2017年5月12日 第2回社会保障審議会資金運用部会

年金局

 

○日時   平成29年5月12日(金)13:00~14:49

 

○場所   全国都市会館3階 第2会議室

 

○出席者

神野部会長、植田部会長代理、井上委員、臼杵委員、大野委員、河村委員、神作委員、徳島委員、

杤原委員、永井委員、原委員、平川委員、安浪委員、四塚委員

 

○議題

(1)役員の任命基準について

(2)その他

○議事

○神野部会長 それでは、定刻でございますので、ただいまから第2回「社会保障審議会資金運用部会」を開催したいと存じます。

 委員の皆様方には、大変お忙しいところを御参集いただきまして、感謝を申し上げる次第でございます。さらにつけ加えますと、本来であれば緑薫る一番爽やかな季節のはずですけれども、熱中症に気をつけなければならないようなお暑い中をわざわざ御足労いただきましたこと、重ねて感謝を申し上げる次第でございます。

 本日は、臼杵委員から1時間ほどおくれて御参加いただけるという御連絡をいただいております。河村委員は、御連絡をいただいていないのですが、いずれ御出席いただけるものと思っております。また、神作委員、四塚委員につきましては、それぞれ御都合により途中で退席されると伺っております。

 それでは、議事に入ります前に、事務局のほうから資料の確認をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○宮崎参事官 それでは、私のほうからお配りしております資料の確認をさせていただきます。

 まず、本日の配付資料の資料1、「GPIF役員の任命基準について」というタイトルで、A4横の資料を配付しております。

 また、本日の議論のテーマではございませんけれども、次回以降の議論の対象としてどのような内容が範囲になるのかということで、参考の資料として「GPIF改革の施行に伴い、政省令等において定めることが必要となる事項」というものを1枚紙でお配りしているところでございます。そのほか、座席図、委員名簿等をお配りしているところでございます。

 資料の不備等がございましたら、御指摘をいただければ対応させていただきたいと思いますけれども、よろしゅうございますでしょうか。

○神野部会長 どうもありがとうございました。

 それでは、議事に入らせていただきたいと思いますが、お手元の議事次第をごらんいただければと思います。本日は、前回に引き続きまして、GPIF役員の任命基準について御議論を頂戴することを主要な議事といたしております。本日は、この議題について、事務局のほうから前回の議論を参酌しながら、GPIF役員に任命基準として盛り込むべき事項等についておまとめいただいて、資料として提出していただいておりますので、まず事務局のほうから資料について御説明いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○宮崎参事官 それでは、事務局からお配りしております資料1に沿いまして御説明をさせていただければと存じます。済みません。座ったまま失礼させていただきます。

 資料1は、GPIF役員の任命基準に関しまして、2ページから4ページにかけましては、前回の御議論の整理、あるいは追加として経営委員等に関する役割の対比表等をつけております。その上で、5ページから7ページにかけまして、前回部会長より御指示がございました任命基準について盛り込むべき事項としてのたたき台をお配りしているというところでございます。資料に沿って順次御説明させていただきます。

 資料の2ページ、1枚おめくりいただいたところをごらんいただければと存じます。前回の議論におきまして各委員から御指摘のあった点をまとめています。全員の方の御意見を網羅的に盛り込んでいない部分もあろうかと思いますけれども、その点があれば補足いただければと思います。前回の審議では大きく分けて以下のような御議論があったと承知しております。

 まず、経営委員の構成につきましては、原委員や永井委員からさまざまな専門分野を持った方がバランスよく配置される必要があるのではないかという御意見がございました。また、神作委員から各分野の専門性を有する方のおおむねの配分を定めておく必要があるのではないかという御指摘がございました。

 2点目、各役員の基準についてでございますが、臼杵委員から余り細かく規定するとなかなか候補者が見つからないという問題もあるのではないかという御指摘。あるいは神作委員から理事長、経営委員、監査委員である経営委員など、それぞれに求められる役割が異なるので、基準においてそれぞれ書き分けて定める必要があるのではないかという御指摘、また、ガバナンス強化の趣旨、あるいは経営委員会の役割に鑑みると、法人の経営に携わっていた経験を有する方が入ることが望ましいのではないかという御意見。臼杵委員や井上委員から御指摘がございました。

 さらに、経営委員については、高い専門性を持つ方についてもらうべきであるという杤原委員からの御指摘監査委員は、法律知識を持つ人にもついてもらう必要があるという神作委員からの御指摘もございました。

 そのほか、原委員から国民の代表として、国民が信頼して年金積立金の管理運用を任せることができる方である必要がある、あるいは経営委員会が国民に向けて積極的に情報発信していくことが必要であるといった御意見もあったかと存じます。

 このような前回の議論でございました。

 3ページは、追加として経営委員と監査委員との対比表を設けております。御案内のように、監査委員につきましては、経営委員を兼ねる形で監査委員というものが置かれております。経営委員9名のうち3人以上を監査委員である経営委員という形で任命をするということですので、監査委員である経営委員は、経営委員の役割に加えまして監査委員としての役割が加わってくるということでございます。

 左側の経営委員の役割等については、ここに書いてあるとおりでございますけれども、基本ポートフォリオの策定など、法人の重要な方針を決定していくという役割、また、経営委員会が定めた方針に従いまして執行部の業務執行が行われているかどうかを監督するという役割がございます。

 これに加えまして、右の監査委員である経営委員につきましては、監査としての役割として業務監査あるいは監査報告の作成、法人が厚生労働大臣に提出する書類の調査といった業務、さらには日常的な運用業務の実施状況の監視という業務が加わるということでございます。

 人数につきましては、9人の経営委員のうち3人以上が監査委員である経営委員とする。

 常勤・非常勤の定めについては、経営委員は、法律においての規定はございませんけれども、この経営委員に含まれる監査委員である経営委員については、1人以上を常勤とするという規定がございます。

 任命につきましては、経営委員に関して、厚生労働大臣による任命とし、本部会、社会保障審議会の議論を踏まえて作成する任命基準に基づいて、経済、金融、資産運用、経営管理、その他のGPIFの業務に関連する分野に関する学識経験または実務経験を有する者を任命するとの規定がございます。また、その際には、被保険者の代表者、事業主の代表者各1名を、関係団体の推薦に基づき任命するとされております。

 監査委員である経営委員に関しても同様の規定に基づいて任命を行いますけれども、その際には、他の監査委員を兼任しない経営委員とは区別して厚生労働大臣が任命するという仕組みでございます。

 任期につきましては、いずれも5年間でございますが、監査委員である経営委員につきましては、現在のGPIFの監事と同様、5年を経過する日を含む事業年度の直前の事業年度の財務諸表の承認日までということで、例えば本年3月末に終わった年度の財務諸表というのは、6月末までに法人から厚生労働大臣に提出されて、厚生労働大臣が承認を行うのが8月ないしは9月といった時期になってまいりますので、監査委員として財務諸表に責任を持つという考えから、その事業年度の財務諸表の承認日までは任期を全うしていただくという考え方で整理をされております。

 義務・責任につきましては、これも前回御説明した範囲に入りますけれども、経営委員につきましては、GPIFの役員として受託者責任等の義務を負い、これらの義務に違反する場合には賠償責任も負う義務を持っております。また、罰則の適用につきましては、公務員とみなすという仕組みとなっております。

 監査委員である経営委員につきましては、経営委員の義務・責任に加えまして、監査委員として、役員等に不正行為等があった場合には、経営委員会や厚生労働大臣等への報告義務が課せられておりますし、また、法人と代表権を有する役員との利益が相反するような事項が生じた場合には、監査委員会が選定する監査委員が法人を代表するという規定が加わってございます。

 これは本来あってはならないことでございますけれども、例えば理事長に不正等がございまして法人が損害賠償を請求するというケースを想定していただきますと、代表権を持っている理事長を対象とする訴訟ということになりますので、その場合には、理事長以外の者が代表して行うということです。この場合ですと、監査委員会が選定する監査委員が法人を代表して訴訟を行っていくという仕組みとなっております。これは会社法にも同様の規定があろうかと思いますが、独立行政法人制度におきましてもこのような規定があるということです。

 4ページをお開きいただければと思います。前回の御議論の中で、役員のそれぞれの役割に応じて基準では書き分けていく必要があるのではないかという御指摘がございましたので、各委員会あるいは執行部の役員の役割につきまして簡単に整理をし、その役割に応じて必要となる学識経験等をまとめたところでございます。

 まず、経営委員会につきましては、基本ポートフォリオなど法人の重要な方針を決定し、執行部の業務執行が行われるように監督するという役割がございます。このような役割を適切に実行するために、経済、金融、資産運用、経営管理、その他の関連分野につきまして、学識経験等をお持ちの方で、それぞれの専門分野での相応の実績を上げている方を任命する必要がある。また、その際には、専門分野のバランスに配慮して任命する必要があるのではないかということでございます。

 監査委員会につきましては、その役割として業務監査、監査報告書の作成等の監査業務、加えて日常的な運用業務の実施状況の監視という役割を担っております。この観点から、マル1に書いておりますような監査としての役割、監査業務を行うということからしますと、経営管理の実務経験をお持ちの方を任命する必要があるのではないか。

 マル2の日常的な運用業務の実施状況を監視するという役割を考えますと、資産運用の実務経験をお持ちの方を任命する必要があるのではないかということでございます。また、常勤の監査委員につきましては、マル2の日常的な運用業務の実施状況の監視を主として担っていただくことになりますので、その場合には、1名以上は資産運用に関する実務経験を有する者を任命する必要があるのではないか。また、その際にはリスク管理に関する知見を有する方に入っていただく必要があるのではないかということでございます。

 転じて、執行部の側でございますけれども、理事長につきましては、経営委員会の一員として意思決定に参加するほか、GPIFを代表して経営委員会の定めた方針に従って業務を総理してまいります。こうした役割を適切に実行するために、学識経験等を有し、かつ法人の経営に携わっていた経験またはこれに準ずる経験を有する者を任命する必要があるのではないかとしております。

 この際の「学識経験等」というのは、一番上の経営委員会のところに括弧書きで読みかえておりますけれども、当然ながら経済、金融、資産運用、経営管理、そのほか法人の業務に関連する分野ということで、こうした関連する分野の学識経験等を有しているという趣旨でございます。

 最後に、運用担当理事でございます。運用担当理事につきまして今回この中に入れておりますのは、運用担当理事は理事長の任命権限に係る者でございますが、理事長の任命に加えまして、厚生労働大臣の承認という手続を必要としております。GPIFにおきましては、理事は2名で、運用担当理事のほかに総務企画担当の理事がおりますが、総務企画担当の理事につきましては理事長の任命のみとなっております。

 一方、この運用担当理事につきましては、一部代表権を有するということから、厚生労働大臣の承認に係らしめておりまして、そのような観点から今回の任命基準にも運用担当理事に関する項を記載しております。

 運用担当理事は、年金積立金の管理運用業務を経営委員会が定めた方針に従って、理事長を補佐する形で執行していくという形でございますので、こうした役割を適切に実行するためには、資産運用の実務経験を持っていて、また、管理運用業務に関する一般に認められている専門的な知見及び慎重な判断を行うことができる者、受託者責任を適切に実行し得る者を運用担当理事として承認する必要があるのではないかということでございまして。

 以上、前回までの議論、そして経営委員と監査委員に関する対比表、また、各役員等の役割とそれに必要となる学識経験等を整理した上で、先日部会長より御要請のございましたこの基準に盛り込むべき事項についてのたたき台を5ページ以降に用意しております。

 5ページをお開きいただければと思います。柱立てとしては3点ございます。1点目は経営委員会の構成ということ。これが5ページでございます。6ページには各役員の基準として具体的なそれぞれの役割に応じた内容。7ページに欠格事由というものを記載しております。

 まず、1点目の経営委員会の構成ということでございます。経営委員会は、経営委員9名と理事長1名の10名から成る合議体でございますので、そういう意味では、この構成は10票の票をどのように割り振るかという観点でございます。この理事会の構成につきまして、マル1としましては、厚生労働大臣は、それぞれの専門分野のバランスに配慮して、各関連分野の学識経験等を有する方を委員として任命するという規定としております。

 マル2として、具体的な構成としては、おおむね以下のとおりとするとし、1、経済、金融その他管理運用法人の業務に関する学識経験または実務経験を有する者、3名から5名以内。資産運用の学識経験または実務経験を有する者、2名から3名以内。経営管理の学識経験または実務経験を有する者、2名から3名以内ということでございます。

 9名ということですので、やや重複といいますか、幅のある数字を入れる形にしております。1の経済、金融、その他管理運用法人の業務に関しましては、2、3に記載しております資産運用あるいは経営管理の学識者、実務経験者を除くという趣旨で括弧書きで除くと書いておりますが、例えば金融の学識者の中で資産運用の学識経験がある方を全く除外するという趣旨ではありません。そこはお一人お一人見ると重複する方もいらっしゃると思いますので、必ずしもそういう趣旨ではないのですけれども、2、3に該当する方を除くという趣旨で1の括弧書きを記載しているというところでございます。

 また、3の経営管理に関しましては、実務経験者として弁護士、公認会計士、企業における実務経験者等という形で例示を入れております。

 注書きとして、※1といたしまして、被保険者の利益を代表する者、事業主の利益を代表する者各1名はこの中に含まれるということ。

 ※2といたしまして、前回の議論の中でございましたように、この経営委員会が法人の重要な方針を決定するという役割に鑑みまして、法人の経営に携わっていた御経験あるいはこれに準ずるような経験を有している方が含まれるように配慮する必要があるのではないかという規定を入れております。

 マル3といたしまして、任命に当たっては、経営委員と監査委員兼任の経営委員とをそれぞれ分けて任命する。これは法律上の規定でございますが、念のため書いてございます。

 以上が経営委員会の構成にかかわるものでございます。

 続きまして、6ページは、各役員の基準ということで入れてございます。前回の御議論、あるいは他の同様の事例として、前回は郵政グループの社外取締役に関する基準等をお示ししたところでございますけれども、そうした前例等を踏まえまして、各役員の基準につきましては、6ページにあるように(1)から(4)という形で規定しております。

 まず、(1)として経営委員会の委員長または委員に関する基準です。厚生労働大臣は、以下の基準に該当する者を経営委員会の委員長または委員として任命するとし、学識経験等を有し、法人業務に関連する分野で相応の実績を上げているということ、また、委員長または委員としてふさわしい人格、識見を有していらっしゃるということ、職務を遂行するに当たり健康上または業務上の支障がないことということでございます。

 経営委員会につきましては、5ページで見ていただいたようなさまざまなバックグラウンドを持った方が入られるということでございます。こうした方々がバランスよく入っていただく上で、それぞれの分野において相応の実蹟を上げている方を任命するという趣旨でございます。

 (2)の監査委員につきましては、経営委員を兼任するということで、(1)の基準を満たすことに加えまして、管理運用法人の業務特性を踏まえて、資産運用の実務経験を有する方、あるいは経営管理の実務経験を有する方を監査委員として任命するとしてはどうかということでございます。

 その際、常勤の監査委員のうち少なくとも1名は管理運用業務の日常的な執行の監視を適切に行うために必要な資産運用に関する実務経験を有する者、その際には資産運用に係るリスク管理に関して必要な知見を有している方が望ましいということで、規定してはどうかということです。

 監査委員につきましては、3名以上ということで、そのうち少なくとも1名は常勤ということですので、ミニマムで考えた場合には、3人のうち1名常勤の方がいらして、その1名の方は資産運用に関する実務経験を持っている方を任命するということになろうかと思います。

 (3)理事長でございますが、理事長は学識経験等を有し、かつ法人の経営に携わっていた経験またはこれに準ずる経験を有している者を任命するということを規定しております。人格、識見や健康上または業務上の支障がないということは、他の経営委員と同様でございます。

 最後に、管理運用業務担当理事につきましては、管理運用業務の執行を行うために必要な資産運用の実務経験を有しているということを入れてございます。

 以上が各役員の基準に盛り込むべき事項として入れてはどうかということでございます。

 続きまして、7ページは、3本の柱のうちの3本目、欠格事由でございます。欠格事由につきましては、法律上、7ページに書いてあります3点を規定しておりまして、その3点をそのまま規定しております。政府または地方公共団体の職員である者は役員としない銀行業、信託業、金融商品取引業、生命保険業その他の金融業を行う者であり、法人と取引上密接な利害関係を有する者またはその役員については役員としない金融事業者の団体の役員につきましても役員としないという規定を設けております。

 取引上密接な利害関係を有する者またはその役員ということですので、例えば運用を委託している会社の役員などにつきましては、社外取締役も含めて役員になれないということでございます。

 そのほかといたしまして、GPIFも政府のかかわる公的な機関、独立行政法人ということでございますので、「政策・方針決定過程への女性の参画拡大について」、他の公的機関と同様に考慮するという一項を入れております。

 以上が今回新しく資料としてお出しした内容でございまして、9ページ以降につきましては、前回の資金運用部会に提出いたしました経営委員、監査委員等につきましての業務内容等の整理、あるいは13ページは経営委員と運用委員との対比等を入れてございます。

15ページには、日本郵政グループの取締役候補者の指名基準を御参考までにつけております。

18ページからは関連の規定ということで、GPIF法の今回の議論にかかわるような条項の部分を抜粋して御参考までに添付をしているところでございます。

 資料につきましての説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○神野部会長 どうもありがとうございました。

 前回の議論をまとめていただいた上で、2つ資料を追加していただいて御説明を頂戴し、さらに基準に盛り込むべき事項についての案をおまとめいただいて、御説明いただきました。

 委員の皆様方から御議論を頂戴するわけでございますが、資料について何か御質問があれば頂戴しておきたいと思います。いかがでございましょうか。よろしいですか。

 それでは、議論に入って御意見を頂戴したときに関連してあれば御質問、御意見を頂戴したいと思います。いかがでございましょうか。どうぞ。

○安浪委員 7ページの欠格事由で「管理運用法人と取引上密接な利害関係を有する者又はその役員」とあるのですけれども、現在籍を置いている方は利害関係があるということなのですが、過去、こちらの受託運用機関に在籍しておられた方、受託運用機関の出身者については、現在は籍は離れているけれども、以前その受託運用機関に勤めておられた方を利害関係としてどうするかというところが若干気になったのですけれども。

○神野部会長 今、もし御説明いただくことがあれば。

○宮崎参事官 御指摘をいただきました点につきまして、今のGPIF法の欠格事由では、取引上密接な利害関係を有するということでございますので、過去にそのような運用会社に在籍していた者をこの欠格事由に基づいて、誰であれ、ともかく過去に在籍していたらだめという形でアウトにするということではございません。

 ただ、これは言わずもがなでございますけれども、例えば過去に在籍していた運用会社を優遇するようなことを役員になってからするようなことがあれば、それは行為としては受託者責任等の違反行為に該当し、例えば厚生労働大臣の解任事由等に該当するという形で、過去に利害関係等を持っていた会社を利するようなことは禁止をされる。また、それを防止するために監査委員は御自分以外の役員、他の監査委員を含めまして、独立して監査をするという業務の中で、そうしたことが起きないようにチェックをする、あるいはGPIFの場合ですと、透明性の確保ということで、受託運用会社、それに支払っている手数料、パフォーマンス等、全て定期的に開示しておりますので、そういった中で透明性を確保していくということが制度としては設けられているという趣旨でございます。

○神野部会長 よろしいですか。

○安浪委員 今、ガバナンス改革で社外役員の独立性の基準というものについては、民間では東京証券取引所の社外役員の独立性の基準というのがございまして、そこのところで、主要な取引先について密接な取引関係があった場合に、独立性をどう見るのかというルールがございます。そこでも現在在籍していなければいいよと。現在在籍していなければ独立性の基準に違反するものではありません。ただし、過去10年以内に在籍しておられる方については、属性情報としてそういう事実だけは開示しなさいという取り決めになっているのです。だから、以前籍におられた方は全くクリアであるという見方ではなくて、事実の開示はしてくださいねという規則があって、民間企業の場合はそれを守っておられるという実態があります。

 おっしゃるように、過去金融機関におられた方を除外するとなると、GPIFというのは相当膨大なお金を運用されていますから、ほとんどの金融機関がそれに該当するとなると、適切な方が見つからないということもあるので、具体的に運用をどうするかという問題があります。欠格事由の中で文章として記載するのは確かに行き過ぎかなと思うのですけれども、実際任命する段階においてそういった総合的な判断も考慮する必要があるのではないかなという気がいたしました。

○神野部会長 ありがとうございます。神作委員、どうぞ。

○神作委員 今の安浪委員の御指摘は、非常に重要な御指摘だと思います。会社法のほうでは、社外取締役の定義として、密接な取引関係がある者は、実は社外性の要件としては、非適格事由とはされていなくて、安浪委員が御指摘されたように、取引所の自主規制というソフトローの形で一定の規制を行っておりますけれども、例えば自分自身が会社に勤めていて業務執行に従事していた、たとえば取締役に就任していたとします。その人が取締役を辞めた後、その会社の社外取締役になれるかというと、10年間はなれない。法律でそのように定められています。

GPIFの場合は、取引上密接な利害関係があることは、すでに法律上の非適格事由と申しますか、欠格事由になっておりますので、取引所で株式会社について取引関係があるものについて開示で済ませているよりもさらに重く考える余地は十分あると思います。したがって、GPIFにおいてはそもそも法律で取引上密接な利害関係がある者が排除されている趣旨をどのように理解するかということと密接に関連すると思います。

 会社法の規律について述べますと、過去にその会社の業務執行に携わっていた者というのは、平成26年改正前は、一旦会社の業務執行に関与したら社外取締役として就任することは永久にアウトだったのです。それは余りにも厳しく有能な人材の活用を阻害するとして、10年にしたのですけれども、10年でもちょっと長過ぎるのではないかという御意見も多いと思います。諸外国では3年とか5年が通常ではないかと言われております。今の議論にもちょっと関連するように思いましたので、御参考までに情報提供させていただきます。

○安浪委員 そうですね。ニューヨーク証券取引所や外国は3年とか。日本の取締役協会などでも3年という年数を出しているので、そこら辺も参考になるかなと思うのですけれども。

○神野部会長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○四塚委員 運用のプロフェッショナルの世界では、基本的には会社というよりも仕事に対する忠誠心を持っているという傾向があります。同じ仕事をして、いろんな会社に転職するということが普通に行われているわけで、一生特定の会社と結びついているような、そういうウエットな感覚はないと考えていいと思います。

 もちろん、10年などということになると、完全に古びていて使い物にならないということになりますので、例えば2~3年前にやめて今、大学で教えているとか、そういう人を使うということに関して何か問題があるかというと、常識的には問題はないと思います。

○神野部会長 早く御退室されるということで、関連してほかに何かお述べいただくことがあれば、先にお述べいただいておいたほうがありがたいと思いますが。

○四塚委員 後で大丈夫です。

○神野部会長 よろしいですか。

 神作委員、どうぞ。

○神作委員 発言の機会を再び与えていただいてありがとうございます。

 私、きょう早目に退席させていただきますので、事務局から御提案いただきましたたたき台に対して御意見を申し上げたいと思います。

 まずは今の安浪委員の御指摘とも関連するのですが、欠格事由について御質問と意見を申し上げたいと思います。

 御質問というのは何かと申しますと、株式会社においては、取締役、監査役、会計参与などいろいろな役員がおりますけれども、例えば取締役を例にとりますと、取締役の欠格事由というのが会社法の条文で定められております。ところが、会社法の取締役の欠格事由に当たる場合でも資料7ページの欠格事由に当たらないというケースがございます。私の感触ですと、私的な利益を追求する私的な団体でさえ株式会社の経営者になれないのに、GPIFの役員の欠格事由には当たらないというのは、ややバランスを欠いているような気がいたしまして、少なくとも株式会社の取締役になれないような者は、GPIFの役員の欠格事由に記載すべきではないか。このように感じます。

 資料の15ページ、日本郵政グループ取締役候補者指名基準を拝見しますと、他法人の例ということですけれども、欠格事由の第3条の1項において会社法331条1項に定める欠格事由に該当する者と書かれておりまして、会社法における取締役の欠格事由を参照しています。少なくともミニマムのラインとして取締役の欠格事由とそろえてはいかがと思います。

 しかし、法律がそうなっておりませんので、御質問と申しますのは、なぜこちらの法律では取締役の欠格事由とは異なる定めをしているのか。逆に言うと、取締役の欠格事由に当たるのに、こちらのほうでは欠格事由に当たらないように思われるケースが見受けられますが、それはどのような趣旨で立法されたのかということについて御教示をいただければと思います。以上が欠格事由についての第1点です。

 欠格事由についてもう一点ございまして、これは全体の構成に関係するものですけれども、資料の6ページと7ページでは各役員の基準というのが挙がっていて、その後、欠格事由が挙げられています。その前に、5ページに全体の構成というのがございますが、全体の構成がトップに来るのはいいと思うのですが、次に欠格事由というのが来て、それでこのような人たちはだめですというのが来て、その次に各役員の基準が挙げられるのが体系的ではないのでしょうか。つまり、欠格事由はないけれども、よりよく仕事をしていただくためにどのような基準が必要なのか。これは定めるのが非常に難しい積極的な要件と申しますか、欠格事由というのは、当たれば排除するというだけの話ですので、そういう話がまず先にあって、その後、各役員にさらに望まれる積極的な基準としてどのような基準が考えられるのか。このような順番で規律をつくるのがよろしいのではないかと感じます。これは全体の体系の問題とも関連いたしますので、もしかしたらきょうここでお話しするのが適切ではないのかもしれませんけれども、ちょっと気づきましたので、まずこの点について述べさせていただきました。

○神野部会長 神作委員、御退室になるのが早いですので、確認させていただきたいのですが、まず最初の、過去に取引上密接な利害関係や何かのことも、ここの事項に先ほどの年限とかなんとかということを入れたほうがいいと。つまり、事項の中に書き込んだほうがいいですよというのを含んでいますか。後の会社法第331条1項については、これを入れたほうがいいのではないかという御提案だし、次の構成等々の順序についても、順序を直したほうがいいのではないかという具体的な御提案ですね。

○神作委員 はい。

○神野部会長 最初のやつは、そういうことまで含んでまいるかどうかということを確認したかったのです。

○神作委員 最初の点は非常に難しい問題だと思っておりまして、確かにGPIFの資産の管理運用は高度なプロフェッショナルの世界ですので、プロフェッショナルの世界からこちらに来ていただくということが必要になると思いますの。したがって、形式的に一定の期間はだめですよというのは難しいと思うのです。そういう意味では、安浪委員が御指摘されたようなせめて開示を求めるというのはあり得ると思うのですが、しかし、金融機関を退職しても当該金融機関に対して非常に強い影響力が残っている人が直ちにGPIFに移ってくることが許容されるのかというと、もちろん運用のレベルでそこは対処できるということもあるかと思いますけれども、開示以外に何か適切な条件を考えられることができるのかどうか、少なくとも議論の俎上に乗せる必要はあるのではないかと思います。

 ただ、結論的には一定の期間は離れていないとだめですよという形式的、画一的なルールだと、逆に非常にいい人に来てもらえなくなるという弊害も出てくるかと思いますので、ここは大変難しい問題ではないかと思っております。

○神野部会長 ありがとうございます。

 3点あるかと思いますが、事務局のほうからコメントをいただければと思います。

○宮崎参事官 神作委員から御質問のございました2点目のGPIF法における欠格事由の考え方でございますが、それぞれの法律によって法目的が違いますので、それによる違いもあると思いますけれども、GPIF法の場合は、他の独法と同じように、厚生労働大臣が最終的な任命責任を負う中で動いておりますので、私的な会社の中で決めるときにどこまでを欠格事由とするかという観点と、最終的には厚生労働大臣、行政府の長、政府の一員が任命責任を負う中で、どこまでを法律事項の欠格事由として書くかというところで変わってきているのかなと思います。

 参考としていますのは、この欠格事由記載は、現在の独立行政法人、GPIF、10月1日施行の前の現行法でも同様の規定を置いていますので、他の独立行政法人の規定も参考とし、その上で、140兆円という積立金を扱うという観点から、金融関係の2項、3項、特に独法の規定に加えて追加しているという構成になっておりまして、その際には必ずしも会社法を参考としていなかったという経緯があろうかと思います。

 一方で、当然のことでありますけれども、例えば会社法で規定しておりますような成年被後見人のような方ですとか、あるいは金商法の犯罪を犯したような方を任命するという趣旨ではございませんで、そういう方は例えば役員としてふさわしい人格、識見を有しているかどうかというところで、この基準のほうではじかれるのだろうと思います。まず、なぜそういう人を選んだかというのは、最終的には厚生労働大臣が説明責任を負うという仕組みのもとで担保されていくのだろうと思っております。

 1点目の過去に在籍していた者に関する者につきましては、事実関係といたしましては、現在、例えば役員の経歴等につきましては、GPIFは法人のホームページ等におきまして公表しているところでございます。ただ、こういう属性情報は必ず記載しなければいけないというルールのもとでやっているわけでないというのが現状でございます。

○神野部会長 あと、構成といいますか、欠格事由を先に。

○宮崎参事官 構成につきましては、必ずしも決まったものがあるわけではないと思いますが、今回基準に盛り込むべき事項として入れた際に、欠格事由、3点目につきましては法律と同じ事項を入れたものですから、そういう意味では、新たにこの中で入れたものがなかったものですから3点目に記載しておりますけれども、神作委員御指摘のように、各役員の基準の前に置くということも当然あり得ることだと思います。

○神野部会長 よろしいですか。どうぞ。

○神作委員 御説明、大変ありがとうございました。

 他の独立行政法人等の規律を範にとって欠格事由を定めたという点は理解いたしましたが、他方で、例えば10ページの図をごらんいただきますと、これは前回の資料かと思いますけれども、GPIFのガバナンスの考え方、組織は、実は株式会社の監査等委員会設置会社などの考え方に非常によく似たものがございまして、そういう意味では、法律を読ませていただいて、株式会社の考え方と非常に共通しているものがあるのではないかと感じました。

 したがいまして、株式会社法の考え方をおおよそ体系が合わないからといって排除する必要は必ずしもないのではないかというのが第1点でございます。

 今いただいた御説明について、2つ目のコメントをさせていただきますと、その識見を有するという一言で済めば、これは非常に簡単な話ですけれども、恐らくそう簡単にいかないので、まずは欠格事由がある人ははじきましょう。それからだんだんより積極的な要件について詰めていきましょうという形で、いわば人事を慎重に行うという意味が欠格事由にはあるのではないかと思います。そういう意味では、まず欠格事由に当たる人ははじきくという意味があり、欠格事由のない人の中から次によりよい人を選んでいきましょうという考え方からすると、欠格事由というのは、体系的には最初のほうに位置すべきものではないかと感じましたので、コメントさせていただきました。

○神野部会長 ありがとうございました。

 いいですか。

○宮崎参事官 はい。

○神野部会長 どうもありがとうございました。

 引き続いていかがでございましょう。どうぞ。

○原委員 わかりやすくまとめていただきまして、ありがとうございました。私のほうからは確認事項を幾つかさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

GPIF役員の任命基準についてということで、3ページのところにもありますけれども、経営委員の役割として2つ、マル1、マル2と挙げられていまして、基本ポートフォリオなど、法人の重要な方針を決定するということと、あと、経営委員会が定めた方針に沿って執行部の業務執行が行われているかを監督するということがあるかと思うのです。この2つの役割が経営委員会、経営委員にはあるということを、役員基準を考える上で念頭に置くことが重要ではないかなと思います。

 一方、経営委員を兼ねる監査委員になっていただく方については、もちろんほかの経営委員とは区別して任命するということが必要であり、その業務の特性から専門性や実務経験も備えた方ということになるというのは、そのとおりかなと思っております。

 それを踏まえて、確認事項でございますが、5ページのところ、「基準に盛り込むべき事項についてマル1」の中で経営委員の構成というのが出ていますけれども、それぞれの専門分野のバランスに配慮しつつ、5ページに挙げられた専門分野に関する学識経験または実務経験を有する方ということでよいかと思います。ここに具体的な人数、目安の人数というものが載っているわけですけれども、人数的にはこの中には監査委員を兼ねる方も含んでいると先ほどお聞きしましたので、そうしますと、監査委員の要件として、4ページの真ん中あたりに「資産運用の実務経験を有する者又は経営管理の実務経験を有する者を任命する必要がある」と記載されているので、5ページのほうで見ると、マル2の1、2、3のうち、2、3の中に入ってくるのかなというイメージを持ちました。そこで、細かい話なのですが、余り細かく決めると、確かに、なっていただける方が限られてしまうということもあるのですが、2、3は2名以上3名以内ということで書かれていると思います。一方、1については、経済、金融、その他管理運用法人の業務(資産運用及び経営管理を除く)の方の人数割合が3人以上5人以内となっているかと思います。

 経営委員会の役割を考えたときに、この人数割合の比重の違いについて何か理由があるのかということをお聞かせいただければと思います。

 また、これに関連して、このページのマル2の1、経済、金融という部分ですが、「経済」という部分について、具体的な領域分野のイメージがあればお聞かせいただきたいということと、また、ここで言うその他管理運用法人の業務(資産運用及び経営管理を除く)とあるので、これについても同様にどういう方というイメージがあればお聞かせいただければと思います。例えば制度を知っている方とか、そういうイメージがあればお聞かせいただきたいなと思います。

 またもう一つなのですが、より細かいことで恐縮ですけれども、文面で少し確認させていただきたいのですが、6ページの「基準に盛り込むべき事項についてマル2」の「各役員の基準(1)」のところについてですが、「経営委員の委員長又は委員(監査委員を除く)」の最初の要件、黒ポチの1つめに「学識経験等を有し、管理運用法人の業務に関連する分野で相応の実績を上げていること」というのがありますが、この表現と4ページの経営委員会の委員の要件の記述の中にある「経済、金融、資産運用、経営管理その他管理運用法人の業務に関連する分野に関する学識経験又は実務経験を有し、当該専門分野で相応の実績を上げている者」という表現が微妙に異なるので、そこのところを確認させていただきたいと思います。つまり、「学識経験等」というものの定義と「相応の実績」というのがどこにかかるのかということだと思うのですけれども、恐らくは4ページの表現で、「当該専門分野で相応の実績をあげている者」というふうになるのかと解釈したのですが、それでよろしいのかということを確認させていただければと思います。

 さらには、相応の実績については、学識経験と実務経験ではまた異なるかと思われますので、そういった部分についてイメージがありましたらお聞かせいただければと思います。細かくて恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

○神野部会長 よろしいですか。主として委員の構成にかかわる話ですが。

○宮崎参事官 それでは、御質問の点、5ページの構成についてのところでございます。考え方でございますが、先ほど説明が不十分だったかもしれません。恐縮です。この構成を1、2、3という形で記載するに当たりましては、前回の資金運用部会あるいは年金部会での御議論の中で、経営委員会につきましてはさまざまなバックグラウンドを持った方にバランスよく入っていただく必要があるということ。また、その際には、余り資産運用ばかりに偏ることのないようにという御意見があったことをどういう形で盛り込むべきかということで考えました。

 また、原委員から御指摘がございましたように、監査委員と兼任する方が入るということで、これまでの運用委員とは異なりまして、そういった方が含まれること、あるいはそういう監査委員、経営委員につくにふさわしい方がきちんと含まれるようにしなければいけないということで、これまでの御議論等を踏まえてこのようにしております。

 つくり方といたしましては、まず資産運用の学識経験または実務経験を有する方が一定数以上入る必要があるし、逆に全体を支配してしまうことのないように上限を設ける必要があるだろうということで、2の「資産運用の学識経験又は実務経験を有する者」を2人以上3人以内と置き、同様に、監査委員兼任の方など、あるいは経営委員会が法人の全体の経営についても見るということを踏まえますと、経営管理に関しての学識経験または実務経験を有する方が一定数以上、かといって、全体に及ばないということで、2名から3名以内ということが必要だろうということで、両方を切り分けた上で、経済、金融、その他、2、3に入らない方につきましては3名以上5名以内という形で、少なくとも3名以上入っていただく必要があるだろう。また、理事長を除く9名というバランスから考えますと、5名以内ぐらいになるだろうということ。そういうバランスで書いているという趣旨でございます。

 そういう意味では、1、2、3の順番にはなっておりますが、2、3の資産運用、経営管理の方を適正数入れるということでこのようなバランスになっているという趣旨でございます。

 また、2点目の経済、金融、その他管理運用法人の業務としてどのようなものを想定しているかということでございますが、経済、金融という規定自体は、現在の運用委員会の規定でもございますが、例えば過去の実績で申しますと、マクロ経済を御専門にする方、あるいは国際金融、為替等の問題に関する知見をお持ちの方、あるいは金融政策を含めて、金融に関しての御専門の方などが入っておられた経緯がございますし、今後もそういった方々が、基本ポートフォリオを作成するなどの観点では必要だろうと考えております。

 また、その他関連分野といたしましては、例えば年金制度あるいは財政問題、そういったものに関する知見をお持ちの方がバランス上入ってくるということも考えられるのではないかと思っております。そういうことで、経済、金融、その他の関連業務ということで記載をしてございます。

 また、4ページと6ページの「当該専門で相応の実績」というところの記載につきましては、明示的に使い分けているわけではなくて、経済、金融、資産運用、経営管理その他関連分野は、いずれもGPIFの業務に関連する分野ということで、関連する分野で相応の実績を上げている方ということであろうかと思います。全く基本ポートフォリオの策定も含めて、GPIFの業務と全く関係のない経済分野での実績は入らないけれども、広い意味でのGPIFの業務に関連する分野で相応の実績を上げていらっしゃる方であれば対象になると考えております。

 各学問分野もそうでございますし、学識経験、実務経験も、実際のところはこれまでに運用委員として任命させていただいた方々の中でも重複するところがあるので、なかなかすっぱりと分かれないところは正直ございます。けれども、学識経験をお持ちの方につきましては、大学等におきましてそうした業績を残されている方であろうと思いますし、実務経験をお持ちの方は、実際に資産運用の現場にいらっしゃる。あるいは経済、金融等の実務経験ということであれば、大学等のアカデミアの分野ではなくて、民間の分野で御活躍の方なども入ってくるのではないかなと思っているところでございます。

○神野部会長 よろしいですか。

○原委員 はい。

○神野部会長 ありがとうございます。

 ほか、いかがでございましょうか。どうぞ。

○徳島委員 ただいまの学識経験等のところに関して少し意見を申し上げたいと思います。基本的に現在の基準として書かれているものについて、特に異論はございませんが、実際に基準として書かれているものだと、やや中身が不透明かと思うところがあり、運用に際して少しお願いをしておきたいと思っております。

 一つは今、宮崎参事官から御説明のあった実務経験のところですが、漠然と実務で何をやっていたかということが本当に任命の参考になるのかどうか疑問があります。そういった意味で、日本の場合でいきますと、日本証券アナリスト協会の検定会員といったものを最低限の基準として求めることが考えられます。もちろん、アメリカのCFAでも十分代替できると思いますし、資格が全てだとは思いませんので、それらと同等の学識もしくは実務経験を有することを求めるのはあってもいいと思います。実際に銀行や保険会社等の運用部門において、いわゆる役付になるための最低基準として求めていらっしゃいます。GPIFの経営委員たる方が最低限の資格も持っていないのかということにならないよう御配慮いただけたらと思っております。

 2点目としましては、これはやや細かい話になりますが、実務経験の中で、全員に必要な経験ではないと思っておりますが、GPIFに求められている実務経験というのは、単なる資産運用の経験とはやや違うものがあるのかと思っています。具体的に申し上げますと、例えば運用会社等で5億、10億のファンドを運用していたファンドマネジャーの経験・能力は、必ずしもGPIFの役員に必要な実務経験として十分なものは思えません。そういった運用現場の経験は、GPIFの中で運用の実行部隊、執行部の方に必要な経験・能力だと考えます。経営委員等の役員のうち数人に求められるものは、むしろ大きな額の資産アロケーションですとか、GPIFの資産規模が140兆等ある中で、ある程度大きな規模の資産ポートフォリオを預かったことのある経験が必要だと思います。この点については基準にはなかなか具体的に書き込めないと思いますので、具体的な任命等を考えられる際に御参考にしていただけたらと思います。

 以上です。

○神野部会長 どうもありがとうございました。

 ほかに。どうぞ。

○ 四塚委員 今の徳島委員の言われたことに続けて申し上げたいのですが、資産運用と言っても、確かに人によって持つイメージはさまざまだと思いますので、もう少し踏み込んだ表現を補足的に加えてもいいのかなと思います。具体的には、例えば「株式または債券分野において厳密なリスクリターン分析に基づく大規模ポートフォリオマネジメントに携わった実務経験を持つことが望ましい」というような文言を入れていただくといいのではないかと思います。

 以上です。

○神野部会長 徳島委員と違って、この基準に盛り込むべき事項として修正したほうがいいのではないかというお考えですね。

○四塚委員 基準に盛り込まないと忘れられてしまうと思いますので。

○神野部会長 その点について、事務局からコメントがあればいただいておきますが。

○宮崎参事官 まず、実務経験という表現がいろいろな箇所に出てくるのですけれども、恐らくそれぞれの役割によって求められる実務経験の種類というのがあるのかなと思っております。例えば管理運用業務担当理事であれば、まさに徳島委員なり四塚委員から御指摘があったようなところ、あるいは同等の力量が求められるということだろうと思いますし、一方、監査委員として実務経験を有するという場合には、そういうポートフォリオマネジメントが必須なのか、あるいはもう少しリスク管理のほうに重きがあるのかということもあるでしょうし、また、学識経験をお持ちの方の中で実務経験を持っている方の場合だと、もう少し違うこともあるでしょうし、少し濃淡があるのかなと思っております。そこを詳しくそれぞれに書き切れないところがございまして、表現としては少し抽象的になっているというのが正直なところでございます。

○四塚委員 済みません。それは全員ということではなくて、1人か2人は必要だろうという趣旨です。

○宮崎参事官 そういう意味で、今、四塚委員から御指摘がありましたように、各経営委員の構成ということで考えますと、実務経験を持っている方が入るという意味で基準もありますので、そういう中にそういう方が必要だということだろうと思います。例えば証券アナリスト等の各種の資格につきましても、そういう方が何らかの形で入っているということ、趣旨であるとすれば、具体的には書けませんけれども、全体のバランスの中でそういう方も入ってくるということになるのではないかなと思っております。

○神野部会長 済みません。杤原委員、お待たせしました。

○杤原委員 発言の機会をありがとうございます。この基準自体に具体的にどう書き込んでほしいということではないのですが、運用に関する意見が1つと、質問が関連して2つございます。

 運用に関する意見のほうですけれども、経営委員会の委員は最終的には塩崎厚生労働大臣が任命をされるものですので、前回の意見にもありましたが、任命基準を余り細かくし過ぎると、大臣の選択肢が物すごい狭くなりますので、そことのバランスを考える必要があるのではないかと感覚的に思っております。ただ、一方で、皆様方から御意見が出ていますように、経営委員会は経営や運用のプロである。執行部が経営や運用のプロでありますので、彼らの上に立って経営管理をするということでございますので、それより一段高い内外の経済、金融情勢ですとか、最近でいけば地政学のリスクについても念頭に置いていただく必要があると思いますので、そういったものを的確に把握していただきつつ、加えて当然ながら高度な経営知識、経験に基づいた判断を行うことができる方が経営委員会のメンバーなのだと思います。その意味で、例えばもし学術分野の方が選ばれる場合でも、例えば社外取締役の経験がある方等を念頭に置いて選ばれるような形が望ましいのだろうと思っております。

 これに関連して、厚生労働省さんのほうに2点ばかり御質問でございますが、問題は、常勤、非常勤いずれにいたしましても、就任される方は、法律上、活動に物すごく制約がかかりますので、彼らの報酬額が幾らになるのか、我々委員は現在知らされておりませんので、経営委員になられる方の権利、活動の制約と彼らに与えられる報酬とのバランスの問題を考えてあげる必要があるのではないかと思っています。可能であれば、執行部がいただける報酬額と経営委員の報酬額のバランスの相場観みたいなところを我々委員に教えていただけないかということでございます。報酬が低いのに物すごい制約を課して、なり手がいるのかなというのもありますし、ある程度フリーハンドの部分がないといけないと思いますし、経営委員とプロである執行部の皆さんとの報酬のバランスがあって基準をどうするか、どんな人が選ばれてくるかということになるのではないかと思いますので、その辺の相場観がもしあるのであれば教えていただきたいというのが質問の1点目です。

 質問の2点目は、年齢制限をかけたほうがいいのか、かけないほうがいいのかというのが資料からは読み取れませんので、一億総活躍の社会であって、生涯現役でやっていただきたい、知識は日本のため、年金受給者のために使っていただくのだということであれば、年齢制限はつけるべきではないと思いますし、国のほうの審議会等では一応70歳定年目安というのがありますので、国の関係の独立行政法人でありますので、そういったところを我々はそんたくしたほうがいいのか、しなくていいのか。年齢制限のところも大事なポイントかと思っております。

 2点ばかり御質問でございます。

○神野部会長 ありがとうございます。

 最初の点は権利制約と報酬の相場観。具体的でなくてもいいのですが、考え方。後者について言えば、年齢にかかわるような制限の考え方についてどうかという御質問ですが。

○宮崎参事官 まず、1点目の報酬ですけれども、この任命基準とは必ずしもかかわりませんけれども、経営委員に入られる方々につきましては、従来の運用委員とは異なりまして、法人の役員としての職務を担っていただくことになりますので、同種あるいは同様の社会的な役割を担っている機関の役員の報酬等を参考に決めていく必要があろうかと考えております。公的な金融機関における例えば社外取締役のような立場の方の報酬ですとか、あるいは他の公的機関における同種の役員の報酬など、非常勤、常勤役員の報酬などを参考に決めていく必要があるのだろうと思います。

 その意味では、これまで運用委員につきましては役員ではないということもあり、業務としては大変御負担をおかけしており、かなり重たい責務を担っていただいておりましたけれども、報酬という面では委員等謝金並みのかなり低い水準の報酬しかお渡ししておりませんでした。それとは異なりまして、全く違う報酬体系になろうかと思います。

 具体的な報酬の水準につきましては、法人のほうでも第三者の意見なども聞いて設定をしていく、先ほど申し上げたような他の同種の法人等を参考にして決めていくということになろうかと思います。

 年齢制限に関しましては、法律、あるいは今回の5、6、7ページに記載しております基準の中では具体的な年齢制限等を設けることは入れておりません。一方、職務を遂行するに当たり、「健康上又は業務上の支障がないこと」というのをそれぞれに入れておりますので、その中で5年という任期を全うするにふさわしい健康状態の方を任命するという中で、実際にそういう職務に耐え得るのかというところを考慮していくということだろうと思っております。

 以上でございます。

○神野部会長 よろしいですか。

○杤原委員 はい。

○神野部会長 ほか。どうぞ。

○平川委員 意見だけ言わせていただきたいと思います。基本的に国会のこの法案の審議の議事録をいろいろ見させていただきました。そこでは、厚生労働大臣が「全員が被保険者の利益のために行動するというのは当然だ」と答弁しています。この答弁は、今回の議論の前提で、それをまず大切にしていくということが重要ではないかなと思います。

 5ページの経営委員会の構成のところの「被保険者の利益を代表する者及び事業主の利益を代表する者」については、これも国会の中で代表する者についての人数、数が少ない、多いという議論がある中で、それぞれの代表する者の意見反映がしっかりできるようなものにしていくという答弁が大臣のほうからも出されておりますので、その辺についても社会保険の自治という観点も含めて、この辺の基準について重要視をしていかなければならないのではないかと考えております。

 欠格事由のところで神作委員が会社法の関係を言われていまして、私も、あ、そういう考え方があるのだと思ったので、大変勉強になりました。利益相反の関係は国民の目から見て関心があるところだと思いますので、そういうところも含めてしっかり検討していただければなと思っております。

 以上です。

○神野部会長 どうもありがとうございました。

 ほか。どうぞ。

○井上委員 ありがとうございます。

GPIF役員の任命及び承認に関する基準に盛り込むべき事項につきましては、前回も皆様から御意見があったように、あまり細かく規定し過ぎると、適切な候補者が見つからないのではないかと思いますので、基準としてはこのような形で異論はございません。

 1つ質問ですけれども、「厚生労働大臣は委員長及び委員を任命するに当たっては、被保険者の利益を代表する者並びに事業主の利益を代表する者各一名を、関係団体の推薦に基づき任命する」と法律に定められていますが、これらの方々は、「経済、金融その他管理運用法人の業務(資産運用及び経営管理を除く)に関する学識経験又は実務経験を有する者」、「資産運用の学識又は実務経験を有する者」、「経営管理の学識経験又は実務経験を有する者」のいずれに含まれるのかというイメージがあれば教えていただきたいと思います。

○神野部会長 よろしいですか。どうぞ。

○宮崎参事官 最終的には関連する団体からの推薦を受けて厚生労働大臣が任命する形になります。関連する団体の推薦する方が具体的にこのような項目に該当する方を推薦してくれという形を事前に申し上げるわけではないので、あらかじめ決まっているわけではないわけでございますが、ただ、想定しているものといたしましては、例えば経済、金融、その他管理運用法人の業務に関する学識経験を有する方であったり、あるいは経営管理の実務経験を有する方に該当する方がイメージとしては一番合うのかなと考えているところでございます。

○神野部会長 ありがとうございます。

 よろしいでしょうか。

 ほか。どうぞ。

○河村委員 恐れ入ります。5ページの構成のところです。1、2、3と、あと人数が何人以上何人以内ということで、うまく割り振っていただいているなと思うのですけれども、ちょっと心配なのは、この基準を運用するときのことなのです。前回の資料をおつけくださっていて、12ページのところにありまして、9名の委員の方を3つのグループに分けて、いっせーの、せで全員一遍に任期が来ないように、3つに分けて、ずらす形でやるということで、これが最大のリスクに対する配慮になっていていいとは思うのですが、これは国会の同意の人事でもないですし、厚生労働大臣がお決めになるということで、ただ、こういう政治任用であるだけにいろんな思惑が入ってくることもあり、今のような長期政権のときにそういうことは心配しなくていいのかもしれませんけれども、いろんな政治情勢の局面に当たることも考えられたり、そういう動きを市場は待ってくれないですね。いつ何どき大きな変動があるようなことに見舞われるかもしれないといったときに、5ページのところに戻って、3つのグルーピングで分けて、こういういろいろな資質を持たれた方ということで挙げているのですが、極端に言って空席ができてしまったりして、一時的に運用委員会のメンバーが偏ってしまったり、いろんな事情、政治的なやむを得ない事情でおくれたり、ずれたりということがあって、偏った状態のときに大変な判断を迫られたりするようなことにならないかなと。

 普通の経営委員の方はそこまで心配しなくてもということなのかもしれないですけれども、執行部のほうということになると、また話が別で、大変なことになるかもしれませんし、そういったあたり、空白が生じないようにどう回していくのかということを少し考えて、この事項に盛り込むのがいいのかどうか、なかなか難しいところもあるかもしれないのですが、あらかじめそういうことを想定して考えなくていいかなと思いました。

 以上です。

○神野部会長 ありがとうございます。

 盛り込むかどうかは別にしても、空白等々への対応などについての考え方が今あれば、御説明いただければと思います。

○宮崎参事官 河村委員御指摘のように、今回役員として経営委員を任命するに当たりましては、任期を3つの期に分けて任命するということで、一斉にかわってしまって、例えばその時期にリーマンショックのようなものが来て、皆が全部新しくなったばかりということがないように、期をずらすという仕組みを取り入れたところでございます。リスク管理という意味でもそのような仕組みを取り入れたところでございます。

 したがいまして、この任命に当たりましては、9名の委員の任命に際して任期をどのように分けるかということは、それぞれの皆さんの御事情なり、あるいはバックグラウンドなりを十分配慮して、先生御指摘のように、例えば資産運用の方だけが同じ時期に一斉にかわってしまうということがないようにするということは必要があろうかと思います。御指摘ありがとうございます。

○神野部会長 よろしいですか。

○河村委員 はい。

○神野部会長 どうぞ。

○大野委員 今の河村委員の御指摘とも関係するのですが、今回の経営委員は大変責任も重く、高い専門性も求められる人材を探さなければいけないということで、そういった人材を探してくるというところで非常に困難な局面があることも十分可能性としてあるのではないか。では、任期が5年で、再任は制限はなしと。回数も1回でも2回でも、特に制限はなしということで、そういった適任の方が見つからない場合に再任をお願いするということで、合計10年。さらに見つからなければ15年ということもあるかと思うのですが、そうしていきますと、もともとそれなりに御経験のある方を探してくるということで、それなりの年齢の方がそもそもつかれて、そこからさらに10年とか15年ということになってくると、御本人の健康上の問題ですとか、体力の問題ですとか、そうではなくて、それ以外のことも含めて、次の後任をということを考えざるを得ないような局面も出てくるかと思うのですが、そういうときに、たまたま適任の方が見つかって、だけれども、その方のタイミングとうまく合わない場合に、例えば再任を2回して3期目に突入された方が、5年を全うせずに1年で次の方に交代していただくとか、もちろん御本人の希望があった上でということになるかと思うのですが、5年、5年、5年で回していってうまくいかないような場合があったときに、途中で辞退ということについて、特に制限なしと考えてもよろしいかということを伺えればと思います。

○神野部会長 よろしいですか。

○宮崎参事官 ありがとうございます。

 今、大野委員からお話がありましたように、例えば任期の途中で何らかの理由でおやめになるということは当然あることだと思っておりまして、1回任期期間を終えて、でも、後任の方がいらっしゃらないし、御本人もしばらく続けるということで、もう一回再任をしたと。ただ、再任して、1年後とか2年後とかにその方がおやめになって新しい方が入るということは、法律上の制約があるわけではございませんので、十分そのことは想定をされると思います。その場合には、5年のうち、例えば前任の方が再任された後1年でやめた場合には、残る4年の任期を後任の方が引き継がれるということを法律上は予定しているということでございます。

 必ずしも同じ事例ではございませんけれども、例えば現在も理事長に関しては5年の任期でやっておりますが、現在のGPIFの理事長の前任の三谷理事長は、再任されて2期目に入っておりましたが、御本人からの申し出がございまして、再任後1年たったところで御退任されて、今の高橋理事長を残任期間で任命をしたという経緯もございます。5年と決まっているから、必ず5年全うしなければいけないという規定ではございません。

○神野部会長 よろしいですか。

○大野委員 はい。

○神野部会長 いかがでございましょうか。どうぞ。

○永井委員 基準ということにならなかったら申しわけございません。運用の面になるかもしれませんが、2点意見を述べさせていただきます。

 1つは、経営委員と資金運用部会の委員が兼務することがあるのかということでございます。前回の事務局からの御説明では、執行と監督の分離は最も重要な点であるといったこととか、この部会における毎年の独法の評価とか、法人を外から評価していく仕組みも別途あるといった説明がございました。ガバナンスの強化という目的から考えれば、経営委員と本部会委員の兼務というのはまずないのだろうと思われますので、明記をするとか、そういうことも必要かということを述べたいと思います。

 もう一つは、先ほど平川委員のほうからもありました利益相反のことですが、今まで出ておりますとおり、責務も非常に重い方々になりますので、一般的に想定されているような、例えば国家公務員の倫理規程であったり、民間の会社であるような規定、例えば利益相反を行わない旨の宣誓の実施とか、国家公務員倫理規程を参考にした利害関係者からの供応接待の禁止であるとか、株取引を行う場合には報告の義務づけをする、また、株取引自体を禁止するといった行動規範というものを強化していく必要もあるのではないかということを述べさせていただきます。

 以上です。

○神野部会長 これについてはいかがでしょう。第1、ここのメンバーと兼務が可能か。もう一つは今の利益相反にかかわる点。2点について。

○宮崎参事官 必ずしも本部会の委員と経営委員とが自動的に全くだめだということではないと思いますけれども、永井委員御指摘のように、中期目標などを設定する部会でもございますので、それと法人の役員になる方が兼務するということはなかなか想定しづらい部分であろうかなと思っております。

 2点目の利益相反等に関する規程というのは、これは新しいガバナンスもさることながら、今のGPIFでも利益相反に関してはかなり慎重に種々の内部規程等を設けてやっておりますので、これは当然10月1日以降も同種の厳格な内部の規程等も含めまして利益相反が生じないようにするということがあろうかと思います。もちろん、法律上も受託者責任等の規程がございまして、そのようなものはできないということでございますけれども、具体的に永井委員御指摘のような株取引あるいは特定の会社に利するようなことはしないということは、行動規範等々でも細かに規定をしているということでございますので、引き続きそれはきちんと規定をしていく必要があろうかと思っております。

○神野部会長 ありがとうございます。

 植田委員、いいですか。何かございますか。

○植田部会長代理 1つだけ、最初のほうで議論になりました近い過去に金融機関に勤めていて、あるいは資産運用者であった人をどう扱うかという問題ですが、いろいろ懸念はあるものも、皆さんおっしゃいましたように、明示的に過去10年やっていた人はだめであるという書きぶりをしてしまうのは、選択肢を極端に狭めてしまうという観点から私も無理かなと思います。

 若干関連する話としては、例えば日本銀行の政策委員の任命において、金融機関出身者というのが常時1~2名いるわけですが、その場合も過去5年はやめていた人という基準はなくて、大抵の場合は直前まで副頭取等をしていた人がおやめになって日本銀行に移られるというケースであったかと思います。私の経験を思い出してみますと、それによって内部での議論がゆがめられたか。つまり、出身母体の利益になるような、利益を誘導するような発言をそういう人たちがしたかというと、そういうケースはなかったように記憶しております。

 ただ、今回資産運用がメーンの業務という中で、もちろん一方では近い過去にそういうことをしていた人を排除すると、いよいよ仕事が難しくなるという点がありますが、他方で、例えばどこかの投資銀行の投資部門で働かれていて、GPIFに入られまして、プライベートエクイティーへの投資の割合をどれくらいにしたらいいかという議論をしたときに、広い意味でその業界を利するような形で、ちょっとそこは高いほうがいいというような発言が出るかどうかというあたりが心配されるところだとは思いますが、その場合も、先ほどのような過去の仕事の範囲についての規定でという形でそういう議論を排除するのは、やはり筋が悪いような気がいたします。再就職規定であったり、そもそもその会議の中での議論において特定の業界あるいは特定の会社の利益に資するような発言を慎むことというような基準から考えていただくというほうが本筋のような気がします。

 ちょっとまとまらない意見ですけれども。

○神野部会長 ありがとうございます。

 ほか、いかがでございますか。どうぞ。

○河村委員 今、お話が出ている点というのは、経営委員のところで運用担当理事のところに関係する話になりますか。それは関係ないということでいいですか。

○神野部会長 今の。

○河村委員 民間金融機関の近い過去での経験がと言うときにですね。

○神野部会長 どうぞ。

○宮崎参事官 運用担当理事も役員としてかかわってまいります。

○神野部会長 どうぞ。

○河村委員 ただ、注意したほうがいいのは、GPIFの場合は、これだけのファンドをじかに運用しているわけでなくて、金融機関にいろんな委託で出しますので、そういう意味での規律づけというのは、別の意味ではっきりしておいたほうがいいと思います。

○神野部会長 ほかにございますでしょうか。どうぞ。

○臼杵委員 ありがとうございます。遅くなりまして済みません。

 2点ございまして、1つは、今の7ページの欠格事由とも関連するところですが、これは質問なのですが、「取引上密接な利害関係を有する者」というのは、具体的に直接の関係としては資産運用とカスタディと、場合によってはコンサルティングぐらいを考えるのですけれども、そういう限定をしてしまうという意味でいいか。「であって」というのは、限定なのかどうか。つまり、例えば金融機関ですと、資産運用会社の上にホールディングカンパニーか何かわかりませんが、そういうグループ会社みたいなものがあると思うのですけれども、そこは除外というか、欠格事由に当たらないという理解でいいかというのが1つ目の質問です。既にお話があってダブっていたら申しわけございません。

 もう一つは、5ページのマル2の1「その他管理運用法人の業務」というところについてですが、これは私の意見というか、希望なのですが、余り限定してしまって、そういう人がいないということであれば、それは仕方がないのですが、すでに事務局からご説明があったようですが可能であれば例えば社会保障ですとか年金制度あるいは年金数理等の学識経験、実務経験のある方も考えていただければなというのが希望でございます。

 以上、2点です。

○神野部会長 これは、いいですか。事務局、どうぞ。

○宮崎参事官 まず、2点目のほうは、先ほどどういう分野を想定するのかということで、年金制度とか財政というお話をさせていただきましたので、そういう方々も入ってくるのだろうと思って、対象としては除外されるものではないと思っております。頭出ししているのは、いずれも法律上書いてある事項ですので、その他の中には入ってくるのかなと思っております。

 欠格事由に関してですが、まず法律上の要件ということで考えますと、法律上は人の資格にかかわることでありますので、厳密に考えるという立場に立てば、直接に利害関係を有している事業者が対象になってくるのだろうと思います。この規定の書き方からしますと、銀行業等、金融事業を行う者ということで、分野としては幅広くとった上で、直接取引関係があるところを除外するということですので、受託運用機関の取締役あるいは社外取締役を含めて役員をされているような方はなれないという規定であろうかと思います。

 ただ、例えばフィナンシャルグループみたいな形で親会社になっているような場合は、この規定で直接射程なのかどうかというのは、もう少し厳密に考える必要があるのかもしれませんけれども、親会社の役員の方も利益相反ということは問題になってくると思いますので、そういう方もこの欠格事由の趣旨を踏まえれば役員にするというのは難しいだろうと思っております。親会社のような場合です。

○神野部会長 よろしいですか。どうぞ。

○臼杵委員 わかりました。ありがとうございます。

 そういう意味では、先ほどお話がありましたように、報酬面でそこをやめて来ても下がらない水準というのは難しいかもしれませんけれども、ある程度やめてもいいかなというぐらいの報酬でないとちょっと難しいかなと思います。

 以上です。

○神野部会長 ほか、よろしいですか。どうぞ。

○杤原委員 先ほどの植田部会長代理のお話に関連するのですが、欠格事由は欠格事由なのですけれども、今回の役員に期待されるレベルというのが、経営とか運用とか管理とかのプロの方ということになっていまして、欠格事由のほうでそういう人を徹底的に排除してしまうと、10年前に金融をやっていた人が今回雇われてきたときに、その知識が役に立つのかというそもそも論に行き当たるような気がするのです。では、これからフィンテックにどうやって道を切り開いていくのかという話が出てきたときに、10年前の知識の方でその知見と聞かれても、能力的にどうかなというのもありますし、植田先生が言われたように、直前でそういうところに従事していて、将来のことも見渡すことができる人にいていただいたほうが、むしろこれからのGPIFさんのほうに役に立つということであれば、その兼ね合いと、そういうことに専念していただける方は責任もありますし、日常の活動も制限されるわけですし、私生活まで制限を受けるわけですので、それなりの報酬が用意できて、そこのマッチングを大臣がしんしゃくされて、任命されるということで、余り厳密にやられると、塩崎大臣の選択肢が物すごい狭くなってしまいますし、結果的にGPIFが本当に必要としている人を雇えないということにもなりかねませんので、そこのバランスが非常に大事だと思っております。

○神野部会長 ありがとうございます。

 ほか、よろしいですか。

 どうもありがとうございました。御熱心に御議論頂戴したことに感謝申し上げます。

 本日頂戴いたしました議論を勘案しながら、事務局においては、役員の任命基準を作成していただきたいと思います。

 その上で、基準として盛り込むべき事項について、きょうさまざまな御議論を頂戴したのですが、私の印象としては、基準として盛り込むべき事項については、ほぼこの程度でいいのではないかという御議論が多かったような印象を受けておりますが、一方で、少し変えたほうがいいのではないかという御意見も頂戴いたしております。この点については、私に御一任いただいて、とりわけ構成の問題とか欠格事由にかかわる問題、これは大臣の任命責任があることと、さはさりとて、株式会社と類似しているではないかということなどのバランスを考えなくてはいけないかと思いますが、この点については私のほうに一任させていただいて、神作委員も四塚委員も御退場されているので、それぞれ御発言いただいた委員にも相談しながら、私と事務局でまとめさせていただいた上で、次回のこの委員会に御報告申し上げると。その過程で御出席の皆様方にも御意見を頂戴することがあるかと思いますが、そうした作業をさせていただくことについて御承認いただければと思いますが、よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○神野部会長 それでは、そのようにさせていただきます。どうもありがとうございました。

 ちょっと微妙な時間なのですが、まだ終わりの時間ではないので、冒頭御説明申し上げましたように、次回の議論の頭出しといいましょうか、そうした資料を事務局のほうで準備していただいておりますので、その他の議事としてつけていただいている「GPIF改革の施行(10月1日)に伴い、政省令等において定めることが必要となる事項」という資料について、まず御説明いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○宮崎参事官 ありがとうございます。

 それでは、頭出しということで、簡単に参考資料として1枚お配りしておりますので、次回以降、政省令等において定めることが必要となる事項ということで、御議論の対象になる範囲がどのような範囲になるかということを御説明させていただきます。

 項目としては5項目ございます。経営委員会の関係、再就職規制に関する関係、運用関係、情報開示、その他ということでございます。3点目の運用関係を除きますと、それ以外が組織、ガバナンスにかかわる内容になります。

 そのうち経営委員会関係といたしましては、監査委員会、経営委員会の議決事項に関して規定する必要がございますし、また、開催頻度をどの程度にするかということ、おおむねの目安のようなものを規定する必要がございます。

 再就職に関する規制につきましては、今回のGPIF改革を議論する過程におきまして、他の独立行政法人一般に求められております再就職規制よりも強目の規制をかける必要があるのではないか。具体的に申し上げると、利益相反を回避する観点から国家公務員並みの規制を設ける必要があるのではないかということで、そのような改正を行ったところでございますので、そうした趣旨に沿いまして、再就職に関する規制、具体的には政省令等の規定を御確認いただく必要があるのかというふうに考えてございます。

 組織、ガバナンスの関係では、情報開示として経営委員会の委員長が公表する会議の議事録、その他の書類の内容、公表時期、運用実績の公表頻度、公表する書類、あるいは管理運用業務担当理事の代表権の範囲などを御議論、御確認いただく必要があろうかと思っております。

 運用関係といたしましては、今回、現在認められているデリバティブ取引に加えまして、政令でリスク管理を目的とした範囲でございますけれども、デリバティブ取引を追加することができるという規定に変更したところでございまして、これにつきましては、既に年金部会の御議論の際に、具体的に当面導入すべき取引内容というものを御議論いただいた経緯がございますので、そうした経緯を御説明させていただいた上で、御確認いただきたいと考えております。

 以上、組織関係で経営委員会、再就職規制関係、情報開示、その他というものがあり、また、運用関係ではデリバティブの政令指定の部分が1件あるという状況でございますので、こうした点について次回以降資料を用意して御説明させていただき、御確認いただきたいと考えております。

 以上でございます。

○神野部会長 どうもありがとうございました。

 それでは、本格的には次回以降御議論を頂戴いたしますが、この時点で御質問等々ございましたら承っておきたいと思います。いかがでございましょうか。どうぞ。

○河村委員 恐れ入ります。運用関係でデリバティブの範囲となっているのですが、この「政省令等において定めることが必要となる事項」というのは、あくまで今回の法改正に伴って政省令で定めることが必要になることという理解でよろしいですか。そうすると、運用であればもっといろんなことがあると思いますが、今回についてはこのデリバティブの部分だけという理解でよろしいでしょうか。

○神野部会長 どうぞ。

○宮崎参事官 まずは10月1日の施行に向けてということで考えますと、改革に伴って御確認、御議論いただくことが必要な事項ということだと思います。

 運用の改革につきましては、もちろん法改正の中では施行後3年を目途として検討を行い、必要があれば措置を講じるというような検討規定が入っておりますので、今後この部会での御議論の対象になってこようかと思いますけれども、当面の施行に向けて必要な政省令を定めるという作業の中では、これまで年金部会等で御議論いただいた内容を御説明させていただいて、その範囲でまずは御審議いただくのかなと考えております。

○神野部会長 よろしいでしょうか。

○河村委員 はい。

○神野部会長 ほか、いかがでございますか。どうぞ。

○徳島委員 済みません。ご説明を聞き漏らしたかもしれませんが、2点目の再就職に関する規制関係が適用されるのは、理事長様、理事様、常勤の監査委員ぐらいまでというイメージでよろしいのでしょうか。それとももうちょっと幅広い対象が想定されているのでしょうか。教えてください。

○宮崎参事官 役員の中ではそうですけれども、また、職員もかかわってまいります。例えば運用のプロ職として雇っているような方も含めて、そういった方々に対する規制ということになります。

○神野部会長 よろしいですか。

○徳島委員 はい。

○神野部会長 ほか、いかがでございますか。どうぞ。

○大野委員 運営委員会は理事長を含めて10名ということで、経営委員会ではさまざまな決定事項について審議をして決定していくということで、10名という人数ということですけれども、過半数で決をとるのか、あるいは決まらなかった場合に理事長に一任ですとか満場一致ですとか、そういったことも次回に審議をするという理解でよろしいのでしょうか。

○神野部会長 よろしいですか。どうぞ。

○宮崎参事官 失礼しました。その点は、実は既に法案の中で規定をしておりまして、経営委員会につきましては、可否同数の場合は委員長が決めるという規定になっておりますので、10人フルにそろって、5、5で意見が分かれた場合には、最終的には経営委員長が決めるという仕組みになっております。それは法律段階で規定しておりますので、今回の議論の対象にはならないということでございます。

○神野部会長 ほか、いかがでございましょうか。どうぞ。

○井上委員 今回のこの改革の目的がガバナンスの強化ということになりますので、これまでの運用委員会で改善をしなければならないと思われるような事項を整理して、この政省令でしっかり決めていく必要があるのではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。

○神野部会長 ありがとうございます。

 ほか、頂戴できる。よろしいでしょうか。

 それでは、次回以降、今、御説明いただきましたことに関連した御議論を頂戴しますので、本日は、この議題についてはこれで閉じさせていただきます。

 そういたしますと、予定しておりました議事につきましては終了いたしておりますので、事務局のほうから連絡事項、その他ございましたらお願いいたします。

○宮崎参事官 次回の部会の開催日時、来月になろうかと思いますけれども、現在、事務局のほうから各委員の皆様の御都合をお伺いしております状況でございますので、それを踏まえまして調整させていただいて、追って会場を含め、正式な御案内をお送りさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○神野部会長 次回の開催につきましては、今、御説明いただきました次第でございますので、御承知おきいただければと思います。

 それでは、本日の審議はこれにて終了させていただきます。御多用中のところわざわざ御参集いただきまして、実り多い議論を頂戴いたしましたことに感謝申し上げる次第でございます。

 どうもありがとうございました。