2016年2月8日 第37回社会保障審議会年金部会

年金局

 

○日時  平成28年2月8日(月)16:00~19:00

 

○場所  東京都千代田区霞が関1-2-2

厚生労働省 18階「専用第22会議室」

 

○出席者

神 野 直 彦 (部会長)

駒 村 康 平 (委員)

出 口 治 明 (委員)

原 佳 奈 子 (委員)

平 川 則 男 (委員)

藤 沢 久 美 (委員)

牧 原    晋 (委員)

宮 本 礼 一 (委員)

諸 星 裕 美 (委員)

山 口    修 (委員)

山 本 たい人(委員)

米 澤 康 博 (委員)

岩 間 陽一郎(委員)

菅 野 雅 明 (委員)

堀 江 貞 之 (委員)

○議事

○神野部会長 それでは、定刻少し前でございますけれども、委員の皆様方はおそろいでございますので、ただいまから第37回「年金部会」を開催したいと存じます。

 大変お寒い中、また、何かとお忙しいみぎりに重ね重ねでございますが、お集まりいただきまして、ただただありがたく思っております。伏して御礼を申し上げる次第でございます。

 本日の委員の出欠状況でございますが、植田委員、小塩委員、菊池委員、小室委員、佐藤委員、武田委員、森戸委員から御欠席との御連絡を頂戴しております。

 御出席いただいております委員の方々が3分の1を超えておりますので、この会議は成立していることをまず初めに御報告申し上げたいと存じます。

 なお、後ほど改めて御紹介申し上げますが、本日の議事といたしまして「年金積立金の管理運用に係る法人のガバナンスの在り方について」を準備いたしておりますが、このガバナンスのあり方については、専門委員でいらっしゃる岩間委員、菅野委員、堀江委員にも御議論に参加していただくことになっております。伊藤委員からは、御欠席との御連絡を頂戴いたしております。

 初めに、議事に入ります前に、事務局から出席者の御紹介と資料の確認をさせていただきます。事務局、よろしくお願いいたします。

○総務課長 事務局からの出席者ですが、お手元の座席図のとおりとなっております。

 それから、お手元の資料について確認をさせていただきます。

 本日は、配付資料といたしまして「資料」と書きました「GPIF改革に係る議論の整理(案)」、参考資料として「GPIF関係」という2つの資料を準備させていただいております。

 また、御欠席の伊藤先生と、出口先生、宮本先生、平川先生のそれぞれの意見書の提出をいただきましたので、添付をさせていただいております。

 漏れ等がございましたら、事務局まで御連絡ください。

○神野部会長 どうもありがとうございました。

 お手元の資料を御確認いただければと思います。

 よろしいでしょうか。

 それでは、大変恐縮でございますけれども、カメラの皆様方にはここにて御退室をしていただきたいと存じます。御協力を頂戴したいと思いますので、よろしくお願いします。

(カメラ退室)

○神野部会長 それでは、議事に入らせていただきます。

 お手元の議事次第をごらんいただければと思いますが、本日は、議題2つを用意しておりまして、一つは「年金積立金の管理運用に係る法人のガバナンスの在り方について」、もう一つは「年金積立金の管理運用に係る法人の運用の在り方について」の2つを議事にいたします。

 本日の議事運営につきましてあらかじめ御説明申し上げておきますと、まず、最初の30分程度が1番目の議事で、ガバナンスのあり方について御議論を頂戴できればと思いますが、前々回の部会で皆様方から頂戴いたしました御意見を踏まえて、必要な修正を加えた議論の整理(案)を準備いたしておりますので、これは御確認をいただきたいと思っております。

 残りの時間で議事の2つ目の運用のあり方について、これもこれまでの意見を事務局で議論の整理(案)としてまとめてもらっておりますので、これに基づいて議論の整理を行いたいと考えております。

 まず初めに、議論の整理(案)のうち、第1の議題にかかわる「(1)更なるガバナンス体制の強化」の部分について、事務局から資料の御説明をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

○大臣官房参事官(資金運用担当) お手元にお配りしております資料の「GPIF改革に係る議論の整理(案)」に沿いまして、御説明させていただきます。

 今、お話にございましたガバナンスのあり方に関しては、この資料中、1ページ目から4ページ目までに記載があるところでございます。

 まず、1ページ目につきましては、これまでのGPIF設立時の考え方あるいはその後の経済・運用環境の変化等、今回の改革に至る背景や経緯等が書かれてございます。

 1ページ目の下のほうでございますが、これまでの取り組みといたしまして、GPIFにおいては、こうした経済・運用環境の変化の中で、インフラストラクチャー投資の開始、JPX日経インデックス400等の採用、物価連動国債の購入開始、日本版スチュワードシップ・コードの受け入れ、基本ポートフォリオの見直し、国連責任投資原則への署名等の運用の見直し等を実施してきたところでございます。

 これらの取り組みにつきましては、それぞれGPIFの中におきまして、運用委員会に諮った上で取り組みを行い、また、そのタイミングであるいは各年度の業務概況書の公表という形で発表を行ってきたということでございます。

 また、ガバナンスにつきましては、独立行政法人改革等に関する基本的な方針や「日本再興戦略」改訂2014等に基づきまして、職員数や給与水準の弾力化、あるいは役員の増員、基本ポートフォリオの変更等につきまして運用委員会の議決事項とすることによる実質的な合議制の導入、ガバナンス委員会の設置等々の取り組みを進めてきたということでございます。

 2ページの中段「2 更なる改革の方向性」でございますが「(1)更なるガバナンス体制の強化」でございます。

 2番目の○ですけれども、GPIFにおける現状、実質的には運用委員会において審議をされて、その内容を合議で決定しており、また、運用委員会が執行部を監視する仕組みとなっております。しかしながら、法律上は理事長に意思決定権限が集約された独任制であり、運用委員会は理事長の諮問機関という位置づけにすぎず、また、運用委員会の委員は全員が非常勤であり、その監視の実効性に限界があると。

 このため、GPIFについては、140兆もの年金積立金を運用する世界最大規模の公的年金運用機関として独任制はふさわしくなく、また、独任制では「専ら被保険者の利益」にそぐわない目的で運用が行われかねないのではないかといった懸念がいまだ指摘されることから、こうした疑念を払拭し、運用に対する国民の信頼を高めるためにも、法律を改正し、その意思決定は合議制機関が行い、そして、執行部門の責任と権限を明確にした上で、両者を分離し、日々の執行部門の活動を意思決定機関が適切に監督する枠組みを法的に担保することにより、ガバナンス体制を名実ともに整えることが必要となっている。

 このようなさらなるガバナンス体制の強化につきましては、当年金部会に設置いたしました年金積立金の管理運用に係る法人のガバナンスの在り方検討作業班における議論を踏まえてまとめられた報告、あるいは、当年金部会での議論などをもとに、27年12月25日に事務局より「ガバナンス強化のイメージ(案)」が提示され、当該イメージ(案)については、おおむねその方向性について合意されたところであるが、以下のとおり、一部意見が分かれた点やさらなる検討の必要性を指摘する点もあったとしております。

 一部意見が分かれた点あるいはさらなる検討の必要性を指摘する点のうちの1点目が、合議制機関についてでございます。

 マル1として拠出者代表の参画についてですが、下線部は前回から変わった点であります。

 イメージ(案)においては、運用委員7名(定員11名以下)及び監事2人のうち労使団体の推薦する者が各1名加わっている現状と同規模とする観点から、うち3人は監査等委員を兼任している中で、この経営委員9人に「被保険者及び事業主の立場を適切に代表し得ると認められる団体の推薦する者各1人を含む」との案が提示された。

 これに対し、以下のような意見があったということで、労使の代表が少なくとも複数以上、過半数に近い数を占めるべきであるとの意見、年金積立金の運用は労使のみならず、受給者等にも関係することから、経営委員は国民全体を代表する立場で参加すべきであり労使の代表は各1名程度とすることが適当であるとの意見、また、委員を選任する過程で拠出者である労使が関与する仕組みが必要であるとの意見、労使の参画については、法律に規定のない現状の仕組みを改め、新制度においては法律で明確に規定すべきであるとの意見でございます。

 また、委員会の設置につきましては、監査等委員会以外の委員会は設置すべきではないとの意見があったという記載をしております。

 執行部と合議制機関の関係について、これは前回の内容と変わっておりません。

 加えて、最後、その他でございますけれども、その他、以下のような意見があったというところで、経営委員を含めた役員の利益相反に関する記載につきまして、前回の御議論を踏まえ、少なくとも公務員並みの措置が制度上担保される必要があるとの意見があったということで規定を加えております。

 以上でございます。

○神野部会長 どうもありがとうございました。

 「2 更なる改革の方向性」のうち「(1)更なるガバナンス体制の強化」という点について、繰り返すようですが、前々回御議論を頂戴したものを踏まえて修正したものでございますが、御質問あるいは御意見がございましたら頂戴したいと思います。いかがでございますでしょうか。

 どうぞ。

○宮本委員 ありがとうございます。

 ガバナンスについて、特に労使参画に関する意見を述べさせてもらいます。

GPIFの資金運用については、年金制度全体の運営の一環ですから、年金積立金が仮に毀損した場合、年金制度全体に対する加入者の信頼そのものが損なわれるという大きな懸念事項がずっとついて回ると思うのです。

 法的には大臣に責任があるとは言いながらも、GPIF等の管理運用主体が責任をとるわけでもありませんし、結局は、これは何回も発言してきましたけれども、被保険者、受給者が被害をこうむることになるわけであり、年金積立金の運用においては、短期志向ではなくて、安全かつ確実に長期的な観点からの運用が担保されるべきと思います。

 拠出者である被保険者は、将来の受給者となるため、長期的な視点から、安全、確実な運用を求めるところであり、そういう観点から労使は重要なステークホルダーとしてこの経営委員会に参画をするべきと思います。

 繰り返しになりますが、年金積立金は、年金制度の一部でありますから、公的年金は拠出者を初めとする国民の信頼に支えられた制度であり、仮に積立金の運用における巨額の損失が発生した場合、年金制度そのものへの信頼が揺るぎかねません。

 国民への説明が困難なことをしてブラックボックス化するとすれば、なおさらこの問題は大きな問題だと思います。

 外国の公的年金のガバナンスを見ても、韓国の例でいうと、20分の12が拠出者、スウェーデンでは同じく9分の4が労使推薦、前回、公務員年金が公的年金に含まれるとの説明がありましたが、オランダの職域年金では被用者の代表各6名、カルパースでは6名が加入者代表と、このように諸外国では労使の参画が保障されているわけでありまして、これを参考にすべきだと思います。

 したがって、経営委員会の構成員には、拠出者の代表を複数入れて、過半数を労使が占めるべきであり、構成員12名のうち拠出者である労使が各1名という構成では、全く不十分だと言わざるを得ないと思っています。

 また、GPIFガバナンス強化のイメージ(案)では、役員の選出基準等を審議するとされる社会保障審議会に会議体が新設されることになっておりますが、法人評価を含め重要な役割が課せられるわけでありますから、かつての資金運用分科会のように、常設の会議体とすることが必要であることをつけ加えて発言としたいと思います。ありがとうございます。

○神野部会長 ありがとうございます。

 ほか、意見がございましたら頂戴しておきますが、どうぞ。

○菅野委員 本日、お配りいただきました議論の整理(案)の中で、3ページ目に3カ所の下線部がございますけれども、このうち下から2番目にあるコメントは、私がこれまで申し上げていた点と、本日、伊藤委員が提出されました意見表明の内容と合致するものですので、一言、申し上げさせていただきたいと思います。

 この下線部に「年金積立金の運用は労使のみならず、受給者等にも関係することから、経営委員は国民全体を代表する立場で参加すべきであり労使の代表は各1名とすることが適当であるとの意見」とございます。

 まず、この議論を加えていただきました点につきまして、厚く御礼を申し上げたいと思います。

 次に、コメントですが、一番上のところの「受給者等にも関係することから」の「等」のところですが、前回私が申し上げた点を踏まえて申し上げさせていただけるのであれば、ここには将来世代の論点も入ってくると私は理解しております。

 と申しますのも、本日配付されております伊藤委員の意見表明の下のほうに「まだ生まれていない世代も含めた将来世代の利益を考えなくてはいけません」ということが記されております。その趣旨は、今、宮本委員からも御指摘がございましたけれども、安全に運用するのは当然のことですが、ただ安全運転だけをやっていてはむしろ将来世代の利益を損なってしまう可能性が出てきます。そこが私どもが以前から議論していた問題意識でございます。

 だからといって、リスクのある資産だけでいいということではなく、いかにリスクとそのリターンの調和を考えるか。これをこれまで延々と議論してきたわけですので、その点について、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

 この「受給者等」の「等」には将来世代も入っているということで、特に国民全体を代表する立場から、各経営委員の一人一人がそういう意識で参加すべきだと私は解釈しておりますので、その点をつけ加えさせていただければと思います。

○神野部会長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○岩間委員 今の点でございますけれども、要するに、年金の特徴は時間軸が長いことで、時間軸の長さでリスクを分散する効果があるというのは、皆さんもよく御存じのとおりだと思うのです。

 短期的には、マーケットリスクをとっているわけですから、毀損であるとか、減らされることは当然あるわけですけれども、そういうものを乗り越えて長期的な時間軸で運用ができるのが年金基金の非常に大きな強みであると思います。

 そういう意味で言いますと、宮本委員がおっしゃった毀損がどういう毀損を指すのかということが一つあるのではないかと私は思います。短期的な毀損は当然あるわけです。今でも既に市場リスクはとっているわけですから、そういう状況は当然出るわけですけれども、そういう中で、長期的な視野で時間分散効果をどれだけ生かしてやっていけるかということが鍵になるわけだと私は思っております。

 そういう意味で言いますと、この経営委員というのは、少なくともそういった観点で必要とされる、絶対的なプロフェッショナルという必要性まではいらないと私は思いますけれども、そういう知見を持っている、要するに、そういうことが理解できて、そういう判断ができるという要件が必要だろうと思います。

 もちろん労使の代表の方でもそういう知見を持っておられる方はたくさんいらっしゃると思いますが、そういう意味で言いますと、ある票田の代表者が絶対に必要だということではなくて、国民の利益を代表するという代表的な見地に立って選ばれるべきだと私は思っております。

 前回もその趣旨で発言させていただいたわけですけれども、そういう意味で言いますと、まさに労使代表であろうがなかろうが、そういう観点で適格な人をどれだけそろえられるかということがキーなのだと思います。

 結果として労使の代表がお入りになるのは当然あり得ることだと思いますし、それを排除する必要は全くないと私は思うのですが、労使の代表が過半数でなければいけないという要件がつくと、そういった点で最適な人選ができるかどうかということについて、少なくとも理論上は制約がついてしまうことになるのではないかと私は思います。

 したがって、ここに集約されている原案といいますか、事務局の整理された案が妥当ではないかと私は思っております。

○神野部会長 ありがとうございます。

 ほかはいかがですか。

 平川委員、どうぞ。

○平川委員 ありがとうございます。

 専門委員のご意見として、伊藤先生から「GPIF改革についての年金部会での議論をまとめるにあたっての意見表明」が提出され、岩間先生と菅野先生からもいろいろと御意見をいただきました。

 前回も申し上げておりますが、厚生年金保険法第79条の2では、「専ら厚生年金保険の被保険者の利益のために」ということが明記されておりますので、この点を忘れないでいただければと思います。加えて、「長期的な観点から、安全かつ効率的に行う」ということも法律に書いてあります。

 ですから、積立金のほとんどが事業主負担もしくは私たち被保険者の積み立てたお金で成り立っているということと、被保険者の利益というところをその辺をしっかりと押さえるべきと考えています。

 「まだ生まれていない世代も含めた将来世代の利益」と言われておりますが、それであれば、全て一般的に、例えば、子ども・子育て支援新制度でもそうですが、さまざまな社会保障制度も含めて、さまざまな制度は、国会審議を通じて現在の有権者が、民主主義で選んだ国会議員によって最終的な制度が決定されております。

 そういうところからいうと、生まれていない世代も含めた将来世代の利益を考えてというのは、当然それはそうですけれども、これを理由にして現在の保険料を払っている人だけのものではないということを理屈として導き出すのは、余りにも議論がおかしな方向に行っているのではないかなと思っているところであります。

 それと、事務局に質問ですが、伊藤先生の「意見表明」の下から6行目、「第二に」以降で「国民年金基金の運用も行っています」という表現が正しいかどうか。また、「国民年金には保険料以外にも税金が投入されています」というところでありますけれども、国民年金への税金の投入の仕方はどのタイミングなのかということ、この2点を質問させていただきたいと思います。

○神野部会長 2番目は大丈夫ですか。わかりましたか。

○総務課長 はい。お答えします。

 基礎年金の給付の半分は国庫負担でファイナンスされていることは皆さんよくご存知のことと思いますけれども、制度的にいうと、基礎年金をファイナンスする各制度からの拠出金に対して、その拠出金の半分を国庫負担する形で行われていますので、基本的にはその年度に必要な基礎年金の給付をファイナンスするために必要な国庫負担をその年度に予算計上する形で行われていると御理解いただければと思います。

○神野部会長 どうぞ。

○岩間委員 今の点についてまた付言させていただきたいと思うのですけれども、GPIFは、要するに、運用に特化した機関だと思います。その使命はやはり運用の成果をどれだけちゃんとしっかりと出せるかということにあるのであって、もちろん監視するためにいろいろな仕組みが必要だということでこの議論があるということだと思うのです。

 要するに、それがちゃんとベストな形でできるにはどうしたらいいかということでありしまして、いろいろと御意見はあろうかと思いますけれども、そこはフェアに考えたほうがいい。全体をどうやってうまく持っていくかということで考えたほうがいい。

 ですから、くどいようにはなりますけれども、労使の代表がどれだけいなければいけないという話ではそもそもないのではないかと思います。

○神野部会長 ほか、いかがでございましょうか。

 出口委員、駒村委員、牧原委員といきます。

○出口委員 この論点メモですけれども、前回も申し上げたことの繰り返しですが、今回、より丁寧に書いていただいて、今の意見を拝見していたのですけれども、労使の代表が少なくとも複数以上、過半数に近い数を占めるべきであるとの意見もあったと明記されていますので、私自身、また、岩間委員や菅野委員の言われたように、1名が適当であり、国民全体を代表する立場であるとの意見もフェアに書かれていますので、私自身は今回はまとめの回だと理解しておりますので、この論点メモは、前回までの議論を踏まえてより丁寧にきちんと書かれていて、フェアに書かれていると思いますから、皆さんの意見も十分に反映されたフェアなペーパーであると私は思いますから、これでおまとめいただいていいのではないかと思います。

 ただ、1点だけ意見を申し上げますと、きのう、おとといでしたか、新聞でいろいろとGPIFに関する社説等が載っておりまして、珍しく丁寧に読んだのですけれども、中にはちょっと誤解のあるものも多くて、年金部会でいろいろと議論をしていて、私自身も不勉強ですけれども、感じたことは、メディアを通じても、実態が本当に国民によく知られていない。

 これは原委員もたしか御指摘になったと思いますが、そうであれば、今後、法制化の検討をされる過程で、この論点メモの最後にございますけれども、情報公開について、やむを得ない場合にのみ制限を設け、基本的には可能な限り情報公開はちゃんとしていって、広く国民の理解を得ることが大変大事であると、情報公開するのは広く国民の理解を得ることなのだと、それがあって初めてガバナンス改革もうまくいくのだと私は思いますので、検討の過程では、この最後の点にぜひ重きを置いていただいて、改正に取り組んでいただければ大変ありがたいと思います。

 このペーパーは、そういう面では、あえて言えば、広く国民の理解を得ることという一言を入れていただいたら個人的にはうれしいのですけれども、よくまとまっていると思いますし、フェアであると思いますので、これでまとめていただければいいのではないかと思う次第です。

○神野部会長 ありがとうございます。

 駒村委員、どうぞ。

○駒村委員 トーンとして、出口委員と結論部分は同じになりますが、しかし、労使が入る根拠は明確にしておかないといけないと思いますので、私は、先ほどの菅野委員、岩間委員の御意見とは反対でございまして、余り抽象的な「将来世代」という言葉は気になします。もし運用ロスの確定が出た場合に将来世代に対して、この世代がどう責任をとるのかという話もあるわけです。すでに前に述べたように、なるべく拠出者に近い関係者が多くかかわるのは、論拠はあるのだろうと思います。多くの国が運用の意思決定に労使をかなりの数を入れている事実もあるわけです。

 だから、もし修文をするとすれば、団体の推薦する者を少なくとも各1名としたいところで、個人的にはそういう修文をお願いしたいくらいのところでございます。、ただ、今、出口委員がおっしゃったように、既におおむねそういう根拠は書いてあるのかなと思います。

 ところで、先ほどの事務局の説明に関連して、伊藤先生のレポートのところで、運用の話の流れの中で、国民年金に税金が入ってくるという話ですけれども、ここは先ほど事務局に整理していただいたように、国民年金・基礎年金は給付時に国庫負担があるので、拠出時の国庫負担ではありませんので、税金が運用されていることはないということですので、運用の議論の中でこれを入れてしまうのは、事実とは異なるえ、議論につながってしまいますので、ここは確認を先ほど、事務局に回答していただいたとおりだと思います。

 いずれにしても、もし修文があるとするならば、私は、参画についてのところは、団体の推薦する者最低各1名という修文があればよい思う。もちろん、なるべく労使が入ったほうがいいとは思いますが、その一方で、かえって、ガバナンスが弱まるようなことがもしあるとすればそれは問題なので、きちんとこの議論ができる方が推薦され、それぞれ最低約1名それぞれ入ることが望ましいのではないかと思っています。

 結論としては先ほどの出口委員と同じでございますが、ちゃんと議事録は残しておきたいということで発言しました。

○神野部会長 ありがとうございます。

 牧原委員、お願いいたします。

○牧原委員 基本的には駒村委員がおっしゃったトーンと同じですけれども、経営委員会のメンバーに専門的な知識が必要だということについては、否定はしませんけれども、金融とか資金運用に偏るのは余りにも危険な議論ではないかと思います。

 ガバナンスという観点もありますので、経営管理の観点あるいは年金制度の観点で専門性を持っている人が経営委員会のメンバーに選出されるべきだと思うし、そういう幅広いバックグラウンドを持たれたメンバーが経営に入るべきだと思います。

 構成につきましては、やはりGPIFの積立金の拠出者は誰なのかということについては、無視できない要素であります。

 監査等委員会で、経営委員9名のうち3人は監査等委員を兼任ということがありますけれども、この監査等委員についても投票権があるわけです。そういうことで考えれば、現行の7人のうち2名が労使ということですが、9名になったときに従来と同じでいいかということについては、もうちょっと配慮が必要ではないかと思います。

 以上です。

○神野部会長 ありがとうございます。

 平川委員、どうぞ。

○平川委員 先ほどGPIFは運用の成果を出すところだという御発言がありましたが、改めてGPIFの役割を明確にしていただく必要があると思いますので、事務局からGPIFの役割などについて御説明いただければと思います。

○神野部会長 法律等々の規定ということですね。説明していただけますか。

○大臣官房参事官(資金運用担当) まず、先ほどの議論があったところで申し上げますと、これは諸外国の年金積立金運用機関を比較するときにも指摘がございましたが、比較対象の中には、年金積立金を運用する運用に特化した機関と、日本でいえば年金機構のような給付も行っている機構、あわせてサービスと積立金運用と両方をやっている機関があるということで、その対比でいいますと、GPIFにつきましては、年金積立金の運用に特化した機関であるということが正しいところでございます。

 その役割につきましては、私から言うまでもございませんけれども、被保険者から集めた年金の積立金を厚生労働大臣からの寄託を受けて安全かつ効率的に長期的な視点に立って運用を行うことがGPIFの使命でございます。

○神野部会長 いいですか。

○平川委員 今、御発言がありましたけれども、加えて言えば、中期目標に沿って中期計画を策定し、それに沿って運用をしていくことはそのとおりですね。ありがとうございます。

 そういうことでいうと、その辺を明確にしていかないと、単純に運用の成果ということだけを取り上げて目標にしていくような組織であれば、本当に誤った方向に行くのではないかと思いますので、しっかりと被保険者の利益のために、そして、そのためには労使の経営委員の数は基本的には過半数というところをしっかりと押さえていくべきだと考えています。

 以上です。

○神野部会長 ありがとうございました。

 米澤委員、どうぞ。

○米澤委員 今の御発言も含めて、私たちは、現在、行われているところを参考にしながらですけれども、非常に少ない人数でかなり専門的なことを議論しております。しかもせいぜい1カ月に一遍ですので、かなり頻度は高いという意味で言ったのですけれども、やっているわけなので、お願いしたいのは、組織の代表者においても極めて専門的な方を出してほしいということが、将来の経営委員会に対しての希望なわけです。

 これは経営委員会になりますので、運用委員会から多少カバレッジが広くなるという理解で、組織であるとか経営管理も含めてということですので、これまでの金融とか経済とか運用よりもう少し幅広くなりますけれども、いずれにしても少ない人数でやっていきますので、それなりにどこかでこの方はこの専門だということがきちんとした方を出していただいて、単なる組織を代表する、組織の意見だけを集約するために来られることは遠慮願いたいと思うわけです。

 逆に言いますと、私はこの各1名で十分かと思いますが、場合によっては、非常に知見の高い方であれば、結果としてどちらかの組織の方が入ってこられても、それは私も否定するわけではないのですけれども、まず、その専門性のほうを優先していただきたいということだと思います。

 今の御意見ですけれども、もっぱら我々は中期的、長期的な視点から運用を考えております。具体的に期間はどうかと言われるとやや曖昧な点もありますけれども、少なくともポートフォリオを策定するときにおきましては、前々回までは100年ということでやりましたが、今回はそれでは余りにもリアリティーが少ないということで、25年というタイムスパンを置いてやりましたので、むしろ四半期ごとの成果の発表を私はいかがなものかなと思っている次第ですので、あくまでも運用の基盤は長期的に見て行っておりますということです。

 以上です。

○神野部会長 菅野委員、どうぞ。

○菅野委員 米澤委員、ありがとうございました。

 今の米澤委員の御指摘は、非常に我々は重く受けとめるべきだと思います。やはりこれまで実際に現在のGPIFの運用の最前線で御検討をされてきた方の御意見として非常に重要だと私は思います。

 本日のこの会合は取りまとめという形で御案内いただいているかと思うのですけれども、本日の意見の中には、そもそも論にもう一回立ち返った御意見があったように思います。本日の会合の趣旨はこれまでの議論を踏まえてどのように取りまとめるかということですので、ここに書いてあるように、これまでなされてきた賛否両論が適切にとりまとめられているかどうか、という点を議論すべきです。経営委員会に労使1名ずつということに対しても、賛成意見、反対意見がございました。ここにまとめられていることが適正かどうかということの議論を我々はやるべきだと思いますが、私はこれは極めて適正なまとめ方だと思っています。

 最後に1点、出口委員からございました情報公開についてですけれども、私も出口委員がおっしゃったことについては100%以上賛成でございます。私が重要と思う点あるいはお願いにもなりますが、経営委員が、今後GPIFのさまざまな重要な事項を検討され、討議されるわけですけれども、その場合におきましても、この情報公開という点を念頭に置かれて、国民の間に誤解がないような形で情報発信をして、国民の認識が深まることを切に希望いたしますので、経営委員が心がける点として、情報公開という点もあわせて入れていただきたいとコメントをさせていただきたいと思います。

○神野部会長 どうもありがとうございました。

 山本委員、どうぞ。

○山本委員 これまで貴重な御討議をいただきまして、ありがとうございます。

 このガバナンスの強化については、独任制から複数の合議制という点については賛成をしたいと思っております。

 今の9人の中の構成の問題についてですが、GPIFの140兆というのは基本的には国民の財産、全ての方の資産と考えて、いわゆる個人的な私利私欲の絡んでいる資産ではないと理解しています。要するに、受益者イコール国民と考え、ステークホルダーはきっと国民だけではないのかなという感じもしております。ということは、結局、経営委員会には、公正な立場から適正に管理ができて、所期の運用実績を上げられる方が実は最も望ましいことであろうと思いますので、私個人的には、労使団体という言葉は、GPIFには本来は余りそぐわない言葉ではないか、むしろこの括弧の中にあります「被保険者及び事業者の立場を適切に代表し得ると認められる」という表現のほうが、私は受け入れられやすいという感じがしております。今申し上げた幾つかの視点から見た適正な方であれば、この立場の方々が最低でも1人は入っていなければいけないとした上で、そのほかの人については、それを実際に実行していくに当たり適切な方が任命されて、その任を担当することが私は正しいのではないかと思いまして、意見として申し上げます。

○神野部会長 ありがとうございます。

 山口委員、どうぞ。

○山口委員 ありがとうございます。

 取りまとめとしては、これまでの議論を織り込んだ形で非常にうまくまとめていただいておりまして、私はこれでいいのではないかと思っております。

 それから、先ほど出口委員や菅野委員もおっしゃいましたけれども、情報公開については、非常に重要でありまして、ややもすれば、これまでGPIFは市場に影響を与える可能性があるといったことを理由として、情報開示が不十分だったような面があると思います。運用の仕事ですから市場に影響を与える部分も確かにあるのでしょうけれども、そういうことを意識するあまり、国民に対して果たして十分な情報開示ができていたのかを十分検討していく必要があるのではないかと思っております。

 ですから、できるだけ、真にやむを得ない場合を除いて開示をしていくという姿勢、スタンスが私は非常に重要だと思います。

 労使の代表の数の問題ですが、これは前にも私は申し上げましたけれども、現在の保険料水準固定方式を前提とする財政運営の中では、運用のリスクは給付水準の調整という形で行われるわけであります。

 したがいまして、その中には現在の世代以外に将来世代も入るのかもしれませんけれども、いずれにしても運用のリスクを負担しているのは現在並びに将来の年金受給者であって、したがって、この経営委員会のメンバーはそういった受給者の立場に立って議論をしていただくことが非常に大事だと思っております。

 そういう意味では、現行の運用委員会と同等の人数規模は確保されているということでありますから、労使1名は最低入っていただくということで、私はよろしいのではないかと思っております。

○神野部会長 ありがとうございます。

 ほかはよろしいでしょうか。

 どうぞ。

○駒村委員 御発言の中でも、情報公開の話があります。今後、これは大変重視していただきたいと思うのですけれども、この資料の4ページのその他を見ると、情報公開についてということですけれども、これは少なくとも今の情報公開よりははるかに改善していただけるという理解をしているのです。

 例えば、過去のGPIFの運用委員会の議事録を拝見しても、例えば、おととしのポートフォリオの組み合わせ、基本ポートフォリオの変更のときの議論は、変更をどう考えるかというところで判断が入るところも多少はあったと思うのです。特にポイントになるのが、フォワードルッキング的な考え方を入れていくのかどうなのかというところも重要な判断が入っていたと思います。

 その際に、合議機関ですので多数決で決めていると思うのですけれども、そうした議論があり、それに誰が反対したか、誰が賛成したかということがわからない。

 マーケットに影響を与えるような情報は当然クローズしてもいいと思いますけれども、専門家が自分の知見で賛否を出している以上、その責任が明確になるようにしなければいけない。その上で、そうした議論の責任と覚悟があって、運営委員会に入る、あるいは今度できる経営委員会に入るという話になってくると思います。もちろん、そのときの市場に影響を与えることがないような情報は基本的には全部出すということでお願いできればと思います。

 こういう議論は、新しく設置される部会で議論されるのでしょうか。ちょっとそこは確認になります。

○神野部会長 これはいいですか。

 どうぞ。

○大臣官房参事官(資金運用担当) どういうものを出していくかという基準については、新しい部会で議論されることになると思います。

 また、御質問がありましたので、今のGPIFの開示に関して申し上げますと、そうした運用委員会の議事録につきましては、7年後に公開をするということで、マーケットへの影響を勘案しまして、一定期間経過後には公開するということでやっております。日銀等でも、政策決定会合の詳しい内容につきましては、あれは10年後だったと思いますけれども、公開するという取り組みをやっておりますが、同じように、そこは皆さんも責任を持って参加されておられますので、公開については、そのような取り扱いにしております。

 また、情報開示につきましては、これは議論の取りまとめとは別になりますけれども、現状の状況を申し上げますと、四半期ごとの発表のほか、特に詳しくは1年ごとに業務概況書等を出しておりまして、個別のファンドごとの配分額、収益率、あるいは手数料といった、実はかなり細かなところまで出しておりまして、情報開示に消極的ということではなくて、やっております。

GPIFとしてはできる限り情報開示に取り組もうという努力はしておりまして、近年では、ユーチューブや新しいメディアなども活用した取り組みなども進めているところではございます。

 御参考までに紹介させていただきました。

○神野部会長 平川委員、どうぞ。

○平川委員 ありがとうございます。

 先ほど専門性の問題が言われましたので、一言、言わせていただきます。

 以前も言いましたが、多くの拠出者、被保険者は、率直に言って、専門性は高くないと思います。そういった意味で、情報公開の話もございましたが、専門性を盾に審議の内容がブラックボックス化したりしてはいけないと考えております。残念ながら、過去の年金部会の中でさまざまな運用の御説明がありましたが、なかなか理解がしづらい面もありました。多くの被保険者は、運用について明確な意思を持って運用を任せているわけではありませんので、専門性ということだけを盾にして話をしていくのは、道を誤るのではないかと思います。もちろん、一定程度の専門性は当然必要だと思いますが。

 もう一つ、その他の関係で、4ページ以降、委員会の設置で監査等委員会以外の委員会は設置すべきではないという意見が記載されておりますが、これについては、ぜひお願いしたいと考えておりますし、その他項目にある、利益相反のところは「少なくとも公務員並みの措置」と記載をされておりますが、私が以前に提案をさせていただきましたさまざまな要素も含めて、さらに検討していただきたいと考えているところであります。

 以上です。

○神野部会長 よろしいでしょうか。

 それでは、これまでの御意見を補強したりあるいは補足したりする御意見はたくさんいただきましたけれども、皆様方の御意見では、この議論の整理としてまとめていいのではないかと。

 まとめようという気持ちからか、若干の修正がございまして、これも強い修正の御意見ではなかったので、後でちょっと考えさせていただくこともあり得べしという御了解のもとに、この議論の整理(案)をこの部会の皆様から御了承いただいたということにさせていただいてよろしいですか。

(「異議なし」と声あり)

○神野部会長 それでは、そのようにさせていただきます。

 続きまして、GPIFの運用のあり方の議論に移ります。

 恐縮でございますが、専門委員の方々はここで御退席となります。本当にお忙しいところを御臨席いただきまして、感謝を申し上げます。

 どうぞ。

○菅野委員 我々は退席いたしますが、その前に一言、事務局の方々に御説明いただきたいと思うのは、きょういただきましたこの「GPIF改革に係る議論の整理(案)」の一番最後のページ、13ページ目ですけれども、たまたま拝見いたしましたところ「4)改革の進め方について」ということで、マル1、マル2、マル3ということがあるのですが、これは我々退出後に御議論されるのでしょうか。括弧にくくってある意味がよくわからないのですが。

○神野部会長 議論するということになります。

○菅野委員 御説明なのか、よくわからない。

○神野部会長 御説明というのは。

○菅野委員 ここのマル1、マル2、マル3というものが、議論を行うと書いているのですか。

○神野部会長 そうです。

 したがって、運用のまとめ方として、(2)の議論として行う。

○菅野委員 これがどのような形になるかは皆さんの今後の御議論だと思いますけれども、これがどうなるかで、私どもが行ってきましたガバナンス改革の取り扱いがかなり大きく影響を受ける形が想定されるのですけれども、その点について、ちょっと御説明いただけないでしょうか。

○神野部会長 議事運営については、今のようにやらせていただきますが、どうぞ。

○大臣官房参事官(資金運用担当) 今、部会長からも御紹介がありましたように、これは運用のあり方に関して議論する中で、その改革の進め方につきまして、きょう、まさにこの括弧に書かれているところを部会において議論されると理解しております。

○神野部会長 ここの3つの意見も、ここの意見で既に出てきているものをまとめておりますので、そのように御理解いただければと思います。事務局が勝手につくった選択肢ではなく、この部会の場で既に出ている、ここも既に議論をやったところでございますので、それをまとめたものと御了解いただければと思います。

○菅野委員 これは私が十分に理解していないことによるのかもしれませんけれども、仮にマル3がこの合意という話になるような場合には、ガバナンス改革がかなりおくれるような印象をもちました。、今後のガバナンス改革を実際に実行に移すスピードについては、マル1なのか、マル2なのか、マル3なのかによってかなり時期がずれるような印象を持ちましたので、御質問させていただきました。

 この点はガバナンス改革に関係しますので、私どもも意見を言わせていただくのは可能なのかどうか。

○神野部会長 その後という意味は、この部会の中でということですか。1のガバナンスのあり方については、専門委員の方々にも御参加いただいておりますが、運用については、委員のほうで議論をさせていただくと。

○菅野委員 私は何も運用についてコメントを申し上げようとしているのではなくて、あくまでもガバナンス改革という点について、内容は、先ほど総括でまとめていただいたような形ですけれども、その実施のスピードについても私どもはやはり責任があるのではないかと思いますので、ガバナンス改革のスピードについて、私どももコメントさせていただくことが可能なのかどうか、それを質問させていただいた次第です。

○神野部会長 私としては、今、いただいた御意見は御意見として、委員の皆様方も拝聴していらっしゃいますので、それを含めて後で議論することにさせていただきます。

 事務局、何かありますか。

○大臣官房参事官(資金運用担当) もしガバナンスの改革に関しての御意見ということであれば、この4のところについても、専門委員の皆様方からの御指摘ということであるのかと思います。

○神野部会長 どうぞ。

○岩間委員 要するに、1の部分については、座長が整理されたように、こういう形で進む。マル1、マル2、マル3とあるけれども、言ってみれば、全体のスピードがこの3つによって変わることはない。マル1だけでいくのか、マル2になるのか、マル3もそろえて一緒にいくのか、この先、結論が出て進んでいくということを確認されたいのではないかと思います。

○神野部会長 どうぞ。

○菅野委員 今、事務局の方から、コメントをさせていただいてもいいという形だったのですが、よろしいでしょうか。

○神野部会長 ガバナンスの観点から、御意見をまずは拝聴しておいて、この件については終わらせていただきますが、それは委員の皆様方の念頭に置いてこれからの議論をしていくことにさせていただくとありがたいということです。

○菅野委員 ありがとうございます。

 では、今、議長からの御了解をいただきましたので、一言、申し上げたいと。

○神野部会長 どうぞ。

○平川委員 この年金部会のルールの話なので、突然そういう方向で話が進められて少し困惑をしておりますが。

○神野部会長 突然というか、今、私が確認したのは、ガバナンス運用に関してというお話なので、ガバナンス運用に関して専門委員からの御意見を拝聴しておくというだけです。運用に関して御意見を申し上げるということではないというお話ですね。ただ、ガバナンスの観点からこうだということの意見を申し述べておきたいというお話だったので、そのようにさせていただいているということです。

 よろしいですか。

○平川委員 話をお聞きしてから。

○神野部会長 どうぞ。

○菅野委員 そもそもこのガバナンスの改革の話は、GPIFが今後リスク性資産を多く持つあるいは一段と多様化が進むから、ガバナンス改革の議論が出てきたのかという問題提起が以前の会議であったと思いますけれども、そのときに私が申し上げたのは、必ずしもそうではない、どのような体制であってもガバナンスの見直しは必要であると申し上げました。

 その観点からすると、運用のあり方をこれから皆様方で御議論いただくわけで、私もそれを注意深く外から見守っていきたいと思いますけれども、運用のあり方とは別に、どのような運用体制であれ、やはり最低限必要なガバナンスの改革はあると思いますので、このガバナンスの改革は、ある意味、喫緊の課題ですので、そのガバナンスの改革は、私個人としては、一刻も早く、今、取りまとめられたような形で実現されて、それを国民の皆様に御理解いただくことが重要だ、ということをコメントさせていただきたいと思います。

 以上でございます。

○神野部会長 ありがとうございます。

 それでは、これにて第1番目の議題を終了させていただきます。

 重ねてでございますが、専門委員の皆様方には、御臨席いただきまして本当にありがとうございます。感謝を申し上げる次第でございます。

 

(専門委員 退室)

 

○神野部会長 続きまして、第2の議題、GPIFの運用のあり方に移りたいと思いますが、議論の整理(案)のうち「(2)運用の見直し」の部分について、事務局から資料の御説明をお願いいたします。

○大臣官房参事官(資金運用担当) それでは、運用関係の資料について御説明させていただきますが、議論の整理(案)に入る前に、お手元にお配りしております参考資料で追加的にお配りした資料がございますので、簡単に触れさせていただければと思います。

 参考資料をおめくりいただきまして、1ページ目でございますが、これは運用の中での2番目の議論でありますオルタナティブ投資に関するところでございます。

 前回、口頭で御説明をいたしましたけれども、オルタナティブ投資につきましては、既に中期計画の中で資産全体の5%を上限として取り組むことが規定されているところでございまして、詳細は1ページの下段にあるような内容でございます。

 2ページ目でございますが、前回、オルタナティブ投資に関しまして、私どもの資料が不十分だったために、やや議論が難しくなったところがありましたので、改めて整理をさせていただきました。

 議論の対象となっているのは、3通りくらいの投資手段が大きく分けてあるかと思います。

 一番左が投資信託を通じたインフラ共同投資で、これは既に実施をしているものでございます。真ん中がリミテッドパートナーシップを通じたオルタナティブ投資で、これは現在の法律の枠組みの中でありますが、政令の追加を予定することで可能ではないかという仕組みでございます。一番右側の非上場会社等を通じたオルタナティブ投資が、今回御議論いただいているオルタナティブ投資の直接投資に関しての議論の対象でございます。ここは法律改正が必要となりますし、内容としては、非上場会社が発行する株式等を購入して配当等を得るということで、対象の、例えば、プライベートエクイティー会社の経営にある程度関与する、あるいは、個別のプロジェクトに関与することが考えられるということでございます。

 現在認められている投資信託を通じたインフラ共同投資が3ページ、4ページが、法律の枠組みとしては対象となっておりますけれども、政令で規定をしていないがために現在はやっていない、リミテッドパートナーシップを通じたオルタナティブ投資、最後、5ページ目が、議論の対象となります直接投資の一類型として、非上場会社等を通じたオルタナティブ投資の事例を書いてあります。

 5ページ目にありますように、年金基金が共同で非上場会社が発行する株式等を直接購入いたしまして、その非上場会社を通じてインフラや不動産あるいはさらにプライベートエクイティー等への投資をしていくようなスタイルを、直接投資の一環としてどのように考えていくのかという御議論を前回お願いしたということでございます。

 6ページ以降は、この後の議論の3点目になりますけれども、規制のあり方ということで、デリバティブ取引に関する資料を用意しております。こちらは、前回、説明いたしましたので、詳しい説明は省かせていただきますが、8ページ目にございます年金資金の運用におけるデリバティブ取引の活用でございますけれども、年金資金の運用におきまして、デリバティブ取引は非常に限定的な利用にとどまるものと考えております。

 前回も御議論がありましたように、年金資金積立金の運用に当たりましては、長期の運用を分散投資によってリスクを分散しながら行っていく仕組みでございますので、短期の投資家が行うようなデリバティブ取引とは異なりまして、デリバティブ取引の活用の場面は非常に限定的なものだと考えております。

 1番目にありますような重要なリスク管理ツールとして、原資産の価格の変動が激しいときにリスクヘッジが可能とありますけれども、このようなかなり限定的な場面におきまして、リスク管理ツールとして用いることがあるのではないかということでございます。

 9ページ、10ページには、前回、御説明いたしましたような、現在は認められていないデリバティブ取引のうち、今後、利用が認められれば考え得る使い方ということで、為替先物取引、株式指数先物取引の例を入れております。

 為替先物取引につきましては、例えば、外国債券全てをリスクヘッジするという使い方ではございませんので、一部の通貨につきまして、その変動による外国資産の価格変動リスクがかなりあるような場合に、一定範囲で限定的に使うものが考えられるのではないかということでございます。

10ページの株式指数先物取引につきましては、これも保有あるいは委託している株式全体について、それに見合う形での指数先物取引を行うものではなくて、リバランス等のために行う、マーケットへの影響をできるだけ抑えていく、そのような使い方として株式指数先物取引というものを使う余地があるのではないかということでございます。

 いずれにしましても、現行では、デリバティブ取引は債券等で既に認められているところでございますけれども、その中で、こうした利用が想定し得る取引につきましては、一部緩和することが可能なのかどうかということについて、御議論いただいてきたということでございます。

12ページには、再度、リスク管理を目的として行うデリバティブに関しての制限措置、当然これは投機的な目的で行われるものであってはなりませんので、リスク管理を目的として行うデリバティブをどのような形で担保するかということで、利用目的の制限、利用機会の制限、利用額の制限、リスク量の測定・管理、利用時の経営委員会の関与、さらにこうした制限がきちんと遵守されているかどうかを、新しいガバナンスのもとでは、常勤の監査等委員が常時監督する形で担保することができるのではないかということで、資料を整理してお示ししているところでございます。

 参考資料を追加したところは以上でございまして、続きまして、本日の議論にかかわります議論の整理(案)の運用部分について御説明させていただきます。

 資料の5ページ以下でございます。

 これまでに部会において出された御意見を整理したものでございますけれども、5ページの「(2)運用の見直し」とございますが「1)株式のインハウス運用について」「2)オルタナティブ資産への投資について」「3)規制のあり方について」ということで、3つ大きな固まりがございます。

 まず、5ページでございますが、株式のインハウス運用についてこれまで出てきた議論を整理いたしております。

 これまでの考え方、株式についてインハウス運用を実施することが認められていないことによります運用実務における制約、3番目の○ですけれども、マーケット参加者の情報が、タイムラグやバイアスがかかった可能性のある情報のみに基づいて投資判断を行わざるを得ない、あるいは、投資方針を決定してから実際の売買が終了するまでに時間とコストが生じているという指摘がなされているところでございます。

 一方で、株式のインハウス運用につきましては、株式市場や企業経営への影響が生じる懸念があるということで種々の御議論があったところでございまして、こうしたものを5ページから6ページにかけて記載をしております。

 6ページでございますけれども、このうち株式インハウス運用を行うことの意義・メリット等につきましても御議論があったところでございます。

 株式インハウス運用を行うことの意義といたしましては、GPIFからのヒアリング等を通じまして、機動的なリバランス、運用受託機関入れかえ時の一次的な資産の受け入れなど効率的な執行、手数料の節減、委託運用先の選択・評価のレベルアップといったメリットが期待できるとの指摘もございましたし、2番目の○にありますように、専門人材の育成にもつながっていくのではないか、実際にみずから運用を行ってこそ人材が育つとの意見もあったところでございます。

 他方、こうしたメリットにつきましては、種々の懸念等と比べますと大きいものとは言えず、慎重な評価が必要といった意見もございました。

 6ページの一番下には、なお書きとして記載がございますけれども、先ほど国民の誤解に関する御議論もございましたが、GPIFが株式のインハウス運用を行うことについて、GPIFが今まで以上にリスクをとって運用するのではないかとの懸念が生じるとの指摘もあったが、運用のリスクは基本的に基本ポートフォリオによって決まるものであり、株式インハウス運用を実施したとしても、基本ポートフォリオにおける株式の保有割合に変化はなく、運用のリスクが高まることはないことが確認されたことを記載しております。

 7ページでございますけれども、各論の2点目といたしまして、個別株式銘柄の選択による市場や企業経営への影響についての御議論がございました。

 一番上の○にありますような理由から、一投資家のGPIFが行ったとしても問題はないのではないかとの御意見もございましたし、一方で、GPIFが国の機関であることを踏まえて、市場や企業経営に影響を与えることは不適切であるとの観点からの御意見もございました。

 こうした個別株式銘柄の選択に関する御議論を、7ページから8ページ上段にかけて記載をしております。

 8ページ、中段にございますが、もう一方、企業あるいは市場経営への影響ということで、個別株式銘柄の選択と並んで議論がございましたのは、議決権の行使による市場や企業経営への影響でございます。

 こちらは、アクティブ運用、パッシブ運用、双方に関連するものだと考えておりますが、これにつきましては、近年の受託者責任を果たす上で、現行の投資一任方式による委託運用では、議決権の空洞化につながるのではないかという意見、一方で、公的年金制度は企業年金等とは異なるということで、単に受託者責任を全うすれば足りるわけではないのではないかとの意見、こうした議決権行使に係る御議論を8ページに記載をしております。

 こうした御議論を踏まえまして、9ページでございますが、株式のインハウス運用の是非につきましては、大きくは3つの意見が示されたということで整理をしております。

 1つ目が、株式インハウス運用を認めるべきではないとの意見、以下の理由から、GPIFに株式インハウス運用を認めることについては反対であるとの意見、GPIFは、政府が最終的に責任を持つ公的年金制度の中に位置づけられる国の機関であり、その積立金は民間のファンドとは異なっている。以下、GPIFが株式インハウス運用を行うことを認めることについて反対であるとの立場からの理由が書かれてございます。

 9ページ、真ん中でございますけれども、2つ目の立場といたしましては、パッシブ運用までは容認することが考えられるのではないかとの意見でございます。個別株式銘柄の選択を行わないパッシブ運用については、市場に与える影響も小さく、議決権行使を外部委任することを前提にすれば容認する余地があるという御意見、ほか、さらに2点、逆にアクティブ運用に関しては懸念があるということで、この2番の立場はパッシブ運用までではないかとの意見でございます。

 3点目の立場が、法律上、アクティブ運用まで実施可能とすべきとの意見でございまして、GPIFの運用機関としての性格に鑑みれば、その手足を過度に縛るような制限を法律で設けることは適当ではないとの意見でございました。このほか、市場や企業経営への影響に関する懸念については、払拭することが可能ではないかといった御意見もあわせまして、アクティブ運用まで実施可能とすべきとの意見がございました。

 以上が、株式のインハウス運用に関する議論の整理としてこれまでに出てきたものをまとめたものでございます。

10ページ、中段、大きな2番目の論点として「2)オルタナティブ資産への投資について」でございます。

 1番目の○は現状、2番目の○は、オルタナティブ投資で、法律の枠組みの中で現在は投資信託証券の取得を通じた投資のみが実施されていることを記載しておりますが、この投資信託証券の取得を通じた投資は、特殊な手法であり、高額な手数料が生じているといった課題があるということでございます。

 その上で、これまでに出た御議論といたしましては、3番目の○で、一番最後の行ですが、個別企業・個別のプロジェクトの運営に直接関与する仕組みとした場合には、予期せぬ大事故や労働問題、環境問題などが生じ、経済的損失に加え、GPIFや国の責任が問われる事態が生じる懸念が指摘されたということでございます。

 これに対して、11ページの一番上の○でございますけれども、有限責任となる仕組みに制限するといった措置を講じることで対応できるとの御意見もございました。

 また、GPIFが直接不動産投資に乗り出すことに対しましては、国民の理解が得られにくいのではないかとの意見もありました。 最後の○ですけれども、このような意見を踏まえ、前回の議論の中では、オルタナティブ資産への投資については、現在のGPIF法の枠内で対応可能な、LPS、リミテッドパートナーシップのLP、有限責任組合員としての出資のような、GPIF自身が個別の投資判断を行わず、有限責任の枠組みで行うことが明確なものの実施は認められるべきとの意見が多かったと整理しております。

 最後、大きなテーマの3点目として「3)規制のあり方について」でございます。一つはデリバティブの関係でございます。

 デリバティブにつきましては、既に生命保険会社等々でも利用されているところでございます。GPIFにおいても既に債券先物取引や債券オプション等が認められてきたところでございますけれども、一部デリバティブの中で認められていないものがある。

 長期運用を基本とするGPIFにおいては、デリバティブの利用は限定的と解されるべきものですけれども、運用環境に大きな変動が生じる場合など、以下のようなケースではその活用が運用リスクの軽減につながると考えられるということで、前回お示ししたような事例を例として記載しております。

11ページから12ページにかけてでございます。

12ページの中段でございますけれども、デリバティブについては、利用方法によっては投機的なものとなり得ることから、以下のような防止措置を講じるべきとの意見が多かったということで、マル1からマル3のような防止措置を記載しております。

 また、デリバティブに加えまして、コール市場の利用ということで、コール資金の貸し付けがございました。法律で投資対象が位置づけられた際には一般的でなかったことから法定化されなかった経緯がございますけれども、今回の見直しに当たっては、速やかにコール市場の活用が可能となるよう措置するとともに、日々、さまざまな運用方法が開発され、普及する運用環境の変化に対応する観点から、必要となる運用方法が適切に利用できるように、社会保障審議会の審議を経ることを前提に下位法令へ委任すること等についても検討すべきとの意見があったということで、12ページから13ページにかけて、コール市場の活用について、これまでの御議論を整理し、法律の規制のあり方についての御議論、意見を記載しているところでございます。

 以上でございます。

○神野部会長 どうもありがとうございました。

 それでは、議論をなるべく生産的に集約していく観点から、株式のインハウス運用について、オルタナティブ資産への投資について、規制のあり方についてという論点別に順次御議論を頂戴して、その上で最後の改革の進め方の部分について御議論を頂戴したいと思っております。

 まず、第1番の論点であります株式のインハウス運用の部分について、御意見がございましたら頂戴したいと思いますが、いかがでございましょうか。

 どうぞ。

○山口委員 これまでの議論の整理として、私はこのまとめ方でいいのかなと思うのですけれども、株式のインハウス運用については、3案併記ということになっております。

 インハウス運用は、企業年金連合会の話が出ていましたけれども、パッシブ運用に関しては、実は民間の企業年金のファンドでありましても、大企業、大きな会社の企業年金のファンドでは、民間でもかなり広く実施されておりまして、そういう実態があるということ、そして、これまで指摘されてきましたGPIFのインハウス運用に関する様々な懸念につきましても、ほとんどアクティブ運用に関するものではなかったのかと私は思っております。したがって、パッシブ運用の場合については、議決権行使についても、外部委託する方式などをいろいろと工夫することによって、解決可能なものではないかと考えております。

 したがいまして、私としては、インハウス運用は全てだめということではなくて、パッシブ運用については、否定されるべきものではなくて、今後、さらなる議論を深めて実施できるような道を残しておくべきではないだろうか。

 とりあえずの整理としては、インハウスについて3つの案を併記するというのは、現状までの議論としては、それはそれでいいのですけれども、方向として、インハウスの中でもパッシブ運用については今後、できるような道を残しておいていただきたいなと思っております。

 以上です。

○神野部会長 ほかはいかがですか。

 原委員、どうぞ。

○原委員 まとめていただいて、ありがとうございました。

 株式のインハウス運用について、コメントさせていただきます。

 株式の6ページのところですけれども、真ん中のあたりに株式インハウス運用を行うことの意義・メリット等とその評価ということで、大きく○が2つ挙げられているのですが、例えば、機動的なリバランスですとか、効率的な執行、手数料の節減、委託運用先評価のレベルアップ、専門人材の育成といったことが書かれています。

 こういったメリットがあるということで、今、この時点で実施をするというのは、やはり公的年金の積立金ということを鑑みると、国民の納得性は低くなってしまうのではないかと思います。。

 また、市場や企業への影響ですとか、特に議決権行使に関することの問題を考えても、今の時点では慎重さが必要ではないかと思っております。

 9ページのところには、株式のインハウス運用の是非について、大きく3つ意見を集約していただいたのですけれども、1つ目のところで、「認めるべきではない」という意見の中の最後の方に、「巨大な国の機関がみずから市場のプレーヤーとなることの是非、民間企業の経営に対する直接的な介入の余地を認めるか否かといった、国のあり方にかかわる大きな視点で結論を出すべき」というのは、まさにそのとおりではないかと感じます。       だからといって株式のインハウス運用は絶対的に認めるべきではないということではありませんけれども、なぜ、今、この時期に始めるのかということだと思います。例えば、議決権行使の問題ですとか、市場や企業に与える影響などの懸念点について、もう少し慎重に検討した方がよいのではないかと思っております。

 また、議決権行使を外部委任する方法についても、もう少し検証する必要があるのではないかと思いますし、それに加えて、何よりも国民の意識が大きいことを改めて考慮すべきだと思います。何度か出ていますが、運用に対して必ずしも積極的とは言えない日本社会の意識を考慮することが大事だと考えます。

 株式のインハウス運用への一歩は極めて大きな一歩となることと感じておりますので、まだ議論が必要だと思いますし、なぜ、今、この時期に始めるのかということについても考えなければならないと思います。この問題について、今後、引き続き検討事項としていくのが現段階では現実的ではないかと感じております。

 以上でございます。

○神野部会長 ありがとうございました。

 ほか、いかがでございましょうか。

 平川委員、どうぞ。

○平川委員 ありがとうございます。

 これまでも申し上げましたとおり、この株式のインハウス運用につきましては、専ら被保険者の利益のために長期的な観点から安全かつ確実に運用すること、また、市場その他の民間活動に与える影響に留意すべきであることがしっかりと年金積立金管理運用独立行政法人法に規定されておりますので、その観点を堅持すべきだというのは当然であります。

 このことから、これも今までに言いましたとおり、直接株式を保有することについては、民間企業支配につながるという懸念や、市場に対するゆがみが生じる懸念が払拭できないということでありますので、これについては、基本的には行うべきではないと考えているところであります。

 また、パッシブにおける民間への議決権の委託の問題でありますけれども、8ページにも書いてありますが、やはりスチュワードシップ責任という観点から、本当にこれが適切なのかということも含めて考えていかなければならないと考えておりますので、基本的には、パッシブについても同様に認めるべきではないと考えています。

 また、パッシブ運用でありますけれども、どのようなインデックスを選択するかによって、GPIFが実質的にアクティブファンドを率先することがあり得ると思います。仮に成長株やESGのインデックスそのものに特定の価値を求める場合は、銘柄選択の判断の余地が生まれるのではないかと思います。

 そういった意味でも、パッシブとアクティブの境界線はやや曖昧ではないかと思います。

 そこで、パッシブ運用についても、インデックスの設定の仕方によっては市場や企業経営への影響が懸念されるということも、「まとめ」への追記について御検討いただければと考えているところであります。

 以上でございます。

○神野部会長 ほかはいかがでございますか。

 駒村委員、出口委員と行きますので、駒村委員、どうぞ。

○駒村委員 ありがとうございます。

 大筋は先ほどの山口委員と同じようなことになるのですけれども、現時点では、やはりアクティブは非常に弊害の可能性が大きいので、そこは現時点ではやめておくべきだと思います。

 インハウスのうち、パッシブですけれども、この対応策としては、議決権の外部委託がある。ただ、外部委託をした結果、完全に議決権がまるで宙に浮いてしまうことになると、今度はその分だけ企業のガバナンスに空白が生まれる部分もあると思いますので、その点は意識する必要がある。

 一方、私も、ここのところ、パッシブが企業経営に与えることについての学術研究、実証研究の論文をいろいろと見たのですけれども、最近の研究の中には、やはりパッシブも企業経営に大きな影響を与えているという研究も出てきておりますので、将来的にはパッシブの可能性は、全面否定はしませんけれども、より慎重な検討が必要であると思います。

 以上です。

○神野部会長 出口委員、どうぞ。

○出口委員 先ほどの原委員や平川委員の御懸念も確かにそうだとは思うのですけれども、よく御懸念を伺っていますと、御懸念のほとんどは実はアクティブに起因するのではないかと思っていまして、株式のインハウス運用については、前回の言葉ですけれども、パッシブとアクティブの間にもルビコン川があるような感じがしていて、例えば、もちろんインデックスのとり方によってはパッシブも危ないという御意見もあろうかと思いますが、こういう心配なことがあるから全部だめという考え方ではなくて、山口委員や駒村委員のおっしゃったとおりですけれども、パッシブは仮に問題はないとして、そういう御懸念を防ぐためにどういう工夫をすればいいのかと。ちゃんと基準みたいなものを設ければ、そこは技術的に対応できるのではないかと。

 基本的には、この議事録はこちらもフェアにまとめていただいていると私は思いますので、主張すべき意見は皆さんも言われたと思いますので、今回の議論は、ここに書かれているこのまとめがフェアかどうかということを議論すべきであると思いますので、私は、株式のインハウス運用についても、このペーパーは非常に丁寧にいろいろな意見をフェアに書かれているので、まとめとしてはこれでいいと思います。

 それから、前回、植田副座長が言われたことが非常に重く頭に残っているのですけれども、こういう懸念があるから全部だめと言ってしまったら、いつまでも改革は進まないし、時間との関係で、それでいいのですかねという趣旨のことを植田先生がおっしゃったように思いますので、私は株式のインハウス運用については、整理はこれでいいという意見で、実際は、山口委員や駒村委員の言われたように、懸念点を上手に整理することによって、法案の過程で知恵を絞っていけばいいのではないかと、そういう意味では、山口委員、駒村委員の言われたとおり、慎重に懸念点を払拭してパッシブは問題ないのではないかと、私はそのように思います。

 まとめとしては、これで十分にフェアだと思います。

○神野部会長 ありがとうございます。

 ほか、いかがでございましょうか。

 では、牧原委員の後、平川委員は最後にさせていただきます。牧原委員、最初にどうぞ。

○牧原委員 済みません。

 今の株式のインハウス運用についてですけれども、パッシブとアクティブであろうが、株式のインハウス運用ということについては、株式を所有する点で全然違う議論をしているのだということを我々は認識すべきだと思います。

 株式の議決権の行使あるいはエンゲージメントはスチュワードシップ・コードで求められているのですけれども、仮に議決権を第三者に委託したところで、GPIFがスチュワードシップ・コードに忠実になろうとすると、それは積極的に株主権の行使であったりエンゲージメントをやらなければいけないということが求められることを、きちんと理解するべきだと思います。

 その上で、GPIFは国に準じる機関であること、あるいは、130兆、実際には国内の株では30兆ですけれども、そういうGPIFが運用することのリスク感というか、何が問題なのかということについてきちんと踏まえた上で、パッシブ、アクティブの運用の解禁には踏み切るべきだと思います。現時点でも申し上げると、まず、整理として、9ページでしたか、大きく3つの意見が示されたとありますけれども、これについては合意に至らなかったというくらいに強くすべきではないかと思います。

○神野部会長 諸星委員、どうぞ。

○諸星委員 ありがとうございます。

 前回と前々回、所用がありまして出席できずに、議事録を拝見させていただいたのですが、それぞれの皆様が出された御意見をこのようにまとめられております。、先ほど出口委員がおっしゃっていたように、フェアかどうかという意味であれば、皆さんの意見を取り入れているという印象を持ちました。

 前回、多分、駒村委員が出されたペーパーと御意見が当日あったと思うのですけれども、私は、駒村委員の御意見の全体的な流れが一番腑に落ちたというところがありました。

 ただ、1点だけ気になるのが、前の部会でもちょっと御意見を申し上げたのですが、インハウスを導入した場合の、6ページの真ん中にもありますけれども、「GPIFにとって急務される専門人材の育成にもつながる、あるいは自ら運用を行ってこそ人材との意見もあった」という部分がありますが、前々回のときに、たしか人材の雇用は有期で3年だと聞いております。3年で果たしてそれだけの人材が育つのか。あるいは、その3年間でいい人材だったら引き続き雇用するのか。そういったところが具体的に見えなくて、本当は直にGPIFの方にお聞きしたかったのですけれども、それを聞く時間もなくてできなかったところです。では、これは多分専門性がありますから、有期であったとしても最大10年の雇用ができると思いますが、逆に、専門性があっても、果たして途中でだめだったらどうなのとか、いろんな意味でそこの部分の人材、やはりGPIFは大きな規模でありますから、それを動かす人材をどう育成するのかをきちんと考えた上で、インハウスを取り入れていただくということを肝に銘じていただきたいということだけ、意見として述べさせていただきます。

○神野部会長 ありがとうございます。

 次、米澤委員、どうぞ。

○米澤委員 まずは、私もこのまとめ方に関しては違和感ありませんし、フェアにまとめていただいていると思っております。非常に結構かと思います。

 私個人的には、私ぐらいはアクティブまでと言わなければいけないのかもしれませんが、正直ベースで、インハウス、パッシブが適当かなと思っております。その場合には議決権行使を外部委託ということの工夫をもって、細かいところは多少いろいろ議論の余地があるのでしょうけれども、そういう仕組みをもって、パッシブに関してインハウスする。もし、必要であれば、本当のパッシブ、トピックスか何かでぎちぎちに決めても構わないのかなと思っております。

 それを行ったところで、どのぐらい今と大きな違いがあるかというと、正直ベース、余りないと思います。少しずつはよくなると思いますが、いろいろ中の組織の方のやる気も含めて、皆様方の意欲が高まるのは事実だし、少なからず水野CIOが言ったような、いろんな面でラーニングが始まることも事実だと思います。目に見えてどれだけ変わるかというと、そんなに変わらないということなので、逆に言うと、それで非常に心配されている方、おそれている方は、その程度ですよというのは私の感想だと思います。それほど心配する必要はないかと思っています。

 最後に、GPIFが、一番心配しているのは、これでもし仮にパッシブだけ切り離されてスタートすると、当面アクティブの芽がない、法律改正になって我々に上がってくることはないので、多分、そこのところを随分御懸念になって、認められて、今すぐ始めるということではないと思いますが、そこは私も例えば3年後に少し状況を見て、もう一度議論をするようなことの何か附帯決議みたいなことがあるといいかなと思っております。

 以上です。

○神野部会長 山本委員、どうぞ。

○山本委員 ありがとうございます。

13ページ、最後の4)のところでございますけれども、2番の「ガバナンス改革を中心に実施し、運用については、まずデリバティブの規制緩和やコール市場の」と、非常にテクニカルなところが急に入っているような感じを受けました。今、議論の中心にある程度あると思うのですが、パッシブまでということがむしろこの中間の選択肢の中には、あってもいいのかなと、最初にぱっと見たときにそういう感じを受けました。

 それから、インハウスの問題なのですけれども、インハウスでパッシブまではいいとか、アクティブはだめだという議論より前に、インハウスそのものがいいかどうかという議論があります。ルビコン川の話で言えば、どこが本当のルビコン川かと考えますと、インハウス運用をすれば、結局、企業を国が所有するということになるわけですから、そこにルビコン川があるのではないか。国が企業を所有することへのこれまでの概念というのは、例えば、非常に大きな国民的に価値のある企業が破綻に瀕したときに、国家がそこに対して資金を投入することによって、再建を図って、国民のためにこれを回復させていくということとか、海外の事例を見ても、イギリスや何かの事例で、そういうときは国家が企業を所有するときだというような国民的理解というのは、何となく漠然とあるのだろうと思われます。

 一方、先ほど、今、なぜこれをやるのかというお話が原さんからありましたけれども、GPIFが今、運用難に陥って、非常に将来の見通しが立たないという状況にあるなど、そこに今のままでは良くない大きなポイントがあるとすれば、ここで変えなくてはというインセンティブにはなるのですけれども、その大きなインセンティブが、GPIFの運用上、特にない段階で、株式を国家が所有していく、そのことにおける弊害がいろいろ取りざたされている中で、あえてそれをやっていく必要があるのかどうか。将来、そうしなければいけないというときがあるから、引き続き勉強を進めなければいけないのだと思いますけれども、今は、そこまでの理解を得られる状況になっていないと思います。

 もう一つ、議決権の外部委託といっても、全く関係ないところにぽんと任せて、第三者的にやるといっても、委託者と受託者の関係というのはそれなりの信頼関係がなければ成立しないものと考えますと、全く関係ないから、あれは向こうがやったことだと言えるような状況になるのかどうかということも懸念がありますので、今、ここでインハウス運用を認めていくのだということについては賛成できかねると申し上げます。

 以上です。

○神野部会長 平川委員、どうぞ、

○平川委員 ありがとうございます。

 今、意見がございましたけれども、なぜあえてインハウスをやるのかという議論が決定的に足りないのかなと思っております。これまでも何回か、今の運用で大変まずいことが起きているのかどうなのかも含めて聞いておりますけれども、特にそういう理由はないということでありますので、そもそも提案が本当に成立するのかと考えているところであります。

 また、GPIFは規模感がかなり大きいということです。株式市場に与える影響は相当大きいと思います。これはアクティブだろうと、パッシブだろうと、その影響は、市場に占める株式の保有割合が7.6%ということを見ると、やはりインハウス運用そのものについても、どのような形であれ、国家による企業支配につながっていくということをしっかりと押さえて考えていく必要があると思っております。

 この規模では、民間の基金と同様に考えてはいけないということについて、しっかり押さえていく必要があると考えているところです。

 以上です。

○神野部会長 どうもありがとうございました。

 宮本委員、どうぞ。

○宮本委員 ありがとうございます。

 インハウス運用については、パッシブがよくて、アクティブがだめというような議論になりつつあるのですが、先ほど山本委員もおっしゃいましたけれども、GPIFが機関投資家の前に、政府機関そのものといえるところが一番大事なところだと思っています。このGPIFが、民間個別企業の株式を直接売買するということについて、政府と企業との正常な関係を阻害したり、あるいは株式市場に大きな影響を及ぼすことを考慮すべきだと思います。そういう意味でいうと、今、インハウス運用をなぜこの時期に始めなければならないのかについては、私は少し慎重にすべきだと思っています。

 以上です。

○神野部会長 藤沢委員、どうぞ。後で駒村委員に行きます。

○藤沢委員 ありがとうございます。

 議論を聞いていると、運用にかかわったことがある方とない方というので、はっきりと議論が分かれているような感じが若干するような気がします。

 一つ、議決権の外部委託というものは、パッシブとアクティブを考える上では非常に重要なところだと思っておりまして、ただ、議決権の外部委託というのを全く関係ないところにお願いして大丈夫かという御意見もありましたけれども、そもそも運用そのものも全く関係ない外部の運用会社にお願いしているので、議論としては同じことだと思いますので、外に運用をお願いしているという意味では、議決権を外にお願いするというのは、次元的にはそれほど変わらないと思いますので、議決権を外部委託するということを前提にして、パッシブとアクティブ、どちらをどこまでだったら許容できるかという観点で、御議論をいただけたらありがたいと思いました。

 私の考え方としては、出口さんのメモであるとか、先ほど米澤先生がおっしゃっていたような、このメモの中に、できれば法律で今、決めてしまうというよりも、1年とか3年の見直し期間というものを考えましょうということを入れていただけると大変、先ほど先生方がおっしゃったように、急いでやらなくたって、もう少し議論したらいいのではないのというお話であれば、猶予期間を明記していただいて、議論をしていくということを、さらにそこで担保していただけたら大変ありがたいと思いました。

 以上です。

○神野部会長 駒村委員、どうぞ。

○駒村委員 先ほどの米澤先生の御意見でちょっと気になったのですけれども、アクティブを今回やらないと困るとGPIF事務局が考えているということを言及されましたが、、GPIFの事務局がどう考えるかは、この部会で考える必要がないことであります。むしろ、先ほど山本先生がおっしゃったように、この話は市場観にかかわる話があるのです。つまり、インハウスをおくらせることによって発生する機会損失はあるのですけれども、一方で、市場観があって、これは前も御紹介したように、国家支配という話はまんざら夢物語ではなくて、ハイエクなどはそれを研究しているぐらいですので、従来から一つの市場観としては、心配するテーマとしてあるわけです。

 まず、ガバナンスがどうなるか。これは最後の13ページの進め方の話にもかかわるのですけれども、ガバナンスがどうなるかというのは、我々が議論したのはまず現時点で最小限の考えられるガバナンスの議論をしているわけで、これが果たしてきちんと機能するかどうかは、しばらく試運転をしなければいけないと思います。

 その際にチェックする項目というのは、独立性がきちんと担保されているのか、どうなのか。内部のチェックアンドバランスがきちんと機能しているかどうなのかということを、これは新しく設置される厚労省の新部会で、徹底的に議論させていただく。その場合、場合によっては非公開のようなこともあるかもしれませんけれども、新ガバナンスが機能するかどうかの実績を徹底的に見せていただく。その上で、インハウスのパッシブはやっていいかどうか、危険がないのかどうなのかという話になって、アクティブはまだそのはるか先だと思われます。

 その意味では、ここで決め打ちして1年だとか3年だとか、数字を入れるのは不適切であって、将来の可能性はあるとはいうものの、やはり新部会のほうで徹底的な検証ができて、その成果だと思います。1年、2年、3年などという数字を入れるのは非常に不適当ではないかと思います。ただ、将来、その議論をやるということはさまたげないというべきではないかと思います。

○神野部会長 それでは、また株式のインハウス運用の問題に戻っていただいて構いませんけれども、一応次の「2)オルタナティブ資産への投資について」と「3)規制のあり方について」、ここの部分に焦点を移しながら、御議論を頂戴できればと思いますので、よろしくお願いします。

 宮本委員、どうぞ。

○宮本委員 ありがとうございます。

 オルタナティブ資産への直接投資については、既に現在でも投資が行われているというお話ですが、実態がよくわかりません。例えばOMERSとの共同投資についても、具体的な内容、投資案件がしっかりと説明されていないと感じます。

GPIFは運用資金規模が極めて大きいため、例えば仮に1兆円のオルタナティブ投資、1兆円となると、担当者も相当ストレスがたまるとは思いますけれども、そこに例えば5,000億損が出たとしても、全体への影響は軽微です。そして、比較対象もなく、損をしても手数料は要るわけですが、本当に拠出をしている国民が納得できるようなコストの範囲内かどうなのかもわからない。また、手数料や事務局体制のコスト等を加味して、投資価値があるかどうかという判断が、外部から非常にわかりづらい。

 こうした状況では、オルタナティブ投資の効果が、もし、仮に惨たんたる結果になったとしても、わからないということにもなりかねない。このような状況で、仮にオルタナティブ資産への直接投資をする場合は、外部での検証等をどのようにするのか。また、リミテッドパートナーシップによるオルタナティブ投資を進めるにしても、コストの問題なども含め、国民が評価できるよう、しっかり情報公開することが必須であり、この点については、ぜひお願いしたいと思います。

 以上です。

○神野部会長 ほか、いかがでございますか。

 米澤委員、どうぞ。

○米澤委員 今の御意見は、私は全く同感だと思います。なかなか成果が図りにくいオルタナティブに関しては、事前にはなかなか情報は出しにくい点が多々あるかと思いますが、少なくとも運用した後に関しては、可能な限りわかりやすい格好で精査していくというのは非常に重要な点になってくるかと思います。そのもとで、現に一部進めておりますけれども、今後、よりそういうことで徹底して進めていくという前提のもとで議論させていただきたいと思います。

 私は、前回もちょっとお話しましたけれども、特にこれは繰り返しますけれども、運用委員会からのお願いで出てきたものですけれども、LPSのことをぜひ、これは政令ですけれども、お認めいただければということです。

 これは前回もちょっといろいろ事務局から説明がありましたけれども、コストをなるべく節約するという意味で、ちょっと戻りますけれども、インハウスのパッシブをやっても余り効果がないと自分で言っておきながら、運用コストは確実に、そんなに多額ではないのですけれども、下がる。これもコスト削減になりますので、お忘れなくということです。

 全く乱暴な言い方をすれば、かなり余分に近いコストを節約できるという効果があるというので、そこのところは、少ないですけれども、一歩ずつ、大事な受託者のお金ですので、フィデューシャルのデューティーを果たすためにも必要かなと思っていまして、その中で御議論いただければいいかなと思っております。

 それから、11ページでたしか山口委員がおっしゃったかと思いますが、不動産投資に関しましては理解が得られにくいのではないだろうかということなのですが、これはいつも必ずセットでグリーンピアの話が出てくるのですけれども、これは時効でよろしいのではないかと思っておりますので、もう少し広い見地で御議論いただいて、これは出てきた意見ですから削れとは言いませんけれども、もう少し暖かく、リターンがそこで見込めるのであれば、それを運用する余地を認めていただくというのは必要かなと思っております。

 以上です。

○神野部会長 ほか、いかがですか。

 出口委員、後でまた戻りますので、先に牧原委員、それから原委員。

○牧原委員 新たな資料もありましたので、質問もあるのですけれども、先ほど米澤委員のほうからコストという話がありましたが、今回、投資信託を介さずにリミテッドパートナーをやった場合に、コスト削減というのはどのぐらいを見込まれているのかということをお伺いしたいと思います。

 パッシブについても、本当にコストが下がるのかということに関して言うと、私はそうは思っていません。説明していただいた資料の中でも、コストを得るためには相当程度のパッシブの投資をふやしていかないと、コストメリットが出ないということもありますし、そもそも株式を受託・保有するためのプロセスであるとか、ガバナンスであるとか、要員教育であるとか、そういうことを含めて考えた場合に、民間企業以上にGPIFが本当にコスト削減できるのかというところについては、今でも疑問を持っています。

 それから、5%とはいえ、130兆のうちの7兆円ぐらいを最大でオルタナティブとして投資をするわけで、失敗すれば7兆円を失うという相当大きな話になるかと思います。そういう意味でいえば、前回山口委員から問題指摘がありました、不動産への投資、あるいはプライベートエクイティーとか、オルタナティブはいろんな手法があると理解しておりますけれども、一個一個についてきちんと、どこで議論し、どう説明責任を果たすのかということについて、2点、ちょっと質問をさせていただければと思います。

○神野部会長 米澤委員、簡潔にお願いできますでしょうか。

○米澤委員 簡潔に言いまして、数字的には今、私は把握しておらなくて、パッシブに関しましては、一番最初のときに、水野CIOから、グロスの節約の金額は出ておりまして、手数料の問題で、中でどのぐらいというのはなかなか難しい問題があるのかと思いますけれども、それを御参照していただくしかないと思います。

 それから、今の投資信託をかませない場合というのは、私も数字的には押さえていなくて、各個別のケースになるかと思いますけれども、前回の説明にもありますように、上がることはない。少なくなるという事務局からの説明もありましたので、それを我々も信じて提案させていただいている次第です。

○神野部会長 牧原委員、続けてありますか。

○牧原委員 やはりきちんと数字は押さえた上で、そういうものについては意思決定がされるべきだと思うし、そこの部分の情報公開も必要だと思います。

○神野部会長 ありがとうございます。

 原委員、どうぞ。

○原委員 規制についてまで、もうよろしいでしょうか。

○神野部会長 いいですよ。

○原委員 ありがとうございます。

 まず、オルタナティブ資産への投資についてということで、今回、非常にわかりやすい資料を出していただきまして、ありがとうございました。

 投資の方法をどうするかということだと、簡単に言ってしまうかもしれないのですが、そうだと思うのですが、現在は投資信託の取得を通しての投資のみが実施されているということで、やはり高額な手数料が発生するということは、まさにそのとおりだと思っております。したがって、LPSを通じた投資方法が検討されているということで認識をしております。これは確認です。

10ページから11ページにかけて書かれていますけれども、LPSの有限責任組合員であれば、個別の投資判断を行わない方法、つまり、決定権限がないという方法であるという認識ですが、一方で、無限責任組合員となる場合ですとか、マル3の株式などを保有して直接的に経営に参画するという方法もあるということですけれども、この中で、現在、実施を検討されているマル1のLPSの有限責任組合員ということであれば、個別の投資判断を行わないため、これは確認なのですが、例えば11ページの上にあるような、予期せぬ大事故とか、環境問題とか、何かが起きたとき、責任が問われるような事態は生じないという理解でよろしいかどうかということ。これは確認でございます。

 あとはコメントなのですが、規制のあり方、デリバティブについては12ページの真ん中にあるとおり、これが投機的なものとならないよう、防止措置をしっかりと講じる必要があるかと思います。そこに整理されているように、法令でその利用目的をリスク管理、リスクヘッジ、リスク回避に限定するということや、ルールを決めることで、利用機会、利用タイミング、利用時期の制限、利用額の制限を設けること、そして「利用時の経営委員会の関与」がここに掲げられていますので、そのあたりを新ガバナンス体制のもとで、経営委員会がしっかりと報告を受けて、監督を行う体制をしっかりとることが行うとした場合には不可欠だと思います。さらにマル3にあるように「常勤の監査等委員が常時監督する」と追記されておりますので、そういうことをしっかり行うということと、さらに、長期運用を基本とするGPIFの運用の中で、運用リスクの軽減のために、その活用が必要となるような運用環境の大きな変動が生じるケースにおいてのことと思っております。

 以上、質問とコメントでございました。

○神野部会長 お答えの前に、申しわけありませんが、出口委員が所用で18時にどうしても退室されなくてはいけないと。

○出口委員 もうちょっと大丈夫です。

○神野部会長 手が挙がっていらっしゃったので、意見、質問と同時に、ペーパーを出していただいていますので、次の論点にかかわる問題ですが、「改革の進め方について」というペーパーについても御説明いただいて。最後、18時ということで聞いておりましたので。

○出口委員 申しわけありません。

 まず、オルタナティブについて申し上げますと、きょうの2ページの資料でよくわかったのですが、1番の投資信託を通じたインフラ共同投資というのは、特徴の中で、世界の機関投資家では極めてまれな投資手段と書かれています。私もちょっと運用していた経験から言えば、これは1回目にコストは幾らぐらいですかと参事官にお聞きしたら、これは個々の商売ですからお答えできませんという回答をいただいたのですが、私の勘では、極めてまれな投資手段をやるときには大体2ケタ、10億以上の手数料を最低でもとっているのだとゲスしますので、やはり極めてまれな投資手段をやっているということ自身は、規制があるからやらざるを得ないので、これはまさに前も申し上げましたけれども、池の中の鯨の手足を縛っておくと、かえってマイナスが大きいということであるだろうと思います。

 ですから、オルタナティブにつきましては、もう5%という基本ポートは決まっているわけですから、その中でどうやって効率的にやるかということが問題であって、どうすれば一番無駄なく合理的な投資ができるのかということです。LPSはある程度書かれていますので、問題ではないのですけれども、3番の非上場会社等を通じたオルタナティブ投資についても、1番のようなことが起こらないように、法律上はオーケーでいいのではないか。

 ただ、そのときに御懸念があったことを考えれば、これは例えばデリバティブと同じように、当面は世界の大きい企業年金との共同投資に限るとか、あるいは、米澤委員は時効とおっしゃいましたけれども、国民感情としては、グリーンピアでしたか、いろんな先例がありますから、グリーンピアのような投資は行わないということをはっきり書いておいてもいいと私は思うのですけれども、そういう懸念点はデリバティブと同じように、こういう範囲から始めるということをきちっと決めておけば、後からも申し上げますけれども、法律で縛るということは、イノベーティブなマーケットでは、必ず手足を縛ることになりますので、そのように考えれば、デリバティブと同じような基準、運用方針をはっきりと事務局でお考えいただいて、オルタナティブについては問題ないのではないかと思いますし、デリバティブとかコールにつきましては、リスク管理を厳格にやるという観点では反対意見がなかったように私は思いますので、これは即刻手当てをされてもいいのではないかと思います。

 済みません、所用があって、戻りますので、進め方につきまして先に話していいというお話をいただきました。時間がないかと思って紙に書いてきたのですけれども、まず、1つは、菅野委員がいらっしゃらないので、いらっしゃらない中で言うのは好きではないのですけれども、菅野委員のお話は、運用の進め方の1、2、3について、ガバナンスがおくれてはいけないという御趣旨だったと思いますが、もともとこの委員会はガバナンスと運用の多様化を両輪でやるという観点で、どちらも一緒にやるという観点で進められた。そういう問題提起をされたと私は理解しているので、菅野委員のように片方だけというのは、もともとの趣旨ではないのではないかと、欠席裁判みたいで申しわけないのですけれども、私は思います。

 それから、細かいことで、山本委員がルビコン川はここにあるとおっしゃいました。私の言葉が足りなかったのですが、ルビコン川は2本あります。まず1本はインハウスを認めるかどうかで、でも、インハウスの中でもアクティブとパッシブの間ではかなり大きい意見の隔りがあるのでそこにもルビコン川があるのではないですかという意味で申し上げました。

 3点目は、駒村委員が1年とか3年という期間を設けるのはおかしいと言われましたけれども、私はこれには反対でして、1年とか3年とか期限を設けておかないと、ずるずるいってしまう。私は、1年、3年と認めておいて、駒村委員がおっしゃるように実態が全然伴わなかったら、一回会議をやって、まだ実態がだめですから、また3年後と決めればいいだけの話で、やはり1年とか3年後に必ず議論するという、タイムラインを決めておかないと、せっかく今まで議論してきたことがむしろうやむやになるのではないかという感じがします。

 「改革の進め方について」、できの悪いペーパーをつくってきたのですけれども、ガバナンス改革を先行して、その実績を踏まえて運用のあり方を考えるという案は、総論としては非常にきれいで、国民の皆さんもそうかと思うかもしれませんが、実態は経営委員会、GPIFともに最も重要な課題である人材の育成ができないという難点が大きいと思っています。やはりコーチであっても、選手であっても、よちよち歩き、ちょっとずつ始めてそれを見ながら、選手も上達し、コーチは経営員会ですけれども、それもノウハウが上がっていく。このダイナミズムを忘れていけないと思います。

 2点目で、イノベーションが進みやすい分野の、運用に限りませんけれども、規制については法律はなじみにくいと、下の表にもう一度公式を書かさせていただきましたけれども、イノベーションがどんどん進んでいく中では、先ほどの信託のようなことが起こるので、法律にはむしろなじまない分野だと個人的には考えています。ただ、ここは皆さんの御意見を聞く場ですから、私の個人の意見は1、2で終わりですけれども、実際には多くの委員が運用の自由化について懸念を示されているということは事実だと思いますので、私自身は、改革の進め方については次のように考えてはどうかと思っています。

 私も、きょうが最後と聞きましたので、ざっとですけれども、過去の議事録を読んでまいったのですけれども、デリバティブの規制緩和、これはもちろんちゃんと枠をはめた上でということですけれども、それから、コール市場の活用などについては、私の理解ではほぼ異論がなかった。多数の方が大体問題ないのではと言われていたのではなかったかと思いますので、これは早急に手当てが必要だ、ガバナンスを待つということではなくて、早速行うべきではないかと。リスク管理のためですから、リスク管理は今日でも必要な分野ですので、これは米澤委員に運用委員会でしっかり見ていただくということであれば、問題はないのではないかと思っております。

 それから、株式のインハウス、これは2本目のルビコン川ですけれども、パッシブとオルタナティブ資産への投資についても、どちらかと言えば異論は少なかった。パッシブまではいいのではないかという意見が多かったように私は読みましたので、法律上はこれについては可能としておき、ただ、懸念を指摘される方も多かったので、慎重を期して、実際にやらせるかどうかについては、例えば1年後に年金部会等を開いて、体制整備の実態を、運用委員会の米澤先生からこう進んでいますということを報告いただいた上で、ここで議論して、ここまでできたのだったらやらせてもいいではないかとか、あるいは、不安だからもう一年待とうとか、そういう議論をしてはどうかと私は思います。

 それから、アクティブにつきましては、正直、私はこれも法律に書く必要はないと思いますけれども、恐らく年金部会の多数の皆さんの御意見は、やはりアクティブについては2本目のルビコン川があるという意見、異論のほうが多かったと私は思いますので、これは法律上も当面不可としておいて、3年後でも5年後でもいいのですけれども、タイムラインをきちっと決めて、もう一度審議する事項と、このように、今後の改革の進め方については分けて事務局で考慮していただければ大変ありがたいと思います。

 おまとめいただいたペーパーについては、私はオルタナティブにつきましても、あるいはデリバティブ、規制のあり方についても、このまとめ自身も二、三回読ませていただきましたけれども、年金部会の意見をフェアにきちっと書いていただいていると思っていますので、まとめについてはこれでいいのではないか。もちろん、これからまたいろいろ意見が出るでしょうから、その皆さんの意見を修文していただければ、それは部会長にお願いできればと思いますが、私自身は読ませていただいた限りは、このまとめはフェアであると思います。

 最後の改革の進め方につきましては、山本委員もちょっと御指摘されたように、3つなのだろうかと思いました。1と3はいいと思いますけれども、2については、2の1と2の2があって、例えばデリバティブやコール市場については問題がないと思いますし、2の2の中でパッシブやオルタナティブについては別段落をとって、考え方は4つあるのではないか。1、全部だめだという考え方と、3のように全部オーケーという考え方と、一部分認めるという中で、2つあって、デリバティブやコール市場のようにほとんど問題がない部分と、パッシブやオルタナティブのように少し注意が必要な部分と、この4つぐらいの考え方に分けて議論をしていただいたほうが、むしろ議論がきれいに進むのではないかと個人的に思いました。

 先に意見を言わせていただいて、大変申しわけございませんでした。

○神野部会長 どうもありがとうございました。

 それでは、米澤委員。

○米澤委員 今、出口委員の最初のほうの御意見で、全部コストの問題はお答えになったかと思いますので、私はそれ以上のことは知見がないもので、それで結構かと思っています。よろしいでしょうか。

○大臣官房参事官(資金運用担当) もしよろしければ、事務局から御説明させていただきます。

 最初の牧原委員の御質問にもかかわりますけれども、今、出口委員から御指摘いただきましたように、参考資料の2ページを見ていただきますと、まず、オルタナティブ投資のコストの関係ですが、確かに具体的な額は出しておりませんが、投資手段の比較として一番左側が投資信託を通じた今の仕組みでございまして、真ん中がLPSを通じたオルタナティブ投資でございますけれども、先ほど御指摘いただいた特徴のところにありますように、投資信託を通じたインフラ共同投資というのは極めてまれな投資手段になっております。

 一方、LPSのような仕組みというのは現在、一般的な投資手段になっているということでございまして、この結果、何が起きるかといいますと、オルタナティブ投資をするときに、対象のLPSに対して投資信託を通じて投資を行うということも考えられます。つまり、二重にスキームがかかってくるということが考えられます。

 そうしますと、当然、投資信託の分だけはコスト高になってくるということがございます。運用報酬という欄に書いておりますように、投資信託がLPSに投資する場合は報酬を二重に支払うということがございますけれども、このようなことが起こり得るということでございまして、投資信託を通じたインフラ投資を通じたインフラ共同投資というのは、出口委員御指摘のように、極めてまれな投資手段であるがゆえに、一般的に行われている投資法と絡めようと思いますと、上乗せのコストがかかってくるというのが実態でございます。

 カナダの年金との共同投資では、最大2,500億円ということで投資を行っておりますけれども、そのうちの一定割合がかかるということになりますと、額としてはそれが投資信託ということでかなり低く抑えられていたとしても、数億円規模の手数料、コストというものが生じる可能性があるということで、こうしたことを踏まえて、労使の推薦の方も入られた運用委員会では、全会一致でLPSという仕組みをぜひやってほしいという御意見があったものと認識しております。

 原委員から御指摘のあった、有限責任性のところにつきましては、リミテッドパートナーシップ、参考資料の4ページの中で、有限責任組合員として参加する参加する場合には、まさに言葉のとおりでございますけれども、債務については有限責任ということで、実際に個々の投資対象をどういうものに投資するかというのは、有限責任組合員はかかわることができなくて、無限責任組合員としての運用者が判断することになりますので、こちらが実際の個々のプロジェクトをどうして選んだのかという点についての責任を負ってくるというところになろうかと思います。

 不動産に関しての御指摘がございましたけれども、ここは前回も山口委員から御指摘がございましたが、グリーンピアに関しまして、当時の年金福祉事業団で、被保険者への福祉還元ということでつくられた施設でございまして、運用対象として行ったものではございません。ですから、グリーンピアのようなことをやるということは、今回、不動産投資が認められたとしても、全く性格は違うものになります。

 そして、最後、順番が逆になりましたけれども、オルタナティブ投資につきましては、前回、植田部会長代理から御紹介がありましたように、カナダとの共同投資を行うに当たりまして、分散投資の観点から、有用性があると、かなり熱心な議論あるいは研究を通じまして、有用性があると認められたということでございます。最大5%ということなので、ゼロから5%ということでございます。現在、0.05%ということなので、かなり急に大きくなるという性格のものではなくて、体制を見ながらやっていくということで、運用委員会のほうでチェックしながら進められているという状況でございます。

○神野部会長 既に4に入っていますので、4を含めて御議論頂戴できればと思います。

 では、まず、藤沢委員、お願いします。

○藤沢委員 ありがとうございます。

 済みません、もう議論は尽きているかもしれないのですが、コメントだけ言わせていただければと思います。

 年金の運用、何度も繰り返し皆さんおっしゃっていた、安全かつ効率的という目指すものがあるわけですけれども、安全という言葉の背景にある運用の立場からいうと、それは一体何なのかというと、ある程度のボラティリティーと言われる値動きの幅をどれぐらい抑えていくかという観点が大変重要で、その部分を考えて、かつ、上下の幅というのが広くなると、安全性も低くなると同時にコストも大きくなるという考え方にもつながってくると思うのです。

 その観点から考えたときに、投資の理屈を研究されている先生方でしたら御存じのことだと思うのですけれども、株と債券というのがボラティリティー、大きな値動きを抑え合う相関関係というのは非常に低くなっていて、同じように動くので、株と債券に分けて投資をしていても、値動きを小さくすることは難しくなっていて、その流れでオルタナティブというものが導入されて、これが世界の年金でも利用されている、これは植田先生が前回、御指摘されたことそのものだと思うのです。

 そういう観点でオルタナティブを使うということは、国も御判断されて、この議論が年金部会でなかったのが私は少し疑問を感じているところではありますが、既に5%と決まっているということで、もう決まっているのであれば、今度はその上下幅をさらに下げるときの下振れのリスクを下げる意味でも、コストを下げるというのは非常に重要で、先ほどもコストの問題があって、何回か前の1月の資料を今、見直していたのですけれども、GPIFから出ていた資料を見ても、オルタナティブの投資というのは運用委託手数料は基本2%、成功報酬20%で、今の基本ポートフォリオであれば上限5%、7兆円とすると、基本の報酬を払うだけで1,400億円の手数料が発生します。そこにさらに成功報酬20%。値上がり分にということだと思います。

 そうやって考えると大変な大きな額で、そこにさらにまたファンドの手数料を払うというのは、どう考えても大変なコストを私たちが担うことになりますので、先ほど年金局の方の御説明は大変わかりやすくて、資料4ページを見ていただければわかるように、有限責任で入っていくということは、要するに、運用するわけではないので、ある意味ファンドに投資するのとある程度似たような形になっていると思いますので、ここはそれほど恐れることはないのかな。それよりもコストが下がり、下振れのリスクを少し抑えることができるという意味で、安全かつ効率的という年金の考え方には合致するものであるのではないかと思います。

 4番目のところをついでに申し上げますと、私はこれを見たときに、改革の進め方で、おやと思ったのが、インハウスの議論はこれまで、私の知る限りではパッシブとアクティブのところでどこまでやるか。パッシブまではいいのではないか、アクティブはやめておいたほうがいいのではないかと、ここに線があったような気がします。

 今のオルタナティブの話もそうです。ところが、この進め方を見ると、ガバナンスを先行します。次は、ガバナンスもやるけれども、デリバティブとコールだけになって、ここにはアクティブもインハウスも入ってこなくて、3番目に急にインハウスの運用等の改革とガバナンスを一体にして行う。急に飛躍してしまったというか、急にまとめられてしまった感があって、なので、ガバナンスを先行すること、デリバティブ規制緩和、コールの話、オルタナティブと、インハウスにおいてもパッシブとアクティブを分けて考えるという議論があったように思うので、せめて選択肢を今までの議論に沿った形で並べていただければ、多いと大変ということもあるのかもしれないのですが、御提案させていただければと思います。

 以上です。

○神野部会長 ありがとうございます。

 まず、平川委員。

○平川委員 オルタナティブとデリバティブの関係について、意見を申し上げます。

 オルタナティブ資産への直接投資の参考資料にOMERSが並んでいるのですけれども、できれば今後、OMERSが職域年金であって、公的年金であるGPIFとは違うというところを前も指摘しましたが、その辺に留意するべきであり、その辺についての記載を入れていただければと思います。

 まとめのほうの10ページに、オルタナティブ資産への共同出資については、マル1LPSの有限責任組合員のように個別の投資判断を行わない方法、マル2無限責任組合として関わる方法、マル3株式を保有し、経営に参画する等により企業価値等を高めていく方法、についての記載があり、マル1は直接関与する仕組みではないという形になっていますけれども、有限責任であろうと、GPIFという政府機関である以上、何らかの責任もしくは社会的な批判が起こるのではないかと懸念をしておりますので、その辺は、しっかりとチェックをしていく必要があると思います。

 また、コストの問題でありますけれども、コストというのは変動的なものと考えます。また、コストがこれだけかかると、国民からすると、そもそも何でそういう莫大なコストがかかる投資をわざわざやるのですかという意見にもなりかねないという懸念を申し上げておきたいと思います。

 いずれにしましても、オルタナティブについては、先ほど宮本委員がおっしゃった懸念がまだまだ払拭できていないのではないかと思っております。

 デリバティブの関係でありますけれども、リスクヘッジするという意味合いで、水野理事からもいろいろ言われておりましたが、GPIFが大きな運用を行う中でリスクヘッジするということは、逆に、私はよくわからないのですけれども、中期的に見れば、もしかしてGPIFはこの株は下がるのですということを内外に表明してしまうことにならないのかなと懸念いたします。そもそもこういうリスクヘッジを行っていく。リスクヘッジの基本はポートフォリオだと何回も言われておりますので、そういうリスクヘッジをすることによって、逆に運用が長期的なものから短期的な方向に向かってしまうような懸念もありますので、この辺について、少しお聞きしたいと思います。

 いずれにしましても、デリバティブにつきましては、運用の制限をいろいろかけていくという話でありますけれども、定性的な内容でありますので、具体的にどのような、量とか金額を含めて、今後は、その辺を引き続き明確にしていけるような形にしていけばいいのではないかと思います。

 以上です。

○神野部会長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 ありがとうございます。

 オルタナティブに関しては、私は最初勘違いして、オルタナティブ全体の話かと受け取っていたのですが、そうすると、投資対象、方法についていろいろあるのですけれども、今回の議論は、LPSを使って、有限責任組合員として出資するような話に限定した規制緩和の話であるということでありますので、それであれば、先ほど藤沢委員からもありましたように、コストを考えればこういったものをきちっとできるようにしておくということで、いいのではないかと思いました。

 デリバティブについては、これも内容的には年金資金の運用者にとって常識に近い道具が今、使えないということでありますから、これも、もちろんリスク管理をきっちりやった上で、効率的な運用を行うということでよろしいのではないかと思っております。

 ただ、不動産について一言申し上げたいのですが、私はたまたま独立行政法人評価委員をやっていて、RFOという福祉施設整理機構の仕事をずっと拝見していたものですから、不動産の後始末という意味では大変な苦労をされていたことをリアルに記憶しているわけです。

 不動産というのは投資するときは将来の収益期待ということでいいのですけれども、問題は売却時に後始末がきっちりできるかどうかということでありまして、多分、投資としてやる場合に、今までのグリーンピアのような開発型とは違うというご指摘は、そのとおりだと思います。ですけれども、グリーンピア以外の福祉施設としてつくっていた宿泊施設・保養施設といったものとはかなり似ているように思います。おそらくは、これから投資の対象となるであろう不動産というのは更地ではなくて、収益物件で、ホテルであるとか、あるいはオフィスビルであるとか、そういったものだと思うのです。ですから、ホテルなどと宿泊施設というのは似たような話でありまして、もうかると思って投資したけれども、なかなかうまくいかないなどというのは、同じような話になるわけです。

 何といっても、先ほど牧原委員も言われましたけれども、この問題は、本当につい最近まで続いていたこと、オンリーイエスタデーという印象がありまして、私の中ではとても時効になっているとは思えないですし、国民の意識の面でもアレルギーは相当残っていると思いますので、そういった観点も含めて、我々は年金部会の委員として、やはり慎重であるべきではないかということで、私はしつこく警鐘を鳴らしているわけです。

 そういうことなので、投資として過去の失敗が全く関係ないということではありませんので、その点、ちょっと補足させていただきたいと思います。

○神野部会長 ありがとうございます。

 牧原委員、どうぞ。

○牧原委員 オルタナティブ投資とデリバティブと、改革の進め方、3点について意見を述べさせていただきたいのですけれども、オルタナティブについては、決してリミテッドパートナーに限定した話ではないと理解しています。いろんなパターンの投資のあり方が今後、出てくる可能性がある中で、これはいい、あれはいいということについてはきちんと、ガバナンスが整った上で一個一個どういう形で組成されたかということ、本当にコストメリットがあるのか、リスクはどうなのか。リミテッドパートナーといえどもいろいろ日本の国としての信用の問題とかにかかわるわけで、そういうものを一個一個検討した上で、これはやるのか、やらないのかということが前提になると思います。そういう意味では、ガバナンスがきちんとなった上で、オルタナティブ投資についても、これはいい、あれはいいということを一個一個判断すべきではないかと思います。

 デリバティブについても、そもそもコストがかかるわけで、年金基金は中長期的な運用を基本とする、こういう性格のものにデリバティブはどこまで機能するのか。我々も基金を運用しているのですけれども、株式の下落に対してヘッジをかけるのですが、実を言うと、株価が上下するときに、余りこれは有効でなかったりというようなことも経験しております。

 そもそもデリバティブというのは本当に意味があるデリバティブなのかどうかということも、当然、ガバナンスがきちんとした上で検討されるべきであるし、そもそも30兆円規模でヘッジができるのかという疑問もあります。意味のないヘッジをかけてしまえば、コストをかけて、意味のないことをやるということになるので、そこもガバナンスがきちんとできた上で検討すべき問題ではないかと思います。

 そういう意味でいうと、改革の進め方については、まず、ガバナンス改革というのを先行し、それを実施した上で後の議論を行うというのが本来の筋ではないかと思います。

○神野部会長 ありがとうございました。

 駒村委員、どうぞ。

○駒村委員 改革の進め方で、出口委員は出られてしまったのですけれども、先ほどちょっと違和感があったのは、この議論のスタートはやはりガバナンスが先にあったのではないかと思うのです。運用の多様化とインハウスというのは過去の部会のお題を見る限りにおいては表に出ていなくて、後からついてきたような問題なので、まずガバナンスをやらなければいけないと思います。

 それから、インハウスについては、パッシブについては許容という意見が多かったのではないかとまとめられた。それはそうではないのではないか。やはりパッシブについても非常に慎重な意見が多かったので、今、御議論がありました御発言と似たような話になるわけですけれども、まず、ガバナンス改革はきちんと行う。

 先ほど出口先生は、例えばでおっしゃったのかもしれませんけれども、ガバナンスの実態については、例えば「米澤委員長が」とおっしゃったのですけれども、ここで言っている実態の評価というのは、あくまでも新ガバナンスの状態ですから、米澤先生が新ガバナンスの運用委員長になるかどうかわからないわけですので、それは当然、新ガバナンスが1期2年は最低ちゃんとワーキングするのか、委員の任命プロセスはどうだったのか、どういう議事が行われているのかは、場合によっては新部会の議論はクローズでもいいので、新部会で新ガバナンスを徹底的に検証させていただいて、ちゃんとチェックアンドバランス、独立性が働いているかという試運転をモニターさせていただいた上で、パッシブはどうなのか、アクティブはどうなのかという順番に入っていくと思うのです。

 そういう意味では先ほど、出口さんがおっしゃったように、1年とか3年、それは機会費用がかかっているならば急いだほうがいいとは思いますけれども、ただ、材料がそろわないのに、1年来たからもうけりをつけましょうという話は、この不安視されている弊害に比べれば、余りにも拙速になると思います。新ガバナンスが厳しい実証的な検証に新ガバナンスが耐えた上で、次のステップに入っていけばいいかなと思いますので、改革の進め方については、確かにマル2のデリバティブのところの後にオルタナティブをつけるか、つけないかというのは選択肢としてはあるかもしれませんけれども、インハウスでパッシブは、総論として多くの委員が支持したということはないと思いますので、慎重論のほうが多かったと思いますので、そういう選択肢をあえて加える必要はないと思います。

 以上です。

○神野部会長 米澤委員、どうぞ。

○米澤委員 せっかくまとめの段階に入っているのに、後ずさりで恐縮なのですけれども、技術的なことでお答えさせていただきたいと思います。

 何人かの方がデリバティブに関して、うまく使えるのかと御質問があったのですけれども、おっしゃるとおりです。というのは、規模が大きいので、ヘッジのために使うならば、下手に使ったらマーケットを荒らしてしまいます。これは相当慎重に使わなくてはいけなくて、この点に関しては、私個人的には別にガバナンスがちゃんとしていなくても、何人か専門家がいれば、どの程度使えそうなのかというのは計算することはできます。それは十二分に認識しております。

 ただ、ヘッジではなくて、むしろ流動性を付加するという意味では、使えれば使えるのではないか。例えばこの間の株式の比率を大分上げたときに、GPIFが株式を大分買っていったわけですが、あのときにうまくワンクッションかませればもう少しうまく買えたということもあり得るのかなという感じがしています。これは現実的な話かと思います。

 株式に比べまして、為替のマーケットは、例えば円ドルのマーケットは相当深いですので、ここに関してはうまくヘッジで盛り込むこともできるのかなと思っていますので、その辺の小さな企業年金がヘッジするのとはわけが違いますので、そこは十二分にできる話とできない話は峻別して、そういうノウハウは今の運用委員会でも持っているつもりでございますので、御安心とまでは言いませんけれども、十二分に認識しております。

 私がここにいるのは、今、GPIFの運用委員長の立場としているわけではなく、私は年金部会は運用委員長になる前から参加させていただいていまして、途中から運用委員長になっていったので、充て職でいっているわけではないのです。

 とは言いながら、時々公私混同して運用委員長の立場からも答えさせていただいておりますけれども、そのときも今でも、既に、何回も御案内しましたように、機能的には合議制をやっておりますし、GPIF自体と我々運営委員会、かなりの緊張感をやっておりますし、私はGPIFの意見を代弁しているわけではないので、そういう意味では、先ほど言った、本当は私はアクティブを言わなくてはいけないのではないかと冗談半分で言ったわけですけれども、そこのところはあえてそうではなくて言ったつもりなので、今でも自分としては合議制を走っているという理解でやっているということを御理解いただければうれしいと思っております。

○神野部会長 ありがとうございます。

 4の改革の進め方を含めて、御議論を頂戴できればと思います。よろしいですか。

 どうぞ。

○平川委員 済みません、4の進め方について、発言させていただきます。

 進め方ですけれども、マル1に「まずはガバナンス改革を先行し、その実績を踏まえて」とありますが、ガバナンスの問題は本当に喫緊の問題でございまして、基本的には拠出者の信頼もしくは国民の信頼が重要ではないかと思いますので、しっかりとそういう方向で整理をしていくべきだというのがマル1ではないかと思います。私としては、このガバナンスの改革を先行すべきだと考えています。

 マル2では、運用について「まずは」と書いてありますが、これは多分、先ほどから出ているタイムラインの問題だと思います。1年もしくは2年、3年議論してから、例えば株式のインハウスも議論したらどうかという話だと思いますが、そもそもなぜ株式のインハウスについて行うべきなのかという点では、基本的に具体的な理由がありませんので、「まずは」という話にはならないのではないかと思います。

 その後の「活用など」となっていますけれども、これも「など」というのは意味不明でありますので、これについても修正していく必要があるのではないかと思っています。

 先ほど出ていましたアクティブとパッシブの境界線でありますけれども、アクティブを積極的にやるべきだという方については、多くなかったと思います。パッシブも、積極的にという意見は余りなかったのではないかと思っておりますので、改革の進め方はこの3つの論点になるのかなと思いますが、やはり私としてはこれまでにやったとおり、まずはガバナンスを先行し、しっかりと労使の拠出者の意見を反映していく仕組みを構築することが重要だと考えております。

 以上です。

○神野部会長 ほか、いかがでございますか。

 原委員、どうぞ。

○原委員 改革の進め方については、まだコメントしていませんでしたのでここの1、2、3という、それも議論があるところではあるのですが、まず、2と3の間には少し幅があるのだろうと思います。

 それを考えた上で、ガバナンス改革を中心に実施する。運用については「まずは」という言葉の使い方はあるかと思うのですけれども、喫緊に必要な規制緩和など、「など」を明確にする必要があるのかもしれませんが、今、早急に手当が必要なリスクヘッジのためのツールとして限定・制限した上で、必要な改革を行うというところまでではないかと思いますし、2の次の3以降なのかわからないですが、まだそこはちょっと今の段階では難しいのではないかと感じております。

 以上です。

○神野部会長 ありがとうございます。

 藤沢委員、どうぞ。

○藤沢委員 ありがとうございます。

 オルタナと改革の進め方については既にコメントとさせていただいたので、余分な話になるかもしれませんけれども、やはり先ほど申し上げましたように、年金の運用を考えるときに、安全かつ効率的ということを考えると、やはり下振れのリスクということは本当に恐ろしいことで、普通に考えても、100のものが80に減るということは、2割減るのですが、この80が100に戻るためには2割では戻らないのです。25%のパワーがないと、80は100に上がらないわけで、下がるということに対してどれくらいの手当てをしておくかということを考えると、ヘッジをかけるということは、すごく重要なのでありますし、同時に、流動性というのを米澤先生はおっしゃったのですが、これだけ大きな運用をしていると、やはり流動性に対して影響を与えますし、それもまた下振れリスクの一つの要因になってくるので、ある程度それを担保するためのデリバティブを使えるようにしておくということは、既に債券のほうはもうお使いになっていらっしゃいますし、ほかの年金なども使っていますので、そこは安全かつ効率的な運用をする上で前向きに考えるということは、大変重要なのではないかと申し上げたいと思います。

 そして、改革の進め方については、先ほどもう申し上げたとおりなのですけれども、駒村先生のほうからも、まず、ガバナンスが2年でちゃんと機能するのか見ましょうというお話があったので、であるならば、その2年という数字をいただいたので、2年後にはもう一度議論しましょうということ。

 すごく心配なのは、今回、私が先ほど4のところで、3つではなく4つか5つかではないかという御提案をしたのですけれども、どれに落ちつくかわかりませんが、選ばれなかったものに対して、2年後、もう一回議論しましょうというのは担保しておいていただけると、せっかくここでこれだけ議論しましたので、またそれがいつ復活するのかわからないというのは、皆さんのお時間の無駄さ、もったいなさを考えても、ぜひ御検討いただければと思います。

○神野部会長 では、山口委員。

○山口委員 ありがとうございます。

 私は、結論から先に申し上げると、2番かなと思っています。先ほど藤沢委員もおっしゃったように、この問題はかなり長いこと議論してきています。私は年金部会の委員をかなり長くやらせて頂いていますけれども、運用について、こういう議論をやった経験がほとんどないのです。せっかくこれまで議論を重ねてきてわけですから、それを活かさずに何もしないで先送りするというのは、本当に今までの苦労が徒労になってしまうわけで、まずは規制緩和、有限責任組合員のところまで認めるとか、コールを活用できるとか、あるいは、先ほど出ていたような、デリバティブでも要するに、効率的な運用を行うための手段としてのヘッジなどを、不可欠なものとして認めていく。

 その上で、例えばインハウス運用については先ほどの整理だと、3つ並列になっているわけですから、この文章全体を解釈すると、この2番の「など」の中にはインハウスは含まれていないと思いますので、必要不可欠なものだけとりあえず実施していくといったようなことで、それと、新しいガバナンス体制の中での実績などの、状況を見きわめながら、さらなる議論していくというような方向でよろしいのではないかと考えております。

○神野部会長 ほか、いかがでございましょうか。

 駒村委員、どうぞ。

○駒村委員 先ほど藤沢委員が2年と、別に2年でなければいけないというわけではないのですけれども、ちゃんと検証ができてということで、数字ありきではないと思う。

 ただ、一方で、何も時間的なものがなくて、いたずらに宙に浮いているというのもまずかろうと思いますので、そういう意味では、数字ありきというよりは、きちんとした検証、ガバナンスが、独立性の視点から、またチェックアンドバランスの視点から、ちゃんと機能しているかということを、新部会が検証する。厚生労働省もその準備はする。その上で、十分に検証ができてきたということで、選択肢を広げるということで、私は、2年という数字や3年という数字を決め打ちするよりは、きちんとできる、ただ、それを先送りしてはいけませんという趣旨です。

○神野部会長 米澤委員、どうぞ。

○米澤委員 GPIFの運用委員としてちょっと心配なことがあって、確認させていただきたいのですけれども、仮にマル2あたりで大半の方が落ちつくとなると、先ほどのパッシブのインハウスは落ちるわけですね。さらに仮に丸2年というと、この法律が施行されてから丸2年ですね。そうすると、何年先になるかわからないところでようやく見直していただけるという状況ですね。そこのところで合格をもらったとしても、実質的には3年後、4年後となり得るわけなので、これは、植田先生から見て、私はそのとき退室していて議事録を読んだのですけれども、今の時間軸で見て、もう少し何とかならないのかなというのは、運用委員会からの切実な要望なのです。そこのところ、何か別途、マル4にすれば生き返るのか、そういうのも含めて、今度は心配ですというか、そんなに時間をかけるのかということなのです。

 パッシブですよと言うと怒られてしまうかもしれませんけれども、この中でもかなり過半数に近い方はいいのではないだろうかと認めていただいたものが、そんなに遅くなることに関して、やはり機会損失というのは大きいのではないかというのは、運用委員の一人として心配します。

○神野部会長 山本委員、どうぞ。

○山本委員 私がよく理解できていないということで、ちょっとお伺いしたいと思ったのですけれども、この3つの選択肢の中の真ん中の部分というのは、この部分を選択する場合には、インハウスの場合とインハウスでない場合が両方ともあり得るとして、インハウスなのであれば、インハウスにするかどうかという以前の、総論的な議論がありますので承認できませんし、仮にインハウスではなく、おっしゃるようなデリバティブの必要性ですとか、コールの必要性があるのであれば、それは十分検討できるかなと思ったので、要するに、インハウスではなくてもヘッジに成果があるのであれば、2番を承認していきたいと思います。

○神野部会長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○藤沢委員 私ももう一言だけ。

 今、1、2、3と議論されていますけれども、先ほど4)の改革の進め方については、この3つの中で今、選びましょうという話ではなくて、3つに分けていること自体が今までの議論と必ずしも整合性がない気がしますので、1、2、3ではなくて、オルタナもちゃんと入れて、インハウスはパッシブまでなのか、アクティブまでなのかというところまできちんと入れたところで、もう一度議論ができるようにしていただけたらありがたいというお願いでした。

 以上です。

○神野部会長 よろしいですか。

 どうもありがとうございました。御議論をいただきましたが、論点の1、2、3までというか、議論の整理としては、そう大きな修正を要求するような御意見はなかったと思っておりますので、休憩をいただいて、4)の進め方を含めて、本日いただいた議論を織り込んで、議論の整理(案)を今すぐにお出しして、確認していただければと思います。

15分とらせていただいてまた再開させていただければと思います。

 それではちょっと休憩させていただきます。

 

(休  憩)

 

○神野部会長 皆さん、おそろいでいらっしゃいますので、それでは、部会を再開させていただきます。

 休憩をいただきまして、本日、御議論いただきました議論の整理(案)について、本日の皆様方の意見を事務局のほうでずっとメモしてもらっていますので、それを踏まえながら、私の責任において事務局と相談しながら修正をさせていただいて、整理をいたしました。

 事務局のほうから説明をいただければと思いますので、よろしくお願いします。

○大臣官房参事官(資金運用担当) それでは、私のほうから、修正した点について御説明させていただきます。

 まず、4ページ「(1)更なるガバナンス体制の強化」という中で「その他」というところでございます。情報公開に関する記載がございましたが、委員の間で、広く国民の理解を得ていくという観点を入れることが大事ではないかという御指摘がありましたので、4ページ「情報公開について、やむを得ない場合にのみ制限を設け、基本的には可能な限り情報公開を行い、広く国民の理解を得ていくことが重要であるとの意見」ということで「を行い、広く国民の理解を得て」という文言を加えております。

 続きまして、9ページ「株式インハウス運用を認めるべきではないとの意見」として、1番目の○にポツが4つございましたが、その下にもう一つ加えまして「パッシブ運用についても、インデックスの設定の仕方によっては、市場や企業経営への影響が懸念される」という一文を追加しております。

 最後でございますが、13ページ、先ほど御議論がございました「4)改革の進め方について」というところでございます。改革の進め方について3つの整理をしておりましたけれども、御議論を踏まえて、4つにした上で、先ほどの議論をまとめております。

 まず、先に、選択肢を御紹介いたしますと、マル1は「まずはガバナンス改革を先行し、その実績を踏まえて、運用の在り方を考える」ということで、同じでございます。

 2番目の選択肢は「ガバナンス改革を中心に実施し、運用については、早急に手当が必要なデリバティブの規制緩和やコール市場の活用を行う」。

 3番目として追加しておりますのは「ガバナンス改革とともに株式のパッシブ運用等まで実施可能とする改革を行う」

 4番目として、先ほどの資料では3番目にありましたものを修正いたしまして「株式のアクティブ運用を含めた本格的な運用改革とガバナンス改革を一体として行う」ということであります。

 このうち、3つ目の選択肢として「ガバナンス改革とともに株式のパッシブ運用等まで実施可能とする改革を行う」としております。「等」の中身としてはオルタナティブに関する直接投資、先ほどの出口委員の御議論を踏まえて「等」という形で整理しております。

 こうした4つに選択肢を分けた上で、1番目の○に返りますが、改革の進め方については、以下の4つの考え方について、本日議論を行い、一部にマル3がガバナンス改革と株式のパッシブ運用等まで実施可能とする改革を行うという案ですが、一部にこのマル3が適当との意見があったが、現段階ではまずは国民から一層信頼される組織体制の確立を進めることが重要との観点から、マル2までとすることが限界ではないかとの意見が多かったとしております。

 その上で、2番目のマルとして、なお、運用改革については施行から一定期間状況を見て検証し、見直すといった措置を講ずべきとの意見があったとしているところであります。

○神野部会長 どうもありがとうございました。

 事務局と相談をしながら議論の整理(案)について修正をしたものが以上のとおりでございます。

 可能な限りのここでの議論を正確に反映すべく努力したいと思ってございますが、御意見があれば、頂戴したいと思います。

 平川委員、どうぞ。

○平川委員 まずは質問ですけれども、「国民から一層信頼される組織体制の確立を進めることが重要との観点から、マル2まで」ということなのですが、マル2までというのはどこからマル2までなのかというのがわかりづらいので、それを補足していただきたいと思います。

○神野部会長 どこからマル2まで。私も理解できていないのですが。これは正確に書けば1と2ということです。

○平川委員 そういうことだと思いますが。

○神野部会長 私の印象は大体このとおりの印象。

○平川委員 私もそう思っているのですけれども、それがわかるように表現すべきと考えます。

○神野部会長 表現の仕方はいろいろあるかもしれませんが、そういう意味。

○平川委員 そういうことでしたら理解しました。

○神野部会長 ほかはいかがでございましょうか。

○藤沢委員 ありがとうございます。

 4の進め方のところで少し御質問させてください。

 まず、一番最初の○で、一部にマル3が適当との意見があったが、云々かんぬんで、マル2までという意見が多かったということなのですけれども、年金部会のきょうの数を見ていると過半はいらっしゃいますけれども、全員ではないので、きょうの議論は確かに一部が3、2までが多かったというのは、本当に皆さんでこうだったのかというのが、もし、座長がそうだとおっしゃるならそうかもしれませんが、きょうだけでは判断しかねるというのが私の印象でございます。

○神野部会長 座長は特に特権はありませんが、御異論があるのであれば、そんなことはなかった、圧倒的に違うんだということであれば、皆さんからそういう意見をいただきたいと申し上げているわけです。

○藤沢委員 私の今まで参加した感覚では、一部と多かったという分け方が正しいだろうかというのが疑問でございます。一部が3が適当で、2までが多かったという。

○神野部会長 どういうことでしょうか。3が多くてと、逆の感じではないのですか。

○藤沢委員 そんなことはないのですけれども、この3行を入れる意味というのが、私はちょっと、余りフェアではないのではないかと、この3行は必要でしょうかという質問でございます。

○神野部会長 スタッフとして意見を申し上げるわけですけれども、一致できたところと一致できないところがあり、ただ、全体として部会は、丁寧にこれまでもこういう意見もあるしこういう意見もありますと書いてきたわけです。したがって、進め方としてはいろんな意見があったのだけれども、大体こんなような、つまり、ここでいえば慎重な意見というか、1と2というような意見が多かったのではないかというのは私の印象なので、ほかの委員の方々が違うのだとおっしゃるのであれば、そのように修正いたします。

 どうぞ。

○藤沢委員 あと、確認なのですけれども、オルタナはマル3のパッシブ運用等の中に入るということで、LPS投資のほうは法令で変えるということなので、これとは関係ないと理解しておけばよろしいのですね。なので、これは別にここと関係なく変わるということです。

 最後の○のところで、施行から一定期間という、この施行というのが何の施行なのかというのが。

○神野部会長 これは法律の。

○藤沢委員 GPIFの改革の法律と認識しておけばよろしいでしょうか。

○神野部会長 私は法律の専門家ではないので、そういう理解でいいですね。

○大臣官房参事官(資金運営担当)

 法律なり改革の施行ということです。

 あと、1点、私、読み間違えてしまいましたけれども、落とし漏れがあって、一番上の行に「本日」と書いてあるのは年金部会の議論の整理なので、本日という必要はないので、落としていただければと思います。

○神野部会長 どうぞ。

○駒村委員 私は原案でいいかと思います。私の印象はこの原案どおりだと思います。仮に3、4を認めるような発言があった委員が今日いらしたとしても一部で、多数派は2までという感じだという印象を私は持ちましたので、部会長の取りまとめでよろしいのではないかと思っています。

○牧原委員 私も基本的にはガバナンスの改革を先にやるべきだというスタンスですので座長の取りまとめ案で、いろいろ議論はありますけれども、これでよろしいかなと思います。

○山本委員 修正ありがとうございます。

 私がちょっと理解し切れていないといとうことかもしれないのですが、マル2のところですけれども、この部分について、インハウスという表現が全く入ってきていないように切りかわっています。2番についていうと、インハウスとそうではない場合という2つがあり得るのかなと思うのですけれども、1番、2番については、インハウスの部分は含めないという理解をしてよろしいか。

○神野部会長 今のは株式のインハウスということでしょうか。

○山本委員 デリバティブには、恐らくいろんな種類があるでしょうから、この中で株式保有にかかわる場合に、ヘッジの必要性といった本論であるところを超えて、デリバティブの中で株式のインハウス運用が先行するということが起きるか。こういう質問でございます。

○大臣官房参事官(資金運用担当) 失礼いたしました。

 株式のインハウス運用に関してはマル2の中には入っていないということです。一方、マル3、マル4のところは、まさに株式のインハウス運用に係るパッシブ運用あるいはアクティブ運用について記載をしているということであります。

○神野部会長 これまでの議論でも割とそういう理解で出てきたと思います。

○山本委員 わかりました。

 株式のデリバティブまで含まれているとすると、本論と不突合を起こす危険性があるのではないかと、こういう質問でございましたので、特になければ結構です。

○神野部会長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 私もこのまとめ方でよろしいのではないかと思います。

 個人的には3番のパッシブ運用まで実施可能とする案に賛成ですが、これまでの議論でインハウスについては3つの案が並列する形になっているは事実でありますので、全体のまとめ方としてはこういうことになるのかなということで、よろしいのではないかと思います。

○神野部会長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○米澤委員 まとめ方はこうなるのかなと、多少残念なところも含めて、だけれども、こうなるのでしょうねということで、特に異論はありませんが、GPIFの委員としては大分希望が先に遠のいたなという感じが正直なところ、個人的かもしれませんが。

○神野部会長 原委員、どうぞ。

○原委員 まとめていただきまして、ありがとうございました。

 改革の進め方については、このまとめ方でいいのではないかと思っております。

○神野部会長 平川委員、どうぞ。

○平川委員 ガバナンスのところはやはり労使が拠出者であるという観点からすれば、両論併記になっているというところは納得しがたいところもありますが、改革の進め方というところについては、こういうまとめ方になるのかと思っております。

 以上です。

○神野部会長 ありがとうございます。

 諸星委員、どうぞ。

○諸星委員 非常にうまくまとめていただいて、ありがとうございました。

 ただ、1点だけ、文言で申しわけないのですが、先ほど「本日」を消してくださいといったのですが、「現段階ではまずは」というところで、マル1のところにも「まずは」と、どちらが先なんだと思ってしまうので、「現段階では、国民から一層信頼される」というところで、ここは「まずは」は要らないのかなということを思いました。

 以上です。

○神野部会長 宮本委員。

○宮本委員 ありがとうございます。

 今、諸星委員がおっしゃったとおり、私もこのまとめでいいとは思うのですが、先ほどの「まずは」というのが非常に気になっていまして、やはり先行するということを言い切ったほうがすっきりしていいと思います。

 以上です。

○神野部会長 ありがとうございます。

 それでは、御意見頂戴いたしましたけれども、このまとめで強い反対は私の印象ではなかったと感じておりますので、この部会で御了承いただいたとさせていただければと思いますが、なお、今の点を含めて、細かい字句の修正、読んでみてまた字句の間違いその他があるかもしれませんが、それについては私の責任で事務局と調整させていただいて、御一任いただければありがたいと思います。よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○神野部会長 どうもありがとうございました。

 次回以降の日程といいますか、今後の予定について、事務局のほうからお願いできればと思います。

○総務課長 本日も3時間を超える審議になりまして、毎回遅くまで御協力いただきまして、本当にありがとうございます。

 次回以降の開催日程ということですけれども、追って御連絡させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○神野部会長 毎回申しわけございません。30分近くもいつも予定をオーバーしてしまう議事運営の拙さをおわびいたしまして、本日はこれにて終了させていただきます。

 最後に、まとめについて御賛同いただきましたことに深く感謝申し上げて、本部会を終了したいと思います。

 どうもありがとうございました。

 

 

(了)