第9回社会保障審議会
資金運用部会
年金局
日時
令和元年7月29日 (月)15:00~18:00
場所
AP虎ノ門 Aルーム
出席者
委員
神野部会長
植田部会長代理
荒井委員
井上委員
大野委員
金井委員
河村委員
神作委員
熊野委員
玉木委員
徳島委員
原委員
平川委員
四塚委員
議題
(1)GPIFの平成30年度業務実績評価について
(2)GPIFの中期目標期間見込評価について
議事
神野部会長
すみません、それでは、定刻を過ぎておりますが、ただいまから第9回の「社会保障審議会資金運用部会」を開催したいと存じます。
何せ年をとるという生まれて初めての経験に戸惑っていて、地図がなくて住所だけでここへ来ようと思ったら、案内をしてくれる人がぐるぐる回すような案内だったものですので遅参いたしました。委員の皆様方には、大変お忙しいところ、かつ、きょうも梅雨が明けたかどうかはわかりませんが、梅雨明け間際の極めてお暑いところを御参集くださいまして、ありがとうございます。
本日の委員の出欠状況でございますが、本日は臼杵委員から御欠席との御連絡を頂戴しております。また、原委員につきましては、所用のため、17時ごろ、御退席をなさるというようにお伺いをいたしております。
それでは、議事に入ります前に、前回と言っても昨年の7月25日になりますが、前回の資金運用部会の開催以降、委員の交代といいますか、選任がございました。さらに事務局でも人事異動がございましたので、事務局のほうからそれについて御報告をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
石川資金運用課長
資金運用課長の石川でございます。どうぞよろしくお願いいたします。座って失礼をいたします。
まず、委員の選任について、御報告をいたします。
杤原委員、安浪委員がこのたび退任をされまして、新たに御就任いただきました委員を御紹介いたします。
日本商工会議所理事の荒井恒一委員でございます。
金井千尋公認会計士事務所所長の金井千尋委員でございます。
大妻女子大学短期大学部教授の玉木伸介委員でございます。
委員の御紹介は以上でございます。
続きまして、前回、昨年の7月25日の資金運用部会の開催以降、事務局に人事異動がございましたので、御報告をいたします。
年金局長の高橋でございます。
大臣官房審議官(年金担当)の度山でございます。
年金局総務課長の竹林でございます。
ここで、年金局長より御挨拶を申し上げたいと思います。よろしくお願いします。
高橋年金局長
本日は、大変お暑い中をこの会議のためにお集まりいただきまして、委員の皆様方、大変ありがとうございます。
本日は、議事次第にありますように、GPIFの平成30年度業務実績評価、定例でございますけれども、それとあわせてGPIFの中期目標期間見込評価、そして、3つ目にGPIFの業務・組織の全般にわたる検討の結果並びに講ずる措置の内容について、3点につきまして、なかなかボリュームが多いのでございますので、少し時間が18時までという予定時間が長くなっておりますが、ぜひともよろしくお願い申し上げます。
私、7月付で年金局長を拝命いたしました。その前、2年間は年金管理審議官といたしまして主に日本年金機構の業務運営の部分を担当しておりまして、そちらから制度運営や積立金の運用等の問題は横で見ていたつもりではありまして、これからもう少し今後、皆様方の御議論をよく教えていただきながら、しっかりやってまいりたいと思っております。
ことしは年金の財政検証、そして、制度改正に向けた議論の年でございます。5年に一度の財政検証、春先から一生懸命作業を行っておりまして、現時点でまだ作業中でございまして、作業が終わり次第、公表いたしたいと思っているところでございます。
また、9月からは制度改正に向けた議論。これまで年金部会あるいは企業年金部会で議論をいただいておりますけれども、それにつきまして、骨太方針などでも書かれてございます秋、年末までには方針を取りまとめて、来年度の通常国会に向けた議論を行ってまいりたいということでございます。
そういう中におきましても、この長期的な財政検証を行う中でも資金運用につきましては非常に重要なものだと思っております。国民が安心していただけるようなしっかりとした体制で運用をGPIFでやっていただいているわけでございますが、そこのところもまた情報を開示しながら、また、今後の方針などもさまざまなところでの御議論を踏まえながら取り組んでいく、こういうことでございますので、きょうはこれまでの実績の評価や今後につきましての御議論、忌憚のない御意見をいただければと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
神野部会長
よろしいですか。
どうもありがとうございました。
それでは、次に、この部会も会議をペーパーレス化するということにいたしておりますので、ペーパーレス化につきまして御説明していただくことと、資料の確認を事務局のほうからお願いいたします。
石川資金運用課長
お手元にタブレットがございますが、厚生労働省では、審議会などのペーパーレス化を推進しております。あらかじめお知らせいたしましたとおり、本日の部会はペーパーレスで実施をいたします。
皆様にお配りしておりますタブレット端末に、現在、第9回資金運用部会の資料の一覧が表示されているかと存じます。議事次第、名簿、座席図、資料1以降、あと下のほうに参考資料ということで一覧として掲載されているかと思います。それぞれの資料をタッチいたしますとその資料が表示されますので、そのようにしてごらんいただければと思います。仮に1つの資料を開いた後、さらに別の資料を表示する際には、左上に第9回資金運用部会という青い文字が表示されるかと思いますので、それを1回タッチしていただきますと、資料の一覧が再度表示されますので、ごらんいただきたい、表示させたい資料をタッチいただければと思います。
タブレットの操作方法につきましては、お手元に操作説明書という紙が配付されているかと思いますが、これを御参照いただくか、あるいはもし御不明な点がございましたら事務局がサポートいたしますので、御遠慮なくお申しつけいただければと存じます。
なお、本日、傍聴される方もいらっしゃいますが、あらかじめ厚生労働省ホームページでお知らせしておりますとおり、御自身のタブレット等の携帯端末を使用いただきまして、厚生労働省のホームページから資料をダウンロードしてごらんいただければと思います。操作方法等に御不明な点がありましたら、受付に事務局の職員もおりますので、お問い合わせいただければと思います。
事務局からは以上でございます。
神野部会長
どうもありがとうございました。
見渡したところ、カメラの方はいらっしゃらないようでございますが、もしもいらっしゃるようでしたら、恐縮でございますが、ここで御退席をお願いしたいと存じます。
(カメラ退室)
神野部会長
どうもありがとうございます。
それでは、議事に入らせていただきます。
議事につきましては、冒頭、局長から御説明を頂戴いたしましたが、本日の議題は、お手元のもう一度、議事次第で確認をさせていただければと思いますが、GPIF、年金積立金管理運用独立行政法人の平成30年度業務実績評価について、同じくGPIFの中期目標期間見込評価について、それから、業務及び組織の全般にわたる検討の結果並びに講ずる措置の内容について、この3点を議題にさせていただきたいと存じます。
初めに、事務局から、独立行政法人の評価に関するスキーム、評価の考え方、独立行政法人の評価に関する指針の決定の概要について、御説明していただければと思います。よろしくお願いします。
石川資金運用課長
それでは、お手元のタブレットで申し上げますとマル12の参考資料1からマル14の参考資料3まで、御説明をいたします。
まず、マル12、参考資料1、独立行政法人の評価のスキーム等の資料をお開きください。
1ページ目でございます。これが独立行政法人の評価に関するスキームの全体を示したものでございますが、1ページの下のほうの図にございますように、平成27年4月1日以降は、赤字で書いております主務大臣が独立行政法人の評価を実施するということになっておりまして、その際に、オレンジ色の四角にあります外部有識者の知見を活用するとされておりまして、その外部有識者の一つとして社会保障審議会資金運用部会が位置づけられているということでございます。
2ページにお移りください。上の四角の枠内に書いておりますように、GPIFの業務実績評価につきましては、社会保障審議会資金運用部会の諮問が必要とされておりまして、これは下の四角の参考のところにありますように、法改正によりまして、このような手続が必要になっているということでございます。それ以前は、平成28年、平成29年度の評価においては、その当時ございました独立行政法人の評価に関する有識者会議から、あるいは資金運用部会から意見聴取という形で進めておりましたが、昨年度、平成30年度の評価の実施からは、この資金運用部会における諮問ということで進めてきているところでございまして、今年度、令和元年度に実施いたしますのは、赤い枠で囲っている部分でございますけれども、平成30年度の実績評価と中期目標期間の見込評価を本日御審議いただくということでございます。
3ページ目にお移りください。これは中期目標期間の見込評価から次期中期目標策定までの流れを示した図でございます。上段が厚生労働省、下段が総務省独立行政法人評価制度委員会ということでございます。まず、8月のところに書いておりますけれども、中期目標期間見込評価の実施と業務・組織全般の見直しについて検討するということが今回行われるものでございまして、これらは従前の年度評価に加えて、今回、今年度でGPIFの中期目標期間が終了しますので、これに伴って、この見込評価と業務・組織全般の見直しの検討が必要になっているというものでございます。これらにつきましては、あわせて公表も行われることになるのですけれども、8月下旬までに総務省へ通知をいたします。通知を受けた総務省の独立行政法人評価制度委員会におきまして、見込評価及び業務・組織全般の見直し内容について点検が行われまして、もし意見があれば、意見が示されるということになります。その後、厚生労働省におきましてGPIFの次期中期目標案の作成を行いまして、中期目標案につきましては、1月にまた改めて総務省独立行政法人評価制度委員会のほうへ提出をし、審議をそちらでいただいた上で、もし意見があれば示される。その上で、次期中期目標案について2月ごろに本部会への諮問を経まして、次期中期目標を策定し、4月から次期中期目標期間が開始するという流れで今後進んでいくというものでございます。
4ページに移ります。これは独立行政法人の評価についてということでございまして、年度の評価あるいは中期目標期間の評価、いずれも同様の方法により実施されるということであります。また、上の緑色の四角の2つ目の○にありますように、評価に当たりましては、法人の長・監事からヒアリングを行って、法人の実情を踏まえて的確に評価を実施するとされているところでございます。下に3つ、箱がありますけれども、一番左側、評価項目につきましては、中期目標を定めた項目を単位として評価項目を設定します。それらの項目について真ん中の四角ですけれども、項目別評定ということで、中期目標の達成状況、中期計画の実施状況等を考慮し、評価項目ごとにS~Dまでの5段階の評語による評定を付すということでございます。その上で、右側の箱ですけれども、総合評定ということで、項目別評定を基礎として、法人全体の状況について5段階の評語による総合評定を付すということになります。本日は、これらの項目別評定及び総合評定について、委員の皆様から御意見をいただく、そういう審議をこれからお願いできればと考えております。
5ページ目は参照条文ということで適宜御参照いただければと存じます。
神野部会長
どうもありがとうございました。
石川資金運用課長
すみません、まだ続きがございます。申しわけありません。
続きまして、資料を戻っていただきまして、参考資料2でございます。独立行政法人評価の考え方について整理した資料でございまして、これは昨年の部会におきましても御紹介した資料でございますけれども、改めて御説明を申し上げたいと思います。
資料の2ページ目をお開きいただければと思います。上の評定区分というところにありますように5段階評価でございますが、Bが標準ということでございます。そのBにつきましては、下の中ほどに書いておりますけれども、中期計画あるいは中期目標における所期の目標を達成しているということでありまして、もし、定量的指標につきましては100%以上120%未満ということでされておりますが、これを上回るA評定、A評価をする場合には、この上に書いておりますように、中期計画(目標)における所期の目標を上回る成果が得られている、こういった成果が得られているかどうかがA評価の判断基準となるものでございます。その成果としては、さらに記載がありますが、定量指標がある場合には達成度が120%以上、定量的指標がない場合は所期の目標を上回る成果を明確に示す必要がある、これは定性的にでも結構でございますので、こういった上回る成果が明確に示されているかどうかということがポイントになるということでございます。
3ページにお移りください。A評定の判断ポイントでございますけれども、1にあります定量的指標がある場合には達成度が120%以上ということで、定量指標が全て達成度120%以上の場合には基本的にはA評定となるわけですが、複数の定量指標のうち、一部のみ達成度が120%以上の場合には基本的にはA評定とはならず、A評定とする場合には目標の重要度等の検証や質的(定性的)な成果の説明などが補足的にでも必要になるということでございます。
2点目の定量指標がない場合、GPIFの場合にはこれに該当するケースが今回もございますけれども、定量的な指標がない場合には所期の目標を上回る成果があると言える根拠、理由を明確に示す必要があるとされておりまして、例えば参考指標などの実績値を用いて成果を説明することも可能ですけれども、その場合には、実績値の設定等に関する考え方がわかりやすく示されていることが必要となります。また、質的(定性的)な成果の説明をする場合には、アウトプット(法人の直接的な活動結果)のみでは、なかなか成果が不明確とされやすいということもございまして、可能な限りでございますけれども、アウトカムの説明が求められるということになっております。
3の難易度を考慮した評価の引き上げについては、GPIFの場合には難易度の目標設定がございませんので説明は省略させていただき、4ページ目以降はA評定の判断事例がございますけれども、きょうのところは恐縮ですが説明は省略させていただきます。
以上がA評定の判断ポイントでございまして、続きまして、また資料をお戻りいただきまして、マル14、参考資料3をお開きください。これは、ことしの3月に総務省におきまして、独立行政法人の目標策定指針と評価指針の改定が行われました。そのポイントを御紹介している資料でございまして、今回の御審議に関係します、評価に関する指針の改定内容について関係する部分を御説明します。3ページ目をお開きください。
(2)として「評価の目的・役割に応じたメリハリ付け(重点化)」と書かれております。その中ほどの「すなわち」で始まる段落の中ほどから始まっておりますけれども、年度評価につきましては、例えば目標達成上の支障となる業務運営上の課題や好成績となっているものの抽出ですとか、目標終了時に達成される成果やその水準をあらかじめ具体化できず、目標期間中に結論を得ることとした事項のモニタリングですとか、目標策定時に重要度、または困難度が高いとされた事項の進捗管理などに重点化をすることができる。 その次の段落の「また」以降のところにありますように、今回の重点化の趣旨としては、目標達成上、重要なもののみ従来の単位・精度で評価を行う一方で、それ以外の項目は簡素・効率的な評価となるような工夫を促すことで、評価にメリハリをつけようということでございます。こういった趣旨から重点化を図るということが指針で示されておりまして、この中で特にiii)のところで御紹介しました、現行の目標上、重要度あるいは困難度が高いとされた項目の目標につきましては、これは必ず重点化をするということとされております。
また、3ページの一番下のマル4にございますが、年度評価におきましては、先ほどの重点化に伴いまして、法人による自己評価と主務大臣の評価のいずれもがB評定となる場合には、大臣評価における評定理由を「自己評価のBとの評価結果が妥当であると確認できた」という記載で足りることとして簡素化をするということが今回、指針で示されております。
以上のような指針の改定を踏まえまして、今回御審議いただく資料についても策定をしているところでございます。
説明は以上でございます。
神野部会長
どうもありがとうございました。
独法の評価スキーム、さらに評価の考え方等々について御説明をいただきましたが、特に御質問があれば承っておきますが、よろしいですか。
それでは、ただいまの御説明を前提にしながら、引き続いて、事務局から本日の審議の進め方について、御説明をお願いできればと思います。よろしくお願いします。
石川資金運用課長
それでは、本日の審議の進め方を御説明いたします。
まず、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の平成30年度業務実績評価及び中期目標期間見込評価について、それぞれ御審議をいただきます。それぞれの評価につきましては、この資料1-1及び資料2-1のとおり、7月24日付で厚生労働大臣より社会保障審議会宛てに評価の案が諮問されております。
評価に関する御審議におきましては、先ほど御説明しました評価に関する指針の改定を受けまして、まずは平成30年度評価につきましては、重点化の対象とした項目と高評価、高い評価を付す項目について、また、見込評価につきましては、現行の中期目標において重要度が高いとしている項目と高評価の項目、これらを中心に御審議をいただきたいと考えてございます。
このような本日の部会で重点審議の対象とする項目につきましては、マル15番の参考資料4をお開きいただきますと、水色の網かけがされている項目がございます。この5項目につきまして、本日の部会で重点審議の対象とさせていただきたいと思っております。
具体的な議事の流れでございますけれども、まず平成30年度業務実績評価から御審議いただきますが、その中で重点審議の対象となる5項目につきまして法人から御説明をいただきまして、それにつきまして委員から御意見をいただきます。重点審議の対象項目以外の項目につきましては特に説明は行いませんけれども、御意見がある場合には重点審議対象項目に関する御審議の後にまとめてお伺いすることとしたいと思います。その後、法人の監査委員及び理事長から今後の法人の業務運営等についてコメントをいただきまして、その上で、主務大臣評価(案)につきまして事務局から御説明をし、委員の御意見をいただきたいと思っております。
以上が年度評価についての進め方でございまして、その次に、今度は中期目標期間の見込評価について御審議をいただきます。これにつきましても、年度評価と同様に重点審議の対象とする5項目について法人から説明を受け、委員から御意見をいただき、それ以外の項目について御意見がある場合にはお伺いをし、その後、もしあればですけれども、法人の監査委員及び理事長から、今後の法人の業務運営等について、もし追加的なコメントがございましたら、それをいただいた上で、主務大臣評価(案)について事務局から御説明をし、委員の御意見をいただきたいと思っております。なお、見込評価に関する法人からの説明におきましては、既に年度評価で説明された内容は極力省略の上で法人から御説明いただくようにお願いできればと思います。
以上のような中期目標期間、見込評価に関する御審議の後に、3つ目の議題であります業務・組織全般の見直しについて、委員の皆様に御審議いただければと思います。
本日の審議の進め方は以上でございます。
神野部会長
どうもありがとうございました。
特に御意見がなければ、ただいま御説明があったような形でもって運用させていただきたいと思いますが、よろしいですか。ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。
それでは、まず初めに、平成30年度業務実績評価についての審議をいただければと思います。
初めに、資料1-2、つまり、平成30年度業務実績報告書及び自己評価書説明資料のうち、今も御説明がありました重点審議の対象としている項目、5項目について、法人のほうから御説明を頂戴できればと思いますので、よろしくお願いします。
森審議役
法人の審議役の森と申します。よろしくお願いいたします。座って説明させていただきます。
今、お開きいただいた資料中、重点5項目につきまして、順次説明させていただきます。
まず3ページ目でございます。評価項目I-1「管理・運用の基本的な方針、運用の目標」でございまして、これは過去の主務大臣評価につきましてはずっとBでございまして、今回、自己評価についてはBでございます。
中期目標の内容としまして、年度のものにつきましてはIのマル1、各資産ごとのベンチマーク収益率を確保するよう努める。マル3、運用受託機関の選定、管理及び評価を適切に実施する。マル4、これは29年に私ども、経営委員会等が設置されましたので、経営委員会、監査委員会、理事長等が役割分担。そして、自律的なPDCAサイクルを機能させて、国民から一層信頼される組織体制の確立に努めるというものがI-1の評価項目になっております。
マル1に関しましては、ベンチマークでございますが、平成30年度のベンチマークにつきまして、4資産中3資産につきましてベンチマーク並みの収益率、外国債券につきましてはプラスの超過収益率ということで目標を満たしている。
3番目でございますが、運用受託機関の選定につきましては、我々、随時、エントリーを受け付けますマネジャー・エントリー制度という機動的な制度を活用しまして、平成29年度もエントリーをさせ、30年度も審査を実施している。
4番目でございますが、平成30年度、経営委員会におきまして、ガバナンスの骨格をなす内部規程につきまして点検していただきまして、そのような点から言いますと、PDCAサイクルもきちんと回っているというものでございます。
スクロールしていただきまして、4ページ目にはベンチマーク収益率の確保、5ページ以降、各資産でどのようになっているかというものでございます。
そして、6ページ目でございますけれども、2番目の重点審議事項でございます「リスク管理」ということでございます。これにつきましては、中期目標では分散投資による運用・管理ということでございまして、まずは資産全体のリスク管理、各資産のリスク管理、そして、運用受託機関等のリスク管理を3段階でやるということになっております。これにつきましても、過去の主務大臣評価も歴年、Bでございまして、これは自己評価Bという形で今回つけております。
実績でございますけれども、この資産全体につきましては、乖離許容幅管理等を含めまして適正に実施しておりまして、バリューアットリスクについても複数手法によるモニタリング等を実施しております。
各資産ごとに管理すべきリスクにつきましても、推定トラッキングエラーにつきまして、これはトータルリスクモデルによりまして要因分解をする等の形できめ細かく管理しております。
各運用受託機関の管理につきましてもそれぞれガイドラインを示しまして遵守状況をきちんと把握するとともに、BCPの観点から、資産運用機関の複数化等を進めてきています。
9ページでございますけれども、各資産ごとのリスク管理ということでございます。
10ページなのですけれども、「運用手法、運用対象の多様化、株式運用における考慮事項」ということで、これは例年、主務大臣からもAをいただいていますが、今回も自己評価Aということで付しております。
中期目標の内容につきましては、運用手法につきましてアクティブ運用に取り組むことによって超過収益の確保を目指す。
マル2でございますが、収益確保のために運用手法を工夫する、そして運用受託機関管理につきまして、強化のための取組を進めるということ。
あと3番目は、経営委員会におきまして、運用対象の多様化についてきちんと管理していただくとともに、4番目は株式運用につきましては、中長期でございますので財務的な要素に加えましてESGを含めてきちんと考慮するという点が示されております。
目標と実績の比較でございますが、アクティブ運用につきましては、4資産中3資産につきましてプラスの超過収益率を確保している。目標自体が単年度というものではございませんし、私ども、単年度でアルファを稼ごうという話ではございませんが、このように3資産でプラスの超過収益率を確保しまして、国内株式につきましても、本中期目標期間ではプラスの超過収益を確保しておるということでございます。
あと一昨年度から新実績連動報酬、検討しまして、昨年度に導入いたしましたけれども、それに関して、意見交換を踏まえまして、適切なマネジャーベンチマークを設定する。
2番目でございますが、収益確保ということで、パッシブ運用の外国債券でございますが、型にとらわれずアルファ獲得策の一環としまして、国際機関債も可ということで見直しを検討したということでございます。
国内株式パッシブにつきましても、スチュワードシップ活動が重要でございまして、その選定に当たっては、体制及び報酬水準を一体としてスチュワードシップ活動を含むビジネスモデルを選定したということでございます。
株式運用における考慮事項ということでございますけれども、私ども、その一環としまして、インデックスでESG投資を進めるということをやっておりますが、その中でカーボン・エフィシェントということで、海外も含めて指数を採用したということでございます。
次のページから細かく書いてございますが、11ページにつきましては、アクティブ運用の状況でございます。
12ページ、13ページはオルタナティブ。これも運用対象の多様化ということで重要でございますが、特に13ページでございますが、貴部会からもオルタナティブにつきましてはリスク管理が重要という話がございまして、私どものリスク管理は運用リスク管理室というところでやっておるのですが、オルタナティブ投資室の中でもミドルチームを強化いたしまして、オルタナティブ投資に必要とされる固有のリスクに関しまして強化して管理しているというものでございます。
そして、14ページでございますけれども、株式運用につきましては従前のESGインデックスに加えて、カーボン・エフィシェント。気候変動というものは近年の研究でもかなり経済に影響を及ぼしてくることもございますので、内外で、もしくは特定の業種を排除するのではなく、広いTOPIXをベースとしたという形でインデックスをつくったというものでございます。
ということで、私ども、自己評価Aということで考えております。
I-4でございます。「透明性の向上」ということでございまして、これは例年、主務大臣からB評価ということでございますが、自己評価Aということでお願いしています。
中期目標の内容でございますけれども、私どもの運用の仕組みにつきまして、ホームページを活用しまして迅速に公表する。公表する資料を工夫するというのがマル1でございます。
マル2でございますが、私ども運用の多様化、高度化、国際化に対応して広報活動のあり方を検討し、充実を図るということで、いずれもアウトプット中心にと中期目標をいただいておるところでございます。
マル3は御存じかと思いますが、我々の27年からの活動。いわゆる保有有価証券につきまして全銘柄開示をやっておりますが、それを踏まえまして29年に厚生労働省のほうでも中期目標に格上げという形で入れていただいたものでございます。
目標と実績の評価でございますけれども、16ページでございますが、迅速化ということではCMSという形でカスタマーのほうで随時ホームページを更新できて迅速化ということをやっております。
また、ツイッターということでも、私たちの職員が自前でやっておるところでございますけれども、情報発信302回ということで迅速に実施をしておるというところでございます。
あとは「工夫」ということでございますが、そのページ、少し見にくいのですけれども、右のほうのアイスクリーム会社とおでん会社の株式ということで、夏と冬でいろいろと変わる。しかし、値動きの変動みたいなものをならすと一定化する。ということで、分散投資効果につきましてもわかりやすく説明するため、こういうような工夫を凝らしているところでございます。
その次のページが広報活動の充実ということでございまして、私ども、実感しているところでございますけれども、まず「高度化」とか「国際化」の前にGPIFの役割みたいなものについてきちんと皆様に広報しなければならないという問題意識を持っておりまして、「GPIFって、なに?」というわかりやすい年金制度の関連の冊子をつくって、いろいろ広報を図っているところでございます。
「国際化」という観点から言えば、17ページの右のほうで、これは一つのあらわれですが、海外メディアにおいてのGPIF関連の記事はかなり露出しているということで、高く活動しているのではないかと考えております。
18ページにつきましては、「運用の高度化」ということで、先ほど申しましたようにESGは中長期的な観点から重要でございますが、その観点から、うちの役員、昨年度94件、講演するとか、新聞記事についても飛躍的に349件出ておるとかという形で活動を行いまして、さらに言えば、19ページ、このような冊子でございますが、平成29年にはESG活動報告という形で特別な冊子をつくりまして広報を頑張っているところでございます。という形でAということで今回自己評価をしておるというところでございます。
次の重点項目でございますけれども、21ページでございますが「管理及び運用に関し遵守すべき事項」。これも例年、Aをいただいております。自己評価をことしもAという形で出させていただきます。
中期目標の内容でございますが、年金積立金の運用、市場インパクトとか資金の回収についての集中回避ということがございますので、これはマル1でございますけれども、キャッシュアウト等対応ファンド等で市場影響がない形でやらせていただいている。また、現物移管でやることによって市場影響を排除するという形で実施しておるというところでございます。
マル2、マル3でございますけれども、企業経営に関しまして、過度に影響を及ぼさないよう配慮するとともに、企業経営に与える影響を考慮しつつ、しかし、アセットオーナーでございますので株主議決権の行使を適切に対応し、スチュワードシップ責任を果たすということです。またスクロールしていただきたいのですが、22ページでございますが、我々の考え方。企業の方向性、当然、これは企業収益の拡大等でございますが、それと沿うような形で長期的な投資資産の価値向上という形でスチュワードシップ責任を果たし、投資原則等の原則を明らかにし、具体的な取組で評価するというやり方で取り組んでいるところでございます。
23ページでございますが、これは外国株式も含めまして平成30年度におきましては全運用受託機関で株式議決権を行使しています。24ページ、こういう我々の活動がどのように企業さんに評価されているかということでございますけれども、これにつきましては、PDCAでございますので、振り返るという意味からアンケートをしておりますが、アンケートの結果の概要、見にくいですが、中では、ここ1年のIRのミーティングにおいて、機関投資家の変化。どういうような変化があったかといいますと、4割が好ましい変化があったということで、私どもの活動のみでポジティブな結果とは必ずしも言えないかもしれませんけれども、ポジティブな変化を感じているということでございます。
その次の○でございますが、GPIFのスチュワードシップ活動全般の取組について、4分の3、8割近くでございますけれども、高く評価する、中長期の成長性を評価することでショートターミズムから脱却する気風の醸成に役立っているという形で評価していただいています。
あと私ども、企業の方々と共済の方と含めまして、企業・アセットオーナーフォーラムを実施していますし、物言う投資家であるCalPERS等と一緒にグローバル・アセットオーナーフォーラムということをやっています。昨年度の取組で言いますと、その次、スクロールしていただきまして、クライメートチェンジ。お暑うございますけれども、TCFDといって、やはり投資家の適切な投資判断のためには気候変動リスクというものも考えたほうがいい。これはG20から来ている話でございますけれども、そういう取組がございますので、我々も賛同する。もしくはClimate Action100+ということで、気候問題等に影響力のある企業に対して、国際的にエンゲージメントをする取組がございますけれども、これにも情報収集して我々のスチュワードシップ活動につきまして国際的な知見を得ていくというような形で実施しているところでございます。
簡略でございますが、私のほうから主要5項目についての30年の報告をいたしました。
神野部会長
どうもありがとうございました。
ただいま重点審議対象の5項目について、業務実績と自己評価について御説明を頂戴したわけでございますが、これにつきまして御意見、御質問がございましたら頂戴したいと思います。いかがでございましょうか。
どうぞ。
熊野委員
これは数点、まとめて全部していいですか。
神野部会長
はい。どうぞ。
熊野委員
ありがとうございます。
では、少しお伺いしたいこととお願いしたいことがございますので、最初に、まず3ページ目の資産運用の「管理・運用の基本的な方針、運用の目標」というところでございます。目標と実績の比較のところのマル1のところです。平成30年度のベンチマーク収益に対する超過収益率については、4資産中3資産はベンチマーク並みということで書いていただいているのですけれども、実績を拝見しますと資産ごとにプラスマイナスというのがやはり当然発生しております。運用の結果、プラスとマイナスが出るというのは理解できるのですけれども、少しマイナスの場合でもベンチマーク並みというように書かれております。いろいろなところをよく見たのですけれども、どうしてマイナスであってもベンチマーク並みと言えるのか、その評価基準について透明性の向上の観点からもわかりやすく記載をお願いしたいということが1点でございます。
次、2点目でございます。3点ございます。10ページ目でございます。こちらの評価項目I-3の「運用手法、運用対象の多様化、株式運用における考慮事項」ということで、ここは自己評価Aというように記載されております。目標と実績の比較のマル1のところでございます。アクティブ運用において、4資産中3資産についてプラスの超過収益、そして、国内株式においても今中期目標期間ではプラスの超過収益率を確保しているということで評価していただいております。これはたしか1年分の業務の実績を書く中で、ここだけなぜか中長期目標期間ではということで評価されているのですけれども、なぜこういうように記載されているかということについて違和感を覚えたもので、意図について教えていただきたいということです。
あと最後、15ページ目についてでございます。こちらも「透明性の向上」ということでございます。こちらではSNSですとか国内外のセミナーで活発に運用状況ですとか実績が発信されているということ、すごい取組だと思っておりますけれども、まだGPIFと公的年金の制度の関係だとか、年金制度についてこの機関の運用がどういったものであるかということの結びつきですとか、そういった観点の発信をもう少しお願いしたいなというように感じております。
なぜこういうことを申し上げるかと言いますと、赤字となった第3・四半期の運用実績だけが妙に取り上げられてしまって短期的な視点で年金制度の不安があおられたりという経緯もございました。ぜひともこういった面できちんと発信をさらに強化をお願いしたいという3点でございます。
発言、失礼します。
神野部会長
どうもありがとうございました。
森さん、いいですか。
森審議役
御質問ありがとうございました。
3点いただきまして、1番目、ベンチマーク収益率をとれたというのをどういうように評価するかでございます。これは当然、尺度の使い方というのはいろいろあるかと思いますけれども、私どもはベンチマーク収益率の確保につきましては、例年、昔から10ベーシス未満は、ほぼ、上のときも下のときもこれは確保できたという形で評価させていただいています。
もう一つ、ベンチマークというのは技術的なものでございますので、例えば売買手数料とかそういうものを加味しない抽象的な性格でございますので、そういう観点からも一種、言葉は悪いのですけれども、10ベーシス未満のぶれにつきましては、私どもでは高いときも低いときも、これは「並み」という形でやらせていただいているというものでございます。これが1点目ということです。
2番目はアクティブ運用でございます。先ほど申しましたようにアクティブ運用につきましては、私ども最近、長期的なアラインメント。我々、中長期の投資家という観点からこれを重視していますので、必ずしも単年度でのアルファを出すという形では考えてはおりません。ということもございまして、私ども、アクティブ運用、単年度で悪かったからそこを切るかとかというのは運用業界でも一般ではないと思いますので、そこはむしろこの4年間、後で御説明いたしますけれども、そこではちゃんととれているということで御説明させていただいた次第でございます。
3番目、透明性の向上。これはどうもありがとうございます。私どもは既存のメディアだけではなくてユーチューブも職員みずからが四半期につきまして吹き込みをするとか、いろいろな形で努力をしています。ただ、確かに御指摘のとおり、まだまだ国民の皆様方の理解等がいただけないところもあるかと思いますが、それにつきましては百尺竿頭に一歩を進むではないですけれども、地道に努力してまいりたいと思います。
以上です。
神野部会長
どうもありがとうございした。
手が挙がったのですね。どうぞ。
原委員
今、私が質問を投げかけたいなと思っていた関連した事項が出たので、続けてお話しさせていただきます。私も「透明性の向上」のところで質問とコメントをさせていただきたいと思います。
やはりいろいろなツール、ホームページですとかのコンテンツの作成ですとか、あとパンフレットの作成ということでさまざまな活動をされているということは、ここに書かれているとおり、よくわかりました。
ただ、このパンフレットにも入っているのですけれども、そもそも一番基本的なというか、公的年金制度における積立金の意義とか役割といったところが本当にたくさんの人が理解しているかというと、まだまだではないかなと思っております。そこのところが何のために積立金があるのかというところですね。このパンフレットの中には説明があるのですけれども、そういったところを常識的に、そういうのはもう皆が知っているというようなレベルまで理想は持っていかないとと思っています。これはなかなか難しいとは思いますが、まだ保険料の収入の中で、賦課方式の中における積立金の役割というもの、積立金がどのように使われているのかというのをきちっと理解している人はなかなか少ないと思います。
それは難しいとは思うのですが、ただ、こういう活動をしていくことで、このパンフレット「GPIFって、なに?」などを作っていくことで一般的に広めていくということは、特に若い方にとって広めていくというのは重要なことだと思うので、ぜひ続けていただきたいです。質問にはなるのですけれども、こういったパンレットをつくりましたというようなことが17ページにも載っているのですが、どういったところに配布されているのか、また、活用はどのようにされているのか、これからこのパンフレットはどういう活用をされていこうとしているのかということはお聞きしたいです。作っただけで使われない、読んでもらえないと、せっかくわかりやすい感じにできていると思いますので。ダウンロードをできるようになっているのか、どういうところに配られているのかとかなどそういうところをお聞きしたいと思います。
あと、やはりいろいろなツールを使ったり情報発信したりいろいろなイベントをやったりということで情報の発信というか透明性の向上を図られているということですが、その効果測定は難しいと思うのですけれども、例えばアンケート調査とか、どのぐらいGPIFについて理解していただいているかというようなことを何かアンケートをとってみるようなことというのもあってもいいのではないかと思います。こういうものを配ったときに何かアンケートをつけるとか、そういった形で基本的なところを広く知っていただきたいと思っているので、そのような調査などもするといいのではないかなと思っているのですが、そういうことについても、今回は自己評価Aということで評価が上がっていますので、続けていただきたいと思います。
以上でございます。
神野部会長
関連して、どうぞ。
玉木委員
今、評価項目I-4について幾つか御意見が出ました。この件についてなのですけれども、中期目標においてマル1、マル2、マル3というのが15ページに一番上、出ております。こちらは主務大臣が決めた中期目標ですけれども、確かに年金制度における積立金の役割、こういった原理的な点について必ずしも国民には広い理解が十分かどうかとなってくると、いろいろな御意見があると思いますが、GPIFにおける透明性の向上の守備範囲というのはどこかということになりますと、それは年金制度に関する国民の理解をGPIFがやれということには中期目標ではなっていないと思います。GPIFの業務に関して透明性を高める、これが中期目標ではないかと思います。
したがいまして、例えば一部のメディアで、ある特定の四半期についてマイナスが大きかったことについて何かほかの四半期とはかけ離れて大きなカバレッジで報道する。これは余り私としては国民にとって有益な情報提供ではないと思いますけれども、こういうことが起きたということ自体が何かここでの議論に直接の影響を与えるかというと、そうではないのではないかと思います。やはり中期目標を下した主務大臣の考えていたこととの関係において、ここでAかBかCかということを考えればよろしいかと思います。
あと私としては、今、御説明にもありました17ページにありますような海外メディアでのGPIFの記事の扱い、これなどはGPIFがそもそも日本国民のお金ではありますけれども、その活動に対する注目度合いというのは日本国内のみならず世界的にも大変強うございますので、そういったところで大きな扱いがなされているという点は透明性の向上に向けたGPIFの努力の端的なアウトカムとして見てよろしいのではないかと思います。
また、私が一部、この海外メディアのGPIF関連記事を自分でも拝見しておりますけれども、余りネガティブな報道にはなっていないかと思いますので、この辺について、もし事務局のほうで、どのようなトーンの報道があるのかということについてコメントいただければ、ここでの審議の参考にもなるかと思います。
以上でございます。
神野部会長
それでは、質問項目についてお答えをいただきつつ、全体意見に対してコメントいただければ。
森審議役、お願いします。
森審議役
では、私のほうから御説明いたします。
まず原先生がおっしゃったのはまことにごもっともでございまして、これは私どもがいただいているのは、玉木委員からお話しいただいたように、運用についての高度化、専門化というところが主でございますけれども、そもそも積立金の年金制度における役割というのを積極的に広報しなければならないのではないかということで考えております。そのため、御質問がございましたようにパンフレットにつきましてはダウンロードできればいいというものではございませんが、ホームページ上、ダウンロードできますとともに、私どもの役員のほうで広くいろいろと講演しておりますが、その際にもお配りし、好評を博しておるところでございます。
また、この点につきましては、厚生労働省のほうでも年金制度の広報の検討会、私ども一緒になりまして実施しておりますので、そういう連携をとりつつ、いろいろ広報に努めていければと存じます。
ちなみに、私どもも効果測定をやっておるのですけれども、これは広く聞いておりますので、横ばいなのですけれども、ただ、やはりこういうものはセグメンテーションといいますか、よくわかっていただいている方とかいろいろな方、若い層とか、いろいろセグメンテーションして見ていくのが重要かと思います。先ほどツイッターの話が出ましたが、例えば私どもの関係で運用が悪いときにでも全然やらせではないのですが、ほかの方が年金積立金は長期的運用だからという形で書いてくれる方もいらっしゃいますので、そういう意味では、わかっていただける方にも重点的に広報するとか、そういう取組が重要かなと思っております。
あと玉木委員のほうから、我々の海外メディアへのGPIFのどんな報道が出ているかについて御質問がございました。内訳につきましては17ページの右側に海外メディアでのGPIFの関連記事ということでございまして、我々のESG活動につきまして38%というところがございますし、また後ほど説明するかもしれませんが、我々の受託機関の新実績連動報酬、これは国際的に見てもかなり先進的でございますので、そういうものということでございまして、単に運用成績につきましてぽつぽつと出るよりも、そういう我々についてすぐれたところをすぐれているから評価していただいている、そういう記事がかなり出てきたと考えております。
神野部会長
ありがとうございます。
ほかはいかがでございましょうか。
河村委員、どうぞ。
河村委員
すみません、私のほうからもごめんなさい。
水野理事
今の玉木さんのほうにお答えしてもよろしいでしょうか。今の御質問に追加で答えさせていただいてもよろしいでしょうか。水野でございます。
神野部会長
わかりました。よろしいですか。
どうぞ。
水野理事
先ほどの御質問につきましてですけれども、まさに制度のところに関しましては、以前は厚生労働省側の役割であるという分類をされていたかと思いますが、やはりおっしゃったようなGPIFとしてもその説明をするべきではないかという意見がございましたので、こういうパンフレットをつくり始めたという背景がございます。
せっかく玉木委員に海外や評価について質問を受けましたので、アウトカムの説明のためにラッセル・インベストメントコンサルティング、私ども、運用コンサルに海外のコンサルタント等からのヒアリングを先週していただきました。それを読ませていただければわかりやすいかと思いますけれども、出版物やウエブサイトを通じて詳細な情報が開示されており、海外公的年金に比べて頻度や情報量は充実している。近年では特にウエブサイト等を通じたメッセージの発信や見やすさの改善、情報開示ツールの活用が加速しており、情報アクセスの改善度は海外公的年金を上回ると見られるというような評価をグローバルなコンサルタントからも受けておりますので、そういう意味ではアウトカムについてもある程度認知がされているものかと思います。
神野部会長
ありがとうございます。
河村委員、お待たせしました。
河村委員
すみません、続けて今の評価項目I-4の「透明性の向上」のところについて、幾つかお尋ねしたいと思います。
ここのところ、過去の評価、15ページになぜか書いてありませんけれども、平成27年度もBですね。27年B、28年B、29年Bと来て、平成30年度にAに上げられた根拠は何でしょうか。
評価の考え方については先ほど課長が御説明くださったように、厚生労働省でどうかとか、この資金運用部会でどうかということだけではなくて、国全体として独立行政法人中期目標管理法人についての評価の考え方がある。A評価についてはやはりなかなか厳しい基準があって、先ほども御説明がありましたけれども、やはり定量的指標であるかどうか、ない場合とか、それから定量的指標で全部が120を超えるというようなことでないようであれば質的、そして、定性的な成果の説明が必要であって、なおかつ、それはアウトプットではなかなか説明しがたい。アウトカムのほうでやはり説明がされていないと、という考え方がもともと示されているというお話があったと思います。
この考え方は別にここだけではなくて、私は厚労省のほかの中期目標管理法人の評価にもかかわっていますし、ほかの省庁の関係もかかわったこともありますけれども、その考え方でみんなやっていると思います。その考え方で見たときに、ここの中期目標の立て方に問題があったのかもしれませんけれども、アウトプットばかりなのではないかなというように私は思います。しかも、去年まで大臣評価B評価で来たときに、ここでAに上げられる理由が何なのかというところをまずお尋ねしたいというように思います。その後、続けて幾つかお尋ねしたいことがございます。
神野部会長
これについて、GPIFは森審議役でよろしいですか。
どうぞ。
森審議役
透明性の向上でございますけれども、過去の主務大臣評価につきましては、ずっとBでございました。あと先生からいみじくも御指摘いただきまして、私のほうも申しましたけれども、やはり透明性の向上、その中の評価項目といいますと、我々、迅速性なり公開資料を工夫する。あと広報活動のあり方を検討し、充実を図るという趣旨で考えれば、私ども十分な、それ自体が一種、目標で考えればアウトカムとも言えますので、実施してきたのではないかという自負がございます。
あと、そのアウトカムで言えば、情報発信量、もしくは海外でメディアでのGPIFの報道、もしくはGPIFに関する全国紙の報道件数とか新聞記事も継続して伸びてきております。ここの目標自体には示せられていません、原委員からも御指摘がありました、国民の年金積立金のそもそもの役割等に関するところの理解というものをお求めになるとなかなかつろうございますが、我々にいただいた目標の範囲では十分Aだという認識で今回A評価を出したというものでございます。
神野部会長
どうぞ。
河村委員
申しわけないですけれども、今の私の質問にお答えいただけていなかったと思います。何で去年と今年でどう変わったのかというところがわかりませんでした。
あと、考え方の違い、意見の違いなのかもしれませんけれども、今、御説明くださった内容、それから、15ページのところに赤字で書いてくださっている内容、そこが一種のアウトカムというようにおっしゃいましたが、これは全てアウトプットだと思います。ほかの他府省の所管の法人とかで考えるときにも、これはアウトプットだと思います。
アウトカムとしては、なかなか透明性の向上とか情報開示はとりにくいものかもしれませんけれども、決してそんなことはなくて、先ほど原委員もおっしゃいましたけれども、こういういろいろなアウトプットの活動を通じて、やはり国民の側のGPIFがやっている仕事の根本のところがどれだけ理解が進んできているかという定点観測をやるべきなのではないでしょうか。やって、それが例えば結構高い水準にあって横ばいで維持できているとか、そういう数字が確認できてこそアウトカムの要するに効果、きちんとアウトカムを確認できた上でのこの項目、どう評価するかということになるのではないかなと思います。
これまでの質疑応答のところでの御説明を伺っていますと、ラッセル・レイノルズの関係のいろいろな評価云々というのがありましたけれども、やはりコンサルさんの評価というのも一つのあれですが、それでは不十分ではないのか。やはり一番大事なのは日本国民が、このGPIFが果たしている役割についてどう理解できるか、根本のところ。もちろん、相場変動の影響、いろいろ受けたりすることもありますけれども、そういうことがあるのが普通のことである中で、では、長い目で見たときにどう理解していくのかといったところ、積立金の役割、長期分散投資の効用とか、そういうことをよくどう理解できているのかということを把握すべきなのではないか。
そして、あと先ほどの質疑応答の中で効果測定をやってらっしゃるというお話でしたけれども、では、なぜここにお書きにならなかったのでしょうか。やってらっしゃるのだったら堂々とお書きになって、数字もお示しくだされば、それこそアウトカム、こちらのほうでもきちんと確認できて、ならばそういうことでA評価なのかなというように納得することもできると思うのですが、やっていますとおっしゃるだけで何も数字の話もなく、御説明もないということでAということであれば、こちらとしてはなかなか理解しにくいなと思います。
以上です。
神野部会長
では、重ねてお答えいただきましょうか。
森審議役
この目標に関しましては、まず5年前から考えますと、私どもGPIF、昔は素人がやっているのではないかとか、いろいろな誤解がありましたが、そういうものを考えますと、透明性の向上なのか、認知の変更なのかわかりませんけれども、大きく変わっていると思います。
目標につきましても重ねて恐縮で、これは厚生労働省からいただいたものでございますけれども、公開資料の工夫とかあり方の検討、充実とかと透明性の向上というものに着目して設定されているものでございますので、我々、努力を十分したのではないかということでAということで考えております。
神野部会長
水野理事、どうぞ。
水野理事
アウトカム、アウトプットというのは常にはかれるものだとは限らないと私は思いますが、博報堂に私たちの広報に関する支援業務というのを行ってもらっておりまして、それによりますと、GPIFの報道の件数は明らかにふえています。
あと中期目標の内容からしましても透明性の向上ということですので、透明性の向上というのは明確に5年前の大臣の期待を上回っているというように私は自負しております。それは5年前のGPIFの業務概況書、後ろのほうに参考でついていますが、それと私どもの今のアニュアルレポートを見てもらえれば一目瞭然でございまして、他の三共済の業務概況書と比べましても格段の違いがございます。
過去にAを出さなかった理由に関しましては、実はAを2年前には出しているのですけれども、そのときには私どもの運用成績の発表が遅かったと世の中で批判されたということをもってBだというように当時されたわけですが、正直、あれも当時、何の悪意もあったわけではないのですが、その後、明確に日程を決めるということにして、ことしに関しては参議院後になるのではないかといろいろなうわさをされましたが、年度の頭に業績発表の日にちも明確に公表しておりますし、そういうことをやってきておりますので、これはことしだけではなくて5年間という目で見ましても明確に当初の期待を上回っておりますし、逆に5年前にここまで想像していた人がいたら、それは逆に驚くというぐらいの差はあると思っています。
神野部会長
河村委員、何かほかに重ねて御質問がありますか。
河村委員
もう先ほど意見を申し上げましたので結構です。
神野部会長
大丈夫ですか。ほか、いかがでしょうか。
どうぞ。
徳島委員
私は運用の中身について特に意見はありませんが、透明性の向上に関して2点ほど申し上げたいと思います。
1点は、この1年間、資料の15ページにも書いてらっしゃいますけれども、GPIFがESG活動報告を新たに作成されたというのは評価していいと思います。実際、ほかの共済組合は、GPIFも出されているスチュワードシップ活動報告までに留まっています。ESG活動報告という形でまとめて出してらっしゃることは、評価していいと思っています。ただし、これだけでA評価になるかと言われると、足りないかと思います。
一方、ここまでの議論でも出てきていますが、昨年の12月末、第3・四半期末の時点で、15兆円の損が出たという報道が出たことに対して、GPIFは国民に直接語りかけるところの他、プラスアルファとしてメディアにどういうように働きかけてきていらっしゃるのでしょうか。メディアがやや事実を誤解した報道をされているように感じられるのですが、国民の多くがメディア経由で情報を知るものですから、具体的にどういう努力をされてらっしゃるかとかご説明いただけると、より高い評価につながるのではないかと考えています。実際も、GPIFはそういったことを意識して人を採用されてらっしゃったりとかいろいろ努力されてらっしゃるのは存じ上げているのですが、メディア対策みたいなところについてのお取り組みがもしあるようであれば、お聞かせいただけたらと思います。
神野部会長
コメントいただければ。森審議役からでよろしいですか。
森審議役
今回、第3・四半期、15兆円近くの損ということが出ましたが、各メディアで特筆できた話としましては、ちゃんと今までの自主運用を通じては65兆円程度、長期的にはプラスが出ている。これを皆さん、入れていただきました。
これはどういうことかといいますと、うちのメディア担当が小まめに日常的にメディアの方と接触いたします。やはりメディアの方に、我々の運用というものは中長期的な観点からでやっておる。また、株式等によりますと市場変動とかありますけれども、中長期的にはちゃんと利回りはとれているみたいなものを訴えてきた成果だと思います。まだまだ及ばない点がありますけれども、そういう地道なメディア対策をやった結果、単なる15兆円損というだけではなくて、長期ではちゃんと運用が出ているということで、ツイッター等でも誤解がされているものにつきまして反応していただく方もいらっしゃいますし、おおむね理解が進んできたのかなと思っていますが、まだまだ努力してまいりたいと存じます。
神野部会長
どうぞ。
井上委員
ありがとうございます。
GPIFの運用は、被保険者のための超長期の安全な運用ということですので、この中期目標自体を年度ごとに評価するというのは、なかなか短期的に過ぎるのでなないかと思うのですけれども、私は、ここ数年間のGPIFの活動を見ていて、一番透明だしインパクトがあるのは、ESG投資、すなわち超長期のための投資が肝要なのだということが相当な国民の間で定着させつつあるというところであり、このような活動の仕方というのは、非常に評価すべきではないかなと思います。単なる短期投資ではなくてESGのような中長期の活動が重要なのだということを定着させたという意味では、そのために透明性を向上されたということも含めて、そのあたりの活動はよろしいと思います。
あと産業界というのは国民自身ではありませんけれども、産業界から見ても、産業界とGPIFとの間の対話が昨年ぐらいから非常に活発になってきまして、産業界で対話に携わる従業員、国民という意味であれば、そこの理解も非常に深まっているということは一つ言えますし、繰り返しになりますが、何よりも超長期、ESGの重要性というのが定着したということは評価したいと思います。
神野部会長
ありがとうございます。これはGPIFのほうから特にコメントはいいですか。
ほかに、神作さん、どうぞ
神作委員
ありがとうございます。
私はスライドの21ページ、評価項目のI-6の特にマル2とマル3、すなわちスチュワードシップ活動および議決権行使について、コメントと1つ御質問をさせていただきたいと思います。
アセットオーナーによるスチュワードシップ活動というのはこれまで必ずしも十分になされてこなかったという評価が少なくない中で、GPIFはアセットオーナーとしてスチュワードシップ活動を相当本格的に展開してくださっていると思います。このことは事前にお送りいただいた業務概況書にも非常に詳しく56ページ以下に記載がございますけれども、私も、この評価項目がAとされているのは妥当であると思います。
ただ、その評価の仕方について1点、お伺いしたい点がございまして、スライドの24ページなのですけれども、投資先の企業に対するアンケートを行っています。私の理解では、GPIFと投資先企業の間にはインベストメントチェーンのつなぎの資産運用業者が入っており、このアンケートの概要の目的を拝見いたしますと、運用受託機関のスチュワードシップ活動に対する評価についてアンケートしているものと思われます。
アンケートと自己評価についての考え方をお伺いしたいのですけれども、投資先企業に対して直接スチュワードシップ活動をしているのはGPIFではなくて運用受託機関であると思いますが、運用受託機関がよくやっていると投資先企業から評価されているということは、すなわちGPIFがよいスチュワードシップ活動を行っているという考え方に立つものなのかという点でございます。
少し御質問を変えますと、GPIFにとってはスチュワードシップ活動をする直接の相手方というのは運用受託機関になるのではないかと思いますけれども、運用受託機関に対しては、このようなアンケートというのはされていないのか、あるいはそういうこともされているのか、GPIFはアセットオーナーという立場にありますので、スチュワードシップ活動というのはなかなか観察しづらいという特徴があると思います。この点について、どのような考え方を持ってアンケートを行いそれを評価をされているのかとについて、お伺いできればと思います。よろしくお願いいたします。
神野部会長
どうぞ。
小森市場運用部次長兼スチュワードシップ推進課長
御質問ありがとうございます。すみません、ぜんそくの治療のために声がかすれてしまっておりますけれども、御容赦ください。
スチュワードシップを担当しています小森と申します。よろしくお願いいたします。
まさに今、御質問いただいたインベストメントチェーンの企業さんから見た運用機関とGPIFとのチェーンを我々としてもどういうように認識されているのだろうかという問題意識もありまして始めたのが、年に1回やっております東証一部上場会社向けのアンケートになります。
今、御指摘いただきました目的の部分は、すみません、きょう、資料としては御用意しておりませんけれども、「当法人のスチュワードシップ活動全般への取組みについて」というスチュワードシップ活動全般について企業さんに評価をいただく質問項目があります。一つが私たちの取組についての御評価と理由、もう一つが具体的な取組、例えば今、御指摘がありましたESG活動報告ですとかスチュワードシップ活動原則、議決権行使原則といった取組について、どの程度御存じかということもあわせて聞いております。
例えば企業さんによっては、私たちの過去の取組を例えばスチュワードシップ活動原則とか議決権行使原則を十分御理解をいただいた上で、私たちに対する評価がいい仕事をしている、まだまだ足りないよねというところを御認識いただいておりまして、先生がおっしゃるとおり、日本株の運用機関全てが私たちの運用受託機関ではないことも事実ですけれども、片方で、今回のアンケートに答えていただきました604社、社数では東証一部上場企業の3割を切っていますが、24ページの左側のグラフにありますとおり、時価総額では67%を占めています。
残念な現実ではありますけれども、東証一部上場企業において、ふだん機関投資家が関心を持ってポートフォリオに組み入れて定期的にIRミーティングをやっている会社が限定されているのも事実ですので、この604社、特に大型株で、あと中型株の大きいところが中心ですが、そこからの回答が8割から7割ぐらいあるということは、ふだん、私たちの運用受託機関を含む機関投資家と会っている中での率直な感想と受けとめております。
3年半ほどになりますけれども、私たちがこういう活動を始めたことによって、運用受託機関だけではないですが、特にESGのテーマですとか、あとショートターミズムを避けるために中長期の運用をしてくださいということをずっと申し上げております。髙橋理事長、水野CIOも含めた外部での講演でも、そのことは企業さんが多数出席しておられる講演会でも申し上げておりますので、恐らく企業さんの中でもかなりの割合の方々が、ふだん会っている投資家がいまだにショートターミズムなのか、形式的な議決権行使なのかということは最終的にまだGPIFの取組が足らないのか、あるいは少しでも変わってきているのかという評価をしていただいていることが、アンケート結果概要の4割の方々が好ましいとお答えいただいているバックグラウンドになっていると思っています。
2つ目の御質問の運用機関への評価も、私たちの観点からしますと企業さんが中長期の経営に取り組む中で課題と思っておられる例えば気候変動とかダイバーシティーといったテーマが同時に中長期の投資家もESGの重要テーマとして認識していないと、中長期のエンゲージメントの議論そのものがずれることになりますので、その意味では年に1回、重要なESGのテーマは何ですかということでアンケートをやっておりまして、その部分につきましても私たちのスチュワードシップ活動報告の中で公表させていただいております。
今回あたりは、企業さんが考える中長期のテーマと運用機関が考えるESGのテーマがほぼ沿ってきていますので、そういうことにも私たちのやっている活動の効果があらわれてきているのではないかなと感じております。
ですので、4割を頑張りましたというのか、まだまだというのは見方によって多分変わると思いますけれども、少なくとも御回答いただいている企業さんの頭の中にはインベストメントチェーンがあり、日々会われている運用機関のバックにはGPIFがいて、中長期のESGの観点、中長期のアセットオーナーに対する適正な中長期の時間軸の運用をしてくださいということを言い続けているというイメージはできているのではないかなというのは、かなりの確信を持って感じているところであります。
神野部会長
ほかにいいですか。ありがとうございました。
それでは、先ほど御説明がなかった、つまり、重点審議対象項目、5項目以外の項目につきまして御意見があれば頂戴したいと思いますが、いかがでございますか。
どうぞ。
金井委員
すみません、I-6にも関係することで、あとガバナンスのことでお聞きしたいことがあるのですけれども、まず、その他というよりは21ページの中期目標の内容のマル1のところで、中期目標においては、運用に当たっては市場の価格形成や民間の投資行動等をゆがめないように配慮しとするべきだと思いますが、貴法人は常に動きを注目されていまして、先ほどから新聞報道のお話も出ていますが、GPIFが株の大量売りをしたために相場が崩れたとか、GPIFの海外投資が円高の抑止力になっていたが、ポートフォリオの見直しでそれが変わるのではないかとか、まるで政府の金融政策の担い手のような書きぶりをされることも多々あると思います。
貴法人の自主性や独立性については十分に議論された上で現在の体制が整備されていると認識しておりますが、その運用状況について、どのようなモニタリングがされているか、内部統制全般のことにもかかわるかもしれないのですけれども、御説明いただけるとありがたいと思います。お願いいたします。
神野部会長
お答えいただくのは森審議役でいいですか。
森審議役
私どもの内部統制について御質問いただきました。まさに私ども、運用の高度化に伴いましてガバナンスの高度化ということで29年10月から、独法には普通はない経営委員会をつくりまして、また、監査委員会という形で特別な組織をつくりましてガバナンスを実施しているところでございます。
例えば今ございました他事考慮、例えば今のお話ですとアメリカに政治的意向で投資をするのではないかという記事のお話だとも思いますけれども、私ども、あくまで年金積立金につきましては、専ら被保険者のためということでございます。その専ら被保険者のためということを担保するために年金部会のほうで特別なガバナンスということで図られたということでございまして、必要な事項につきましては、ちゃんと私どもは経営委員会で審議していただいて、後ほど御説明があるかもしれませんが、監査委員会のほうも定期的にレビューしていただきましてガバナンスを進めているところでございます。そういう意味では、普通の独法よりも厳しいガバナンスがされているところでございます。
神野部会長
ほかに追加はいいですか。
どうぞ。
平川委員
話が戻って申しわけないのですけれども、「透明性の向上」のところにかかわって、何点か質問と意見をさせていただきたいと思います。
評価項目I-2の「リスク管理」の許容乖離幅の関係でありますけれども、現状、許容乖離幅の範囲内におさまっているということについては、これまでの取組の努力の結果だと思いますが、ただ、一方で、外国債券の許容乖離幅は上限に徐々に近づきつつあります。四半期ごとの運用状況など、先ほどの業務概況書などについて、これらの背景とか課題認識の説明というのが十分なのかどうなのかというのはもう一回考えて、少し説明責任というのはきちっと果たす必要があるのではないかなと思いました。
具体的に言うと、短期資産の位置づけの関係が国内債券と同列に扱われるような状況になっておりますけれども、こうなっているのか、もう少し説明というのが十分だったのかどうなのかというのを考えていかなければならないかなと思います。これは会計検査院のほうからも指摘を受けている事項でもありますし、それをどう考えるかということもありますけれども、しっかり説明をしていくということが必要かと思います。
また、オルタナティブ投資に関しても、これも私、何回もこれまで言ってきておりますが、固有のリスクであるとか運用のパフォーマンスについて、説明の向上は大分されてきておりますが、例えば業務概況書においてもまだまだ定性的な説明で終わっている感がいたしますので、説明が十分ではないような気がいたしますので、その辺、今後どうしていくのかということについて、これは質問させていただきたいと思います。
そういった中で、実は経営委員会の中で次期基本ポートフォリオの策定に向けて議論が進められているような状況もありますけれども、ホームページで公開されている経営委員会の議事概要については、その議論内容というのは全く記載されていないという状況にあります。以前の運用委員会では概要が一定程度公表されていたというように、概要のほうで公表されていたと思いますが、この辺、今後どうなっていくかということも含めて質問をさせていただきたいと思います。
あと評価そのものについては、私、去年のこの会議でも言いましたけれども、評価AかBかCかというのは余りにも定性的で評価の基準が明確とは言えないので、その辺については今回も発言は差し控えさせていただきたいと思いますが、全体としては日々、先ほど言ったような透明性の問題や課題がありますが、全体としては向上してきていることについて発言をさせていただきたいと思っています。
以上です。
神野部会長
これもお答えは森審議役でいいですか。
どうぞ。
森審議役
3点、御質問いただきました。
まず短期資産の関係でございますけれども、これは実は5年前の財政検証のときは、私ども、むしろ年金特会のほうに払わざるを得ない状況という予測がございましたので、先ほど申しましたキャッシュアウト等対応ファンドで用意しておったのですが、逆に代行返上みたいな話もございまして、私ども、年金特会から入超という思いがけない事態がございました。
その中で、これもそのときの5年前の内閣府の試算でございますけれども、あれに基づけば今どき長期金利は2%程度になっていなければいけないはずなのですが、現在、長期金利マイナスだということで非常に難しい運用環境にあったかと思います。そんな中で運用、いろいろ努力しておるところでございますが、そのような状況につきまして簡潔でございますが業務概況書の中でも書かせていただいているところでございます。これが1点目でございます。
あとオルタナティブにつきましては、我々が投資している案件につきましてもいろいろ御紹介するとともに、定量的な話で言いますと、昨年度から比べてもREITに関するところの投資等につきましては数字を新たに追加しておるということでございまして、オルタナティブ投資につきましては可能な範囲で我々は開示を注力していく。誤解を招かないということが重要でございますけれども、実施していきたいと考えております。
あと運用委員会のときから、いわゆる公表が変わったのではないかということでございますけれども、運用委員会のときも、先ほど委員から御質問がございましたが、我々、いろいろ出しますと新聞等反応がある。つまり、市場影響というのは高うございますので、それは気をつけながら概要等を出してきたと思いますけれども、そういう方針につきましては現経営委員会の議事録についても同じような形でやらせていただいているところでございます。またお気づきの点等ございましたら御教示願いたいと存じます。
神野部会長
ほか、河村委員、どうぞ。
河村委員
重点的な項目以外のところで今、質問してよろしいのですね。
すみません、30ページのところで御質問いたします。細かいところですが、効率的な業務運営体制の確立、それの大きな2のマル2のところなのですけれども、ここで書かれている職員の評価のやり方、人事評価のやり方の考え方の変更についてなのですが、これは一般的な組織運営にかかわっている職員の方が対象でということでいいのでしょうか。いわゆる一番の資金運用の専門的なところをなさっている方というのは、また別の業績評価でやってらっしゃる。そこについては特に当該年度については変更がなかった、そういうような理解でよろしいのでしょうか。そこがよくわからなかったもので、お尋ねできればと思います。
神野部会長
ありがとうございます。
よろしいですか。森審議役、どうぞ。
森審議役
効率的な業務運営の関係の人事評価でございますけれども、私ども、委員御指摘のとおり、閣議決定で高度な専門性のあるという人材につきましては強化するような形でいただいておるところでございます。
評価の方式としましては民間も同じであると思いますけれども、若干普通の私みたいな職員と高度な専門職員とは違うのですが、今年度の目標というのを出していただきまして、それに基づいて評価するということでかなり厳格にやっております。そういう意味では、先生から見ると人事評価の方式が新しく変わっていないかどうかというところを御関心かと思いますが、人事評価、これは継続的に、また的確にやっていくということで、体系は違うのですが継続的に実施させていただいているところでございます。
河村委員
ということは、すみません、ここの部分はどちらにかかわる、どちらの職員というか、その方にかかわる文章なのですか。
森審議役
両方です。
神野部会長
どうぞ。
荒井委員
日本商工会議所の荒井でございます。
初めて出席させていただいて雰囲気がどんな感じかなと思っていたのですが、1点、質問でございます。資料2―2の36ページの調査研究業務についてです。この手のものはA評価がつくというのはなかなか難しいと思ってはいて、実際にこれまでずっとB評価で来ています。こういう研究はどのようにその項目を決めておられるのかなというのが質問の中身であります。
先ほどもお話が出ていましたけれども、ESG等は長期運用にあたって非常に大事になってくると思うのですが、長期であるがゆえに状況、時代環境も変わってきます。昨今では、例えば企業は健康経営に取り組み始めています。これに取り組むことで、社員が健康になるというのは健康診断の結果でわかるのですが、会社の業績に果たしていい影響を与えるのかどうか、この辺はまだ研究というか発展段階ではありますが、一部では健康経営銘柄の認定といった定性的な評価ではありますが、そういうことも行われていたりします。GPIFさんには、将来を見渡した形で、例えばそういうものについて御研究をしていただくとか、そのようなことがあってもいいのかなと思いました。
以上であります。
神野部会長
コメントあれば、森審議役、どうぞ。
森審議役
示唆に富む御発言、ありがとうございました。
我々、この研究につきましては、中長期的な観点から安定的に収益を確保するということで、例えばこれから資産運用の世界で言うとAI、これはかなり運用が変わりますし、今、委員がおっしゃいましたESGなり、もしくは健康みたいなものについても、どのように我々の運用環境の中で反映されていくか、こういう点につきましては検討していかなければならないということです。体制としましては執行部の中で我々、調査研究に関しまして合議体をつくりまして、そこで検討しておるほか、経営委員会がございますので、そこでも見ていただきまして調査研究をやっているところでございます。
神野部会長
よろしいですか。よろしければ、次いで法人の監査委員より監査報告について御説明を頂戴するとともに、法人の業務運営における今後の課題等々につきましてコメントを頂戴できればと思いますので、よろしくお願いいたします。
堀江監査委員
常勤の監査委員の堀江でございます。
資料マル7の資料1-4をお開きください。
最初は表のページで2ページほどめくっていただき「監査報告」と書かれているページからです。3ページ物で、最初は監査をやるに当たっての法律等のことが書かれており、実際の内容は次のページに書かれております。
先ほどの委員の質問とも関連しますが、どういうやり方で監査をしているかということですが、ここにおられる理事長、理事及び職員の方とも毎日お話しをさせていただいておりますし、重要な会議、例えば投資委員会だとか経営企画会議とか、そういった会議には私が全て出席をしております。
その内容に基づき、私からかいつまんで議論のポイントなどを毎週、経営委員の方にも報告しております。先ほど委員の方から質問が出たような他事考慮に当たるかどうかといったことも含めて、全ての議論の内容を踏まえて適正に業務が執行されていることを判断しています。
そういった毎日の日々の監査をベースに監査をしており、その結果なのですが、そのページの後半部分、先ほどありました中期目標が達成されているか、内部統制システムが適正にされているか、役員の不正行為がないか、会計監査人の内容が適正かどうか等について、全て適正に運営がされているという評価です。
1点、補足事項があり、2ページ目の下に内部統制に関連して、先ほど森審議役からコメントがありましたが、経営委員会、監査委員会ができて2017年10月、やっと2年弱ぐらいたって、平成30年度がちょうどフルイヤーで1年間見る期間でした。そのガバナンスの改革に伴って、内部規程等がその改革の趣旨に合っているかどうかというチェックを経営委員会主導でやらせていただき、先ほど森審議役からありましたように23の内部規程等について新たに制定等をしております。
ポイントなのですけれども、今年度は次の中期計画を立て、基本ポートフォリオの策定を行う、非常に重要な年で、新しいガバナンスの体制のもとで、経営委員会としてその業務が執行されているかどうか、執行部との議論がちゃんとされているかどうかということを監査委員会として確認するというのが1点。
もう一点は、各種委員会、特に重要なのは投資委員会ですが、その委員会が新しい規程のもとでちゃんと執行がされ議論がされているかということを重点的に監査していきたいと考えております。
簡単でございますが、以上です。
神野部会長
どうもありがとうございました。
それでは、次に、法人の理事長のほうから、法人における平成30年度の業務実績評価、マネジメントの状況等々を御勘案されながら、今後の法人の業務運営や課題についてコメントを頂戴できればと思いますので、よろしくお願いいたします。
髙橋理事長
GPIFの理事長の髙橋です。本日はいろいろありがとうございました。
私のほうからは、話がまとまらないかもしれませんが、本日お手元に「GPIFって、なに?」というものを配らせていただいておりますが、今、各委員の皆様から御意見がありましたとおり、私も一番悩んでいるのが、なかなかわかっていただけないということでありますので、あらゆる機会を通じて、私も講演に行くときには必ずこれを配りますし、あらゆるときに、きょうも、配らせていただいてやっているところであります。
一つ、もう御承知かと思いますが、最後から1枚前のPOINT5というところに、今まで、多少、自慢っぽいのですが、こんなに大丈夫ですということがありますが、これは65兆円、収益を上げましたと書いてありますが、ここには書いていませんが、このうち30兆円以上は配当と利息で既にキャッシュでもうGPIFがいただいたものであります。残りの35兆ぐらいは評価損益、ほとんど含み益の部分でありまして、先ほど御意見がありましたとおり、昨年の10~12月、15兆円の損というのが出ましたが、それは全て評価損でありますということであります。
それにつきましても当然、数字は毎期毎期必ずきちんと開示はしますが、こういったキャッシュで入る部分と評価損益が動いていますよということをどういうようにきちんきちんと、大変悲観的かもしれませんが、今のアセットミックスでは評価損益の上下は不可避だと私も思いますので、ストレスがかかるとどうしても評価損が出る、そのときにキャッシュでこれだけあって、この先、多少あっても大丈夫だよということを言っていくのをどういうようにやっていこうかなと思っております。
幸いにして昨年の12月のときの状況は、厚労省さんからもいろいろ御意見いただきまして、内閣の官房副長官のほうでその日にもう会見して、日本国としても年金はこの程度の含み損の変化では大丈夫ですというように言っていただいたので、私どもに来る問い合わせも全然なくなってしまって、我々は常に運用者なので長期できちんと運用していますということを発信していきますが、いろいろなことがあるときに厚労省さんとも協力しながら、どういうようにきちんと伝えていくかなということをこれからも工夫してやっていきたいと思います。
もう一点、ESGにつきましては、私も理事長をやって一番つらいなと思うのは、160兆の資金を140人で運用している組織は世界中探してもどこにもないので、我々は自分たちでビジネスモデルを工夫しないと責任を負えないということだろうと思います。
その一つの責任の負い方は、160兆のうち、半分、株は80兆になりますが、80兆を株で運用しろというと、全部の上場株を買わないと金額が大き過ぎて運用できません。そうなると、上場してしまうとみんなGPIFの株主になりますので、一部の会社が環境に悪いことをして少しの間もうけたというのはかえって困るわけでありまして、これから先の長期間、全ての会社がある程度、幸せに、やってくる社会の中で利益をどう上げるかということが喫緊の課題でありますので、GPIFといたしましても少し力を入れて継続的にやっていきたいし、ちゃんとESGのレポートを出しながら、数字だとかやったことを国民の方々に御説明して、きちんと批判を浴びて、そのいただいた意見をまた次の活動に直しながらやっていきたいと思っております。
舌足らずですけれども、本日はありがとうございました。
神野部会長
どうもありがとうございました。
それでは、少し議事を進めたいと思いますので、ただいま法人から御説明をいただき、その後、御議論を頂戴したわけでございますが、ただいま、また法人の監査委員、それから、理事長の御発言を頂戴いたしました。こうしたことを勘案しながら、平成30年度業務実績評価書、このうち重点審議の対象とする項目、5項目について事務局のほうから御説明を頂戴したいと思いますので、よろしくお願いします。
石川資金運用課長
時間もかなり遅れていますので、早目に駆け足で御説明いたします。
資料1-3をお開きください。平成30年度の業務実績評価の主務大臣評価(案)でございます。
早速、1ページ目でございますが、全体像を記載しております。全体、12項目ございますうち、大臣評価案といたしましてはA評価が3つ、B評価が9つでございます。目標を下回って改善を要するC評価以下の項目はございません。総合評定といたしましては一番下にありますようにBということでございます。水色の網かけをかけております重点審議対象5項目について、以下、御説明をいたします。
資料の2ページをお開きください。それぞれの項目についての評価案と評価に至った理由等を記載しております。まずI-1につきましては「管理・運用の基本的な方針、運用の目標」についてですけれども、大臣評価案はBでございます。理由としては、先ほどの評価指針の改定を受けまして、自己評価書のBとの評価結果が妥当であると確認できたという理由でもってB評価の案としております。指摘事項としては、記載しておりますとおり、運用環境が厳しい状況が続くと見込まれる中で、市場環境を的確に把握しながらリスク管理を行いつつ、中期目標が定める運用目標の達成に向けて引き続き取り組むことが望まれるという指摘を記載しております。
続きまして、I-2の「リスク管理」についてですが、これも大臣評価案はBでございまして、理由としては自己評価の評価結果が妥当であるということが確認できたということでございまして、指摘事項といたしましては、リスク管理に関する専門性の向上等も図りながら、リスク管理の一層の強化に引き続き取り組むことが望まれるというようにしております。
3ページ目でございます。I-3、運用手法、株式運用における考慮事項等についてでございまして、大臣評価案はAでございます。評定に至った理由といたしましては、下線を引いているところを中心に御説明いたしますが、平成30年度においてはアクティブ運用において4資産中3資産について超過収益を獲得しているということですとか、次の段落の運用受託機関の選定・管理につきましては、マネジャー・エントリー制を活用した公募などを実施して、適切な運用受託機関を構成するための取組を行っている等を記載しております。続きまして、株式運用における考慮事項については、中期目標上、ESGの考慮について検討するとされているところでございますが、平成30年度におきましては、国内の他の同種の機関に先駆けて、環境、Eに関する指数を2指数採用いたしまして、同指数に基づく株式パッシブ運用を開始した。法人の調査におきましては、こういった新たなESG指数に対する反応はおおむねポジティブであるということでして、55%の日本企業が法人の指数の選定を評価するなど、こういったある意味、客観的な評価が確認できるところがございまして、こういった調査結果からしますと、指数の選定及び運用開始によって日本企業のESGに関する取組を促したという観点から高く評価できるのではないかとしております。また、その他、ESGの考慮に関する取組を進めていることも含めて、全体といたしましては、所期の目標を上回って、この項目について達成しており、Aと評価するという整理をしております。指摘事項といたしましては、引き続きESGを考慮した投資について推進していく中で、所期の効果を上げているか等についての検証を行いながら、運用の改善に引き続き取り組むことが望まれるという指摘をしているものでございます。
4ページでございます。I-4「透明性の向上」についてでございます。これまで委員の皆様からさまざまな御意見がございました。今回、30年度の取組について御説明いたしますが、まず、広報戦略を法人で策定をしまして、いわゆる3つのメッセージというのを明確にしております。年金制度・年金財政における積立金の役割、長期国際分散投資の効用、ESG投資の意義という、こういった3つのメッセージを訴求する必要性を確認するなど、広報の方向性を明確にした上でさまざまな取組を進めているということで、例えば、30年度においては、ホームページの全面リニューアルを行いまして、この中で積立金の役割等についてわかりやすく説明するコンテンツを充実したということですとか、あとはリーフレットの話、先ほど理事長からも御紹介がありましたパンフレット、これは年金制度や資産運用に必ずしも詳しくない方向けにつくられたものと理解しておりまして、この中で積立金の役割など基本的な事項をわかりやすく解説したパンフレットを新たに30年度に作成をし、周知などを図っている。さらに、ESGに関する取組を評価し、投資の効果を確認するなどの内容を盛り込んだ第1回目のESG活動報告を昨年度に新たに刊行した。さらには、SNSを積極的に活用し、この中でツイッターにおいても積立金の役割などを訴求する情報発信を行っているといったような取組が進められております。中期目標上、透明性の向上というのが国民の信頼を確保するために主要な役割を果たすことから、政策上も重要度が高いとしている項目でございますが、こういった政策目的に沿いまして、法人が広報活動の方針を立てて具体的な各種取組を実施している、戦略的な広報を実施しているということについては高く評価できると考えております。
先ほど確かに効果測定など非常に難しい御指摘がありまして、そういうことについては御指摘もございましたが、なかなか評価の基準上、可能な限りアウトカムというのは説明が難しい項目であるのは御指摘のとおりであると思います。ただ、年度1年間の取組といたしましては、まさにPDCAの中で、PDCAの取組に向けた取組が30年度においては実施されたということで、それは過去の年度においてはなかった取組であるというようには考えておりまして、そういった点も含めまして、この項目について評価案としてはAとしてはどうかと考えているところでございます。ただ、指摘事項にありますように、今後も引き続きさまざまなツールを活用しながら国民への情報公開、広報活動の一層の充実に努めることは望まれるだろうというように考えております。
最後の項目、5ページ目でございますが、I-6、管理・運用に関し遵守すべき事項ということで、大臣評価案としてはAでございます。一番上の5行ほどに書いている市場への影響などについては、これまでと同様に平成30年度においても市場なり民間活動への影響に対して配慮が行われているということでありまして、それに加えまして、中期目標において、いわゆるスチュワードシップ責任を果たすための活動ですとか議決権行使の適切な対応ということを目標上記載しているのに対しまして、30年度におきましてもスチュワードシップ活動原則や議決権行使原則等に基づいて運用受託機関との対話を実施し、長期的な株主利益の最大化に資する株主議決権行使を求めるなどの取組を実施しているということに加えまして、平成30年度の新たな取組といたしましては、気候変動に関連してTCFDへの賛同ですとか、Climate Actionへの参加など、グローバルなイニシアチブへの参加も行うということでスチュワードシップ活動の向上に努めている。こういった法人の活動は、株主等の長期的な利益の最大化の観点から高く評価しておりますし、また、こういったスチュワードシップ活動に関する取組が上場企業向けのアンケート結果によりますれば、約8割の企業がこういった法人のスチュワードシップ活動を評価している。また、先ほど触れましたTCFD等の取組それぞれについても企業側から一定の評価をいただいているといったようなことも確認されるということも含めて、また、他の機関に先駆けた取組も以上申し上げた中には含まれているということも含みまして、この項目につきましては所期の目標を上回って達成していることからAというように整理をしたものでございます。今後の指摘事項といたしましては、受託者責任の徹底や市場等への影響に対する配慮など、遵守すべき事項について引き続き適正に対応を行うことが望まれると指摘しております。
以上が重点審議の5項目でございまして、他の項目につきましては法人の自己評価と同様に大臣評価もBとしているものでございまして、時間の関係もございますので説明は省略させていただきたいと思います。
以上でございます。
神野部会長
どうもありがとうございました。
私の運営上の不手際もございまして時間が押しておりますので、簡潔に主務大臣評価(案)について御説明をいただきました。
委員の皆様方から御意見を頂戴したいと思います。いかがでございましょうか。
河村委員、どうぞ。
河村委員
すみません、おおむね大臣評価は妥当だと思いますが、1点だけ先ほども申し上げたところですが、評価項目I-4については意見を申し上げさせていただきます。
大臣評価案Aというようにされていますが、私はこれから申し上げる理由から、それは難しいのではないのかなと思います。
1つ目は、事務局のほうでは平成30年度PDCAに係る取組も行われたことからA評価というような御説明がありましたが、私が先ほどの質疑応答のときにGPIFさんのほうに御質問した限りでは、なぜ昨年度の大臣評価Bに対して、ことしの取組のところでAに上がったかということについて十分な御説明はいただけなかったというように思います。
そして、一番大きな理由は、やはりA評価はどういう場合につけるのかというところ、政府全体としての明確な基準が評価されている中で、アウトプット、要するにこれをやりました、何が何件ですということの御説明しかできていらっしゃらない中で、アウトカムについて把握するお取り組みというのが御説明もできていないし、十分になされていないのではないか。そこのお取り組みが欠けている中でA評価というのは、今の政府の判断基準に基づけば難しいのではないかなと思います。
そして、もう一つ、下のほうに「指摘事項、業務運営上の課題及び改善方策」というようにありますけれども、ここになぜアウトカム指標について、もっとこれから把握すべきだということをお書きにならないのかなということを思いました。やはりPDCAサイクルを回す上で大事なのは、こういういろいろなその時々の評価の場においてどういう意見があるかということをきちんと評価の側からお伝えすることによって、法人のほうでもいろいろ御対応を考えていただけるということだと思いましたので、この項目については、透明性の項目については、アウトカム指標の把握は難しいということを厚生労働省側が何かお認めでらっしゃるようにも先ほどの御説明で感じ取れたのですが、必ずしもそうではないのではないでしょうか。
やり方によってはいろいろな対象の方、いろいろ理解度があるかもしれませんけれども、いろいろなグルーピングをしながら少しずつ把握をしていくということはできるのではないか。そして、この項目に関する中期目標の設定のあり方を見ても、先ほどの資料にもありましたけれども、大臣から与えられている目標というのは何よりも国民に対しての説明ですね。ですから、やはり一番のアウトカムは国民がどれぐらい、いろいろな本当に一番根幹の大事なところ、要するに相場変動のときに左右されてしまって右往左往してしまうことのないような一番の根幹のところの理解をどれぐらいしてもらえるようになっているのかということを測定する努力ということをしていくことが必要なのではないかということをAかBかというところだけではなくて、ぜひとも最後の「指摘事項、業務運営上の課題及び改善方策」のところに書いていただくことを御検討いただけないか。
以上、意見でございます。
神野部会長
どうもありがとうございました。
ほか、いかがでございますか。
どうぞ。
平川委員
5ページの管理及び運用のところですけれども、今、気づいたのですが、5段落目だと思いますが、平成30年度の新たな取組として、TCFDのへの賛同やClimate Action100+への参加などグローバルなイニシアチブへの参加というところの項目ですが、このような法人の活動は、株主等の長期的な利益の最大化を目指す観点からの取組として高く評価できると書いてあるのですが、これはGPIFの取組として位置づけられているのでしょうか。GPIFはあくまでも被保険者の利益のためにあるのであって、株主の長期的な利益の最大化を目指す観点からの取組として高く評価するという表現はGPIFの目的から外れているのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
神野部会長
これは石川課長、どうぞ。
石川資金運用課長
被保険者の利益のためにという原則の中で行っているのは当然でございまして、その中で実際、株式運用を行っているGPIFとして、まさにこういった株主の立場ということも実際ある中で長期的な収益の確保を目指すということについては、おっしゃるとおり、被保険者の利益という原則のもとで行われている取組であるというように考えております。
平川委員
それであれば補足的な文言を入れていただかないと、GPIFは株主のためにあるのというような誤解を招くのではないかと思います。厚労省に聞いているのです。その辺はどうなのでしょうか。
石川資金運用課長
株主のためという趣旨で記載しているというものではありませんで、株主の立場ということもGPIFの場合にはありますので、そういった観点からですが、もちろん被保険者の利益のためにということであります。あとは、投資一任という仕組みの中でGPIFが工夫しながらの取組もしているという中ではありますけれども、目指すところとしては、まさに株主等の長期的な利益の最大化という観点からスチュワードシップ活動が行われている、そういった取組が投資先における企業価値の向上などにつながっていくということで進められている取組であるというように、そういった観点から記載しているものでございます。
神野部会長
いいですか。
ほか、どうぞ。
玉木委員
I-4の透明性の件です。これでA評価については、私の意見としては、全く違和感はありません。アウトカムがないという御指摘も確かにあるとは思いますし、国民全体にアンケートして何%がよくわかったと言った、そういったようなアウトカムの取り方ももちろんあるかと思いますけれども、例えば先ほど森審議役から御指摘のあったような昨年10~12月の運用結果に関するメディアの書き方の違い、これはもう数年前とさま変わりになっていると思います。これなどは決定的なアウトカムだと思います。
あと、もう一つ、我々、ここに何のためにいるかということなのですけれども、石川さん、我々は有識者としているのですね。ですから、GPIFによる広報活動、説明活動がどうであるかということは我々、有識者として判断すべきだと思います。国民に全部判断を投げるということも可能であればいいですけれども、それが可能でない場合には、我々がそれをかわってやるべきだと思います。
その点で、先ほど水野CIOから御説明のあったような海外での広報活動に関する専門的な方々の御意見が紹介されましたし、我々、みんな、多分ここにいる人間は、本来、GPIFに関する新聞報道等は目を通しているべきですから、その中で我々としては報道が変わったといったことはアウトカムとして捉えるべきだと思います。
あと資料にもたくさん出ていますけれども、例えば海外でのメディアの扱いの件数、これはまさにアウトカムですね。全くアウトプットではありません。ですから、この辺はアウトカムとアウトプットという言葉がきょうも随分使われましたけれども、よく使い分けてこれからもGPIF及び厚労省において御説明に使っていただきたいと思います。
以上です。
神野部会長
ありがとうございます。
ほか、いかがでしょうか。
どうぞ。
四塚委員
透明性に関することです。この「GPIFって、なに?」というパンフレットを一応拝見したのですが、多くの人々が気楽に手にとって見られるもので、透明性の向上にも役立つものというように評価できると思います。特にGPIFの役割が賦課方式を一部補完するものである、あるいはそれにすぎないという基本的なポイントを理解してもらうにはわかりやすい表現、説明になっていると思います。
ただし、5ページの「長い目で投資をおこなう」という部分の説明は余り適切ではないと思います。そこには、「運用の期間が長くなるほど、年率平均の収益の振れ幅を小さくする効果が期待できます」というように書いてあります。しかし、将来の受給者にとって重要なのは最終的な運用結果であって、それは平均ではなく、累積リターンによって決まるものです。累積リターンの振れ幅は当然、期間が長くなるほど大きくなるわけです。もちろん、期間が2倍になったときに振れ幅が2倍になるというものではない、1.4倍ぐらいであるとか、そういうような説明の仕方はあると思います。しかし、このパンレットのような説明というのは、一部の金融機関のマーケティング資料などでも時々見るのですけれども、常々ミスリーディングだと思っていまして、これもそう言わざるを得ないと考えます。
GPIFが長期投資家としての強みを持っているということは確かですが、それは主に短期的な流動性を必要としないという点から来ています。例えば、金融危機などで市場の流動性が失われているときに、資産を安く投げ売りする必要がない。むしろ、割安になった資産クラスへの配分をふやすということも可能です。長期投資家としての強みというのはそういう意味であって、このパンフレットに書かれているような意味ではないはずです。このあたりをもう少し改善されるといいのではないかと思います。
神野部会長
ほか、いかがでございましょうか。
ございますか。どうぞ。
大野委員
I-4の透明性について、かなり議論があったのですが、私もA評価でよろしいのではないかというように判断をしております。
3つのメッセージについて重点的にわかりやすく広報されるということで、この3点については、ESG投資の意義というところについては特に外への発信ということでかなり取り組んでいらっしゃるというように評価できるかなと思います。
国民、広く一般にわかりやすくというところは非常にもちろん大事な点ではあるのですけれども、そういった役割を担うのは、むしろ私などが所属している教育機関などが本来は担うべきところかなというようにも少し思っておりまして、そこは私なども責任を持って取り組まなければいけないのかなと再認識をしているところでもあります。
報道機関に対する対応というようなところも、報道機関も報道機関なりの意図があって報道しているというところもありますので、そこの対応をどれだけパーフェクトに行えるのかというところは正直、難しいというところかと思います。ただ、有識者の方がこういったメッセージを発するということで国民の理解を高めるというところにつながるというお話、先ほども玉木委員からございましたが、そういったお話は私も納得いたしましたので、その方向で取り組んでいくべきかなと思いました。
以上です。
神野部会長
申しわけありません。私の不手際でかなり時間がおくれているので、特にI-4等々については河村委員から御経験を踏まえてコメントいただいておりますが、この委員会といたしましては、一応、大臣評価案について意見の出方等々から見て、評価案どおりで了承したということにさせていただいてよろしいですね。ただし、河村委員の御意見や、先ほど表現ぶりで誤解があるかもしれないとかというようなこともありましたので、具体的な対応等々については私のほうに。
何かありますか。どうぞ。
石川資金運用課長
すみません、補足させていただきます。先ほどの質疑の関連で申し上げます。
まず、平川委員から御指摘がありました株主等の長期的利益の最大化のところにつきましては、すみません、私の理解のもとで申し上げましたけれども、御指摘ということもありますようでありましたら、少し誤解を受けないような表現がどうできるかということは考えてみたいとは思います。
また、先ほど河村委員からございましたI-4の「透明性の向上」のところに関しまして、指摘事項のところにアウトカム的なことを何か書けないのかということでありましたけれども、なかなかどういう形でアウトカムということが捉えられるのかどうか、これは知恵を絞らなければいけないところはあるかと思いますが、表現上、そういう御指摘を踏まえた記載が何かできるかということについては少し表現の仕方の工夫をしてみたいとは思っておりますので、その点は補足させていただきたいと思います。
神野部会長
というか、今、そういうようにまとめたのですけれども、今のような河村委員等々の御意見、御指摘について、何らかの対応を具体的にするというようなことについては、私のほうに御一任いただくということで、この委員会としては承認したということにさせていただくということでよろしいでしょうか。では、そのようにさせて。
どうぞ。
河村委員
きょうの議論というのは総務省の独立行政法人評価制度委員会には全部伝わるわけですね。基本的に議事が全部公開されるもの、議事概要が出るものだと思いますが、きょうの議事の内容は全部報告されるわけですか。
神野部会長
総務省のほうにはどうなるか。
河村委員
少数意見でしたがこういう意見もあったというもとで、委員長に最後の文面は御相談されると思うのですが、最後、総務省のほうで客観評価がかかると思いますけれども、独立行政法人評価制度委員会のほうからいろいろ意見がついたりすることもあると思いますが、そちらのほうには、では、きょう、こういう議論があったということは行くわけですね。伝わるわけですね。そこだけ確認です。
石川資金運用課長
その仕組みについては、今回、今は年度評価の議論でございまして、期間の評価については総務省に通知するというのはあるのですけれども、年度評価については必ずしも総務省に提出が義務づけられたものではないというように理解しています。ただ、実際、今後、総務省との議論、いろいろ担当を含めて議論する機会はありますので、また、次期の目標にかかわる、それに向けた御審議でもあるかと思いますので、そういう意味では総務省にも何らかの形では伝えるようにはするのかなとは思っております。
河村委員
わかりました。
神野部会長
よろしいですか。先ほど申し上げましたように一応了承するということで、ただし、具体的な対応その他については私に御一任いただいたということにさせていただければと思います。
それでは、すみません、もうかなり押しているのですが、次に、中期目標期間見込評価について御審議を頂戴したいと思いますが、初めに、資料2-2、第3期中期目標期間見込評価及び自己評価書説明資料のうち、重点審議の対象とする項目、つまり、5項目について、まず法人のほうから御説明を頂戴できればと思います。よろしくお願いします。
森審議役
私のほうの説明が多くて時間を押して恐縮です。簡潔にいたします。
まず、めくっていただきまして評価項目I-1、ほとんど同じでございますけれども、4ページを見ていただきますと、先ほど長期という話がございましたが、我々は究極的な目的としましては累積収益をとり、年金財政に貢献するという話でございますので、オレンジの線で四半期ごとには大きくぶれていますけれども、累積は65.8兆円。この4年の収益額を見ていただいても5兆円という形で積み上げているところでございます。
5ページ目、各資産ごとのベンチマークの収益率の確保ということで、この期間で与えられている実質的な運用利回り、名目賃金上昇率からどのぐらいとれているかという話でございまして、左下のほう、厚生労働省のほうから0.11、0.05%と値がありますけれども、我々はこの期間は2.87%ということで長期の実質的な運用利回りも上回っておりまして年金財政に貢献しているという姿でございます。
リスク管理のところもほぼ同じでございますので省略させていただきまして、すみません、運用手法、運用対象の多様化につきましてもどんどん進ませていただきますけれども、株式運用における考慮事項ということで、17ページに我々は中期目標期間の中で1つ、ESG自体は全資産で考慮しておるところでございますが、株式のインデックスということでは採用ESGの指数一覧ということで5つ。この関係で3.5兆円、運用資産を昨年度末で実施しているという話を御紹介させていただきます。
その次「透明性の向上」につきましては、いろいろ御議論いただきました。先ほど水野から申しましたように、5年前はこんな業務報告書でございまして、見る方によってはフレンドリーでないような形でございまして、我々の認識で言えばかなり改善させていただいたというところでございます。
特に、その中では今、申し上げていないところで触れさせていただきたいのは、24ページでございますが、「透明性の向上」ということで我々、全有価証券について保有銘柄を開示しております。これをやっているのは多分日本でも私ども、もしくは日本では有数の取組だという形で自負させていただいておりますので、そもそもの評価項目は「透明性の向上」ということですし、特筆すべき事項だと自負しております。
特にその中で24ページの右側を見ていただきたいのですけれども、市場影響ということもございますので、この取組を実施するためにはイベントスタディーということで、初め1年4カ月前のものを開示して、その次、8カ月、3カ月ということで市場影響もいろいろ見てみた。また、左側でございますけれども、関係8団体へ照会ということで、いらっしゃる経団連さんとか商工会議所さんも含めて、いろいろなところに意見を聞きながら丁寧に進めてきたという仕事の仕方につきましても、私どもは自負しておるところでございます。
また、27ページで「管理及び運用に関し遵守すべき事項」でございますが、これにつきましては先ほども申しましたように企業影響について、企業とウイン・ウインの関係で収益を高めていくということで、30ページに我々、これを段階的に実施してきたということで2015年からのPRI署名から、きちんと方針をつくって示し、その中で、さまざまな取組を進めてきたということで、皆様の理解を得ながら実施してきているという姿、もしくは31ページでは、昨年度入りましたTCFDとかClimate Action100+のほかにもPRIとかThirty Percent Coalitionとかありまして、こういう取組が我々、国際化ということで高く海外のメディアからも評価されている。アウトプットなのかアウトカムなのかいろいろ御議論あるかと思いますけれども、評価されているという姿だと考えております。
私の説明は以上でございます。
神野部会長
どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明について御質問、御意見を頂戴できればと思います。いかがでございましょうか。
平川委員、どうぞ。
平川委員
すみません、37ページの調査研究業務のところですけれども、さまざまな研究が行われておりますが、この研究はどういう形でGPIFの運営に生かされているのかというのがいま一つわからない面もありますので、きょうでなくてもいいのですが、少し費用対効果も含めてしっかり見えるような形で出していただければなと思いました。
以上です。
神野部会長
何かコメントはございますか。
森審議役
この研究につきましては、例えば27年、インハウス運用につきましては法改正をどうするかということでいろいろ御議論するときの素材、もしくは基本ポートフォリオの策定、オルタナティブをどうするかとか、業務に生かせるものは生かしていくという話でございますし、先ほど申しましたようにAIとかESGをどうするかという形で、我々は長期の投資家で、大きな資産を持っていますので、その中で今後の取組としてやらなければいけない。ただ、これには探索的な内容もあるということで進めておりますし、これにつきまして経営委員会を含めて見ていただいており、経営委員会資料等を含めて必要に応じて開示していきたいと存じます。
神野部会長
ほか、いかがでしょうか。
平川委員、どうぞ。
平川委員
すみません、インハウス運用のところは、これまでもずっとさまざまな議論を経て行わないという結果になっています。このことから、この調査研究が本当に適切だったのかどうなのかというところは疑問があるということだけ言わせていただきます。
森審議役
素材として提供させていただいたということでございます。
神野部会長
どうぞ。
荒井委員
GPIFさんの自己評価について意見はございませんが、「透明性の向上」の部分で広報に関して、プロ向けの広報とか海外向けの広報とかいろいろあると思うのですけれども、国民向けの広報がいろいろと議論が分かれているところだと思います。
やはり広報なのでインタラクティブに情報を見る側と提供する側がやりとりできたほうがいいかなと思っています。これは今回というよりは次の目標なのかなと思ってはいますけれども、たまたま今回、この会議に出席するのでユーチューブで初めて広報動画を拝見しました。いろいろな悪口や変なことを書く人もいるのかもしれませんが、見た側からのコメントができないようになっているので、もう少しやりとりができるような仕組みとか、アクセス数を増やしていくような仕組みとかを今後、いろいろと工夫されていくとよろしいかなと思いました。
以上です。
神野部会長
承っておきますが、コメントは何かありますか。いいですか。
ほか、いかがでございますか。
少し待ってください。今の件ですか。
水野理事
透明性の件で。
神野部会長
では、井上委員に御発言いただいた後、まとめてということでよろしいですか。
水野理事
はい。
井上委員
管理の運用のところなのですけれども、大変さまざまな活動をされておられて、PRIやTCFDだとかClimate Actionだとか、グローバルなイニシアチブへの参加は、非常に重要だとは思う反面、やはり今後、我が国が主導していくようなイニシアチブというのを何か一つ考えていただくといいなと思いました。
以上でございます。
神野部会長
ありがとうございます。
今のを含めてでも構いませんが、水野理事、どうぞ。
水野理事
インタラクティブ性の問題は確かに検討をさせていただいたのですが、これは中期計画における所期の目標を上回る成果が得られているのがAだとすると、所期の目標がどのぐらいのところに置かれていたかということだと思いますが、そういう点におきましてはユーチューブ等を行うときにもそれは必要ではないのではないかという意見も監督官庁からいただいたりしましたけれども、そういうのも全部やってきておりますので、そういう意味では、私たちとしては確実に所期の厚生労働省が予定されていた目標は、もし、その評価基準であるとすれば上回っているというように感じておりますし、インタラクティブ性については今後も考えていかなければいけないと思っております。
あと井上委員がおっしゃったような日本がリードできるという点については、大変難しい課題だと思いますけれども、TCFDに関しましては明らかに日本が今、リーダーとなっておりますので、そういう形で少しずつは御期待に沿えているのではないかなと思っております。
神野部会長
ほかにいかがでございますか。
どうぞ。
徳島委員
「透明性の向上」のところに関しましては、先ほど水野理事から御説明もあったとおり、この4年間でどれだけ進んだかということを考えると、過去の主務大臣評価で見るとB、B、Bと来ていて、実は平成30年度がBであっても、私は通算した結果として合わせわざでAという答えはあってもいいと思うのです。
これは現在の中期の独法評価の問題だと思いますが、B、B、Bと続いてきたら平均でBにされてしまうというのが一般的だと思います。しかし、これまでに積み上げてきたことは随分進化してきて、十分にアウトカムが出ていると思うのです。それは、御説明があったユーチューブであるし、それ以外のところでもいろいろ取り組まれてきました。先ほど森審議役からは業務概況書についても説明いただきましたけれども、過去はB、B、Bの評価でした。私は限りなくAに近いBでずっとやってきたものを積み上げた結果、仮にBが4つであっても、中期の評価が結果としてAになっていても全然違和感を覚えません。単年度評価がBであっても、中期で十分にやってらっしゃるので、自己評価Aということに違和感は覚えません。
神野部会長
ありがとうございます。
ほかといいますか、5項目以外、重点審議対象以外の項目で何かございましたら。よろしいですか。
大野委員、どうぞ。
大野委員
先ほどの調査研究の件で御質問がありましたけれども、調査研究で平成29、平成30でAIを続けて研究していらっしゃるということですので、重点項目については単年度ではなく複数年度にわたって、より時間をかけて重要なテーマについて掘り下げてやっていかれるということなのかどうかというところを少しお聞きしたいというのが1点。
あと、36ページのGPIF Finance Awardsの意図といいますか、ほかの団体でも似たようなアワードがあるかと思うのですが、GPIFさんとしてのアワードの出し方について伺えれば幸いです。年金運用分野で功績を上げつつある若手研究者というように書いていらっしゃるのですが、そのとおりに候補者というのが選定されているのか、あるいはやっていることが年金資産運用ですので、まさにその研究で何か功績を上げてくださった方にアワードを提供するですとか、今回の評価とは余り関係はないお話なのですけれども、今後のお話ということでどのように考えていらっしゃるかというところを伺えればと思います。
神野部会長
森審議役でよろしいですか。
どうぞ。
森審議役
まず、後者の質問から答えさせていただきます。
GPIF Finance Awardsということで、これも私どもがこの中期期間中に取り組んだ話でございます。年金運用分野、これは広く金融でございますけれども、その中に若手の研究者をちゃんと育てていかなければいけないというニーズ。逆に言うと、委員から御指摘もございましたように、なかなかこの分野で若手の研究者が伸びて、そんなに層が厚くないというところもございますので、我々の思いとしては、GPIFにおきましてもアワードをしまして、ボードは植田先生にも評価委員に入っていただいておるところでございますけれども、専門家の方々から表彰していただきまして、若手の研究者を伸ばしていきたいという思いで続けておりまして、今年度も今月の31日に表彰式をやるところでございます。
いただいた方は皆さん、GPIFからいただいたということで非常に誇りにしていただいているというところがございまして、我々もこの賞を設けた意義は高いと思うところでございますが、今後の賞のあり方自体につきましては、先生からの御指摘も踏まえまして考えていくべき課題だと思っております。これが1点でございます。
調査研究につきましてAIの研究を御指摘いただきました。これにつきまして、私ども、冒頭申しましたように人工知能がこの社会、運用の世界でもどんどんいろいろ大きな変化を起こっていくという一般的な話もございますが、この中では我々、AIを適切に活用すれば運用のスタイル管理とかにも有効だという話が初年度わかりましたので、だったら、できるだけ実地に使えるような形で違う資産、もしくはもう少し深みを持ってという形で、複数年度で取り組みました。
おっしゃるとおり、単年度だけではなかなか、特に探索的な研究も含めましてできないところがございますので、経営委員会等にも御相談しながら、調査研究については適切に実施していきたいと考えております。
神野部会長
ほか、いかがですか。
それでは、先ほども監査委員から今後の法人の業務運営に関する課題等々についてコメントいただいたわけでございますが、この中期目標期間における見込評価を念頭に置いて、さらに追加するコメントがございましたら頂戴したいと思います。
堀江監査委員
先ほど申し上げましたように監査委員会ができましたのは2017年10月でございます。それ以前は監事制度のもとで運用されておりました。監事からの引き継ぎを受けたベースで言わせていただくと、それ以前について適正な運営がされており、中期目標期間中については先ほどの評価と同じで、追加的なコメントはございません。
神野部会長
ありがとうございます。
大変申しわけありません、法人の理事長からも先ほどのコメントに加えて中期目標期間における見込評価を勘案した上で、何か追加的にコメントを頂戴できれば、お願いいたします。
髙橋理事長
特にございません。よろしくお願いします。
神野部会長
ありがとうございました。
それでは、法人からの説明やこれまでの御議論を勘案した上で、第3期中期目標期間見込評価書、主務大臣評価(案)のうち、重点審議の対象とする5項目について、事務局から御説明いただければと思います。
石川資金運用課長
それでは、資料2-3をお開きください。
中期目標期間見込評価の主務大臣評価(案)について御説明をいたします。
まず、資料の1ページ目をお開きください。中期目標期間の評価の全体でございますが、大臣評価(案)の列にございますが、評価項目12項目のうち、Aは2つ、Bは10項目で、C評価以下はございません。総合評定としては、一番下にありますようにB評価という案でございます。
以下、年度評価と同様に網かけをしております5項目について、これから順次御説明をいたします。資料の2ページをお開きください。まず、I-1の「管理・運用の基本的な方針、運用の目標」について、これは現中期目標上、重要度が高いとされている項目ですが、大臣評価案はBでございます。評定に至った理由といたしましては、一番上の段落にありますように、長期的な観点からの資産構成割合を定めて、これに基づく運用を適正に行っているということ。また、次の段落ですが、各中期目標において、各年度において各資産ごとにおのおののベンチマーク収益率を確保するよう努めるということと、中期目標期間においておのおののベンチマーク収益率を確保することとされておりますが、それに対して、各年度において資産ごとのベンチマーク収益率の確保に努めていることに加えて、中期目標期間開始以降の資産ごとのベンチマーク収益率に対する超過収益率は4資産中2資産についてプラスの超過収益率を確保し、マイナスの超過収益率のあった2資産についてもおおむねベンチマーク収益率並みの収益率を確保しているということでございます。また、その次のなお書きの段落の一番最後に「一方で」というように書いてありますけれども、中期目標において、長期的に実質的な運用利回り1.7%を最低限のリスクで確保するということを目標としているのに対して、年金財政上必要な運用利回りを確保しているということでございます。また、それ以降、運用受託機関の管理を適切に行っているということですとか、平成29年10月に経営委員会、監査委員会を設置して、経営委員会、監査委員会、執行部である理事長等がそれぞれ役割分担し密接に連携を図りながら自律的なPDCAサイクルを機能させて、国民から一層信頼される組織の確立に努めているということから、これらについては目標を達成しており、B評価という、以上がB評価の理由でございます。今後につきましては、市場動向の的確な把握やリスク管理を行いながら、次期目標において定めますけれども、次期の運用目標の達成に向けて取り組むことが望まれるということでございます。
I-2「リスク管理」についてでございます。これについては、大臣評価案としてはBでございまして、理由といたしましては、分散投資を行うことによりリスクの低減に努めることですとか、資産全体、各資産、運用受託機関、資産管理機関等の各種リスク管理を行っておりますし、それぞれ具体的な取組としては下線を引いておりますような、それぞれ多角的なリスク管理を行っているといったようなことから、これらについては所期の目標を達成しており、Bと評価するということでございます。今後の課題といたしましては、リスク管理に関する専門性の向上を図り、法人内での連携を図りながら、運用受託機関の分析も活用しながらリスク管理の一層の強化に引き続き取り組むことが望まれるというように整理をしております。
4ページ目でございます。I-3「運用手法、運用対象の多様化、株式運用における考慮事項」等についてでございます。これは期間を通しますと非常に多岐にわたる取組が行われておりまして、大臣評価案としてはAとしておりますが、その理由といたしましては、まず運用手法につきましては、下線のところでございますけれども、アクティブ運用により超過収益を獲得することに関して、中期目標期間開始以降において4資産中3資産において超過収益を獲得しているということ。また、運用手法の見直しですとか運用受託機関の管理・選定の強化のための取組に関しては、マネジャー・エントリー制を活用した公募を開始し、その対象も拡大を進めている、オルタナティブ資産に関する運用機関の公募についてもこの仕組みを活用しているといったことがありますことに加えまして、その次の段落ですが、アクティブ運用に関して本格的な実績連動報酬体系を平成30年度から導入をし、さらには一定のリスク管理体制のもとでアクティブ運用に係る運用制約の緩和を行って、要はアクティブ運用機関の能力が発揮されるような環境整備を進めていること、これについては超過収益率の達成に向けた取組として高く評価ができると整理しております。 また、運用対象の多様化に関しましては、中期目標上、幅広に検討を行うということとされているのに対して、LPSへの直接投資のための体制整備等の取組を進めてきているということでございます。加えまして、株式運用における考慮事項に関しましては、ESGの取組でございますけれども、国内株式を対象としたESG指数について平成29年度に3指数の選定をすることに加えて、年度評価のほうでも御紹介しましたが、平成30年度には環境に関するグローバル株式指数を2指数選定し、これら合計5指数に基づく運用を開始している。これらの指数を活用した取組についての反応はおおむねポジティブであり、5割強の日本企業が法人の選定した指数を評価しているなどの客観的な評価があるということでございまして、こういった結果も踏まえますと、ESG投資に関する法人の取組としては高く評価できるというようにいたしまして、目標を上回って達成しており、Aと評価するというように整理をしております。今後の課題に関しましては、報酬体系の変更ですとかマネジャー・エントリー制度ですとかESGを考慮した投資については、適切に検証を行いながら運用の改善に取り組むことが望まれるというようにしております。
5ページ目に移ります。I-4の「透明性の向上」でございます。大臣評価の案としてはBとしております。その理由でございますが、目標期間開始以降、下線を引いておりますような業務概況書の内容の充実を継続的に行っているということですとか、市場への影響について検証を行った上で全保有銘柄の開示も行っております。また、業務概況書ですとか各四半期の運用状況の公表については、年度計画にあらかじめ公表日を明記した上でこういった公表を行っております。また、29年度以降ですけれども、広報戦略を策定して広報の方向性を明確化しておりまして、特に平成30年度におきましては、年度評価のほうでも御説明しました、ホームページのリニューアルですとかコンテンツの充実、「GPIFって、なに?」というパンフレットを新たに制作し、ESG活動報告を初めて刊行する、こういった取組を行ってきているところでございまして、さらにはホームページ等に加えてツイッターなどでの情報発信を開始しているほか、各種セミナーでの講演ですとか、理事長による新年メディア懇談会での開催等の取組により、非常に積極的に情報発信に努めているということでございます。
以上、この期間を通して見ますと、他の運用機関には見られないような先駆けた取組も含めて、非常に積極的に透明性の向上に向けた取組を行っているということは確認しておりますし、そういう意味で、これまでに運用機関としての透明性の向上というのはかなり高い水準で実現されているというようには評価しております。そういった観点から、過去の独立行政法人評価における委員からの御意見の中でも、法人のこれまでの取組、個別の取組について評価する意見があったということは承知しておりますけれども、先ほど委員からも御指摘、御意見がありましたが、独法評価の観点なり考え方に照らしての御意見というのが過去にあったということも事実でございまして、その議論の上で左側にありますような過年度においては、この項目についてはB評価がされてきたという経緯もございます。こういったことから、運用機関としての透明性の向上という取組については高く評価しますけれども、今回の期間を通した見込みの評価におきましては、目標達成をしているという意味でのB評価というような結論、そういう整理にしているものでございます。ただ、今後の課題といたしましては、引き続き広報活動なり情報公開の一層の充実に努めるということを望むというか期待をするということでございます。
最後の項目につきましては6ページでございます。I-6の管理・運用に関して遵守すべき事項でございますが、これについて大臣評価案はAとしております。評定に至った理由のところ、字が小さめで恐縮でございますけれども、2段落目の「これに対し」という段落の最後のほうに書いてありますが、市場なり民間活動への影響に対する配慮については、年度評価のところでも御紹介しましたが、その取組は期間を通してでも実施されているということでございます。また、議決権行使ですとかスチュワードシップ責任を果たすための活動に関しましては、下線を引いているところでございますが、平成27年度には、運用受託機関に対するヒアリングを実施して毎年度継続しているということですとか、その次のところですけれども、上場企業向けのアンケートを27年度に初めて実施をして、その後も継続して実施している。また、他の同種の機関に先駆けて、国連責任投資原則への署名を行っております。28年度には、企業との対話の場であるフォーラムを初めて開催して、継続をしているという取組、また、スチュワードシップ活動報告を取りまとめて毎年度公表しているという取組もございます。さらには29年度に、スチュワードシップ活動原則等を策定して、運用受託機関に対して考え方などを明示した上で対話を実施し、株主議決権行使を求める取組を進めてきているということ、また、投資原則を改定して、スチュワードシップ責任を果たすための活動を全資産に拡大し、その具体的な取組としてESGを考慮した取組を明記しているということ。さらには、年度評価のところで御紹介しましたTCFDですとかClimate Actionへの参加なども行っているということでございまして、こういった一連のスチュワードシップ活動に関しまして上場企業向けアンケートにおきましても高く評価されているということでございまして、御紹介しましたような個別の取組についても企業側から一定の評価が得られているということが確認できているところでございます。以上のような取組は、他の同種の機関に先駆けた取組も含めて非常に精力的に行われているということについては高く評価できるものとして、目標を上回って達成しているA評価というように整理をしたものでございます。今後の課題といたしましては、引き続き市場への影響などに配慮しながら、遵守すべき事項について引き続き適切な対応を行うことが求められる、望まれるということとしております。
以上が説明をする5項目でございまして、他の項目についてはB評価とするものでございまして、評価理由も含めて説明は省略をさせていただきたいと思います。
説明は以上でございます。
神野部会長
どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの主務大臣評価(案)につきまして、御意見があれば頂戴したいと思います。いかがでございましょうか。ありませんか。
大野委員、どうぞ。
大野委員
恐れ入ります。2ページのI-1でベンチマークを達成しているかどうかというところの記述なのですが、先ほどの御説明ですと上振れも下振れもという0. 1%の範囲でぶれている場合にはおおむねベンチマーク並みという御説明がありましたので、それに基づきますと、4資産中、外国債券がプラスの超過収益率を確保しという記述になるのではないかと思います。
あと、おおむねベンチマーク並みというのが後ろの括弧の中に外国株式プラス0.00%というように書いてありまして、これはおおむねベンチマーク並みということになるということではないわけですか。
石川資金運用課長
申しわけありません。記載が不十分なところがあったかと思いますけれども、ここは訂正させていただきます。
神野部会長
いいですか。
ほか、いかがでございますか。よろしいですか。
どうぞ。
植田部会長代理
この評価については全く異論はないので感想のようなことなのですが、きょうの議論全体を伺っていて1つの大きな印象は、割と長くGPIFのことを見てきた者としては、ESG関係の意義を物凄い強調されているというのが例えば10年前と比べるとさま変わりであるということです。
以前は受託者責任との関係で、そこは非常に慎重にすべきだという意見のほうがやや有力であったかと記憶しております。その関連では、きょう、髙橋理事長が、そういう懸念はあるけれども、長期的にGPIFのような機関がきちんとした収益を上げていくためにもこういうことは必要なのだという理屈を1つおっしゃったように伺わせていただいたのですが、その意味で非常に興味深かったと思いますが、この点、非常に重要な点と思いますので、引き続きいろいろな側面から検討いただけたらと思います。
以上です。
神野部会長
すみません、ありがとうございました。
ほか、いかがでございますか。よろしいでしょうか。
それでは、大臣評価(案)を御承認いただいたということにさせていただきます。ただし、また修文する必要があることも配慮して、これも私のほうに一任させていただければと思いますので、それを条件に御承認いただいたということにさせていただければと思います。
それでは、その次に、最後の議題でございますが、業務・組織全般の見直しについて、御議論を頂戴したいと思います。
初めに、事務局から御説明を頂戴できればと思います。よろしくお願いします。
石川資金運用課長
それでは、資料2-4をお開きください。
業務・組織全般にわたる検討の結果及び講ずる措置の内容の案でございます。これは冒頭に参考資料の御説明の中で少し触れさせていただきましたけれども、独立行政法人通則法に基づきまして、主務大臣が作成をいたします。中期目標期間の見込評価を行った際に、法人の業務及び組織全般にわたる検討を行って、その結果に基づいて所要の措置を講ずることとして、その講ずる措置の内容を総務省の独立行政法人評価制度委員会へ通知をして公表をするとされているものでございまして、その案でございます。
全体、4ページにわたっておりますが、時間の関係もありますのでかいつまんで御説明いたしますが、まず1ページ目に書いておりますのは、公的年金制度における積立金の役割、積立金運用の役割の重要性に触れておりまして、平成16年改正において導入された年金財政のフレームワークにおいて、おおむね100年間の財政均衡期間において年金給付と財源の均衡を図る方式が採用され、そういった年金制度における長期的な財政の枠組みにおいて、この年金積立金については財政均衡期間の終了時に給付費の1年分程度の積立金を保有することとして、それまでの期間において積立金及び運用収入を活用して後世代の年金給付に充てることとされている。こういったことに照らして、積立金の管理・運用というのは将来の公的年金事業の運営の安定のために極めて重要な役割を担っているということを触れた上で、そういった積立金の運用を行うGPIFにおいては、下から2段落目のほうですけれども、年金制度、年金財政において積立金が担う役割の重要性に鑑みて、巨額の管理・運用を市場の価格形成等への影響に留意しながら的確に行うこと等によって、法人としての使命を着実に果たしていくことが一層求められる。こういった状況を踏まえて、法人の事務事業について、将来にわたる年金事業の運営の安定に資することを目的として、法人の資源を最大限活用し、業務運営の効率性や質の向上を図ることも念頭に置きながら以下の方向で見直しを行うということで、以下、具体的な内容が2ページ目以降に記載しているものでございます。
2ページ以降、大きく柱としては3つございまして、第1の柱としましては、事務事業の見直しでございます。
まず、1の目的に即した運用の実施ということで、これはもう委員の皆さん御案内のとおりではございますが、年金積立金が被保険者から納付された保険料の一部であり、将来の給付財源になるということに留意して、専ら被保険者の利益のために長期的な観点から安全かつ効率的に運用を行うことにより、将来にわたる年金事業の運営の安定に引き続き貢献をするということを記載しております。
2点目が基本ポートフォリオに基づく運用の実施ということで、年金財政上必要とされる長期的な運用利回りを確保するよう基本ポートフォリオを定め、これに基づく管理・運用を行うこと。基本ポートフォリオの策定においては、リスク制約に十分留意をする。また、基本ポートフォリオの検証は定期的に行って、必要に応じて見直しを検討する。基本ポートフォリオの策定を含めた積立金の管理運用においては、市場等への影響に十分留意するということを2で書いております。
3点目が運用収益の確保ということでございまして、各運用資産について適切なベンチマークを設定し、ベンチマーク収益率の確保に努める。また、超過収益を獲得できるとの期待を裏づける十分な根拠を得ることを前提として、実績連動報酬体系等を活用しつつ、アクティブ運用に取り組むことによって超過収益の獲得を目指す。さらには、収益確保のために運用手法の見直しですとか運用受託機関の選定・管理の強化の取組を一層推進するということが3点目でございます。
4点目がリスク管理でございまして、分散投資による運用管理ですとか、資産全体、各資産等の各種のリスク管理の強化に取り組み、さらには、運用手法の高度化、運用対象の多様化に対応して、ミドル機能及びバック機能の充実をはじめとしてリスク管理体制の充実・強化を図るということが4点目。
5点目が運用対象の多様化ということで、被保険者の利益に資することを前提として、経営委員会において幅広に検討を行うということ、また、この検討においては、資金運用について一般的に認められる専門的な知見に基づいて検討を行う。また、非伝統的な資産の運用、オルタナティブ投資については、運用収益の確保や流通市場の整備等を十分に踏まえた検討を行う。新たな運用対象については、リスク管理、長期的な収益の確保の観点からの検証を継続的に行うということとしております。
6点目がスチュワードシップ責任を果たすための活動、ESGを考慮した投資についてですけれども、受託者責任を果たしつつ、中長期的な収益を確保するために、市場への影響に留意しながらスチュワードシップ活動を一層推進する。また、1で触れました積立金運用の目的のもとで、被保険者の利益のために中長期的な収益を確保する観点から、ESGを考慮した投資については必要な取組を進める。これらについては、中長期的な収益確保の観点からの検証を継続的に行うとしております。
7点目の透明性の向上といたしまして、管理・運用の状況について国民への迅速かつ丁寧な説明に努める。また、国民の関心等に応じて戦略的に情報公開や広報のあり方を検討し、その充実を図るなど、透明性を高めるための取組を一層推進するというようにしております。
以上が第1の事務事業に関連しての記載でございまして、第2の2番目の柱が組織に関する見直しでございます。
1については、平成29年からガバナンス改革がスタートしているということを踏まえまして、経営委員会、監査委員会、執行部がそれぞれ適切に役割分担し、相互に密接な連携を図り、自律的なPDCAサイクルを機能させて、国民から一層信頼される組織体制の確立に努めるとしております。
加えまして、効率的な業務運営の体制といたしまして、執行部内の組織編成や人員配置を実情に応じて見直すことによりまして、効率的な体制の確立に継続的に取り組むとしております。
4ページ、最後の3つ目の柱でございますが、業務全般にわたる見直しということでございまして、他の独法においても同様の事項が立てられておりますけれども、GPIFに照らして記載しております。
まず1の高度専門人材の確保・育成ということでございまして、運用手法の高度化、対象の多様化に対応して、法人における専門性の能力の向上を図るために高度専門人材の確保・育成を一層推進する。また、実は総務省の目標策定指針におきまして、専門人材を戦略的に確保・育成するための人材確保・育成方針の策定ということが指針上求められておりまして、次期中期目標における位置づけの検討はこれからでございますけれども、指針の改定を踏まえまして、この方針の策定についても検討するというようにしております。
2点目が調査研究の充実でございまして、将来にわたる管理・運用のために、法人外部のリソースも積極的に活用しながら、法人内での体制整備ですとかノウハウの法人内での蓄積、人材育成を一層推進する。また、費用対効果の検証を含めて、テーマの設定から業務への活用までの調査研究業務に係るPDCAサイクルの取組を強化するというようにしております。
3点目の内部統制の強化といたしまして、法令ですとか責務の遵守を徹底し、法令等の遵守を的確に実施するための体制整備を強化するということでございます。
4点目が経費の節減、財務内容の改善ということで、中期計画予算の適正かつ効率的な執行に一層取り組むということでございます。
5つ目が業務運営の効率化ということで、ITの活用などによって業務運営の効率化を図る。特に事務の軽減や効率化に資するシステム整備や外部のリソースの積極的な活用を進めていくということ。
最後、6点目で情報セキュリティ対策ということで、法人におけるセキュリティ対策の有効性の評価に加えて、運用受託機関における情報管理体制の法人みずからの評価など、そういった法人における情報セキュリティ対策を一層推進するということを記載しております。
以上、これまでの見込評価などを踏まえて、今後の法人における方向性をこのような形で整理したものでございます。
説明は以上でございます。
神野部会長
どうもありがとうございました。
それでは、ただいま御説明いただきました業務・組織の見直し案につきまして、御意見を頂戴できればと思います。いかがでございましょうか。
大野委員、今、手が挙がったわけではないですね。いかがでございましょうか。
どうぞ。
平川委員
何点かございます。
1つは、1ページ目の2段落目、この文章ですけれども、保険料負担の急増または給付の水準の急激な低下が避けられないこととなると明確に書いてありますが、これは前提条件などを書かず、これだけ取り出してしまうと国民の不安があおられてしまう表現ではないかなと思います。これは2004年時点の話なのか今の話なのかわからないのですが、修正していただきたいと思いました。
あと、その下の下から2つ目の段落ですけれども、市場の価格形成や民間の投資活動等への影響に留意しつつ的確に行う、と記載してあります。影響に留意しつつというのは少し表現的に弱いというかわかりづらいのではないかというように思いました。これは中期目標において「市場規模を考慮し、みずから過大なマーケットインパクトをこうむることのないように努めるとともに、市場の価格形成や民間の投資行動をゆがめないように配慮するというように」と明確に書いてありますので、留意しつつということだけでは弱いのではないかなと思います。
これはほかにもありまして、例えば2ページ目の2の基本ポートフォリオに基づく年金積立金運用の実施というところの文章にも影響に十分留意すると書いてありますけれども、また、3ページの6のスチュワードシップ責任を果たすためのESG活動についても留意しつつと、ここは「十分」がないのが不思議ですが、その辺、もう少し留意する内容について明確にして記載していくべきと思ったところであります。
あと5の運用対象の多様化でありますけれども、これも下から3行目からオルタナティブ投資の関係の記載がありますが、「整備を十分に踏まえた検討を行う」とされ、これもまた表現が違っていまして、なぜ表現が違うのか。オルタナティブ投資の市場規模というのはそんなに大きくない中で、逆に市場への影響に関して言うと、ほかの部分よりもより慎重に進めていかなければならない分野でもあるというように思いますが、どうして表現が違うのかということを、お聞きをしたいと思います。
以上です。
神野部会長
最後の質問部分について、石川課長、お願いできますか。
石川資金運用課長
御指摘いただいた修正すべきであるという御意見については検討させていただきます。最後の流通市場の整備等について、ここの表現は、実は現行の中期目標においても類似の表現がされているところですので、それに即して記載をしたというものでございます。
神野部会長
ありがとうございました。
ほかはいかがですか。
神作さん、どうぞ。
神作委員
強くこだわるわけではないのですけれども、第3の3の「法令及び責務の遵守」の徹底と述べられている後に、括弧書きで「(慎重な専門家の注意義務、忠実義務)」という言葉があります。これは恐らく英米法におけるプルーデントという言葉を訳したものではないかと思いますが、昔のプルーデント・インベスター・ルールというのは、まさに慎重に行動するということだったわけですけれども、今はむしろ「合理的に」とか「思慮ある」と訳すことが法律の分野では多くなっていると思います。
単に慎重というのとは異なり、現在のプルーデント・インベスター・ルールというのは中身が変わってきてリスクの管理のもとで適切なリスクもとるということが含まれていると思いますので、その点、これまでずっとこのような表現を使ってきたということもあるかと思いますが、より適切な言葉がないか、ご検討をいただきますと幸いです。
神野部会長
何かコメントはありますか。いいですか。
石川資金運用課長
御指摘を踏まえまして対応は検討させていただきます。
神野部会長
ほか、いかがでしょうか。
河村委員、どうぞ。
河村委員
先ほども少し出ました2ページの5、運用対象の多様化のオルタナティブのところなのですが、最初のところの書きぶりなのですが、すみません、前のときの書きぶりとの関係とかももしかしたらあるかもしれないのですが、最初の一文、被保険者の利益に資することを前提としてというところ、「被保険者の」の後かその前からわかりませんけれども、中長期的な意味でのという表現を入れたほうがよくないでしょうか。そこを実施することを前提として経営委員会において新たな運用対象について幅広に検討を行うというように書いたほうがいいのではないかなと思いました。
神野部会長
ほか、いかがですか。
どうぞ。
徳島委員
すぐに改めるべきという議論ではないのですが、第1の事務及び事業の見直しの2番目のところ、基本ポートフォリオに基づく年金積立金運用の実施のところで、GPIFの運用目標として年金財政上、必要とされる長期的な運用利回りは、実質的な運用利回りとされています。現状の年金制度はこういう形になっていますが、運用現場の感覚から言うと、実質の運用利回りをGPIFに求めることは結果として賃金上昇率がどうなるかといったところの読みも含めてGPIFが責任を負った形になってしまっています。中長期的な年金制度の見直しに際しては、このあり方を考えておく必要はあるのではないかなと思います。
やはり運用の現場で考えれば、基本は全部名目の世界で運用をやっていますから、名目と実質の差の部分を誰が担うのかということを中期的には考えないといけないのではないかという課題意識を持っております。
以上です。
神野部会長
ありがとうございます。
ほか、井上委員、どうぞ。
井上委員
ほとんど感想でしかないのですけれども、現行の先ほどまでいろいろ議論いただいたGPIFの活動内容から考えると、これまでの文章の関係で難しいのかもしれないですが、もう少しグローバルな視点とか国際的な視点というのを何か入れたほうがいいのかなという、これは感想でございます。
神野部会長
ありがとうございます。
ほか、いかがですか。よろしいですか。どうもありがとうございました。
それでは、既に途中でもお話がありましたけれども、本日、委員の皆様方からいただいた貴重な御意見を踏まえて勘案しながら、厚生労働省において御検討いただいて内容の最終的な確定をお願いしたいと思います。
一応、以上で本日の議事につきましてはほぼ終了したのですが、事務局から今後の進め方について御説明を頂戴できればと思います。
石川資金運用課長
まず、本日御審議いただきましたGPIFの平成30年度業務実績評価及び中期目標期間見込評価につきましては、本日の審議も踏まえまして部会長とも御相談をしながら、厚生労働大臣による評価を決定しまして法人へ通知をいたします。
また、中期目標期間見込評価と先ほど御審議いただきました業務・組織全般の見直しにつきましては、確定がされた後、8月中に総務省の独立行政法人評価制度委員会へ通知をいたします。また、これらの通知と合わせまして公表も行います。それぞれ決定した内容につきましては後日、委員の皆様に御連絡をさせていただきます。
また、冒頭に参考資料の説明の中で触れましたけれども、秋以降、総務省においても点検が並行して行われながら、この部会におきましても次期中期目標案を今後御審議いただくことになりますので、引き続きどうぞよろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。
神野部会長
どうもありがとうございました。
最後に、事務局から今後の予定を含めて連絡事項がございましたら。
石川資金運用課長
次回の部会の開催につきましては、日程を調整した上でまた追って御連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
神野部会長
それでは、どうもありがとうございました。
私が遅参した上に、議事運営に少し不手際がございまして途中はどうなるかと思うような絶望的な状況だったのですが、どうにか絶望の中からも希望が生まれて、15分弱のおくれで終了することができました。委員の皆様方の運営に対する御協力に対して感謝を申し上げる次第でございます。長い時間にわたりまして御熱心な御議論を頂戴いたしましたこと、感謝を申し上げる次第でございます。どうもありがとうございました。