08/06/19 第9回社会保障審議会
年金部会議事録
日 時:平成20年6月19日(木)16:30~18:52
場 所:全国市町村議員会館2階「第1~第3会議室」
出席委員:稲上部会長、渡辺部会長代理、稲垣委員、今井委員、江口委員、岡本委員、小島委員、権丈委員、杉山委員、
都村委員、中名生委員、西沢委員、
林委員、樋口委員、宮武委員、
山口委員、山崎委員、米澤委員
○総務課長
それでは、定刻になりましたので、これより第9回「社会保障審議会年金部会」を開催いたします。委員の皆さん方には、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。
最初、出欠の状況でございますが、杉山委員、権丈委員、宮武委員が、出席という御連絡をいただいていますが、現在、遅れているという状況でございます。
続きまして、資料2を御確認いただければと思います。
お手元に年金部会の議事次第、座席図、それから委員の名簿でございます。
次に配付資料一覧ということで、資料1-1から1-8、それから資料2、3、4、5という形でお手元に配付させていただいておりますが、資料1は大きくクリップで止めておりまして、その中に資料1から8までセットさせていただいております。
資料2は、3号被保険者制度とこれを巡るこれまでの議論の整理。
資料3は、西沢委員から提出のあった意見書を用意させていただいております。
資料4は、本日行なわれております、社会保障国民会議の中間報告を用意させていただいております。
それから、4の後に国民会議の参考資料も併せてお配りさせていただいております。
資料5は、国民会議の第一分科会の中間とりまとめを用意させていただいております。
以上でございます。落丁等あれば御連絡いただければと思います。
それでは、部会長、よろしくお願いします。
○稲上部会長
それでは、議事に入りたいと思いますが、本日は、前回5月20日に開かれました部会では、十分御審議いただくことができませんでした平成16年改正後の残された課題を中心にして御議論をお願いできればありがたいと考えております。
議事の進め方でございますが、今も御説明がありました配付資料一覧をごらんいただきますと、資料の1は、8種類ございます。それから、資料2まで含めまして、それぞれ1項目ずつ事務局から簡潔に御説明をいただきました上で、質疑あるいは意見交換をお願いしたいと考えております。
できることであればでございますが、お手元の今の資料1と2のすべてにつきまして、一とおり御審議をいただければ大変ありがたいと考えておりますので、どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
ただし、単純平均いたしますと、1件15分弱ということで、7月2日に次の部会を予定させていただいておりますので、積み残しがありましたら、そちらの方で継続的に御審議をいただきたいと思います。
それでは、早速でございますが、資料1-1から、まず、事務局から御説明をお願いしたいと思います。
○年金課長
年金課長でございます。どうぞ、よろしくお願いいたします。着席して失礼いたします。
まず、資料1-1「国民年金保険料の徴収時効(2年)の見直しについて」ということでございます。
現行制度は、2年で保険料を徴収する権利が消滅時効という法律上の規定になってございまして、その結果、保険料の納付時期から2年を経過したときには、保険料の納付を行なうことができないというのが現行の取扱いでございます。
ただ、これは滞納の場合ということでございますので、免除等の場合に、手続を取った場合には、免除の後の追納というのは10年間ということになっております。
各方面からの御提案の内容というのは、この保険料の納付期間を2年から、例えば5年まで納付できるようにすべきではないかという御提案でございます。
次のページ、そういった見直しに当たって考えられる論点としては、一方では納付期間を延ばすことによって納付しやすくなって、受給権を得られる方が増えるという可能性があるのに対して、2つ目の○でございますけれども、その一方で矯正徴収の徹底等によって負担能力がありながら、納付を行なわないという人をなくそうとしている中で、この2年を超えて納付期間を設けることの意義をどう考えるか。あるいは、他の社会保険制度においては、2年ということになってございますので、その関係をどう考えるかというようなことが論点として挙げられるのではないかと思っております。
以上でございます。
○稲上部会長
ありがとうございました。早速でございますが、御質問あるいは御意見がございましたらお願いいたします。
江口委員、どうぞ。
○江口委員
余り時間がないということなので、早速、意見を申し上げさせていただきたいと思います。
消滅時効の見直しですが、消滅時効というのは、そもそも1枚目に書いてありますように、債権債務関係の確定ということであります。
2枚目の他の制度との均衡を見ていただきたいのですが、例えば医療保険、介護保険の場合には、保険料の納付と給付というのはリンクをしていないわけです。保険料を納付しなかったから給付率が下がるということはないわけです。
それに対して、年金の場合には、特に老齢年金は保険料を納めた期間に比例して年金額が変わってくるということになるわけです。
そういったことを考えますと、私は、消滅時効を延ばすというよりも、消滅時効はこのままにして、むしろ、それを超えて追納できる、つまり、被保険者が消滅時効を過ぎても自主的に納して、それが年金額に反映できるということにすれば、これは年金額を増やしたいという被保険者の意向にも沿いますし、それから消滅時効を延ばすというのは、逆に言えば、滞納者に対して強制徴収をするということになるわけでして、年金制度の先ほど申し上げた趣旨からしますと、そういった強制徴収をしなければならないという意味での消滅時効の延長をする必要があるのかどうか疑問です。
そういう意味では、消滅時効期間を延ばさずに、むしろ消滅時効を過ぎた場合にも保険料を納付できるというのが、合理的ではないかというのが私の意見であります。
○稲上部会長
ありがとうございました。
小島委員、どうぞ。
○小島委員
これについて、たしか国民年金については、過去に特例納付制度という形で何度か加入していなかった方あるいは保険料を納めていなかった方についてさかのぼって保険料を、言わば追納という形の特例制度を何度かやった経緯があると思います。
そのときの年金記録が余りしっかりしていなかったということで、今、年金記録の問題を報じているんですけれども、そういうことをもう一度やるかどうかというようなことも大分制度が発足して経過も経っているので、かつてのようなそういう特例納付制度というような形をやるかどうかというのは、議論があるだろうと思っていますけれども、今の制度は、学生の特例納付制度、10年間の後に追納できるという制度がありますので、その辺の適用を拡大させるというような形で、考えられないかと思いますので、その辺も少し課題としてはあるんではないかと思っております。
○稲上部会長
ほかにございますでしょうか。
よろしいですか。一とおり先に進めさせていただきます。
それでは、次の資料1-2につきまして、御説明をお願いいたします。
○年金課長
資料1-2「老齢基礎年金の受給資格期間(25年)の見直しについて」でございます。
現行制度の仕組みは、20歳から60歳までの間、40年間の保険料納付義務が課されているわけでございます。
低所得の方については、保険料免除制度があり、そういうことを踏まえて、保険料納付済み期間あるいは保険料免除期間が25年以上あるということが受給資格の要件になっている。逆に申しますと、納付済み期間、免除期間などが25年ない場合には、年金が出ないということになってございます。
この歴史的な背景としては、1ページ目に書いてございますけれども、当時、国民年金制度発足当時、厚生年金が20年としていたこと。あるいは免除制度という形で別途対応がなされていたこと。それから、25年ないと意味ある年金が確保できないという考え方で25年ということになっていったわけでございます。
2ページ、25年の資格期間につきましては、保険料納付済み期間だけではなくて、所得がない、あるいは所得が低い場合の保険料免除期間あるいは外国居住期間などの期間、要するに日本制度に入れなかった期間というものを幅広く算入してございます。
したがいまして、25年の資格要件を満たせないという方というのは、基本的には保険料の滞納期間が長期間にわたる方ということでございますし、更に60を過ぎて65まで、あるいは一定の方に対しては、70までの任意加入を認めることによって、言わばリカバリーショットも打てるような制度的な対応もなされてきているという状況でございます。
括弧の中で、歴史的な背景をるる書いてございますけれども、もともと25年というのは、年金水準の目標の設定に当たっての25年という意味を持っていたものが、64年改正で40年フルペンションということに変わった中でも資格期間としては、25年が残っているということでございます。
3ページ目、各方面からの主な提案といたしましては、受給資格期間を短縮すべき、例えば10年という御提案があるわけでございます。
論点として挙げさせていただきましたのは、一方では、25年を短くすれば、受給資格が得やすくなるということ。更にそのことによってあきらめていた人が保険料を納めるという効果も期待できるのではないかというような御指摘もございます。その一方で、短期間で受給資格を得ることが可能になれば、納付意欲をかえって低下させることにならないかということも懸念されるわけでございます。
更に低額年金者を増やすことに、納付意欲が低下しますと、低額年金者を増やすということになって、結果的に公的年金の信頼が揺らぐことにはならないかということでございます。
4つ目の○でございますけれども、諸外国との比較で、日本の25年は長いということが言われるわけでございますが、5ページの方の参考に付けてございますように、日本の場合には、所得のない方も、制度の適用の対象とした上で免除という形で保険料を納付していただかなくてもいいという形にして、制度適用が所得ある場合に限って制度適用しているような諸外国とはその点が異なっている。言わば5ページ目のところで、上の年数だけカウントして何年と決めている諸外国と、下の免除を含めて、あるいは外国にいた期間などを含めて25年の年数カウントをしている日本というのは、そこは異なっているということをどう考えるかということがあるかと思います。
最後に、3ページ目に戻っていただきまして、仮に40年間免除という、ごくごくレアケースだと思いますけれども、その場合に、40年間免除ですと、年金額が3万3,000円となると、保険料負担をせずに3万3,000円ということと、左側に書いてございますような、それぞれの納付年数に応じての年金額ということが、納付期間が短くなればなるほど、すべてが免除であった方よりも、年金額が低くなるという減少が起きるわけでございまして、この辺のバランスをどう考えるかということがあるかと思ってございます。
以上でございます。
○稲上部会長
ありがとうございました。御質問、御意見をお願いします。
どうぞ。
○江口委員
これについてですが、基本的には25年の短縮を図るべきだというのが私の意見であります。
と申しますのは、現行制度の場合には、25年を1年でも欠けますと、それまでに払った保険料はすべてかけ捨てになってしまうのです。
しかも、現行制度の場合には、老齢基礎年金と老齢厚生年金がリンクしていますから、2階部分も併せてそうなってしまうことになる。
勿論、保険料を払ってもらうという意味では、強制徴収、強制加入が大前提なのですが、払った保険料が無駄にならないように、なるべく保険料がかけ捨てにならないようにするという趣旨では、受給資格期限25年を短縮すべきではないかと思います。
ただ、それを10年にするのか、15年にするのかということについては、これはもう少し具体的な検討の際に考えるべきではないかというのが意見であります。
○稲上部会長
ありがとうございます。
どうぞ。
○小島委員
私も基本的には、受給資格期限の25年を短縮すべきだと考えています。私は、10年ぐらいに短縮したらどうかと、諸外国の大体そのぐらいのところということを考えています。
これは、先ほど御説明があったように、なぜ25年にしているのかということについての国民年金の発足時からの経緯、国民皆年金制度をつくったという、諸外国とは違うという御説明がありましたけれども、これは1ページの資料にあるような趣旨として25年ということですけれども、これはすべての年金加入者が日本で生まれて、日本で仕事をして、日本から出ないで、最後に日本で亡くなるという人だけを対象にすれば、まさに25年でもいいんだと思いますけれども、これだけ国際化によって日本人も外国に出ていくという人もいますし、あるいは日系2世、3世というような人たちも入ってきているということになりますと、果たして25年間ということが妥当かどうかということであります。
なお、連合として積極的に外国人労働者あるいは移民労働者を入れろという話ではありませんけれども、現実的には、そういう人たちは何十万人もいるということも含めた状況の中では、短縮というのも必要ではないかと思っています。
それと、今、日本も各国と年金通算制度、社会保障通算制度の協定を結んでおりますけれども、やはりそういうことを行うに当たっても、諸外国と受給資格年限25年というのは長過ぎると思っておりますので、そういうところからも検討すべきではないかと思っております。
以上です。
○稲上部会長
ありがとうございます。
岡本委員、お願いします。
○岡本委員
印象的には25年は長いという印象は持っているんですが、この議論は、皆年金制度という理念の下に、少しでも払いやすくしよう、少しでも資格を取得させやすくしようという視点から議論があるわけです。
私は、前回申し上げましたように、短くするというのは賛成なんですが、その結果、支払われる年金の水準がどうかと言いますと、例えば10年であれば、1万6,500円、したがって、私は皆年金制度で資格を取りやすくする、払いやすくするという一歩においては短縮することに賛成ですけれども、その結果、1万6,500円という水準あるいは3万3,000円という水準が皆保険制度の中の日本の社会保障制度として、ミニマムのセーフティーネットとしてその水準でいいんだというのであれば、どんどん短縮していいわけだし、あるいは短縮した結果これでは日本の社会保障制度、ミニマムセーフティーネットとしてどうなんだということであれば、それを踏まえて期間というものを議論しませんと、一本の払いやすさ、あるいは受給資格の取りやすさだけから議論してしまいますと、私は社会保障制度の本来の理念というのが、片手落ちの議論になると思いますので、短くするという方向性で議論した方がいいと思いますけれども、どの辺りにするかということは、今、申し上げたような視点も入れて、最終の結論を出す方がいいんではないかと、こんなふうに私は思っております。
○稲上部会長
ありがとうございます。ほかにいかがですか。
どうぞ、山口委員。
○山口委員
私は縮めた方がいいと考えております。
基礎年金というのは、国民共通の制度としてつくられたわけですけれども、拠出をしたものに見合って、やはりできるだけ給付を発生させるといったような考え方の方が共通の制度としてはよいのではないかという考えと、年金をもらう受給資格に達しなければ、オール・オア・ナッシングになる点が問題だと思います。代わりに一時金がもらえるわけではないわけですので、25年に到達しないと年金はもらえない。24年11か月までだったらゼロだということになるわけです。
そういう意味では、例えば3ページの比較などでも、現状はどうなっているかという視点からの比較になっていないのですが、20年納付した場合でも、10年納付した場合でも、今はゼロなんです。ですから、それよりは少しよくしましょうということにもなるわけで、確かにその給付水準は期間が短い分だけ年金額が小さくなるのは当然でありまして、それをもって妥当な金額かという議論は成り立たないことはたしかなんですが、せっかく納付したのに、25年はとても到達できないということで、これ以上納付するのをあきらめてしまうという確率も結構ありますので、そういうことを考えると、受給資格に結び付きやすいような設計をしておくというような考え方で、収めた保険料が無駄にならないような、そういうふうにすることの方が、拠出意欲を高めることになるんではないかと、私は考えております。
○稲上部会長
ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。
山崎委員、どうぞ。
○山崎委員
私は今の国民皆年金保険のという視点から見ると、免除制度等を入れて、きちんとした年金制度になっているのではないかと思います。その中で、10年間しか払えない人はどういう人なのかと知りたくなります。
国民皆保険である以上、免除という制度を持たざるを得ないものと思いますが、どういう理由で10年しか払えないのか、そういうことと、それからもう一つ判断をするときに、現実的に25年を短くすることによって、どのくらいの人が年金を支給されるようになるのか、こういうことがわかると、議論が詰められるんではないかと思います。仮に、このくらい加入期間を短くすれば、年金の受給権を持つ人がこのくらい増えるという数字があれば、教えていただければ幸いかと思います。
○稲上部会長
年金課長なり、何かございましょうか。
○年金課長
申し訳ございません。ちょっと手持ちはございませんので、探してみて、次回以降にと思います。
○稲上部会長
では、先に江口委員。
○江口委員
今の御意見と、先ほどの岡本委員の御質問に関連してなんですが、先ほど私が申し上げましたけれども、私の理解が間違っていたら、事務局に訂正をしていただきたいのですが、現行の年金制度の場合には、基礎年金と厚生年金がセットになっていまして、基礎年金の25年の受給資格を満たさないと、厚生年金ももらえないのです。
ですから、例えば今の御質問に関して、20年間サラリーマンをやっていたとすると、基礎年金も含めて20年の期間があるのですが、その後、全て滞納した場合には、2階部分も含めてゼロになってしまうのです。
そういう意味では、先ほどの水準の話を岡本委員がされていましたけれども、これは基礎年金しか数字に出ていませんが、実は2階部分を含めてゼロになってしまう。
したがって、実は基礎年金に2階部分が乗ることを前提に御議論いただいた方が、実際どういう影響があるかということが明らかになるのではないかというのが、私の理解です。もしも違っていたら、事務局に御訂正いただきたいんですが。
○稲上部会長
今の点、よろしいですか。
○年金課長
はい。
○稲上部会長
権丈委員、どうぞ。
○権丈委員
25年の受給資格要件が短くなって、10年後ぐらいに納付率がどんと下がったときには、権丈は何も言わなかったと言われるのは困りますので言っておきます。読売が10年間で最低保障年金を給付すると提案したときに、「読売ウィークリー」に評価を書いたわけなんですが、これはやはり職権適用とリンクして考えた方がいいだろうと。低所得者に対して職権適用をする、そういう状況の下で10年しか納付していない人がいた。低所得者は職権適用されているわけですから、彼らは低所得者ではないはずです。では、10年しか払っていないのは誰なんだというと、ただの不届き者ではないかと思うんです。その不届き者のために、こういう制度をつくっていって、どうするんだというのがある。
ただ、25年払わなかったら、もらうことができないということを知らなかった人が24年払ってもらえなかったというのは、私はかわいそうだと思う。やはりこれは年金教育あるいはそういう制度周知のための広報活動をしっかりとやっていなかったという制度運営側の責任、国民側の責任ではなく、当局側の責任だということがあるのならば、一旦、受給資格要件を下げてもいい、一旦下げるけれども、金輪際こうした特例は実施しないといって、私は毎年1年ずつ上げていくぐらいのことをしても良いと思う。つまり、次のステップではやはり、岡本委員とか山崎委員がおっしゃるような形で、意味のある給付水準を目指した方がいいと思う。受給資格要件があることが周知徹底されていなかったことを、一回は社会的責任として受け止めるが、今後は個人の自己責任として、金輪際、そういうことはしませんよという形で、次は意味ある給付水準を求めて1年ずつ上げていくというようなことで、やはり給付水準、国民皆年金の下での給付水準というものは、ある程度の水準を目指すということが同時にあっていいと思います。それが人々の情報、みんながその制度を知っているという前提の上で動くという話と同時に、後ほど出てくる職権適用、低所得者に対する免除制度の対象の人たちに対して、職権を使って適用して、免除制度の手続をしてもらうという制度とセットにして考えていかないと、ちょっとつらい問題なのかなという気がいたします。
○稲上部会長
どうぞ。
○杉山委員
ありがとうございます。年金を納められないとか、納めない人というのは、どういう人かなというお話があったと思うんですが、どちらかというと、所得の低い方たちというか、若い方で年金制度のことも十分によく知らないという方が免除とかそういう制度があるということをよくわからずに、通知が来たら、そのままぽいぽいしていたというようなことが多いのかなと想像するわけなんですが、そこで、事務局にお伺いしたいのは、ここの免除制度の手続が、社会保険事務所に行かないとできないんだとか、そういうことになってくると、相当おっくうになって、行く人が減ってくるだろうなということが用意に想像がつくんですが、その辺りが多様な働き方が増えれば、増えるほど、出たり入ったりとか、いろいろするような人が出てきたというときの煩雑さみたいなことはクリアーになっているのかどうなのかというところをちょっと教えていただければと思います。
○稲上部会長
お答えいただきましてもいいんですが、資料1-4をごらんいただきますと、免除制度のことの議論をさせていただくことになると思いますので、そこでお答えいただければと思います。
○杉山委員
わかりました。
○稲上部会長
ほかに資料1-2につきまして、何か御意見、御質問はございますでしょうか。
それでは、資料1-3につきまして御説明をお願いいたします。
○年金課長
資料1-3「低年金者・低所得者に対する加算等について」でございます。
現行の仕組みは特段低年金、低所得であることに着目しての制度は、年金制度としては特段ございませんということでございますけれども、各方面からの御提案としては、似ているようで相当違う御提案があるわけでございますけれども、まず、1つ目の○でございますが、低年金者、要はフルペンション6万6,000に達しないような年金の方に対して、最低保障年金の制度を設けて、最低でも5万円の年金を保障すべきであるという御提案がございます。
ただ、その最低保障年金には、高齢期における所得による制限を設けて、この御提案では、年収200万円以下の高齢者に限定するというような御提案がございます。
一方で、2つ目の○でございますけれども、低年金者に対しては、生活保護あるいは生活保護類似の公的な扶助制度として、もう少し高齢者に対応した制度をつくる。あるいは生活保護を高齢者が受けやすいような配慮をすべきではないかという御提案もございます。
3つ目の○でございますけれども、これは低所得者の方に対して、所得が低い方に対しては、基礎年金の水準を言わば超えて、もう少し加算をしたらどうかという御提案でございます。その財源というのは、基礎年金の国庫負担の割合を引上げてということでございますので、税財源でという御提案ということでございます。
2ページ、こうした提案内容が種々あるわけでございますけれども、論点として書かさせていただいてございますのは、1つ目でございますけれども、高齢期の低年金、低所得という状態に着目した所得保障制度を仮に設けるとした場合に、社会保険方式の年金制度になじむのか、あるいは行うことが適当なのかどうかということが、まず、1つ論点として挙げられるかと思っております。
矢印の先でございますけれども、特に社会保険の保険料納付のインセンティブを下げることにつながらないかというようなことも論点に挙がるのではないかと思っております。
2つ目、逆にこうした御提案の背景にあるのは、昭和36年に国民年金制度が発足した時点では、免除制度によって、一定水準の給付が保障される言わば最低保障機能というものも、この免除制度によって担われていたというふうにも考えられるわけでございますけれども、その後の状況変化、扶養機能の低下とか、年金に対する期待の増大とか、そういったことを踏まえて、そういう状況の変化を踏まえて、再度国民年金における最低保障機能というのをどう考えるかということもあるかと思っております。
3つ目の○でございますけれども、現在は最低保障機能、最低生活を保障する制度としては生活保護がございますので、この生活保護との関係をどう考えるか。
更に、年金制度でもない、生活保護制度でもない、新たな社会的な扶助制度をつくるということが可能なのか、あるいはつくる場合にどういう論点があるのか、安定した財源をどう確保するのかというようなことが論点に挙がろうかと思っております。
資料3ページ以降に、諸外国の制度について資料を付けてございます。真ん中から左側は一般的な生活扶助の仕組みがどういうカバーになっているかということを書いておりまして、右側が高齢者に対して、拠出制年金以外の特別な所得保障制度がどういったものがあるかというのをまとめたものでございます。
以上でございます。
○稲上部会長
ありがとうございました。それでは、どうぞ。
○都村委員
資料1に平成16年改正後の残された課題が8項目ほど並べられているわけですけれども、これからの課題の重みということを考えますと、これらは一様ではないと思います。
私は、最も重要な課題は、今、御説明のありました低年金、低所得への対応であろうと思います。
年金制度の給付構造に関する一般的な目的には、退職の結果として喪失した所得の代替としての年金の給付があるのは勿論ですけれども、それ以外に、一般的目的の1つに、国民すべてに対する高齢期または障害を持った期間、または一家の働き手の死亡に基づく貧困の防止があります。
年金制度は、多様なリスクに影響されるものでして、例えば人口動態リスクとか、経済的リスクとか、政治的リスクとかがあるわけですけれども、更に個人的リスクと呼ばれるものがあります。被保険者自身の運命は全く予測不可能です。長期的な失業を経験したり、あるいは正規雇用から外されたり、有望な人生が破綻したり、あるいは早期に終わったりする可能性もあります。
あるいは離婚等によって、子どもの養育のために、フルタイムで働けなくなる可能性などもあります。
一生を通じて、労働市場に最低限の参加しかできなかった人とか、あるいは家庭の崩壊を経験した者など、大きな個人的リスクを持つ人たちがいます。
これらの可能性の1つは、予測した年金給付額が受給不可能となるリスクを招くということです。こういう特定グループの人々を年金給付の引き下げから守る視点というのは不可欠であると思います。
そこで、高齢、障害、働き手の死亡というリスクが生じたときの低年金者、低所得者の実態の把握と分析が必要だと思うのです。その背景には、今、申しましたように、個人のライフヒストリーの問題もありますけれども、それ以外に年金制度上の問題とか、あるいは社会の実態の問題とかがあります。
例えば年金制度上で言いますと、繰上げ支給を選択して、ずっと長期にわたって減額された年金を受けているとか、あるいは長い間働いてきたけれども、厚生年金に適用されなかった等です。あるいは男女の賃金格差など、社会の実態が年金の給付水準に反映されているとか、そのほか、制度に未加入とか、未納という問題もあろうかと思います。
外国では社会保険システムを採用している国が非常に多いわけですけれども、そういう国々の多くにおいて、最低保障年金が支給されています。その場合受給資格要件としては、通常の保険料納付期間が要求されています。我が国の低年金者と諸外国の低年金者と実態が異なるのかどうか、その辺も、もし、おわかりの資料がありましたら、教えていただきたいと思います。
今、御説明がありましたけれども、低年金者にどのように最低保障を行うかという前に、実態と要因を知りたいと思います。
いずれにしても、豊かな社会における貧困の存続というのは、許されるべきではないと思います。
低年金者あるいは低所得者には、社会に参加するだけの生活の質を確保する権利があると思います。この課題は、並んでいる課題の中で、私は最も重いのではないかと思います。どのような対応をするかに至るまでに、いろいろ知りたいと思いますし、議論なども必要なのではないかと考えております。
以上です。
○稲上部会長
ありがとうございました。何が事務局の方から今の点でお答えがございますか。
実態把握あるいは国際比較のことです。
○年金課長
時間もあれですので、御紹介だけにとどめたいと思いますけれども、5月20日前回の年金部会の資料として、参考資料の1と2ということで、未納・未加入の実態と低年金、無年金の実態という資料を付けさせていただいてございます。
その中で、先ほど杉山委員がおっしゃられたような、滞納者というのはどういう人なんだろうということについて言いますと、参考資料2-1の6ページあるいは7ページで、勿論、所得の低い方が、相対的には多いわけでございますけれども、所得の相当程度高い人たちで滞納者の方も相当いらっしゃるというようなデータも付けてございます。
それから、参考資料の2-2の方をごらんいただきますと、今、老齢基礎年金の年金月額の分布、1ページ目から始まりまして、その量的な要因分析というのは、なかなか難しいんでございますけれども、3ページの無年金あるいは低年金が生じる理由という資料も付けさせていただいております。
更に4ページ以降、その中で繰上げ減額の影響というのがどの程度あるのかということをデータとして付けてございます。5ページあるいは6ページのところで、要は繰上げ減額によって、相当程度の年金額が下がっている。
6ページのところをごらんいただきますと、繰上げ減額していない方の基礎年金の平均というのは、6万から山があるのに対して、繰上げ減額をされている方だけを取りますと、3万~4万のところに年金額の山が来ているということで、繰上げ減額の低年金ということに対する繰上げ減額の影響も相当大きいだろうというふうに見てございます。
それ以外のことについては、また、宿題として受け止めさせていただきたいと思います。
○稲上部会長
江口委員、どうぞ。
○江口委員
これについての意見を申し上げたいと思います。
日本の年金制度が社会保険方式をとる以上は、まずは、加入者が保険料を納付したという自らの努力がなるべく生かされる仕組みが大事だと思っております。その上で、都村委員がおっしゃったように、高齢期になっても最低の生活が保障されるという仕組みが併せて大事であります。
問題は、それをどうやってうまく調整するかということですが、そのためには、私の意見では、2番目にありますように、年金制度とは別の何らかの高齢者の最低保障制度をつくるということが最も合理的ではないかと思います。なぜならば、1番目のような最低保障年金を設けますと、先ほどの受給資格期間短縮との関係で、結局、5万円に満たない納付というのは無意味になるわけです。そうすると、その部分については、だれも保険料納付のインセンティブはわかないということになります。これは幾らであっても、いずれにせよ保険料納付と最低保障年金のたけくらべになるわけです。
他方生活保護ですが、今の問題というのは、結局、低年金者、無年金者が生活保護に移行するということです。このため、1つは生活保護の収入認定において、保険料の年金額の一部を認定から除外するということが考えられます。
例えば、高齢期の最低生活保障が6万円だとすると、年金を2万円もらう人は、例えばそのうちの1万円は収入認定から除外をする。そうすると、滞納者よりも、年金を払った人は、少なくともそのうちの例えば半分は、付加的な水準を確保できます。そういう意味では、生活保護の工夫というのができないかというのが1つの方法です。
2つ目は、ドイツなどがそうですが、生活保護とは別に、高齢者向けの福祉の最低所得保障をつくる。その際に、家族に対する費用徴収はしない。ただし、例えば高齢者が亡くなった場合に、それにかかった費用は、残った資産に吸収するといったような仕組みも考えられると思うのです。
以上のように、なるべく年金制度は保険原理を貫いて、それとは別途、最低所得保障をつくるということが、社会保険方式を貫く方法ではないかというのが、私の意見であります。
○稲上部会長
ありがとうございました。樋口委員、どうぞ。
○樋口委員
江口委員の今の意見に私も大体賛成でして、例えば2ページの3つ目の○のところに、最低生活を保障する制度として、生活保護がある。読みようですが、だから別に最低保障年金は要らないんではないかという文章のように読めるんですが、実は、この生活保護の認定の問題というのは、すごく厳しい現状の状況において、これをどう考えていくのかということがやはり論点として出てくるかなと。
自動的にこちらの最低保障年金がなければ、生活保護がもらえるよというような現実の世界にはなっていないわけであって、そこのところの認定の厳格性、ミーンズテストを含め、あるいは就職困難度の認定を含め、かなり現状厳しい、その現状を想定した場合にどうするかということを議論していかないとまずいんではないかと思います。
○稲上部会長
ありがとうございます。小島委員、どうぞ。○小島委員
私も今の国民年金、言わば基礎年金のところ、現行の社会保険方式をずっとこのまま行くということであるとすれば、そこはまさに高齢者のところで、低年金になった場合にどうするかという形で、それについては、一定の所得保障といいますか、これは年金制度の仕組みか、今、江口委員が指摘されたような別途保障制度をつくる、そういうものを参考にありますような各国ヨーロッパがとっているような、そういうものを検討せざるを得ないんだろうと思っております。
あと、ここは私がこれまでも何度言いましたように、基礎年金については、基本的には税方式に転換すべきだということを言っております。
そのときに、私が言っているのは、切り替え時に、それまで保険料未納、未加入であった人については、フル年金から減額するということになる。そうすると、そのときに低年金、無年金者が生じると、それをどうするかと考えた場合に、そういう人たちについて一定経過的に最低保障年金という形で税で手当するということが必要になってくると思っておりますので、ここは現行の保険方式を前提にするか、あるいは基礎年金を税方式というか、そちらに転換するかということによっても、その考え方は変わってくるんではないかと思います。
○稲上部会長
どうぞ。
○権丈委員
この問題に関しては、保険方式の中でやるのは難しいという文章を書いている私としましては、江口委員の考えに全面的に賛成です。特に、生活保護の収入認定において年金額の一部を除外する第1の提案はわたくしも言い続けていることで、是非とも検討してもらいたい。
○稲上部会長
宮武委員、どうぞ。
○宮武委員
私も賛成なんですが、ただ、その場合、年金制度以外でどういう手当をしていくのかということも考えないと、ただ門前払いになってもまずいなと思っております。
3ページ目に、各国の公的諸制度と高齢者に対する所得保障がございますけれども、例えばドイツの場合は、確かに社会扶助ではないといってスタートしたんですが、現在は社会扶助と同様の扱いとは言うものの、やはり特別制度ではあるわけです。
現実には、資産調査はやらない、高齢になってから突然資産は増えない。所得調査だけはやるという割り切り方。
そして、日本で言えば、扶養家族というか、子どもさんがいたとしても、発足当時は、年収が10万ユーロ以下であれば、全く扶養義務は課さないという極めて寛大な条件で、老後に低年金で困っている人に対して、最低限度の生活ができる扶助をしている。そこはやはりモデルにすべきかと思っております。
イギリスもやはり年金制度ではなくて、年金制度にプラスαするという形の保険と公的扶助をきちんと分けているんだと思います。
ただ、スウェーデンの場合は、御存じのように、所得へ一本の体系に変えて、そして、応能負担でありますので、どうしても所得の低い人は年金も極めて低いので、年金の低い方からやや高い方へ、一律ではない方での上乗せを税金でやっている。
ここは、スウェーデンの担当者に聞いたら、対象者は全体の5割いるんだと言っていましたからね。これはミーンズテストのない、要するに生活扶助だとはっきり言っていました。
その割り切り方は、言わば所得比例をやっているからそういう割り切り方をやっているわけで、日本みたいに基礎年金という形の、言わば所得再分配が極めて手厚い年金制度を持っている場合は、現状の制度では、やはりスウェーデン型の補助もできないだろうと思うので、私は、言わば公的扶助、今の生活保護の特別制度をつくるべきだなと考えております。
以上です。
○稲上部会長
ありがとうございます。ほかにございますか。
林委員、どうぞ。
○林委員
このままだと、これで加算制度はなしということで終わってしまいそうなので、一言ですけれども、最低保障年金について、未納を続けても最低保障年金をもらってしまった方がいいじゃないかとか、そういったモラル・ハザードが生じる懸念というのもよく理解するところですし、年金の枠外でやるべきではないかという制度論として、理解もできるところなんですけれども、ただ、素朴な感情で申し訳ないんですけれども、能力に応じて年金制度に参加してきたのに、それでも生活保護ですかという抵抗というのも、やはりあるのではないかと思い、また、そういうことであると、年金への参加意欲というのも減るんではないかという気もしています。
ですから、能力に応じて参加してくれば、これだけは最低保障されるというのは、何がしかの安心につながるのではないか、年金の信頼感につながるのではないかという気もしているので、検討に値するとは思っております。
それから、低所得者、低年金者対策を考えるのと併せて、積み残された課題には載っていないんですけれども、基礎年金の水準そのものというのも、6.6万円でいいのか、7万円とか、もっと増やした方がいいんではないかという提言も各方面からあるところで、そういった検討も必要ではないかと思います。
また、大事なのは、障害年金の水準にも影響するわけですけれども、今、自立支援法の見直し時期なんかを迎えて、与党のプロジェクトチームの報告書でも障害年金の引き上げということも提言しているわけで、そういった基礎年金の水準そのものと、障害年金の水準ということも、併せて考えていく必要があるのではないかと思います。
以上です。
○権丈委員
低年金者、低所得者に対する加算そのものを必要無いと言っているわけではなくて、宮武委員も樋口委員も江口委員も私も全員含めて、2番目の低所得者に対して、生活保護をもっと受けやすくするような配慮を行う、この形でできないだろうかと考えているんですね。低年金者、低所得者の高齢者に対しては、何かそういうことがあっていいんではないかと、十分みんな感じているところで、ここはゴシックで書いておいていいぐらいのところだと思います。
○林委員
済みません、私の言い方が間違っておりました。年金制度の中でやることに対しては、です。
○権丈委員
保険という形ではちょっと難しいかなと。
○林委員
ということで終わってしまいそうだったのでということで、加算そのものは皆さん必要だとおっしゃっているのはわかっております。
○稲上部会長
ほかにございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、先にまいりまして、1-4につきまして、御説明をお願いいたします。杉山委員から御質問がありました件は、併せて触れてくださいますと、助かります。
○年金課長
資料1-4「国民年金保険料の免除制度について」であります。
現行制度におきましては、保険料を納付することが経済的に困難な被保険者の方から、申請に基づいて、保険料を納付する義務を免除する免除制度というものがございます。
8ページに、免除基準を世帯構成によって変わるわけでございますけれども、所得あるいは収入ベースで、大体どの程度のものになっているかというのをごらんいただくための一覧表を付けてございますので、ごらんいただければ思っております。
申請免除は、なお書きに書いてございますように、法定免除というのが別途ございますけれども、障害年金の受給者あるいは生活保護世帯の場合には、特段手続を取らなくても自動的に保険料が免除になるわけでございますけれども、低所得の方については、申請免除とされてございます。
その申請免除とした理由というのは、2つございますが、特に2つ目の黒ポツでございますが、やはり本人の給付受給額に影響を与えるということでございますので、本人の選択あるいは意思に基づく必要があるだろうということで、現在の法制度では申請に基づいて免除をするということになってございます。
2ページ、3ページに、これまでの年金部会での御意見ということでございますが、基本的には、仕組みそのものというよりも、半額免除あるいは更にきめ細かい免除制度をという御意見を いただき、それぞれ12年改正、16年改正でやってきたところでございます。
4ページ、実際問題申請免除というのが、どういう形で行われているかということでございます。上がもともとの被保険者からのアプローチということでございますが、申請者の方が申請書を市町村の窓口に提出していただく。市町村は、税情報を持ってございますので、所得状況を確認をして記載をした上で、社会保険事務所に送付をする。それで、社会保険事務所の方で審査して免除の決定がなされるというのが被保険者からのアプローチという流れでございます。
注2に書いてございますけれども、1回免除になりますと、その後も継続して免除基準該当の場合には継続したいという御希望であれば、市町村から所得情報を得て、継続手続を社会保険事務所の方でやるというようなこともやっているということでございます。
行政側からのアプローチでございますが、先ほどは滞納者を念頭に置かれての御質問だったと思いますが、未納期間は一月以上ある方については、所得情報を市町村から提供を、市町村の協力を得て、所得情報の提供を受けてございます。
その中で、免除基準に確実に該当するであろうという方については、それで免除申請がない方という方については、免除制度の周知なり勧奨を実施する。まずは、勧奨状の発送あるいは個別訪問、電話による免除制度の周知というようなことをやっているということでございます。
2のところで、翌年以降の継続ということについては、市町村からの本人の承諾さえあれば、市町村から所属情報を得て、免除を継続させるということもやっているということでございます。
現在の状況でございますが、資料の9ページに隔年の数字は出てございますけれども、1号被保険者の中で全額免除の方が207万人と、4分の3免除の方が26万人、半額免除の方が21万人、4分の1免除の方が8万人ということになっているということでございます。
5ページ、この免除制度についての御議論として、本人の申請を待たずに、厚生労働省が積極的に職権で行なうべきではないかという御提案がございます。
その見直しに当たって考えられる論点として挙げさせていただいているのは、まずは、今の未納未加入対策ということを徹底するのが先決なのではないかということ。
それから、もし、一方的に本人の協力も得ずに、職権で免除を行うと、仮にしたら、個々の被保険者が免除要件に該当するか否かの確認というのが必要になってくるわけでありまして、一号被保険者の2100万人全員の所得の譲歩を得、なおかつ免除基準上、扶養親族の数というのも問題になりますので、そういった情報も全部取れるような体制をとり、そういった審査も行うということが現実に可能なのかということがあるかと思っております。
更に、現在でも所得がなくても、保険料を納付しているという方が数多くいらっしゃいます。
最後の○のところでございますけれども、所得なしでも4割程度の方が保険料を納付しているという実態を踏まえてどういうふうに考えていったらいいのかということが論点であろうと思ってございます。
以上でございます。
○稲上部会長
ありがとうございました。
それでは、御質問、御意見をお願いいたします。
岡本委員、どうぞ。
○岡本委員
質問ですが、何を議論すればいいんですか。
○稲上部会長
もう少しお話しくださいますか。
○岡本委員
ここの免除制度は、一体どういう視点からどういう意見を申し上げたらいいのか、ちょっとわからないので、もう少しその辺りについて、どうしようと思うからどうなんだろうかというようなところまでおっしゃってくだされば、わかりやすいんですけれども、今、説明されたことは、そうなんですかというようなことになってしまうので、その辺りはどうなのかと思いまして、非常にレベルの低い質問を出させてもらったんですけれども。
○稲上部会長
何か追加的にお話しいただくことはありますか。
○年金課長
言葉足らずだったのかもしれませんが、現在は、必ず申請がなければ、免除にならないと、それは免除対象でありながら滞納していたとしても、それはあくまでも本人が免除申請をしない限り滞納者として扱われ、それが講ずれば無年金になり、あるいは免除であれば2分の1国庫負担分は年金額に反映されますが、滞納であれば、より低年金になる可能性が高いということを踏まえて、それでもやはり申請に基づいて免除をすべきなのかどうかということについて御議論いただきたいということでございます。
○稲上部会長
米澤委員、どうぞ。
○米澤委員
余り議論しなくてもいいことなのかもしれませんけれども、先ほどの25年云々の話は、やはり広報というか、それが徹底されていないのが、諸悪の根源の一つではないかと思っています。
ですから、ここも職権で行うべきというのは、やはり現実的でありませんので、こういうものを、もう少し我々は知識として持っていて、そこを徹底することによって、幾つかの問題はある程度解決されるんではないかと思っています。私も省の方に言ったんだけれども、余り広報がうまくなく、せっかく諸外国に比べていい年金を持っているのに、うまく利用されてない。やはり広報みたいなことをもっといろいろやっていただいて、それでもって申請していただくというのが正解ではないかと思っております。
○稲上部会長
ありがとうございます。樋口委員、どうぞ。
○樋口委員
申請なしに行政の方が認定するかどうかという問題を考えたときに、やはり政府に対する信頼性がどうかというような問題と関連してくるわけですね。例の未納率の問題を考えたときに、そこが、例えば認定によって申請がないのに、片方がどんどん増やしていくというようなことに対する問題点が指摘された状況の中で、一方的に政府がやるということに対して、信頼できる政府であってほしいと思うわけですが、現状を考えたときに、それが国民意識としてどうかという問題も考慮して、ここは判断されるべきことだろうと思います。
○稲上部会長
江口委員、どうぞ。
○江口委員
今、おっしゃられたこともそうなんですが、もう一つ、私が思うには、免除制度の問題というのは、1つは滞納率とかがいたずらに非常に大きく問題視されている。これはこの部会でも出ていますが、滞納というのは、中長期的には、年金財政上は影響がないんです。
問題は、加入者が頑張って払おうという年金制度がつくれるかどうかなんです。それは、先ほど申し上げた最低保障の中で、払った保険料がちゃんと反映するとか、そういう仕組みの中で、例えば生活が苦しい人の将来のために払おうということをやることによって、免除がなくなっていくという、つまり年金制度全体もなるべく納付できるインセンティブを与える仕組みをつくっていくということが、私は免除問題を解決するのに一番早い近い道ではないかというふうに思っております。
○稲上部会長
ありがとうございます。権丈委員、どうぞ。
○権丈委員
私がイメージしている職権適用と少し違う感じがするといいますか、私はこれまで職権適用という言葉を勘違いしていましたね。私は所得の低い方がいて、免除制度を適用できますよということを書類に書いて、相手に免除手続はいかがでしょうかと伝える勧奨の徹底、その辺りのところまでしか私は職権と考えていなかったんです。これは、書き込んだ書類を送って返してもらうということで、ターンラウンド(turnround)と言うんですね。免除適用を被保険者に黙ってやるということ、それはないだろうというのはありますので、免除制度がありますけれどもいかがでしょうかという、そこら辺で私はいいんではないかと思うんです。
ニッセイ基礎研の研究にあったと思うんですけど、やはり免除対象となり得る低所得者が未納者になっているんです。免除対象である所得階層の人たちが未納者になる度合いが高いわけでして、その方々が免除手続をしてくだされば、25年の被保険者期間にカウントされるし、ほかの給付の受給権も発生するという状況になります。公共サービスというのは、やはり所得が中、それ以上の人たちは公共サービスに関する情報に精通していて、よく利用するけれども、所得が低くなってくると、公共サービスに関する情報を不足し、余り利用しないという状況になってきます。
2004年の年金改革のとき、社会保険事務所が被保険者の所得を把握することができるようになったという一歩前進があったとすれば、その所得情報を使って、免除手続はいかがでしょうかということをやっていただくと同時に、所得がなくても免除申請をせずに、保険料をちゃんと納付している人たちに対して、免除申請はいかがでしょうかというようなことだけはやめてほしいんですけれども、その自由を残した中で、こういう形で相手に伝えていくというのは、私はあっていいのではないかと思っております。
それを先ほどの話の米澤委員のご発言と同じになるんですけれども、この免除手続の勧奨ということが今度は先ほどの25年の被保険者期間ということに関わってくるわけで、免除手続の勧奨を徹底して20年、30年経ったときに、さて10年しか保険料を払っていない人は一体だれなんだろうというような話になっていきますので、この箇所と先ほどの25年というようなところは、やはりリンクさせて考えていった方がいいかと思っております。
○稲上部会長
ありがとうございます。ほかにいかがですか。
杉山委員、どうぞ。
○杉山委員
また、底辺というか、地味な話をしてしまいそうなんですが、この申請者の方が果たして市町村の窓口に手続に行くのかなというところ、ここは大前提のはずだと思うんですけれども、何か勧奨されて、やはり行かれた方がいいですよと言われて、わかりましたと言いながら、ちょっとおっくうで市町村の役所に行くのは、敷居が高いとか、いろんな理由でいかないというような状況なども何となくあるのではないのかとちょっと思ったりするんですが、この辺りを、例えば個別訪問なりをしたときに、書類をそこで書いて、代行で市町村に保険事務所の方なりが行くという、親切過ぎますかね。
○権丈委員
いいと思いますよ。
○小島委員
そこは、実際どういうふうにやっているのか。
○年金保険課長
社会保険庁でございます。今の資料の1-4の4ページに、先ほど年金課長から説明がありましたけれども、申請免除の仕組みが書いてございます。
被保険者からのアプローチと行政からのアプローチと書いてありますけれども、御本人の方から申請をしていただくということではありますけれども、実際上、その申請が出てこない方が勿論あるわけでございます。
ここに書いてありますように、免除申請をしていない方への勧奨ということを行なっております。具体的には、未納の方であります。低所得者であっても、既に納めておられる方は勿論外れております。
未納期間がここに書いてありますように、1か月以上ある方で、市町村の方から所得情報をもらいまして、この資料で申し上げますと、先ほど8ページに免除の基準となる所得が書いてございます。これ以下であるという所得が確認できて、免除の対象になるということが確認できた場合でありますが、免除基準に該当するものについて、勧奨を行うということをしております。
この勧奨は、あなたは保険料を納めておられませんと、免除の対象になる可能性がございます。
免除の手続としては、こういうことでございますので、市町村の方に手続をしていただきたいと思いますというような勧奨を行なっておるということでございます。
具体的に市町村の窓口に、こういう形で、上に書いてあります矢印のように申し出ていただくということでありますが、これは市町村の窓口に実際に行っていただくほかに郵送ということも可能ではありますけれども、ただ、御本人の意思がいずれにしても、行政側に申請ということで届くということが前提となっているということでございます。
○稲上部会長
どうぞ。
○権丈委員
質問させていただきたいんですけれども、市町村から所得情報をいただくというのは、これは昔からそういう情報はいただいていたわけでしょうか。
○年金保険課長
実際には、先ほど先生も触れられましたけれども、市町村の方から我々が情報をもらう場合には、市町村の情報といいましても、あくまで税の情報ということになります。市町村の国民年金法上の情報というよりは、市町村の実際、先ほどの所得の基準を見ます場合には、市町村が把握しております税の情報をもらうということになります。市町村でいいますと、税務課が持っている情報をもらうということになりまして、これを年金行政のために社会保険庁がもらうということについては、特に個人情報保護ということになり、各市町村でも条例ができてから以降は、なかなかこれができないということになりまして、先ほど先生が触れられました法律改正は、市町村の個人情報保護条例上、社会保険庁に情報を提供するということができるためには、法律の規定に基づいて、市町村がそういう提供をしてもいいということになっているということになる場合が多くて、我々が年金法上もらえるという情報を立てまして、それで市町村の方からもらえるということになり、実行上は、今、どこまでいっているかでございますけれども、資料の7ページに提供市町村の数が書いてあります。これも当時始めましたころには、まだまだ提供ということがないところもございますけれども、今では99.1%の市町村から提供をいただいている。
逆に言いますと、残る市町村が幾つかあります。ここは市町村がやります個人情報審議会で、まだクリアーができないというような話で提供ができないというところもあるということです。
○権丈委員
わかりました。それを伺ったのは、その情報をそういうふうにいただけるようになったのは2004年の法律改正ゆえでして、ですから、それ以前のときには、実は勧奨も職権適用も技術的にできなかったと考えてよろしいんですかね。
○年金保険課長
実際上、所得情報がありませんので、勧奨する人というのは、あくまで低所得者の方ということになりますが、その情報がない段階で免除の勧奨ということはできていない。
○権丈委員
ですから、申請主義というのは、その時代、2004年以前は、それしか方法がなかったと思うんです。ところが、2004年の法律改正以降、所得情報を把握することができるようになった。結果、次のステップに入ってきて、そこで、所得情報を利用しながら、申請主義という制約条件のもとで勧奨をやったりしたのかな。それを受けて2006年5月ぐらいに、民主党が年金偽装追及チームというようなチームを作って大騒ぎになったと思うんです。
しかし、所得情報を得ることができるようになり、今、勧奨を徹底しようという議論をしているわけでして、それというのは、私は一歩も二歩も前進ではないのかと評価しております。
○樋口委員
そうなってしまうんですね。ですから、全員ではないんですよ。ちょっといいですかね。
○稲上部会長
どうぞ。
○樋口委員
市町村が国税の方からもらうのに、1年間大体時間のずれがあるということになってくるわけですね。今の未納期間が1か月以上あるといっても、迅速に対応することができているのかどうか、要するに1年前の所得に基づいて、それを判断するというようなことしかできないんではないかと思うんですが、特に所得の変動の大きな人に対して、そこのところはどういうふうに扱っていくのか、これは税調の方の住民税、地方税の問題と非常に関連している問題なので、ちょっとお聞きしたいんですが。
○年金保険課長
今の資料の8ページですけれども、ここに免除基準の所得の数字が書いてありますけれども、実際に、今年度ということで言いますと、平成20年度の国民年金を免除するかどうかという話になりました場合に用います所得は、19年の所得ということになります。前年の所得です。前年の所得を用いて、1年遅れの形でこの基準に当てはめるということになります。
ただ、その場合に、前年は所得があったけれども、今年は所得がなくなったと、失業したというような場合が出てきますが、その場合には、前年の税所得でありますと、前年よりも所得があったけれども、今年は所得がなくなってしまったという場合は、特例で失業したというような状況であれば、今年の免除の該当になりますと、こういう運用をしております。
○樋口委員
逆の場合どうなんですか。逆に所得が今までは無料だったと、今年就職した。すると、所得が増えるわけですね。増えてこの基準をもしかしたらクリアーしている。
しかし、昨年の所得で判断されたのであれば、これが適用になるということは問題にならないんでしょうか。
○年金保険課長
そこは前年の所得であります。ただ、先ほど来出ておりますけれども、免除というのは、免除することができるということでありますから、あるいは免除の該当をするということでございますから、御本人が納めたいということであれば、納めることは可能であるということはあります。
○稲上部会長
ほかにございますか。
岡本委員、どうぞ。
○岡本委員
職権の適用ということになれば、やはり公平性ということが、私は担保されるべきだと思うんです。
そういたしますと、本来、先ほど権丈先生もおっしゃいましたように、自発的にきちんと納めておられる方と、そうではない方と区別して職権適用するなんていうことは、これは国の公平性からいってあり得ないことでありまして、そうではないかと思うんです。
ですから、私はやはり皆さん方がおっしゃっているように、何回も繰り返し、繰り返し丁寧な勧奨状でわかりやすい勧奨状を繰り返して、それでやっぱり御本人が審査されるということが、私は基本ではないかと、杉山委員のほかからも言われましたけれども、確かに時間がない方、あるいは忙しい方もいらっしゃいますけれども、しかし、やはり納税含めてやるべきことは国民がやるというような習慣づけをしていきませんと、どんどん安易な意識になっていくというのは、これは長期的に見てよくないと思いますので、私はやはり職権適用については、法定ですか、職権のところについては、少し控え目にして、やはり督促状なり勧奨状なり何かいい方法を考える方がいいかなと、私もこんなふうに思っております。
○稲上部会長
ほかにございますか。どうぞ。
○小島委員
そこは、やはり皆さんが御指摘されたように、職権で免除というのは、やはり問題があると思っておりますので、勧奨の徹底ということで、言わばターンランド方式とか、そういうことを徹底するという形で、一応、申請書書類については、役所の担当の方で記載をして、あとは自分でサインあるいは印鑑を押すというところまで丁寧な説明をやるということであれば、まさにそこはもっと申請免除の対象者がスムーズに行くということになると思います。その辺の徹底は必要ではないかと思いますけれども。
○稲上部会長
ほかにございますでしょうか。
それでは、資料1-5について御説明をお願いします。
○年金課長
資料1-5「育児期間中の保険料免除について」でございます。
現行制度について、1枚目に説明を付けておりますけれども、まず、現行制度におきましては、子どもが3歳に到達するまでの育児休業の期間については、厚生年金の保険料が事業主負担も本人負担も含めて免除されてございます。更に、育児休業から復帰した、だけれども、育児休業に入る前の賃金よりも報酬が下がったときに、次の定時改定のタイミングまで、標準報酬、すなわち保険料の額が高いままということがないように、3か月間の標準報酬月額で復帰時の改定をするというようなこともやってございます。
3つ目の○でございますけれども、育児休業ではなくて、就労は継続しているけれども、時間なりが短時間になって、賃金が下がったようなケース、こういったケースについても従前の標準報酬月額で年金給付上は算定をするというような取扱いもしてございます。
これらの仕組みというのは、すべて厚生年金の制度の中でとっている仕組みでございまして、それは、被保険者が就労を継続し、労働の担い手となるということを厚生年金のグループ全体として積極的に評価するという側面などから、保険料の言わば負担関係の中で免除をしているということでございます。回りくどい説明でございますけれども、端的に言いますと、保険料免除分というのは、他の被保険者あるいは事業主の保険料がその分、概念的には引き上がっている。そういう保険料のお互いの負担関係の中で賄われているということでございます。
これまでの経緯でございますが、2ページ目、6年改正で育児期間中、この当時は1年でございますけれども、本人負担分の保険料免除制度を創設し、更に12年改正で事業主負担分についても免除することといたしたところでございます。
3ページ、16年改正におきまして、先ほど申し上げたような3歳までの育児休業中の保険料免除期間の延長。それから、勤務時間短縮などの就労継続の場合の手当などの配慮が必要という御指摘をいただいて、16年改正でそういった手当もしているということでございます。
なお、3ページ目で下線を引いていない「更に」の部分で、育児期間中の1号被保険者の保険料負担への配慮措置なども必要という意見があったということになってございます。
4ページ、各方面からの主な提案内容というところでございますけれども、子どもが3歳になるまで、基礎年金に相当する分の保険料は夫婦とも無料化をし、厚生年金の加入者についても保険料の中で基礎年金に相当する部分を無料化する。
その財源というのは、税で肩代わりをするということで、給付には反映させるというような御提案がなれさております。
論点として挙げさせていただいております1つ目の○は、年金制度というのは、やはり次世代がいないと成り立たないということなどを考えて、あるいは国民年金と厚生年金との関係も考えて年金制度として何らかの対策を検討すべきかどうか。
2つ目の○でございますけれども、その一方で、厚生年金の現行制度でやってございますのは、厚生年金グループ内での支え合い、助け合いという中で、保険料の持ち合い関係の中で賄われているわけでございますけれども、これを国民年金に置き換えて導入しようとした場合に、国民年金は御承知のように、世代内の所得再分配機能を持っていない仕組みでございます。
そういった国民年金制度の中で、保険料の免除を導入するとした場合に、保険料財源を用いることについては、他の被保険者の理解が得られるのかどうかという問題があろうかと思います。
逆に言いますと、ということも背景にあって、御提案では税で、その分は肩代わりをすするんだという御提案になっているのかと思ってございます。
3つ目の○でございますけれども、厚生年金の場合などには、負担能力の低下ということに依拠しての保険料の免除のわけでございますけれども、子どもを持つということだけで、特に負担能力を問わずに一律に保険料負担を要しなくするということが、年金制度あるいは社会保険方式の年金制度の中で適当なのかどうか、あるいは応能負担という中で適当なのかどうかということと、当然財源の話はございますけれども、少子化対策の中で、特に税財源ということを念頭に置くと、少子化対策の中で、どういう位置づけで、こういつたことをやるのか、ということも論点として上がってこようかと思ってございます。
以上でございます。
○稲上部会長
どうもありがとうございました。それでは、御質問、御意見をお願いいたします。
杉山委員、どうぞ。
○杉山委員
質問なんですけれども、子どもが3歳になるぐらいまでの国民年金を支払っているというような世帯の実態というか、そういうのは調べてみたりとか、全体の中のどれぐらいの人たち、子育て中の人がいるのかとか、そういうようなことというのは、何か把握してこの議論をやろうとしているのかどうなのかというところを少し確認をしたいんですが。
○稲上部会長
いかがでしょうか。
○年金課長
今、手元にデータはございませんし、そこはデータ的なものがどこまで追いかけられるのか検討してみたいと思いますが、勿論、1号、1号のカップルがいれば、当然、そこにお子様がいてというのが、数的な問題は別として、そういう方は当然いらっしゃるということが前提になっているわけでございます。
○杉山委員
例えば私は割と子育て支援とか少子化対策等に力を入れている人間なので、こういうのがあったら、逆に少子化対策としてはいいなという印象は勿論持ちます。そういう親たちの状況を印象だけなんですが、見たときに自営業のカップルの方が子育ては大変そうであろうということも、収入の部分も含めて、例えば母親が子育てに注力するがために、育休なんかはとれませんので、そういうような状況の中で、収入は一旦減るであろうという中で、保険料を納めていくというのも、実はなかなか難しいのではないかという印象を持ったりもするんですが、この私の印象が正しいのかどうかというがちょっとわからなかったものですから、そういうようなデータなりで、そんなことはなくて、自営業の人たちというのは、かなりゆとりを持って子育てもできるんだねというのが本来のものであれば、こういう議論も必要ないかもしれないと思うんですが、実態はどうなのかというのから必要であれば、やはりそこに対して何らかの措置というのを、厚生年金の方ではもう既にやっているわけですから、公平を資する意味でも議論してもいいのかなということを、ちょっと感じたので、そういう質問をしたのです。
私の印象から行きますと、各方面からの主な提案内容というところで、基礎年金の保険料夫婦とも無料化というのは、そこまでしなくても、どちらか子育てに負担の多い、一方が無料化ぐらいでもいいのかなとか、厚生年金の方は休業であるので、そこまでしなくてもいいのかなとか、何かそういうような感想を持ちました。
以上です。
○稲上部会長
小島さん、どうぞ。
○小島委員
杉山委員が指摘された国民年金第1号被保険者の子育て期間中についての保険料免除をどうするかということ、それは、すべての第1号被保険者が自営業者、2,100万人いるうちのほとんどが自営者であれば、それをどうするかという議論になりますけれども、実際は、今、第1号被保険者のうち、1,000万人近くは、言わば第1号被保険者のうちの半分は雇用労働者であるという現実なんです。まさに、中小零細、5人未満事業所の従業員であり、短時間労働者、パート等の非正規労働者と言われる人たちで占められている。
その人たちは、自主的に雇用労働者でありますので、出産にともなって、その期間は休業せざるを得ないということになりますと、ここは厚生年金加入者と全く同じ状況なんです。
そこについては、保険料について何の免除というのがないというのが、本当にいいかというところです。そういう意味では、現在の第1号被保険者のうちの雇用労働者について、原則、厚生年金に加入するということが直ちにできないとなれば、やはりその間、今の第1号被保険者の実態、加入者の実態について、何らかの配慮が必要だろうと思っています。
これを第1号被保険者のうち、雇用労働者だけは免除するかというと、なかなかそうはいかないというのになれば、それは第1号被保険者についても一律の要件で保険料免除というのを考えざるを得ないか、あるいはそこは別途税で手当するか、肩代わりするかということが必要になってくる。それが子育て支援の強化という大きな社会全体の中で、今、問われているんだろうと思いますので、これは何らかの対応というのが必要ではないかと思っています。
○稲上部会長
ありがとうございます。江口委員、どうぞ。
○江口委員
私も小島さんと同じ意見でありまして、つまり厚生年金の場合には、女性が被用者で働いている場合、子育てに手間がかかる。それによって働けないところを、みんなが連帯して保険料を支える、こういう発想ですね。
年金制度というのは、ほかの社会保険制度に比べて一番世代間扶養に負っているわけです。つまり、子どもが新しく生まれて、その子たちが将来の年金を背負う、こういう仕組みであります。
1号の世界、農業、自営業でも、子育てに手間がかかるというのは一緒なのです。そういう意味では、子育てに手間がかかる部分について、保険料を無料にし、それをほかの人が連帯をして負担するというのがあっていいと思います。その場合、税で肩代わりをするよりも、むしろ保険料で肩代わりをするというのが、他の人の保険料で連帯して肩代わりするというのが社会保険の筋ではないかと思います。
更に申し上げれば、実は、5ページを見ていただきたいのですが、諸外国の例が書いてあって、実は、例えばフランスが典型でありますけれども、ほかの国も多かれ、少なかれ、子どもを育てた女性については給付を上乗せしているのです。
日本は、今まで保険料について働けないことのデメリットを防ごうと、非常に消極的な施策しかしていないわけです。本当に年金制度に少子化対策を組み込んであれば、むしろそれプラス子育ての貢献、制度への貢献を給付に反映をするということを検討課題にしてもいいのではないかというふうに思っております。
○稲上部会
ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。
それでは、先に進めさせていただきますが、資料1-6につきまして御説明をお願いいたします。
○年金課長
ごく簡単に御説明させていただきたいと思います。
資料の1ページ目でございますけれども、現在の制度は4分の3ということで、厚生年金の適用は決めてございます。
昨年、部会の先生方には御苦労をいただきまして、パートの適用に関して、一元化法の中にパートの適用拡大というのを盛り込みまして、国会に提出してございますけれども、今、国会でも更に次の国会に継続という形になってございます。
経緯は、もう御承知ですので、2ページ目で、16年改正のときには、法施行後、5年を目途として、5年以内の見直しという検討ということだったわけでございますけれども、昨年一元化法の中で法案を出したということでございます。
4ページ、この点に関しての主な提案内容としては、まず、厚生年金の適用を拡大すべきだという御意見、それから、若干変化形として、国民年金の保険料を事業主に代わって徴収していただくというようなことも考えるべきではないかという提案がございます。
論点としては、適用拡大の方については、ここに書いてございますような論点、そして、5ページですが、国民年金の保険料に関しての事業主からの徴収という点については、国民年金の保険料は免除、それも全額免除から4分の1免除、半額免除、4分の3免除ということとか、それによって保険料の額も異なりますし、そういった情報について社会保険庁と個々の事業者の間での情報のやりとりというのは、相当頻度高くやりとりをする必要が生じるわけでございますけれども、そういったことが実務というか、そういうシステムというのが本当に実現可能なのかということとか、あるいは技術的に言うと、複数事業所に勤務する、一月の間で複数事業所という方に対してどうするんだろうかとか。あと、事業主からの理解が得られるかということなどの論点があるのではないかというふうに思ってございます。
以上でございます。
○稲上部会長
ありがとうございます。江口委員、どうぞ。
○江口委員
これに関連して、実は、私、前回途中で中座させていただきましたので、確認といいますか、議論の前提として、前回の参考資料の3をごらんいただきたいのですが、前回の参考資料3で、現行制度の所得再分配機能についてという資料をお出しいただいているわけです。
それの2ページ、この論点というのは、今、パートの適用拡大というお話しでしたが、もっと言えば、いわゆる1号グループといいますか、自営業、農業グループに報酬比例年金をつくるかどうかという議論とも関連するわけです。
それを確認した上で、参考資料の2、これは実は前々回の権丈委員の意見に結構事務局が引っ張られたという感じを私は持っているんですけれども、この2ページをごらんいただきますと、それぞれ一番所得の低い24.7万円の世帯と一番高い74.1万円の世帯がございます。
その所得代替率が下に書いてございます。部会長、資料2の中の参考資料3というものです。
前回の5月のものでございます。
ここに所得代替率の数字が並んでおります。これを見ますと、非常に興味深いのは、一番所得の低いところは、所得代替率が73%です。高いところは、38.9%になっています。ここで見ていただきたいのは、実は報酬比例部分は、みんな21.8%になっているのです。ということは、報酬比例部分では、所得の再分配は行なわれていないということなのです。
それでは、どこで行なわれているかというと、基礎年金部分なのです。基礎年金部分のうちの、これは国庫負担部分というのは、これはみんな3分の1ないし2分の1、全員共通でございます。
したがって、保険料相当部分なのです。給付の対比でこういう表になりますが、これを非常にわかりやすく、例えば世帯所得とそれに対する保険料で考えてみるとわかるのです。
つまり、24.7万円の人は、おおざっぱに15%の保険料を、今、払っています。そうすると、全体で3.7万円の保険料になります。そのうち基礎年金の保険料相当分、これは夫婦合わせてですから、6.6万円相当となり、計算をすると、その分の保険料は(73-25.6)分の25.6イコール2.0万円となります。それに対して、74.1万円という所得が高い人の保険料というのは、それも15%で、11万円保険料を払っています。基礎年金の保険料分8.5%分というのは、全体が38.9ですから、そこから国庫負担分を除いたウェイトで按分すると約3.1万円となります。
何が言いたいかといいますと、実は、同じ基礎年金の保険料相当分6.6万円について、高い所得の人は3.1万円払って、一番低い所得の人は、2.0万円払っている。つまり、厚生年金における所得再分配というのは、この部分で、この範囲で行なわれているにすぎないということなのです。
ですから、今後、自営業者グループについて、その所得比例年金を導入するかどうかというときに、よくクロヨンの問題があるという議論がありますけれども、実はクロヨンの問題というのは、現行制度上は、基礎年金のこの部分だけで反映をするんだと。ですから、制度の仕組み方として、仮に2階部分だけを別途つくるということであれば、クロヨンの部分というのは影響しない制度設計も可能だということを、まず、議論の前提として御理解いただきたい。ないしは、私の理解に間違いがあれば、御訂正いただきたいのですが、そういう前提の下で、非正規雇用者に対する厚生年金の適用拡大を、前回は自営業者グループに対する報酬比例年金の問題という提起もあったわけですから、そこを考えるべきではないかというふうに思っております。
そうやって考えるときに、例えば第1号グループに対して報酬比例年金を出すことの意味は何かというと、障害年金、遺族年金が出るかどうかなんです。老齢年金は、今でも国民年金基金があるのです。
そういう自営業グループへのアプローチと同時に、今、御説明がありましたような、非正規雇用者に対する2階部分の適用をどう考えるか。そこを全体として議論した方が、この問題に対する全体像が見えてくるのではないかというのが、私の意見であります。
○稲上部会長
ありがとうございました。小島委員、どうぞ。
○小島委員
私は江口委員と別の角度から、このパート労働者、非正規労働者に対する厚生年金適用拡大については、基本的には拡大をすべきだということで、原則は雇用労働者については厚生年金適用ということが原則だと思っておりますので、そういうことで進めるべきだと思います。
そういう意味では、現在、法案に出ている内容を更に拡大する、そういう立場です。
その際に、一つそれを進める観点から言いますと、厚生年金の事業主保険料負担の問題、これは今は社会保険料、これは医療保険も同じですけれども、個人の従業員の賃金に着目して標準報酬月額をベースにして保険料、今、厚生年金ですと、15%弱ですね。それで労使折半という形になっておりますけれども、これを労働保険の保険料負担の在り方、同じような形で、そこの事業所の従業員全体の総支払賃金に対する一定の料率という形で、言わば事業主負担を集めるという形にすれば、非正規であろうと、正規であろうと、そこは問わないという形になりますので、そういう意味では、非正規といわれる人たちの従業員の方についても適用拡大につながっていくと思いますので、そういうようなことも併せて検討すべきではないかと思っております。
実際、アメリカなどでは、そういう形で支払賃金の一定比率という形で社会保険料、年金保険料を徴収しているという、ペイロールタックスと言われているんですかね。そういう形でとっているということなので、そこは日本は労働保険がそういう形を取っているので、労働保険の徴収の仕方と社会保険の保険料の徴収の仕方、事業主については同じような形でそろえるべきではないかと思いますけれども、その辺も是非検討が必要だと思います。
○稲上部会長
ありがとうございます。どうぞ。
○稲垣委員
そのことに関連しまして、先ほどから国民年金保険に、いわゆる非正規の方が増えているということで、いろいろ議論がありましたけれども、基本的には、雇用労働者については厚生年金に入るということを原則とするということで考えていただく方が、わかりやすいんではないかと思います。
今、小島委員が言われたようなことも、それと関連すると思うんですけれども、やはり先ほどの免除のお話ですとか、それから免除のラインとか、あるいは保険料の関係からいきましても、皆さん、当然御承知のことなので、あえて言う必要もないかもしれないんですが、非正規の方々で厚生年金に入れない方々というのは、収入に対して国民年金保険料が高いわけです。
それで、未加入となり社会保険の制度が危ないとか、何とかと言われている。そういう方々のことがかなり大きな社会問題としてあると思います。厚生年金の適用拡大に関しましても、残念ながら、まだ国会でそのままになっているという状況ですので、内容に、まだまだ足りない部分はあると思うんですけれども、早く適用拡大をお願いしたいと思っております。
○稲上部会長
ありがとうございます。ほかにございますか。
西沢委員、どうぞ。
○西沢委員
資料1の5ページで、これは国民年金保険料の事業主徴収で、一番最初の○で、このような事務システムの構築が実現かのうかといいますけれども、これはむしろ社会保険庁の皆さんの方が事務についてはわかっているので、例えばこんな事務が発生します。
免除の人がいるときには、こういう事務が発生するといったような、もう少し実際にやるとすると、どういった事務フローが、事業主側と皆さん側で発生するのかが見えてきた方がいいと思います。
2つ目の○については、これは私だったらこうしますけれども、いきなり事務負担が増えると書かれてしまうと、嫌だということになってしまいますが、もう少し具体的な事務フローを書いて、でもこことここは抑制する工夫があるといったような形で、行政側と企業がネゴシエートしていかないと、いきなり増えるといわれると、交渉に入ることができないと思いますので、事務負担が増えることは間違いないでしょうけれども、どれぐらいになっていくのか、目の子があった方がいいと思います。
ちなみに、今回、私は意見書を書いてきたんですけれども、拙速だった、書いてくれと言われて、急いで書きましたので、よもや私だけと思わなかったので、また、きちんと資料を読んで書き直すこともあるかと思います。
○稲上部会長
宮武委員、先にお願いします。
○宮武委員
小島委員にお聞きしたいんですが、賃金総額にかけるというのは、確かにそういう意味では、そこに働いている人たちみんなが適用対象になるという意味で、大変魅力的なんですけれども、ただ、雇用保険の場合、失業給付というのは、特に応能負担でたくさん払ったから給付が高い、低いという意味ではなくて、その方の失業したときの年齢であるとか、勤続年数なんかに応じて、高くなったり、あるいは低くなったりするわけですね。
労災保険の方も、たくさん払ったから、たくさん労災の補償があるわけではなく、労災事故の重い軽いに応じて給付の高低が決まるわけですね。
年金に適用したときに、その賃金総額で払ったものを、ここの年金の給付に反映させるということは、可能なのかどうかと思うんです。もし、御意見があればお願いします。
○小島委員
実務的には、そこはどうするかというのがあります。雇用保険の方でも、その人の賃金の額に応じて、それの一定割合ということになっていますので、各個人の給与は当然把握することになります。
同じように、年金でもあるいは医療保険の方でも健康保険の方でも、本人の標準報酬月額、今、使うかどうかは別にして、やはり賃金はきちんと把握をする。それは年金記録として本人の賃金は残すという手続は必要だと思います。総賃金の一定割合という中で、そういう実務的なところが可能かどうかであると思いますけれども、実務的には可能だと思っていますけれども。
○稲上部会長
山崎委員、どうぞ。ここで非正規雇用に対する厚生年金適用の拡大と書いてあって、昨年いろいろな苦労を重ねて、法案化したものが、なかなか実現していない。まず、それを先に実行していくというのが、やはり筋のような気がいたしますね。ですが、これは政治的な問題なのでなかなか難しいところがあるかもしれませんけれども、その上で、その制度が持ついろいろな問題というものを考えて、ここにあるさらなる適用拡大ということを進めていくのは、やはり筋のような気がいたします。
それから、こうなったときの国民年金保険料の事業主徴収の問題というのは、やはりいろいろと実務的な取扱い等々、問題がいろいろとあるんではないかと思うんですが、先ほど御意見がありましたが、具体的ないろんなフローを考えながら詰めていくということを、私どもとしては、やはりやっていただきたいと思います。
○稲上部会長
ありがとうございます。権丈委員、どうぞ。
○権丈委員
去年、我々がずっとみんなで一生懸命やっていたわけなんですが、大体30時間から20時間のところに、310万人いるというような表が出てくるわけですね。その表の中で、この基準を満たすと、何人とか、この中で幾つか基準があるんですけれども、最終的に15万人ぐらいになってしまうんですね。ですから、5%行くか、行かないかというような状況になっていて、ここで最終的に報告されたテーブルの中の一番少ないものよりももう少し少ないところで決まっているところがあって、もう少し法案を通すことも確かにそうなんだけれども、もう少し検討しましょうというのが、私たちの中には結構あるんではないかと思います。
○稲上部会長
どうぞ。
○樋口委員
今、権丈さんがおっしゃったとおりの経緯で、少なくともここの審議会での結論がベースになって、国会にかかっているわけですね。そうである以上、また、そこに新たな要求を拡大するということをしていいのかどうかというようなところが、勿論、議論なんですが、あえてそれが許されるというようなことであれば、やはり適用拡大の範囲をどうするかというようなことをもう一度議論する必要が出てくるかなと思います。
もう一つは、タイトルがやはり気になっていまして、非正規雇用に対すると書いてあるんですが、これはパートに対するもので、非正規雇用というのは、企業における呼称なんです。非正規だからといって、特別な基準があるわけではなくて、ここは労働時間でやっているわけですから、パート労働者に対する適用拡大をどうするかというようなことの方がまずは正確だろうと思います。
その上で、このパートの問題で出てくるのが、マルチジョブホルダーの問題で、これにつきましては、5ページのところで、国民年金保険料の事業主聴取、ここで複数事業所に勤務するものからという範囲で出てくるんです。そうなんですが、本来、複数事業所に勤務していて、合計すれば、労働時間4分の3以上というような人というのも、かなり今、出てきているわけですね。
ワーキングプアの問題があってね。
そうしたときに、こちらの厚生年金に加入することを検討することなしに、国民年金が当然なんだと、国民年金の保険料をどういうふうに取るかというところで、問題が出てくるというのは、やはり何となくおかしい。
そうであるとするならば、前の方の問題提起というところに、マルチチューブホルダーの問題、複数の事業所で働いている人たちに対する厚生年金の適用の問題というのをどうするか。
これは、前に聞いたところだと、名寄せが難しいというような話を聞いたんですが、これだけコンピュータが発展し、なおかつ保険番号が付いているところで、何で名寄せがそんなに難しいんだろうというふうに思うところがあって、そこも含めて検討してもらった方がよろしいんではないかと思います。
○稲上部会長
ありがとうございます。手短にお願いしたいんですが、どうぞ。
○小島委員
一言忘れました。もう一つ、表題は非正規雇用者ということになっていますけれども、今、樋口先生、樋口委員の方から指摘されましたパート労働者ということに出したらということですけれども、パート労働者だけではなくて、ここは適用業種の見直しもやはり必要ではないかと思っています。
先ほど言いましたように、第1号被保険者の中には、フルタイムで働いている人たちも相当数いるんです。何百万です。まさに、それは適用事業所外なんです。強制適用者以外の正規労働者でも厚生年金より外れているということなんです。ここの見直しをもう一度すべきだろうと思っています。
○稲上部会長
ありがとうございます。御相談なんですけれども、冒頭申しましたように、少なくとも資料の2を入れますと、まだ3つ議題がございまして、10分でできないと思いますけれども、一つでも多く議論をしていただきたいと思っております。まだ御意見はあろうかと思いますが、資料1-7について御説明をいただけますか。
○年金課長
資料1-7、成人年齢の見直しと国民年金制度の適用年齢についてでございます。
現在、国民年金は、たしか60までが強制適用の期間ということになってございます。
これは、稼得能力などを考慮して設定されたものでございます。
その一方で、憲法の国民投票の法律で、18歳以上ということになったことに関連して、この法律で民法その他公職選挙法、その他の法令について検討を加えて、必要な法制上の措置を講ずるようにという規定がございまして、今、法制審議会では民法の成人年齢について、成年年齢について検討されていると聞いてございます。
その関連で、国民年金の、今、二十歳から適用という年齢をどうするかということでございます。
2ページ、現状でも22歳ぐらいまでは大学生、大学の進学率も現在では極め半分以上ということになってございますし、そういった方に関して言えば、年金制度としては、学生納付特例という制度を設けて保険料納付を猶予するというような形にして対応しているわけでございますけれども、そういったことを踏まえて、20歳から18歳に、成年年齢、選挙権に関する年齢が下がったとしても、それに追随するのかどうかということが論点であろうと思ってございます。
資料の3ページ、仮にということでございますが、見直すとした場合に、それは下げる場合、上げる場合ということがあるかと思いますけれども、そこから先の論点としても、適用の上限をどうするかとか、あるいは20歳前に障害発生の場合の、20歳から障害基礎年金を出す。あるいはそこまでを福祉的な手当を20歳まではつないでいる。この辺にも適用年齢を、もし、変更するんだとすれば、この辺の検討も必要な問題であるということでございます。
私からは以上でございます。
○稲上部会長
ありがとうございます。御質問、御意見をお願いいたします。
宮武委員、どうぞ。
○宮武委員
もともと20歳から大学生とか、学生で所得のない人から取ること自体、適用したこと自体が、私はおかしいと思っているので、上げることはあっても、下げる必要は全くないということであります。
むしろ逆に、先ほど林委員が少し触れられましたけれども、昨年来から与党のプロジェクトチームが障害基礎年金の引き上げというようなことを提案なさっていますし、また、生涯者自立支援法の3年間の見直しが近づいてきておりまして、社会保障審議会の障害部会でも障害年金の引き上げ云々ということが、議論が進んでいくんだろうと思います。
そういう中で言えば、この年金部会は、メインのテーマとして、主体としてやるのではないにしても、先行きの障害年金6万6,000円、重度の方はその1.25倍という水準の在り方について、1つの宿題で、テーマとして加えていただきたいと思っておりました。それは要望でございますので、お聞き入れいただけるかどうかは、座長の御判断でございます。
○稲上部会長
ありがとうございます。ほかに御意見はございますでしょうか。
よろしゅうございますか。
それでは、次の1-8の御説明をお願いしたいと思います。
○年金課長
資料1-8「高齢者雇用と整合的な仕組み」についてでございます。
1ページ目からでございますけれども、在職老齢年金制度というものは、まず、適用関係につきましては、70歳未満の厚生年金においては、70歳未満の方を被保険者としておりまして、70歳以上の方は被保険者ではなくて、保険料負担はないという整理をしております。
給付面につきましては、60~64までは、これは基礎年金は出ませんので、上下合わせて厚生年金として出ている部分でございますけれども、厳しい減額方法、あるいは65歳以降については、緩やかな減額方法で年金の支給停止が行われてございます。
具体的な減額方法を図で示したのは18ページ、19ページ、それぞれ60歳台前半と65歳以降というのを付けてございますので、ごらんいただきたいと思っております。
2ページ、そもそも在職老齢年金制度の歴史を申し上げますと、3ページ、そもそも老齢年金というのは、もともと退職要件というのがございまして、退職されたときに、初めて年金が出るという仕組みだったわけでございますけれども、低賃金で働いているかといって、全額止まっているというのは、いかがなものかということで、昭和40年に在職者にも支給すると、所得が低い、賃金が低い在職者にも支給するという在職老齢年金制度というのができたわけでございます。
この在職老齢年金制度につきましては、常に働いても年金で不利にならないようにすべきであるという要請と、その一方で、現役世代の負担で給付がなされている年金制度において、一定の所得あるいは賃金以上の方については、やはり我慢していただくべきではないのかという議論の2つの間で改正が随時行われてきたということでございます。
5ページ、もともと在職年金制度は、下の図の左のような形になってございまして、年金と賃金を足し合わせたものが、ケースによっては、賃金が増えても、年金がその分カットされて、トータル手取りが増えないというような問題もあったわけでございますけれども、平成6年改正で、賃金が増えれば、必ず賃金プラス年金が増えるというような仕組みに変え、ただ、この平成6年のときには、在職すなわち被保険者になると年金が2割カットされて初めてこういった形になっていったものを、7ページ、平成16年改正におきまして、その2割カットというものもやめたということでございます。
この際の年金部会の御意見というところをごらんいただきたいと思います。下線の2つ目、一律に年金の2割を支給停止する仕組みというのを廃止することが適当である。なお、現行制度において、賃金が2増えれば、年金を1支給停止するという調整率の緩和や、その調整開始点を引き上げることについては、高所得者の身が有利となり望ましくないという意見をいただいているところでございます。
8ページ、そうした中で、御意見としてありますのは、在職老齢年金制度というのは、就労抑制的なので、働くことに中立的な制度とすべきではないかということ。
あるいは、現在、賃金標準報酬で支給停止をかけてございますけれども、総収入をベースにして年金を調整すべきではないかという御意見がございます。
論点としてございますのは、1つ目の○は、繰り返しになりますけれども、両方の要請の中でどう考えていくのかということでございます。
2つ目の○、特に60歳台前半の年金というのは、定額部分が2013年までに65歳まで引き上がり、報酬比例部分、2階部分については、2025年まで引き上げる。いずれ60歳台前半の年金はなくなると、こういったことを踏まえてどうしていくべきなのかということ。
あと、就労阻害といって、昔の制度とは違って、今の2分の1ずつは増えていくような仕組みでどの程度の就労阻害になっているのかという辺りのところ。
9ページ、支給停止の方がメインで議論になってございますけれども、70歳以上の方は、被保険者としないという、そちらの方はどう考えていくのかということもあろうかと思っております。
更に、高い所得のある高齢者に年金を受給することについて、現役世代とのバランスという問題。そういうことがあると思いますけれども、次の○、現在、28万というラインは、そもそもの平均的なモデル年金の23万という水準をにらんで、標準報酬性の時代に24万円というラインを決めたわけでございますけれども、それを総報酬に換算したものと、総報酬性に移行に伴って換算し直したものということでございます。
ということでございますので、基本的には年金受給者のモデル的な方とのバランスを配慮して、それを超えたところからしか支給停止をかけないというような考え方でつくられているものでございますけれども、視点を変えて、働いている人とのバランスというのを考慮するということもあり得るのかということでございます。
ただ、財政的な影響につきまして申し上げますと、17ページ、在職老齢年金全体で、支給停止の額が年間で1兆2,000億、60歳台前半で8,000億ということでございまして、全体で1兆2,000億、それだけの財政影響があるということでございます。
下に◎で書いてございますけれども、在職老齢年金制度を仮に全部なくした場合の年金財政への影響というのは、最終保険料率換算で0.7%の増加ということでございますので、18.3%が19%に上がる。あるいは、18.3を固定すれば、代替率が50.2%から1.4%下がって、48.8%ぐらいまで代替率は下がる、そのぐらいの財政的なインパクトを持っているものであるということでございます。
あとは、参考資料でございますが、20ページに付けてございますのが、在職老齢年金の受給権者、すなわち年金権を持っておられる方の賃金分布という資料でございます。
21ページは、その中で、もらっておられる年金額ごとに分布を見たものということでございます。上に要約を書いてございますけれども、年金額が低いと、やはり賃金が低い、年金額が高い方が賃金が高いというような傾向が若干ではございますけれども、見て取れるということと、どの年金額においても、18万とか24万のところに山が来ているというようなことでございます。
長くなりましたが、以上でございます。
○稲上部会長
どうもありがとうございました。あと数分だけお時間をいただきたいと思います。
それから、先ほどと少し違ったことを申し上げるしかないのですが、もう時間がございませんので、資料の2につきましては、次回の部会にさせていただきたいと思います。
それで、今の資料1-8の御説明につきましての御質問と御意見を、まずお伺いしたいと思います。数分でお願いします。
では、樋口先生、どうぞ。
○樋口委員
では、手短に話します。やはり、在職老齢年金の考え方を検討するときに、働き方についての中立性といったものは尊重するべきだろう。
従来の働き方の中立性といったときには、例えば年収を調整するという話あるいは労働時間を調整するといったような話で出てきたわけでありますが、最近それだけではない問題が出てきていると思います。
安全・安心プロジェクトの中で働くということの中でも提言を出しているんですが、どうも雇用関係ではない働き方というのが非常に増えてきて、特にその中において、デペンデントコントラクターということで、同じ職場で働きながら、これは労働関係ではありません。むしろ仕事の請負ですという形で出てきている。
こうなってきますと、給与所得とか賃金に応じて、この在職老齢年金の問題ということだけではなく、例えば事業所得という形で報酬は払いますと、にもかかわらず、年金のカットの対象にはなりませんということで、働く方もそれは選びますし、その一方において、今度は雇用主の方についても、労働関係が成立しないんだったら、雇用の安定とかジョブセキュリティーの問題というのは発生しないということから、お互いこちらを活用した方がいいというようなことが起こってきているわけでありまして、その点、雇用関係に限定した厚生年金ですから、どうしてもそうなっているわけですが、それ以外の問題というのも大きくなってきている中において、在職老齢年金というのがこのままでいいのか、むしろ私は繰り上げとか繰り下げ、そういったものにおいて生涯期待年金給付が一定になるような制度に組み替えていくということによって、いつ給付を受けるのかというのを選択可能にしているというような道を検討していくべきではないかと思っております。
○稲上部会長
小島委員、どうぞ。
○小島委員
私も同じような趣旨ですけれども、今の在職老齢年金は、まさに年金受給権が発生しても厚生年金に入っているか、入っていないか、入っていることを前提に調整賃金ということになりますので、そうしますと、今のようにフルタイムで働いているか、短時間で働いているかによっても、同じ事業者に働いていくことによって、その適用が変わってくるというようなこと、これは非正規労働者、パートを含めた厚生年金適用れているか、されていないかということに左右されるということになってきます。
それもありますし、それから厚生年金の受給要件を満たした、年齢を満たした、次の事業所というか、そこがたまたま適用事業所ではないところで働いて、フル賃金をもらいながらフルで年金が出るということになりますので、それはまさに働き方あるいは雇用形態に中立的な制度になっているということがあるので、ここは8ページに指摘されているような形で、賃金だけでなくて、総収入というか、そういうものをベースにした年金額の調整というのが必要になってくるんではないかと思っています。そういうところは、是非検討すべきだと思っております。
○稲上部会長
ありがとうございます。ほかに、どうぞ。
○江口委員
簡単に申し上げますと、「働くことに中立的な制度」の意味でありますが、例えば70歳以上の厚生年金の在職老齢年金を廃止するという意味で、中立的な制度にするということであれば、実際、70歳以上で厚生年金で働いているというのは、役員とか偉い方で、たくさん給料をもらっている方か、所得が低くて働かざるを得ない方なのです。
その方が、かつ年金もまるまるもらえることになると、結局、所得の高い方だけがさらに収入が増えることになってしまう。格差社会といわれますが、格差が高齢期で更に拡大するということにもなりますので、在職老齢年金の中立的な制度の意味をもう少し明らかにした上で、高齢期における所得の公平ということも念頭に置いて議論した方がいいと思っております。
○稲上部会長
ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。時間が大分過ぎておりますので、今日はいろいろ御議論いただきまして、どうもありがとうございました。今日はここまでにさせていただきたいと思います。
次回は7月2日、午前10時から開かせていただきたいと思いますが、先ほど少し申しましたけれども、委員の先生方にちょっとお願いがございます。
次回の部会では、今日も議論をいただきましたが、まだ残しているものもございますし、時間も十分とれなかったことがいろいろあるように思っております。平成16年改正後の残された課題のそれぞれにつきまして、どのような論点あるいは意見があるかということを、次回の部会で事務局から提示をしていただきたいと考えております。
お願いと申しますのは、次回の部会まで余り時間がないこともございますのと、それから委員の皆様、今日でもいろいろまだ御発言、御意見がおありになったことと思います。
そこで、嫌だとおっしゃられると困るんですけれども、西沢委員は、立派な文書を出していただいておりますが、短いものでも結構でございますので、書面で、今日の議題の1から8及び資料2あるいはその他につきまして、御意見をちょうだいしたいと思います。それを踏まえまして、改めて全体としての論点の整理をさせていただき、それに基づきまして、次回の部会で更に議論を深めさせていただきたいと思っております。
大変お忙しい皆様方にこういうことをお願いするのは、恐れ入りますが、是非、御協力をお願い申し上げたいと思っております。
具体的なことにつきましては、事務局から説明をしてくださいますか。
○総務課長
今、部会長からございましたように、本日御議論のあった内容、それから残りました3号被保険者の問題、それからそれ以外の内容につきましても結構でございますので、御意見をおまとめいただければと思います。
提出につきましては、7月2日に次回の審議会を予定しておりますので、それに間に合うような作業時間もちょっと考慮させていただきまして、可能であれば、1週間後の6月26日までに、メールまたはファックスで御提出をいただければと思っております。
その際、本日の資料のタイトルを項目名として記載していただければと考えております。よろしくしお願いいたしたいと思います。
○稲上部会長
今のお願いにつきまして、御質問ございますか。
○樋口委員
今日、ここでしゃべったのは、もうよろしいということですね。プラスαの部分ということですね。
○総務課長
それは、こちらの方で整理させていただきます。
○稲上部会長
よろしゅうございますか。是非論点を深めたいということと、どういうことが問題であるかということについて、多くの国民に広く知っていただく必要もございますので、是非よろしくお願いを申し上げたいと思います。
時間を超過してしまいまして、誠に申し訳ございません。今日はここで閉じさせていただきます。本当にありがとうございました。
○総務課長
念のために、次回は7月2日10時から霞が関ビルの東海大学交友会館で行いますので、よろしくお願いいたします。
(連絡先)
厚生労働省年金局総務課企画係
03-5253-1111(内線3316)