点にもならずに消費税の議論については前回一切できなかったわけです。

   たまたま私が申し上げたから言うわけではございませんが、やはり消費税を議論しながら安定財源を確保するというのは、1つの重要な選択肢としては議論すべきであって、やはりもう封をするような時代状況、あるいは財政状況ではないのではないかと思っておりますので、そこについては前回の私の発言と踏まえて、その考え方が変わっていないということを申し上げておきたいと思います。

○稲上部会長

   ありがとうございました。

  ほかの委員の方、いかがでしょうか。

○岡本委員

   本当に自由なことでよろしゅうございますか。

○稲上部会長

   どうぞ。

○岡本委員

   税方式についていいかどうか、これはこれから非常に長い時間かけて議論されるべき問題であろうと思いますし、本当に新しい制度をつくるとなれば、これは本当に慎重な議論も要ると思っておりますけれども、先ほどの御説明で、税方式にした場合、あるいは新しく年金制度をつくるときには、移行措置については非常に重要であるという御指摘があって、私はそのとおりだと思うわけです。だから、制度をどういうふうに変えていくかということと同時に移行措置が大事である。

   従来の議論から見ましても、ここにありますように、世代間の扶養であるとか、保険料方式とか、それなり大変に重要な考え方であることには変わりないと思っております。

   ただ、少子高齢化の中で、やはり現役の皆さん方の負担力の限界というものを考えれば、そういう負担力の問題も考える必要があるだろうと。

   それから、国民皆年金ということもございますが、実際ここにございますように、未納という問題が現実に進行しているという避けられない問題もあるわけで、その辺の現実的な問題を避けて通るわけにはいかないだろうと思っておるわけです。したがって、税方式にするのかどうかは別にしましても、これから変えていくときには、新しい年金のコンセプト、基本理念をどうするかという議論をしていかないと、なかなか新しい議論の展開の糸口も見つけられないのではないかと思っておりまして、従来の方式では限界に来ているんじゃないかという認識があるから、税金を使おうという議論が出てきているわけでありますから、今度は税金を使ったときの年金というのはいかなるものかという基本的な理念なりコンセプトをきちっとつくれば、いろんな問題もまたそこから議論ができていくんではないかと思っておりますので、非常に総論的なことですけれども、そんなふうに思っております。

○稲上部会長

   山口委員、どうぞ。

○山口委員

   今、岡本委員がおっしゃった理念を十分考えて、年金の将来像をもう一度議論するというのは、非常に重要な点だと私も思います。しかし、もう一つ大事なのは、先ほども説明の中にありましたけれども、白地に絵を描くわけではなくて、既に受給者が存在しておられて、それで生活を営んでおられるという厳然たる事実があるわけで、そこをうまく整合するように変更していかなければいけない。今日における年金問題を考えるというのは、そういった既にもらっておられる方を頭に置いて設計していくことが大事だと思います。

   そういった場合に、特に税方式などで、これまで余り議論がされてないのは、移行のプロセスということがありまして、今日の資料の9ページ辺りに少し出てくるんですけれども、要するに、これまで払ってこなかった、未納・未加入だった人、それと一生懸命保険料を納めてこられた方を同列に扱わない。やはり納めてこなかった人については、それなりに調整するんですということが、移行の過程で必要ではないかと思っております。

   そうであるとするならば、未納・未加入で非常に年金額が小さいという問題は、実はここにも出ていますように、相当の時間補正するのにかかるということがありまして、ですから、基本的な理念とかは非常に大事で、それは議論すべきだと思うんですが、今、受給している人とか、あるいはこれから受給する人でも、途中過程の調整の問題ということも合わせて考えないと、地に着いた議論にならないと思うわけです。

   特に年金部会においては、実際の現状を知る立場にもあるわけですので、そういった内容、年金の実際面の展開、給付の中身というものに掘り下げて是非議論をしていきたいと思っております。

○稲上部会長

   ありがとうございました。

   小島さん、どうぞ。

○小島委員

    私、連合の立場でいいますと、連合は従来から基礎年金については税方式にすべきという主張をしてきたところです。

   では、なぜ税方式がいいのかという理由ですが、まずはそこをどうきちっと位置づけるかということになると思います。そこは、まさに今の保険方式をベースにしていると、どうしても低所得層については未納あるいは低年金という状況が続くということがありますので、今の国民皆年金という要望が、実質的には今その皆年金制度が本当に機能しているかというと、実態はそこは崩れているんだろうと思います。それをそのまま皆年金だと言っていていいのかという思いがあるんです。

   本当に皆年金ということであれば、そこは税方式しかないのではないかという思いがあって、これまでそういう主張をしてきているところです。

   その際、基礎年金の税方式という考え方なんですけれども、これも今日の資料の中に民主党の考え方が出ていますけれども、民主党の考え方は、基礎年金の税方式という言い方はしてないんです。民主党の場合は、御承知のように所得比例年金を全国民を対象にするというのがまずベースにあって、それで所得比例年金が低い人については税金で、言わば補足年金とか最低保障を付けるという考え方が基本になっていますので、今の基礎年金国庫負担2分の1をだんだん引き上げていって、全額税方式にするという考え方とは、また別の考えなんです。だから、ここは整理して考えるべきだろうと思っています。スウェーデン方式と言われるような、所得比例年金がまずベースにあって、それで所得比例年金が低い人については補足的に最低保障なり税で補填するという考え方、これが民主党の考え方、あるいはスウェーデンの考え方なので、必ずしもそれになってい るかどうかというのは、民主党の図を見ると本当にそれが最低保障年金と言えるかどうかというところがあるとしても、考え方としてはそういうことなんです。その辺の整理はしておく必要があるんだろうと思っております。

   連合も、今までは基礎年金を全額税方式に、国庫負担2分の1を3分の1あるいは4分の1、全額にして、一律に税で給付するという考え方をしてきましたけれども、そうすると財源を相当食うということがありますので、やはり一定の所得要件、あるいは2階の額か年金受給時の年金プラスほかの収入がある場合には、それについては一定税で給付する分については減額することも検討するべきではないかというふうに、最近はそういう検討も必要だというふうに思っております。その場合には、具体的に外国でいうと、たしかカナダ方式ですかね。一たんは税で基礎年金部分を給付して、翌年に前年度の収入から見て所得が高い人については税金で取り戻すという方式を取っていますので、そういうものも含めて検討すべきではないかというふうに現在は思っています。それは基本的な税方式についての考え方です。

   あとは山口委員がおっしゃるように、もし仮に税方式にした場合に、今まで保険料を払っていた人をどう扱うかという問題で、これについても連合は基本的な考え方を示しております。やはりそこはきちんと保険料をきちんと納めていた人と納めていなかった人の公平感ということから言えば、そこは反映する。今までの加入期間に応じて、その期間フルで保険料払っていた人については、税方式に切り替えた時点でフルで給付する。

   今の基礎年金水準。連合では7万程度と考えているんですけれども、それで給付すると。

   しかし、保険料を未納・滞納した方については、その分はフル年金から減額するという考え方。そういう形を取って公平感を図るべきではないかというのが、考え方として、既に文章で整理をしているんですけれども、この間この税方式移行問題については、ほとんど議論がされなかったんですけれども、一応連合としては既にそういう形は示しています。

   あと税方式にした場合に、では受給要件というのはどうするかということも当然あります。65歳になった時点ですべて受給権が発生するかどうかということがある。これは、連合としては、日本の居住期間が5年あれば受給権が発生する。一応40年日本に居住していればフル年金という、居住期間に応じて年金額を基礎年金、税で保証する分については給付するという考え方も既に示していますので、具体的には税方式にした場合の受給要件をどうするかということについても、これも本当は必要で、まさに年金給付については受給要件を何にするかということが極めて重要なポイントですけれども、必ずしもそこについては税方式を主張されるような形で、余り言及をされてないところですけれども、連合はそこも含めて考えているということだけお話させていただきます。

○稲上部会長

   どうぞ。

○宮武委員

   ですから、さっき私が発言したのは、一見すると連合も経済財政諮問会議の民間議員の皆様も経済同友会も同じ主張に見えるわけでしょう。基礎年金全額税方式という意味ではね。それは議論の入り口であって、どういう年金の体系をつくるかという全体像が見えないまま、入り口で論争しても余り意味がないわけで、同じ言葉であったとしても同床異夢なわけです。そこは間違っては困るわけです。今、移行プロセスの問題というのは、逆に言えば大きな体系をつくってからの話であって、どういう在り方が望ましいのかという議論は、何度も今までやってきて、一応大方の賛同を得て社会保険方式を維持してきたわけですね。

   その一部である基礎年金の国庫負担3分の1を2分の1に引き上げることさえ今できないときに、なぜ全額税方式なんていう議論をやっているのかということは、どうもおかしくてしようがない。

   今日の資料を見ますと、恐らく書いてあることは基礎年金の負担規定の構造という意味から見ると、このままほうっておくと、要するに無法状態ですと言いたいわけですね。

   私は法律の専門家ではありませんけれども、無法状態になったらどうするんですかと。

   さっきの御説明によると、概算要求をする根拠がなくなるという意味ですか。

○年金制度調整官

   そこは最終的には法解釈の問題、当初、16年にこの法律をつくったときの考え方としては、それまでに当然方向が示されているという状態を想定していたであろうと思いますが、仮にそれが満たされないときに、その満たされないままの条文がそのまま残る形になりますので、そうすると残された規定をどのように解釈して乗り切る余地があるのかという、ぎりぎりの話をせざるを得なくなっていくということでございます。つまり法が当初予定したことそのものではないけれども、現実問題を扱う方策としてどういうものがあるのかというぎりぎりの線を探っていく必要が出てくるということで、その結論まで私ども手元に持っているわけではございませんが、そういう事態も全くないことはないということを申し上げおります。

○稲上部会長

   どうぞ。

○権丈委員

   小島さんに質問なんですけれども、資料3の8ページ、基礎年金の国庫負担の引上げ、税方式の課題ということで、連合はずっと税方式をおっしゃっているわけなんですが、一番最初で拠出(納税)と給付が個人ベースで連動しない「税方式」では、一層高齢化か進む我が国においては財源面の制約から、給付が抑制されるおそれが強いと。これは非常に起こり得る、まともな普通の議論だと思います。

   これを財界の視点から見ると、減らしたいんだから願ったりかなったり、それを連合がどういうふうに考えられているのかというのは、私は昔から連合に行って話をしたときから言っている話なんですけれども、どうお考えなんでしょうか。

○稲上部会長

   小島さん、どうぞ。

○小島委員

   これは、連合としては、水準をこれ以上下げるなというのが基本的な考え方なわけです。それはまさにおっしゃるように、政治情勢も含めて財政面の制約から水準圧縮といいますか、抑制の圧力が出ることも懸念はされますけれども、そこはどう跳ね返すかということで対応せざるを得ないと思っています。

○権丈委員

   私も連合が跳ね返してもらうというか、力学的には連合がやってもらわなければいけないとは思っているんですけれども、できないと見ている。だから、この言葉は非常に重いと思っておりまして、連合が税方式を言うということは、非常にとんちんかんなことを言いますねと、給付が下がっていくような、非常に危ない状況になっていくということがおわかりですかということをずっと言っているわけです。

   以上です。

○稲上部会長

   どうぞ。

○樋口委員

   意見を述べるというよりも質問をさせていただきたいと思いますが、例えば今の資料3の7ページからの構成について読んでいますと、まず税方式の特長がありまして、それについて社会保険方式の特長、税方式の課題ということがありまして、通常ですとその後に社会保険方式の課題というのが来るんです。特長が2つ並ぶんですから、課題が当然その後になるだろうと。

   ところが、それについては、この課題がないんです。課題はなんだろうかということを考えると、むしろ諮問会議の方から提起された、諮問会議の民間議員のペーパーで言いますと、1ページから2ページにかけて、現行の社会保険方式にはこういった課題があるんだと、したがって、それに代わってここでは選択肢の提示という形で出てきているわけですが、この民間議員の提出した課題に対して、もし社会保険方式を取ったとすれば、どういった解決方法があるのか、あるいはどのような解決できない問題があるのかということについて議論していかないと、ボールは投げられたわけで、そのボールに対してどう考えるかということが明記されないのか。

   特に未納問題、更には(2)(3)の問題、(4)はどうするかという大きな問題ではあるんですが、制度としては(1)(2)(3)の問題に対して、社会保険方式を取ったとすれば、これは変えられない、解消することのできない問題ととらえるのか、それともそうではありませんというふうにとらえるのか、この点についてやはり議論していく必要があるんではないかと思います。

○稲上部会長

   どうぞ。

○権丈委員

   関連質問です。基礎年金の問題点のところで、有識者の方々が出されているところで質問なんですけれども、一番の問題は未納問題とおっしゃっていまして、このところ、この結果「サラリーマン等の費用負担が相対的に高まることとなる(注2)」とありますね。ここで、「一人当たり拠出金の算定に当たっては、未納者や免除者が分母から控除されるため、結果的に被用者年金制度の被保険者等の拠出金単価の上昇を招くこととなる」という、未納問題がちゃんと保険料を納めているほかの人に迷惑をかけるということを強調する意味にも受け取ることのできる、物すごく重要なところだと思うんですけれども、これは一体どういうことを彼らは指しているのかということが、私にわからないんです。お願いします。

○総務課長

   樋口先生から御指摘のあった点で、資料1、これは経済財政諮問会議で大臣の方から御説明させていただいた資料ですが、その最後の紙をおめくりいただければということでございますが、今、御指摘のあった、特に未納・未加入の問題、年金制度をめぐる諸課題への対応ということで、未納・未加入対策ということで、これについてはそこにありますような免除制度であるとか、高所得者に対する強制徴収、納付の多様化、国庫との連携というようなことで、現状としては一生懸命取り組んでいるという状況でございます。

   その結果として、近年、未納・未加入というのは、数字としてはゼロではありませんが、減少する傾向にあるということではないかと考えております。

   それから、記録問題への対応、それから、保険料ということで御指摘になったことについて、そこでお示ししているような形で説明させていただいたということでございます。

○樋口委員

   (2)の方はどうでしょうか。

○総務課長

   (2)につきましては、確かに世代間、給付と負担という形で、後の世代ほど負担が大きくなって、世代間の不公平感があるということですが、これは今、年金をもらっている世代、その人たちは若かったときに自分の両親を扶養してきたといった私的な扶養みたいなものを全体に含めて、やはりこういった世代間の議論というのは考えられるべきだろうというふうに思いますので、単純に年金制度という公的な制度だけの扶養は、世代間の公平・不公平だということだけで、社会的な公正なのかどうかというところは、なお、我々としては疑問を持っているということではないかということでございます。

○稲上部会長

   どうぞ。

○審議官

   申し訳ございません。せっかく夜遅くまで残っておりますので、私も議論に参加させていただきたいと思います。今の(2)につきましては、特に16年改正の中でも、やはり大きな世代間の負担格差という御議論がございまして、これについてマクロ経済スライドというものを導入をし、初めて本格的に既裁定の方々にも制度的に、これまでの定率を法律づけるという形でやったわけですけれども、自動的に現役の伸びの低下、あるいは生産力の低下、そういったものに対して負担調整をやるという形で、やはり世代間の負担の公平性ということにかなり気を使った形での改正ということが1つ言えるんではないかと思っております。

   恐れ入ります。加えて、やはりいろいろ御議論ありましたように、社会保険方式ということで、生まれ育った年金制度は大きな決断をしたわけでございますけれども、やはり言われますとおり、それであればそういった制度を維持するという目から考えていかなければいけないことがある。これはそのとおりだと思うわけでございます。その問題は、1つは未納・未加入でございます。未納・未加入につきましては、これも資料の説明が不十分だったかもしれませんけれども、16年改正で初めて市町村から所得の情報が手に入るようになりました。それから、この前の社会保険庁の改革案の中で、23年から住基情報が入ることになってございます。つまりだれがどこに住んでいて、どのぐらいの所得かということがわかる。これまでは、社会保険庁が自分の内側にだれがいるかということはわかりましたけれども、自分の内側にだれがいないのかということはわからなかった。それが、初めて外側のデータと照合することによりまして、そこがわかるようになるという非常に重大なツールを手に入れることになるわけでございます。したがいまして、この未納・未加入問題は徹底的な対応をとっていきたいということです。

   それからもう一つは、記録管理の問題というのは、おっしゃるとおりでございまして、誠に安心して、国ならば大丈夫だと思って納めていたらばそうではなかったことに対して、非常なお怒りを受けたということで、これはまさに社会保険方式のところの信頼感が裏切られたということなんだろうと私も受け止めてございます。

   その点につきましても、庁の方で今、プログラムの開発から、まさに現に名寄せが行われ、   この12月からは照合が済んだものから国民の皆様、特に受給者の方々から一足早くということでお知らせさせていただくということで、やはり前に進んでいることが目に見えるような形で進めていく必要があるんだろうと思っているところでございます。

   資格期間の短縮問題などにつきましては、やはり社会保険方式で、例えば40年間全部未納ですと3万3,000円、今度の2分の1ですとそういうことになるわけですけれども、そういうところと、25年というところで、あとはもう保険料を払わなくてもいいんだというふうになったときに受け取る年金のバランス関係を常に考えていかなければいけませんし、それから25年というものを短くしたときに、今度はそこで大量の、もういいやという方が出てくるんではないかというところが、常に私ども心配なところでございます。

○樋口委員

   今のとの関連ですと、(3)のところをどうするかということがまだ出てこないんですが、これはパートの適用拡大に、この部会でも、あるいはワーキンググループでもずっと議論してきたわけです。その問題と関連して出てきている問題ですし、更には(1)の未納とも関連している問題になっているわけですが、この点は社会保険方式だとどうするのかというのは、やはり重要な問題になってくると思うんですが、どうするんでしょうか。

○審議官

   誠に恐れ入ります。その点もパートのときにも、ここで非常に大きな御議論があったと思います。確かに税方式であればもう3号も何もないわけでございますけれども、社会保険という限りにおきましては、まさに3号の位置づけをどうするのかということにつきまして、あのときにも委員の皆様の間でも、非常に大きな御議論がございましたし、その点も引き続き、まさにこの審議会の取り上げるべきテーマとして考えておくべきではないかという御議論もあったかと思っております。

○稲上部会長

   どうぞ。

○稲垣委員

   今のところと少し関連するんですけれども、未納・未加入というところで、いわゆる非正規の方々が非常に増えている。そういう方々は、企業が厚生年金の適用を除外していて、やむを得ず国民年金を払わなくてはいけない。そういう方が増えていると思います。

   たしか前に示された資料の中でも、そういう方々の未納が多いということがあったかと思いますので、ここの書き方はやはり1面的であるし、未納・未加入問題に関しましては、パートタイマーの方の適用拡大というところも議論がありましたけれども、今回の年金一元化法案の中では、大変中途半端な形で出ているんではないかと思っております。やはり原則としては、企業が雇用する人に対してはきちんと社会保険を適用することを原則にすべきだと思っております。

   この税方式と社会保険方式ということで議論されておりますけれども、個人的な意見ですが、一番現実的なのは、今のままの形を取りつつ、いわゆる基礎年金部分の国庫負担を徐々に上げていくところが、制度も大きく変える必要もないし現実的かなというのが、私の個人的な見解です。

○稲上部会長

   ありがとうございました。

   どうぞ。

○今井委員

   資料3の11ページの一番下なんですけれども、財政難の折、給付のカットまで考えているということが書いてありましたので、その前にやるべきことがあるんではないかと思います。8ページのように、自立自助とか社会連帯の考え方に沿った制度であるのであれば、また拠出があって初めて給付があるという給付の安定をいうのであれば、やはり同世代の働く女性にとって専業主婦、今の(3)とも関わるんですけれども、不公平感がすごく強くなってきているのではないかと思うんです。

   ですから、収入のない学生も保険をかけるという現状にありますので、整合性を考えても3号の方に保険料を払ってもらうべきではないかと思います。この問題は、もう何年も前から議論していることなんですけれども、ここまで少子化、長寿化社会になった今、具体的に考えていく時期が来ているんではないかと思います。

○稲上部会長

   西沢委員、どうぞ。

○西沢委員

   意見ですけれども、宮武委員もおっしゃったかもしれませんが、前回も私申し上げましたけれども、基礎年金国庫負担2分の1への引上げという喫緊の問題と、厚生労働省の皆さんはフレームワークの中の最後の1つと書かれていますし、直前に迫っている問題と制度体系のそもそも論を2つ並べられていますけれども、制度体系のそもそも論も非常に重要だと思いますが、さはさりながら、目前に迫ったものについては、まず議論すべきであって、諮問会議ではそもそも論を取り扱って、それも意義があることではありますけれども、本来であれば税制の抜本改革が行われているこの時期に、それを行わずにそもそも論を行うというのは、時間軸が少しずれているというか、ピントがずれているような気がします。

   もう一つ、これに関連しまして、国庫負担といってしまうところに少し議論として問題があると思います。確かにここは厚生労働省の年金部会ではありますけれども、年金制度にとって好ましい税目の組み合わせですとか、そういうことに踏み込んではタブーなのかもしれませんけれども、以前も公的年金等控除を少し縮小して一部充てましたし、定率減税を縮小してそれを充てましたけれども、年金制度の国庫負担を上げるのに好ましい税目の組み合わせとか、本来であれば国庫負担と言い切って弾を投げてしまわずに、細かな制度設計まで税制に関して踏み込んでいって、例えばそれも財務省に投げてみるとか、いまさらかもしれませんけれども、それがタブーなのかどうか。本当はタブーではなくてやるべきだと思いますけれども、そういう喫緊の問題をまず検討した方がいいと思います。

○稲上部会長

   ありがとうございました。

   どうぞ。

○宮武委員

   私が申し上げたのは、今の議論の仕方をしていると、同じ基礎年金全額税方式であったとしても、要するに2階部分のところはもうなくしていいということと、それをまた維持していくこととは、随分違うわけでありまして、国民がこの議論を聞くときに、基礎年金が全額税方式であれば大変すっきりしていいなという議論、その代わりに2階部分は全部公的年金をやめてしまえと言われたときに、どういう反応をするかということも含めて、そういう意味ではトータルな議論をすべきだと言っているわけでありまして、議論をするなと言っているわけではありません。しかし、トータルな設計図を見た上で、基礎年金のところは税方式がいいのかどうかということを議論しなければ、アンフェアであるということを言っているわけです。繰り返しになって恐縮です。

○稲上部会長

   ありがとうございました。

   どうぞ。

○数理課長

   先ほど権丈先生から御質問のありました、有識者議員のペーパー、資料2の1ページの下の部分でございますが、未納・未加入が増えることによって、サラリーマン等の費用負担が相対的に高まることとなる。これがどういう意味を持っているのかということでの御質問がございまして、参照するものといたしましては、参考資料1というものがございますが、こちらの22ページをお開きいただけますでしょうか。こちらに「未納者の増加による財政影響」ということで絵がございますが、左側の現在というところを見ていただきますと、未納が増加することによりまして、国民年金制度分という影を付けた部分、これが未納の増加によりまして支える人がその時点で減っているということで、給付の方は変わらないので、一人当たりの基礎年金の拠出金が増える。

   先ほどの有識者議員の資料でも、注のところに一人当たり拠出金の算定で未納者や免除者が分母から控除されるため、結果的に被用者年金制度の被保険者等の拠出金単価の上昇を招くことになるという記述がございます。

   ただ、ここで注意すべきことは、被用者年金制度の方だけが拠出金単価が増えるわけではなくて、この絵にございますように、国民年金の保険料を払っておられる方に対しましても、等しく拠出金の単価が増えるということが1点でございます。

   もう一点、保険料を払わない方は、社会保険方式でございますので、こうなりましたときに給付が出ない。右側の将来というところで、給付が出ないということによりまして、将来的には基礎年金の拠出金というのはその分だけ下がるということで、年金財政上の観点だけから見ますと、未納による財政影響は非常に限定的であるという2点を追加して御指摘しておきたいところでございます。

   以上です。

○権丈委員

   ですから、この一人当たり拠出金の算定に当たってはというところで有識者議員の方々が出されている、あるいは多くの人が書かれている文章にもそうあるわけですけれども、結果、被用者年金制度の被保険者等の拠出金単価の上昇を招くことになるというのが、二重の意味で間違えているんです。

   1つは、別に被用者年金だけではないということ、そしてもう一つは積立金の存在を考えていない。だから、積立金の運用利回り分ぐらいは減るかもしれないけれども、それ以外の影響というのは一体何があるのか。積立金というバッファーがあるんです。だから、未納・未加入問題のところで批判をするところの根本的なところでまず間違いがあったりするのが、私から見るとこの有識者議員のペーパーの中にあると思います。

   また、2番目の給付と負担における世代間の大きな格差といっても、これを租税方式にしたからといって賦課方式である限り同じだろうということがありまして、一瞬、今の制度をぼんと租税方式に変えて、保険料を納め終えた人たちから二重の負担を取る形にすると、確かに当面は世代間格差というのは緩和される可能性があるけれども、それは二重の負担を取るからであって、そしてそれは当面一回限りの効果ですね。高齢期にも租税は負担しなければいけないということになってくると、若いときには払う部分がそれだけ減るということがある。現行方式に(1)(2)(3)(4)という4つの批判をしてますけど、これらは租税方式にすれば解決される形での(1)(2)(3)(4)ではないのではないか。しかも(1)では、かなり重要なところでミスがあるというのが私の認識です。

○稲上部会長

   どうぞ。

○樋口委員

   数理課長がおっしゃったのは、多分年金会計における話かなと思うんですが、例えばそれによって生活扶助の方が増えてくるということは、やはりどうしても考えておかなければ、国家財政としては必要ではないかと思います。

   ですから、未納であれば給付はしません。だから、年金会計上は別に影響はないんだということなんですが、では、その人たちの生活はどうするんだということになれば、当然その部分について生活保護というところの話が出てくるわけで、年金だけで議論すれば言っているとおりだと思うんですが、一方で全体で考えていく必要があるんではないかというときには、議論少し変わってくると思いますが、いかがでしょうか。

○総務課長

   確かに無年金の方で生活に困窮されている方は、生活保護ということもあると思いますが、生活保護というのは、御承知のとおり、年金以外の所得も含めて、あらゆる所得がない、それから資産をお持ちでないような方を対象にしてやる制度ですので、無年金ということが直ちに生活保護には届かないと思うんですが、現状でも無年金の方よりも生活保護を受けている方の数は若干少ないような状況だろうと思います。ただ、全体として無年金の方が増えたら生活保護による支出が増えていくだろうということは、それは御指摘のとおりだろうと思います。

○稲上部会長

   林先生、どうぞ。

○林委員

   今日のテーマは2つ、国庫負担の2分の1への引上げと税方式化についてということですけれども、国庫負担の2分の1への引上げは法律に書いてあることであり、私どもとしては何としてもやってくださいという以外にいいようがないのではないかと。

   例えばどういう手立てでとか、何税によってとかいうことをここで議論する必要というか、余地があるのかどうかというのがよくわからず、何としてでもやっていただくしかないと、部会としての総意でどこかに出していただくような格好しか思いつきません。

   それから、税方式化について、ここで今日話が出ているのには、私もちょっと違和感がありまして、税方式化を主張する根拠として、未納・未加入問題であるとか、世代間の格差ということが出ておりますけれども、それについてこれまで04改革でのマクロ経済スライドあるとか、先ほど審議官からも御説明がありましたけれども、所得情報を入手できるようにしたことであるとか、あとはここの部会でワーキンググループでもやりましたけれども、パートの厚生年金への適用拡大というのも、未納・未加入対策になるであろうという思いを込めて我々はやってきたわけであって、そういったこれまで積み上げてきたことの効果を全く検証したり、見たりする機会もなくして、未納・未加入問題と世代間格差が現状においてあるから税方式というのも、何か性急に過ぎるのではないかという気がいたします。要するに、04年改革であるとか、これまでやってきたことの効果なり何なりということを、少しは検証する時間というものがあってもいいのではないかと思います。

   それから、税方式化そのものについていうと、私はこれで一体どれぐらいの給付の厚みというのが確保されるのかということには、非常に懸念を持っております。勿論、6万、7万というような、今の満額ということであれば、余り高所得の方、高資産の方が受け取る方に、支え手側は当然納得しないでしょうから、所得制限ということになるでしょうし、所得制限ということであれば、ちょっとしかもらえないことがわかっている人たちは、そんなものに税金を払うのは嫌だという話になるし、1万円とか2万円とか、それぐらいのものになるような気がしてしまうわけですけれども、それは年金の名に値するのかなという感じを持ちます。

   税方式を考えるに当たって、年金の理念やコンセプトを改めて考えることが必要という御指摘もありましたけれども、税方式というとすべてのほかの施策との共合ということになるわけで、年金のコンセプトを守るとか、そういうところから離れていくような懸念を持っております。

   税方式化については、そのように考えます。以上です。

○稲上部会長

   ありがとうございました。

  どうぞ。

○権丈委員

   いいことをおっしゃって、租税方式で7万円をみんなに配っていくことが、この国で本当にできるのかと同時に、国際的にもそこまでの水準、租税方式でやっているところは給付水準が非常に低くなってくるというのは、大体事例としてわかるんですけれども、そこまでの水準になっているということができる、しかもそれを連合がやって見せるというところが、私にはどうも理解できないところがあるので、非常に懸念するところであります。この租税方式というのは、理念を話すということもあるんですけれども、理念という意味では医療でも選択的医療と基礎的医療に分けるべきだという議論とか、理念はわかるんだけれども、では、診療報酬点数表の中にある現実の診療行為を、選択的医療と基礎的医療に現実的に分けてみようというと、できっこない。それと同じように、現実に租税方式というものに、今ある制度からどう移行していくかということを実際のところ描いてもらいたい、改革をしたいという人たちは、そこまでセットにして提案すべきだと思うんです。

   それを我々は頭の中でシミュレーションしているんです。それで、これは難しいなと、医療にしろ、年金にしろ、皆さん経済財政諮問会議が言ってくることをやろうとすると、価値判断以前に現実問題として実行できるのかというところがあって、我々はいろんな論文を書いたりはしているわけなんですけれども、そういう話の中で、先ほど樋口先生がおっしゃった、(1)(2)(3)(4)の中で多くの人たちが、樋口先生も恐らく(3)をいいたいのではないかと思いますし、私も(3)で、林さんも杉山さんも小島さんも、全員(3)ではないかと思うんです。この部分を保険制度の下で何とかしてもらいたいということを言ってくださる。あるいはやってくださる。方向さえ見出してくだされば、私は年金部会の多数派というのはこの(3)の中、つまりパート労働に対する厚生年金適用をちゃんとやるとか、あるいは3号に対して、やはり何かちゃんとやっていかないと、労働市場にとんでもない迷惑をかけているようなところを言いたいのだと思う。経済財政諮問会議が出してきた基礎年金の租税方式について党派を超えた国民的議論が必要だという話はわかるんですけれども、そのかなりの部分は国民に制度を正しく理解してもらう努力をすることなんです。そうではなくて、ちょっと前向きな話になってきますと、私はこの(3)のところで、1月からやってきたことを我々は納得していないと思います。その辺りを前向きにちゃんとやりましょうとか、3号のところはもういよいよ議論しましょうという方向で年金部会の中で、国民的議論といいますか、年金部会の中で議論していただければと思うんですけれども、小島さん、いかがでしょうか。

○稲上部会長

   どうぞ。

○小島委員

   連合の税方式がおかしいというのは、前から権丈先生言われていたところですけれども、今の段階でそれを下ろすわけにはいかないところがありますので、それは別として、今、指摘されて、まさに未納・未加入の問題をどうするかということが極めて大きな問題と、それからパートの厚生年金適用問題、今の第1号被保険者2,200万人のうち半分は雇用労働者が加入しているという実態ですので、本来の1号被保険者の対象ではないんです。自営業者の人たちは4分の1しかないという実態なんです。それがそのままでいいかということなんです。ということは、まさにこれまでこの年金部会で議論してきたパート等に対する厚生年金適用問題、どこまで現実的に広げていくかという問題が大きなテーマとなると思います。それと、有識者議員が指摘している3号問題が、本当に保険方式を前提とした場合に、3号問題というのは本当にいいのかということがあるんだと思います。

   これは、税方式になれば解消するという話ですけれども、そう簡単に税方式というのは難しいということがありますので、まずは現行の保険方式の前提の上に立った中で3号問題をどう扱うかというのは、極めて大きな課題だと思っていますので、そこをまさにこの年金部会でどうこれから議論するかということではないかと思います。

○稲上部会長

   どうぞ。

○樋口委員

   権丈先生に、私の申し上げたいことを推測していただきまして、そういうことも含めて申し上げたいんですが、要は(1)~(4)に出てきている、民間議員が定義している問題というのが、社会保険方式に対する問題なのか、それとも厚生労働省に対する問題なのかというところというのは、やはり見極めていかなければいけない。現状として問題がある、この(1)~(4)があるということは間違いないことだろうと思います。だからといって社会保険方式を否定することになるのか、それとも今までやってきたことについて、特に私は(3)あるいは(1)のところは気になるわけで、ここのところを我々はある程度いろいろ提言してきたわけです。ところが、それがなかなか実現しない、先送りされてきていることによって、社会保険方式に対して疑義が挟まれてくるということでありますので、ここのところをどう解決するのかというのは、まさに社会保険方式を取ったとしても解決できるんだというところ示していかないと、それは問題の解決にはならぬというふうに思います。

○稲上部会長

   どうぞ。

○稲垣委員

   3号問題が少し出てきましたので、もう少し付け足して意見を申し上げたいと思うんですけれども、いわゆる現在の制度ができたときには、考えていなかったことが今、起きてしまっていると思います。第3号の制度ができたときは、人口がピラミッド型ということで、支え手の方が大きかったので第3号の方まで給付ができるということがあったと思うんですけれども、今はもう逆ピラミッド型になろうとしているところで、やはり3号問題は避けて通ることができない。

   前回のパートタイム労働者への適用拡大のときにも問題がありましたけれども、パートタイマーの方に厚生年金を適用させないというのは、将来、例えば女性の働き方に中立的かどうかとかそういうところでは問題がありましたけれども、当事者にとってはそれほど大きな問題はなかったかもしれないんですが、今回若者の非正規の方が将来年金が受けられないということは、最初に制度をつくったときには想定していなかったことだと思いますし、今後ひょっとしたら若者の中で第3号になりたいという方が増えてくる可能性もあると思うんです。だから、やはりここは避けて通ることのできない問題だと思っております。

○稲上部会長

   杉山さん、どうぞ。

○杉山委員

   遅れてきたので、もしかしてこういう議論はもう既にあったのかなと思うんですけれども、仮に税方式にした場合ということで、資料3の8ページに税方式にしたら消費税の6%の引上げが必要とあって、今年も見送る、次年度また議論が起こるだろうとうことが、ずっと言われている。3分の1から2分の1にするのにも1%もどうだこうだといっているときに6%となって本当に、今はそういうふうにおっしゃっていますけれども、本当に税方式にしようとなったときに、だれがどんなふうにこの6%を説明していくんだろうかというところは、本当に大丈夫なんだろうかということが素人考えでも思います。

   それこそ第3号の問題で、専業主婦の方たちには御負担をしてもらうわけにはいかないというふうにおっしゃっていて、6%消費税を上げますというときに、第3号の方たちはどういう反応をなさるんだろうかということまで想定して税方式とおっしゃっているのかということも含めて思うんですが、やはり現実的なラインを積み上げていくということが、とても必要なことで、それであれば現状の中でまずやらなければいけない、本来ずっと議論をしてきて、本当はもうやってほしかったことというところから積み上げていって、その中で信頼を勝ち得て、もしかしたらようやく税方式化、それとも保険で続くのかという議論になっていくんではないかと思うんですが、今、税方式をばっと出すと全然違ういい世界がここにできるんだという、何となくそれも怪しいなというか、やはりいるんだったらちゃんと丁寧な説明とプロセスを出しながら、説得していくことが必要なんだと思うんですけれども、その辺りがごっちゃになりながら議論が進むということ自体が、ここに座っていながらも首をかしげているという状況です。

   まとまりがなくて済みません、以上です。

○稲上部会長

   宮武先生、どうぞ。

○宮武委員

   今日は随分しゃべれる時間があって、先ほど権丈さんも樋口さんも例に出された民間議員の基礎年金制度の問題点で(1)~(4)までございますね。これは、税方式にするという問題から考えたときに、いつも思うんですけれども、もともと国民年金というのは自営業者の所得把握ができないという税制の欠陥があったから、だから定額の保険料ということにならざるを得なくて、当面定額で将来は是正するといいながら、いまだに是正できないままになっているわけです。

   この問題は、実は社会保険の問題なのか、むしろ逆に言えば今の税制の問題ですね。ここのところが問題。

   2番目の負担と給付における世代間の大きな格差ということですけれども、基礎年金全額税方式にして、その財源は消費税ということになれば、まさにそれは逆進性で、今は生きている人間の中で大きな格差が生まれてくることになりますね。

   3番目の職業や世帯形態による制度の違い、これはまさに私ども含めて、パートの適用拡大をやったときの問題ですけれども、もし全額基礎年金税方式にするということであれば、それは女性の就労意欲を妨げるという意味では同じかもしれませんね。働かなくたってちゃんと基礎年金が受け取れるという構造は変わらないわけです。むしろそうではなくて、2階部分の報酬比例のところにまで女性がちゃんと進出して働いてくださるというところで、就業意欲の問題になるわけでありまして、逆から見ても何となく非常に興味深い論議はできると思います。

○稲上部会長

   どうぞ。

○権丈委員

   本当に有識者議員が出されているのが面白くて仕方ないんですけれども、先ほどの杉山さんのお話に付け加えた形で私の方から言っておきますと、例えば今から6%上げて年金に全部投入してということになってくると、これは引上げが必要だから今から相当消費税足し合わせて行くわけですね。そういうところで出来上がった夢の社会というのは、どんなものかというと、どんなところにいたって65歳になって年金受給者になったら、いきなり7万円もらえるというのが、本当にいい社会なのかというのが私の中であるんです。

   同時に、そういうことができているスウェーデン、最低保障年金とかをやっているというのは、基本的に生活保護が実は物すごくジェネラスにできあがっているので、65歳になったから、そこである日突然生活水準がぼんと上がったりという問題ではない。それ以前のところでもうミニマムなところの給付が十分存在しているものがあるから、連続性を持った形で最低保障年金の世界に入ってくる。制度改革以前のところでも、基礎年金と基礎給付と補足給付というところで、制度改革後の最低保障年金相当額分はもうもらう形になっていたので、制度を改革したからといって移行措置なんてあの国は要らないんですね。だから、そういうことからいろいろ考えていくと、生活保護の問題とどう整合性を取るんだというんだったら、私は生活保護の方を十分引き上げた上でそういう年金の最低保障年金の議論をしないと、本当に話が逆になっていくんではないかという気がいたします。

   そして世の中には、年金と基礎年金と生活保護ということを並列に並べられることがよくあるんですけれども、やはりミーンズテストというのは相当なハードルだということを、我々はちゃんと責任を持って国民に伝えていかなければいけないのではないかと思っております。

   もう一つ、夢の話で財源の話をしておきますと、この国で6%の消費税を引き上げて、それ以上の消費税をどのぐらい上げることができるのかということが、私は非常に心配なんです。年金というのは、2004年の改革でこのままほうっておいたら18.3%まで保険料が上がるんです。それをなしにして消費税に切り替えたときに、では医療はどうするんだ、介護はどうするんだというところで、そこを充実するための財源というものが本当に来るのかということになってくると、私は年金に関してはほうっておいて18.3%まで上がっていく、そして消費税から年金へはに関しては1%分は上げてもいいけれども、そこから先のアディショナルな部分というのは、今、年金が抱えている問題と比べると、実は医療は深刻な問題を抱えているわけですから、できればそちらの方に財源を回して充実したいというのが根っこの部分にあり、現金の可処分所得があることが本当に豊かな不安のない社会で将来という老後なのかというと、私は現物給付を十分に充実していく方が不安を緩和するというのには効果的である、効率的であるというふうな考え方が根っこの部分にありますので、先ほどの財源の6%をだれが引き上げていくのか。

   そこから先、では年金に回した後に、ではそこから先に介護、医療というところに本当に回していくことができるのかということを考えていく、そして最終的には保険料の引上げが消費税に変わっただけで、財界だけが喜んでいたというような、それに連合が加担していたというような状況になるのだけは避けたいんですということがありますので、一応付け加えさせていただきました。

○稲上部会長

   反論ですか。

○小島委員

   確かに税方式で、経団連はそこをどうするかというのは、もう一度検討しているようですけれども、かつて同じ税方式を主張したときに、財源論については経団連と連合と財界等で見事に、現行事業主負担をしている基礎年金相当分に対する労使拠出分がありますので、その事業主相当分は引き続き新たな社会保障税という形で拠出をお願いするということを連合としては考えているということなので、そこは権丈委員が言われるように、全く同じではないというふうに思っていますので、そこだけは申し上げます。

○権丈委員

   財源を何に使うんですか。やはり道路特定財源とかいろんなところを見ていると、目的税というようなものの中でも受益者負担という考え方がある税というものは、物すごく論理的に頑強になっていくんです。

   そこで、年金に使う拠出金としての被用者、事業者負担というものは、やはりかなり頑強に我々は要求することができるけれども、それを受益者、あるいは拠出と給付が論理的にリンクしていないところに持っていこうとするときに、非常に財政論的に弱くなってくる。目的税にも2つありまして、何の関係もなく給付にこれを充てますという目的税と、もう一つは受益者負担という考え方が少なからず当てはまる目的税というものになってくると、非常に強い論理をつくっていくんですけれども、事業主の方からの拠出分は断固取っていきますといったときに、一体どういう形で、どこに使っていくのかということが、拠出と給付が個人名義で年金としてもらいますというときほどの安定性というものが本当にあるんだろうかということを心配してしまいます。

○稲上部会長

   手短にお願いします。

○小島委員

   そこは、今、言った基礎年金の財源として、連合が考えているのは一部年金目的間接税、消費税相当分目的税にしたものを、2025年時点の連合の当時の推計として3%程度で、それで不足する分については、事業主負担相当分については、そこは社会保障税、社会保険という形で集めて、現行の厚生年金で取っている事業主の社会保険相当分、それを社会保障税と名前を変えて基礎年金に投入する、まさにそこは目的税、基礎年金の財源に充てるということで考えているという事業主負担の在り方ということです。その辺はもう少し時間があればと思います。

○稲上部会長

  一時間半ほど議論していただきましたが、ご意見にあまり大きな隔たりはなく、したがって特にまとめる必要もないように思いますけれども、きょう議論していただきました税方式については、大なり小なり違和感があるということであったかと思います。制度のそもそも論という意味では、部会としての考え方の継承性を大切にしていく必要があると思いますが、平成16年改正の議論に沿って当面社会保険方式の延長線上で浮かび上がるさまざまな問題を一つひとつ解いていくことが大事だというご指摘で、大体御議論が収斂するのではないかと、小島さんは異論があるかもしれませんけれども、多くの方がそういうお話をなさったように思いますので、大変有益だったと思います。

   どうぞ。

○年金局長

   本日は、大変ありがとうございました。自由討議の時間を取っていくことが大事であると前回言われたんですが、今日は本当にそればかりというぐらいで、本当に大変ありがたいと思っています。

   若干の感想と申し上げなければならない点と分けてみますと、今日御議論いただいている中でも、私ども空気や水のように、国民皆年金というのが当然の議論の前提となっているわけでございますが、昨今起きている議論の中には、必ずしもそれを前提としない議論も混じっているということが1つで、そこをきちっと整理しながら対応していく必要がある。

   また、皆年金を守るためには、パート問題のときにもそうだったんですけれども、いわゆる被用者年金の適用範囲を広くするということだけでは皆年金というものが維持できないという中で、かつての市町村時代は未加入者を多くバッファーで取ることによって、余り成熟していない時期でございましたので、かなり調整し、余り議論にならない時代もありましたが、今日、成熟化した年金制度の中では、そしてまた国がきちっと津々浦々統一的な基準で運用しなければならない時代において、皆年金を守るということは本当に難しいことですが、先ほども申しましたように、さまざまなツールを得ている中で、改めて私どもしっかり国民年金も維持していく覚悟であります。

   税方式の議論は、今さまざまにいただきまして、私から付け加えることはないんですけれども、基本的には国民が本当にこれを望むのかというところが一番大事なんだろうと思います。その意味でも、こうしたところでの御議論というのは大変ありがたいと思っております。

   それから、これまで積み重ねてきた年金制度の本来的な諸課題について、何であっても更に前に進めて行くべき議論を重ねていくべきだというのは、おっしゃるとおりだと思います。確かに16年改正で3号問題を1つとっても、離婚分割の問題であるとか、あるいは今般の一元化でパート問題、いろいろ御批判ありますが、ある程度外形的にアプローチをしているところがあるわけですが、さまざま社会保険制度の中で残された論点として、なおなお残っているというのが、私ども強く認識しているところです。

   西沢先生や宮武先生の方から、極めて現実的なところについて御心配のお声を出していただいて、大変ありがたいわけでございますが、16年改正の大きな柱の1つである2分の1国庫負担というのは、何としても実現しなければいけない。少子高齢化の中で、あるいは雇用が流動化する中で、年金制度の持続可能性はどうかということが問われて対応してきたわけですが、そうしたもの以上に、はるかに大きなマグニチュードで年金制度の持続可能性を揺るがすのがこの国庫負担問題でございます。しかも、その足取りは極めて早いものでございます。

 そういう中で、やはりこれまで法律が定めてきたもの、それから政府・与党が国民にお約束してきたものを断固として実現していく、大変厳しい環境にありそうだなということで、御心配のお声をいただいております。それは率直に認めざるを得ないのでございますが、今年の暮れの税制改正の議論、予算編成の議論、来年夏に向けてのシーリング、概算要求の時点での議論、それから来年、秋から冬にかけての議論、それぞれの節目でボタンのかけ違いを起こすようなことがあれば、今日の資料にありますように、大変深刻な事態を引き起こすということであろうかと思いますので、また委員の先生方にも御理解賜りまして、もう少し努力させていただきたいと考えております。

○稲上部会長

   ありがとうございました。

   それでは、お手元にございます資料の4と5につきまして、事務局から御説明いただけますでしょうか。

○企業年金国民年金基金課長

   それでは、簡単に御報告させていただきます。まず資料4でございます。資料4・5とも、国民年金基金、個人型確定拠出年金の、いわゆる裁定請求の年齢に達して、まだ請求されてない方の調査結果でございます。

   まず資料4の12ページをお開きいただきたいと存じます。各国民年金基金、自営業者の方々の任意加入、いわゆる2階部分でございますけれども、加入員等の状況はごらんのとおりでございますが、この四角で囲った図の右下のところでございますが、裁定請求を 行っていない方は約5,000人、累積年金額約8億という状況でございます。

   17ページ、自営業者からサラリーマンに転職など、中途脱退された方々につきましては、連合会に移管されまして、連合会から年金給付がございますけれども、それも同じ右下のところでございます。裁定請求を行ってない方が約3,000人、累積年金額が約3.6億という状況でございます。

   資料5でございます。続きまして、個人型確定拠出年金の実態調査の結果でございます。

   2ページ、まずここでは個人型年金の加入者、下の方に自動移管者というところがございますけれども、いわゆる手続をされてない自動移管の方々、転職されて手続されてない方々が約9万3,000人、うち転居先不明者1万3,764人、資産額が228億円という状況でございます。

   また、黄色の部分でございますけれども、受給年齢に達しながら裁定請求を行っていない方につきましては、正規の手続をされた方々、右の(3)でございますが、1,904人、125億、受給可能開始年齢に達している方の中で、自動移管の方々は下の(2)でございますけれども133人という状況でございます。

   ただ、確定拠出年金につきましては、60歳を過ぎましても、資産運用ができますので、必ずしも未請求ということではないと思っております。これは、去る11月15日にいずれも連合会等で調査しまして公表いたしておりますけれども、同日付で厚生労働省から裁定請求の勧奨あるいは届出の徹底等の指導通知を発出したところでございます。

   また、国民年金基金につきましては、平成20年度から住所情報を提供いたしまして、こういったもの解消に努めてまいりたいと考えております。

   以上でございます。

○稲上部会長

   ありがとうございました。何か御質問あるいは御意見はございますでしょうか。

   どうぞ。

○山口委員

   国民年金基金あるいは国民年金基金連合会につきまして、裁定請求を行っていないものに係る負債の評価というのは行われておるんでしょうか。

○企業年金国民年金基金課長

   恐縮でございます。手元に財務諸表がございませんので、これは後日お答えさせていただきたいと存じます。

○稲上部会長

   よろしいでしょうか。

○山口委員

   はい。

○稲上部会長

   ほかにございますでしょうか。

  それでは、私どもで用意いたしました議題は以上でございますけれども、この際、何か御発言がございましたらお伺いしたいと思います。

   どうぞ。

○杉山委員

   もしかしてもう説明があったかもしれないんですけれども、本当に期間を開けてこの部会があるものですから、今後どういう感じで進んでいくのかという辺りを確認させていただけたらと思います。

○稲上部会長

   総務課長、お願いします。

○総務課長

   この部会につきましては、最初に御説明しましたように、21年の財政検証に向けて御議論いただくということをお願いしておるところでございます。まだ、具体的な日程等、大体のものを持っているわけではありませんが、当面経済前提の専門委員会とか、そういったところでの議論などもそろそろ始まるということでございますので、そこら辺の結果も踏まえながら、また御報告しながら御議論していくということで、今、考えているところでございます。

○杉山委員

   これは個人的な希望なんですけれども、先ほど権丈先生もおっしゃったかと思うんですが、社会保障制度全体の中の現物給付と現金給付のバランスのようなことが、やはりすごく大事で、年金の部分だけを議論していても、本当に数字の話で、どうも全体が見えて、その中で老後の幸せであるとか、豊かさであるとかというところの話の方が、私は本質のように思っているんです。

   そういった他の部会で、どのような議論になっているのかということを踏まえながら、こちらの方で議論させていただく方が、私としては希望かなと思っております。

   以上です。

○稲上部会長

   どうですか。

○総務課長

   それでは、次回、そのような関係資料をそろえて御説明させていただきたいと思います。

○稲上部会長

   どうぞ。

○権丈委員

   今の御発言に付け加えますと、恐らく今日ずっと皆さんで経済財政諮問会議が出してきた3番目の問題は大きな問題だと考えていると思いますので、3号の問題などを議論されるということでしたらば、仕事を少し都合を付けて、みんな出席すると思いますので、よろしくお願いします。

○稲上部会長

   ありがとうございます。

   ほかにございますか。どうぞ。

○西沢委員

   私も議論していただきたいのは、審議官もおっしゃっていましたけれども、市町村の所得情報ですね。それは、ただ国民年金保険料が定額負担であるのは、所得捕捉が不確かだということで定額保険料というのを長く取ってきたと思いますけれども、他方で市町村の所得情報を使うというのは、それが信頼できるという前提もやや踏まえてのことだと思います。我々は低所得という言葉をよく使いますけれども、きちんとどこか1つの行政機関で把握して、それを持たないと効率的な制度なりができないと思いますし、定額保険料をこのまま一体いつまで続けるのか、第1号被保険者の中に雇用者がたくさん入っている中で、これをどうやって続けていくのか、あるいは解決できるのかといったこともできれば議論してほしいと思います。

○稲上部会長

   どうぞ。

○権丈委員

   毎回毎回済みません。市町村の所得状況がかなり危ないものを政策的に使っているということは、やはり矛盾しているところが一見あるように聞こえるわけです。

   ですけれども、今の免除制度というのは、低所得であるかどうかを判定するのに所得情報を使って、保険料を払わなかったら給付は減額しますという形になっているので、民主党とかが出しているような、所得が低いから垂直的再分配で最低保障水準まで給付しますという使い方ではなくて、所得が低いから全額免除、2分の1免除という形で、そして給付もその保険料の拠出額に応じた形で来て、そしてこの国庫負担分だけは上げますよという形になっているので、ちゃんとした補足をしていない所得を使って政策展開していくことの矛盾のような形で、これは西沢さんが今おっしゃったわけではないんですけれども、よくそこら辺が言われるんだけれども、私は今の免除制度はぎりぎりのラインなのかなと。ただ、2004年以降、所得が低い人たちが目の前にいるんだけれども、免除対象であるということを社会保険事務所の人が知っているんだけれども、それをこちらから伝えたりしていろいろやると、申請主義に反するという形でよろしくないと批判される。この前の年金部会のときにも勧奨という言葉で、そういう対象ですよということを言っていきますということでしたので、私は大いにやってもらいたいというのがあります。失礼しました。

○審議官

    次回、この点につきましても、少し資料を整理して提出させていただきたいと思います。基本的に私が先ほど申し上げましたのは、未納・未加入対策という意味で、厳密に一人ひとりの所得と何かをリンクさせていくというよりも、むしろ大きくグルーピングをしていろんな対策を打っていく。そのための一つグルーピングの目安みたいな使い方も1つだろうと。

    したがいまして、今、権丈先生おっしゃいましたように、それを基にして、では今度は老後の所得というものに対して、それが物差しとして使えるのかどうかという議論とは、また全く別の問題があるんだろうと思っておりまして、またその辺も次回改めまして資料を整理させていただきたいと思います。

○稲上部会長

    ほかにございますでしょうか。

少し時間がありますけれども、6時から始めさせていただきましたので、今日はこれまでにさせていただきたいと思います。大変有意義な意見交換ができたと思っております。これからもこの議会が開かれましたときには、できるだけこういう自由討論の時間を取らせていただきたいと思っております。

   本日はどうもありがとうございました。

 

 

(照会先)

 厚生労働省年金局総務課企画係

 03-5253-1111(内線3316)